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請負経営土地の調整に関する諸制度

第三章 集団所有土地利用の内容とその法的関係

第一節 集団所有土地利用の内容

三 請負経営土地の調整に関する諸制度

中国の各地において、三十年余りに家庭請負経営を実践し、積極的な効果を取得す ると同時に、一連の問題に直面している。そのうちの一つは、農地が請負期間内に、

人口の変動につれて、請負地を調整するべきか、また、どのように調整するかという 問題である341。中国では、各地で主に三つの調整制度を実施した。最終的に、農村土地 請負法と物権法では、この中の「戸内の人員が増加しても請負土地は増加しないし、

減少しても請負土地は減少しない」という制度を選び、明確的な規定を制定した。以 下、この三つの調整制度の内容と現行の法律上の規定を考察する。

一つ目は「両田制」という制度である。「両田制」とは、請負土地を口糧田と責任田 に分けて、口糧田は集団構成員に分配する342。口糧田に対して、農民はただ農業税を負 担する。責任田は労働に応じて分配し、あるいは村委員会の名義で請負の入札を募集 する。責任田に対して、農業税以外に、一定の請負費を納めなければならない。「両田 制」は主に農地が比較的に多い地区で実行された。農業部の調査によって、1992 年ま で、全国 32.3%の農村集団は「両田制」を実行してきた。「両田制」は主に中国の東部 と中部に集中した343。「両田制」は地方政府に比較的大きい土地支配権を与える。農民 の利益を損なう可能性がある。そのため、1997 年から中央政府は「両田制」を採用せ ず、次第に地方政府も両田制の推進を取りやめた。

二つ目は「大安定、小調整」という制度である。「大安定、小調整」とは、「大安定」

の原則に基づき、人口、労働力、 経営状況などの変化に応じて適当な小調整を行う。

1995 年 3 月 28 日国務院は農業部「关于穏定和完善土地承包関係的意見」により、「集 団と家庭は新たに増加する人口の就職の問題を解決できず、生活が困難な農戸が「大 安定、小調整」という原則により、農村集団内の多数の農民が賛成すると、適当に土 地を調整することができる」と規定する。1997 年 8 月 27 日中央国務院弁公庁「关于進 一步穏定和完善農村土地承包関係的通知」により、人と土地の矛盾を解決するために、

「大安定、小調整」という原則によって、個別的な調整ができる。この制度は中等先

341農村土地請負経営権の具体的な期限については、1998 年土地管理法 14 条、2002 年農村土地請負法 第 20 条に其々「土地請負経営期限は 30 年とする」と「耕地の請負期間は 30 年とする」と規定した。

その後、2007 年物権法第 126 条も「耕地の請負期限は 30 年とする」と明文的に規定した。

342一般的に 1 人当たり 0.4-0.6 畝(中国の伝統的な面積の単位で、1 畝=666.7m2)である。

343農業部農村合作経済研究課題組「中国農村土地承包経営制度及合作組織運行考察」農業経済問題 1 993 年第 11 期 45-46 頁。

進地域で広く採用されていた。

三つ目は「戸内の人員が増加しても請負土地は増加しないし、減少しても請負土地 は減少しない」という制度である。この制度は、貴州省湄潭県から始まった。貴州省 湄潭県の農村集団所有土地は 1984 年に 1 回の調整を行ったが、2000 年までの 16 年ほ どにあまり調整が行われなかった。これによって、農村基本政策の連続性と安定性を 維持し、土地への投資を激励することができる。農地の使用権の流動と集中を促すこ ともできるため344、このようなやり方は貴州省全体でも推進され、地方の法規として確 定された。さらに、1993 年 11 月 5 日、中共中央、国務院「关于当前農業和農村経済发 展的若干政策措施」345において、初回に中央文書という形式でこの制度を言及した。そ の後、全国の範囲に伝播し提唱された。この文書よると、「戸内の人員が増加しても請 負土地は増加しないし、減少しても請負土地は減少しない」という制度を実施する目 的は「請負農地の頻繁な変動を避け、農地経営規模の過分的な細分化を防止する」と いうことである346。学界では、この制度を実施すると、土地請負経営戸の構成員一人あ たりの農地の面積の格差を引き起こすことができるが、出稼ぎなどによって、この問 題を解決することができるという主張がある347。これに対して、この制度は形式的に農 民の権利を保護することを目的とするが、実際には、村民委員会の権限を制限するた めであるという指摘もある348

