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中国の株式合作制とその沿革

第五章 農民集団の法的形態に関する一考察

第三節 農民集団の株式合作社法人化

一 中国の株式合作制とその沿革

組み合わされたかは明らかではない。合作制とは、どのようなことを意味しているの か、株式制の具体的内容は何であるかなどについても統一した認識がない。そのため、

その権利義務関係や機構は株式合作制企業によって異なっている。

次に、株式合作制の歴史的沿革を概観する。1983年、中共中央は中央一号文書によ り株式合作制に関する基本的な考え方を示し、農村での株式合作制を承認した。1983 年の中央一号文書においては、「株式合作制」という言葉を使わず、「商品生産の要求 に応じて、様々の合作経済を発展する」のみを規定した。この規定により、農村の現 状に応じて、農業経営において、生産手段の公有化の程度や分配の方法などで異なっ た方式をとることはあり得る。また、株式合作制を労働結合と資金結合の同時実施を 行うものとして理念的にとらえた上で、労働に応じた分配の原則の緩和と一定の株金 配当を行うことが容認された617。さらに、1985 年の中央一号文書では、株式合作制は 提唱に値すると規定し、株式合作制を積極的に推進する姿勢が示されることとなった618。 上述した背景により、効率を高め、大規模の経営を実現するために、各地の政府は新 しい農業生産方式と生産組織モデルを探索している。1991年から国務院は全国で21個 の農村改革試験区を設定し、農村改革試験を行うこととした619。珠江デルタ、長江デル タなどの地区で、農村集団経済組織の改革により、株式合作社、会社、農工商総会社 など幾つかの方式が現れている。その中で、株式合作会社は最も普遍的なものになっ ている620

さらに、株式合作経済の発展を推進するために、一連の法律・政策が制定された。

例えば、2007 年から実施された農民専業合作社法は初めて法律上で合作社の法人地位 を確立した621。農民専業合作社法により、合作社の意思決定、加入と脱退について、主

617例えば、1983 年の中共中央一号文書には以下の規定がある。労働結合を実施すると同時に資金結合 も実施することができる。その上で、どのような結合であっても、労働者間の自主互利の原則を遵守 し、国家の計画指導を受け、民主的管理制度を有し、公共資金の留保「公共提留」を行い、積立金「積 累」は集団所有とし、労働に応じた分配を実行する。あるいは、労働に応じた分配を主とするのであ れば、同時に一定の比率での株金配当があっても、すべて社会主義的性格の合作経済に準ずる(「当 前農村経済政策的若干問題」人民日報 1983 年 4 月 10 日第 1 版)

618「中共中央、国務院関于進一歩活躍農村経済的十項政策」(中発「1985」1 号)中華人民共和国国務 院公報 1985 年第 9 期 199 頁。

619「国務院弁公庁転発農業部関于農村改革試験区工作幾個問題請示的通知」(国弁発「1991」65 号)

中華人民共和国国務院公報 1991 年 8 月 17 日 1325-1327 頁。

620王権典「社区集体経済組織改制目標定位与職能重構之法律研析」法学論壇 2009 年第 4 期 25 頁。

621中華人民共和国第 10 回全国人民代表大会常務委員会の第 24 回会議(2006 年 10 月 31 日)では 200 7 年 7 月 1 日から「農民専業合作社法」を施行することに決まった。実際は、合作社の法人地位を確 立する文書は以前にもあった。例えば、①中共中央、国務院供銷合作社改革的決定(中発「1995」5 号)、②中国人民銀行が発表した「農村信用社管理規定」(1997 年 9 月 15 日)、③城市信用社管理法(1 997 年 9 月 4 日)(信用合作社は企業法人であると規定されている)、③浙江省の浙江省農業専門合作 社条例(第 4 条は、合作社が本条例の規定により登録し、法人格を取得し、法律に従って自主的に民

に以下の規定がある。その第 17 条第 1 項の規定により、農民専業合作社の社員大会の 選挙は一人一票の表決方式を採用する。また、第 2 項は付加表決権を規定し、すなわ ち、本合作社との取引量(額)あるいは出資は、定款の規定に従って、付加表決権を 持つ。ただし、付加表決権の数は基本表決権の総数の 20%を超えることが禁じられる。

このように、投資者の積極性を高め、合作社社員の民主性を体現することもできる。

第 19 条、第 21 条の規定に基づき、合作社社員の加入と脱退は自由である。加入する 時から、社員専用の口座を開設し、社員の投資及び持分を記載する。脱退する際に、

その口座の中の出資額と公共積立金の持分を還付する。社員の口座に記載する持分は ただ合作社の全体の財産の仮想の区分であり、合作社の財産の所有権の帰属は変わら ない。ただし、退社する時、この仮想の持分は具体化され、社員は合作社の財産から 自分の財産を取り戻すことができる。合作社の債務に対し、合作社の社員はただ有限 責任を引き受ける。

2013 年 11 月、「中共中央全面深化改革若干重大問題的決定」(以下「決定」と略称す る)が公布された。この「決定」には、「農民はさらに多くの財産権利が授けられ、

農民集団経済組織の構成員としての権利を保障される。また、積極的に株式合作制を 発展し、農民の株に対する占有、収益、有償の脱退と抵当、担保、相続などの権利も 保障される」などが述べられている。この「決定」が、地方政府の株式合作化に対す る政策上の支えとなり、農民は土地請負経営権を株式化し、株主権により集団から配 当金を受けられる。このようにして、集団は土地の実際の経営者になり、農戸は土地 収益の分配のみに参与する。農民集団は土地の管理と集団の運営に対して、土地請負 経営制を実施することよりも大きな権利を擁することとなる。農地の株式合作制が実 行された後、農地使用権の主体が変わり、農民集団は農民から土地経営権を獲得する622。 さらに、2014 年 10 月、中共中央は農民株式合作と農村集団財産の株式改革試行に関す る方案を通過させた。この方案の通過は、各地で農村集団財産権の改革が全面的に展 開することを意味した623

事の責任を引き受けると規定する)などがある。しかし、それらの文書の効力は法律より低く、ただ 部門法規と規約(規章)に過ぎないのである。

622改革開放以降の株式合作化により、株の配当は以前の人民公社の社員であった時の配当と実質的な 区別がある。改革開放以降の株式合作化により、株の配当は、農民に土地の使用権と処分権を授け、

株式が財産の証明である。これに対して、人民公社時期の配当は農民が社員として集団で働き、年末 に一年間の労働量に応じて収益を分配する。農民が持つ請負権は変わらず、株式制が終了すれば、集 団の構成員は株主権によって集団土地を再び割り当てられることができる(蒋省三・韓俊編『土地資 本化与農村工業化-南海発展模式与制度創新』(山西経済出版社・2005 年)59 頁)

623高雲才「中央通過有関農民股份合作和農村集体資産股份権能改革試点方案農民将獲更多財産権利」

人民日報 2014 年 10 月 19 日第 2 版。