前述したように、中国では、請負地の調整について、各地で主に三つの調整制度が あった。しかし、法律上で明確的な規定がなかった。農民の利益を保護するために、

法律で請負地の調整について統一的な規定が必要である。従って、請負地の調整制度 という問題は農村土地請負法を起草した際の重要な議題となった。1998 年末、全国人 民代表大会の農村土地請負法起草グループが設立された時から、法律の通過に至るま で、ほぼ 4 年間の立法過程に一連の中核問題について、多くの論争が生じた。その中 でも、農地の調整に関する問題は最も激烈な問題の一つであった。土地請負経営権の 主体は農戸ではなく、農戸の構成員であると、構成員の生老病死、人数の移動などの 理由で、請負地を不断に調整する必要が生じる。その結果として、農民が土地に長期 的な投資をしたくなくなり、農業の安定的な発展には有利でないのである。また、請 負地の調整権は一般的に村民委員会から行使され、土地の頻繁な調整は必ず村民委員

344陳錫文「為什麽提倡実行增人不增地、减人不减地的耕地承包弁法」中国改革 1994 年第 1 期 53 頁。

345中共中央、国務院「関于当前農業和農村経済発展的若干政策措施」http://www.moa.gov.cn/zwllm/

zcfg/flfg/200601/t20060120_539602.htm(1993 年 11 月 5 日発表)

346中共中央、国務院「関于当前農業和農村経済発展的若干政策措施」

347丁遠康・黎登慶「湄潭農村改革試験区延長土地承包期五十年的実践与思考」中国農村経済 1999 年 第 3 期 14 頁。

348倫海波「增人不增地、減人不減地的法学解析〕甘肅政法学院学報 2013 年第 3 期 65-67 頁。

会の権力を増強する。そうすると、村民委員会の権力の濫用が引き起こされ、農民の 利益を損なう可能性が高い。そのため、最終に通過した法案において、発注側が請負 地を取り戻すことに関する制限条件を規定している349。「戸内の人員が増加しても請負 土地は増加しないし、減少しても請負土地は減少しない」という制度は法律で確立さ れた。その後、2007 年の物権法は、土地の調整に関する内容は直接的に農村土地請負 法の内容を継続し、実質的な変動がなかった。

表 3-2 請負地の調整について農村土地請負法と物権法の規定

農村土地請負法第 26 条 請負期限内においては、発注側は請負地を回収すること はできない。請負側の全員が小都市・鎮へ住居を移転した場合には、請負側の意思 に配慮してその土地の請負経営権を保留するかまたは法律の規定するところにより 土地請負経営権を移転させなければならない。

請負期限内において、請負側の家族全員が市の区域に移住し、農業以外の住戸と なった時は、請負耕地と草地を発注側が回収しなければならない。

請負側が回収に応じない場合でも発注側は請負に出した耕地と草地を回収するこ とができる。請負期限内において、請負側が請負地を返却した場合または発注側が 法律の定めるところにより請負地を回収した場合において、請負側が請負地に資本 を投入して土地の生産能力を増進させた時は、相応の補償を受ける権利を有する。

農村土地請負法第 27 条 請負期限内においては、発注側は請負地の調整をするこ とはできない。請負期限内において、自然災害により請負地が重大な毀損を受ける などの特別の事情があり、個別の農家の間で請負耕地と草地の需要を適切に調整す る必要を生じた場合には、当該集団経済組織の構成員である村民会議の三分の二以 上の成員または三分の二以上の村民代表の同意を得なければならず、郷(鎮)人民 政府と県級人民政府の農業など行政主管部門に報告しその承認を受けなければなら ない。請負契約において調整することができないと約定されている場合は、その約 定に従う。

農村土地請負法第 28 条 下記の土地は、請負土地の調整または新たに増加した人 口のために請負土地として使用しなければならない。

(1)集団経済組織が法律によって保留している機動的に使用できる土地。

(2)法律の規定による開墾などによって増加した土地。

(3)請負側が法律の規定により自らの意思によって返還した土地。

物権法第 130 条 請負期限内において発注側は請負地を調整してはならない。自

349柳随年「中華人民共和国農村土地承包法(草案)的説明」『中国人民代表大会年鑑』(2003 年)89

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