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認知症診療のピットフォール 座長:玉岡  晃 ‌‌ 筑波大学神経内科

ドキュメント内 プレナリー (ページ 115-118)

葛谷  聡 ‌‌

京都大学大学院医学研究科 臨床 神経学

≪ねらい≫

認知症は大脳病変による器質性疾患であり、それぞれの疾患 の脆弱部位に由来する一定の症候学的なパターンを呈する。

また、個々の認知症患者の症候学のパターンを把握すること によって、原因疾患の診断に結びつき、各々の患者でどの症 状が問題なのかを明らかにすることによって、治療法や介護 法の方針決定に役立つ。特に神経症候は重要であり、アルツ ハイマー型認知症と非アルツハイマー型認知症との鑑別、日 常生活活動における問題点の把握、治療や介護の工夫、生命 予後の見通しに有用である。従って、認知症の診療は、症候 学の分析により鑑別診断・治療・介護に寄与する臨床医冥利 に尽きる分野であり、内科の基礎を有し神経診断学に精通し た神経内科医が携わるべき、やり甲斐のある分野である。本 シンポジウムでは、認知症診療のピットフォールについて紹 介することにより、神経内科における認知症診療の質の向上 を目指したい。

S-26-1 アルツハイマー病診療に

おけるピットフォール

○‌‌嶋田 裕之

大阪市立大学病院 認知症臨床研究センター

【略歴】

昭和61年 大阪市立大学医学部 卒業

昭和63年 大阪市立大学大学院 医学研究科 第二内科学入学 平成‌ 4年 大阪市立大学大学院 医学研究科 第二内科学卒業 同年‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌大阪市立大学医学部 第二内科 助手

平成‌ 7年 大阪市立大学医学部 老年科神経内科 助手 平成10年 大阪市立大学医学部 老年科神経内科 講師 平成23年 大阪市立大学医学部 老年科神経内科 准教授 平成27年 大阪市立大学医学部 神経内科 准教授

平成28年 大阪市立大学医学部 認知症臨床研究センター‌特任教授 現在に至る。

日常診療における認知症の診療においては、病歴の問診や心 理検査による認知機能の低下の確認、そして鑑別診断のため の神経診察とともに、画像診断や血液、髄液などの生化学検 査などが行われる。しかしアルツハイマー病(AD)は、従来 のCTやMRIを用いた画像検査では萎縮以外に有意な変化に 乏しく、ある程度進行して萎縮が明瞭になると診断する根拠 となるが、MCIを含めた早期のADの診断においては有用度 が低い。また神経症候および血液や髄液検査においては正常 が基本であり、診断の根拠とする異常が認められない。その ため従来から確定診断は病理診断とされていたのである。し かし近年PETを用いた分子イメージング技術の進歩により、

生前に脳内病理を推測することが可能となった。特に2004年 に実用化したアミロイドイメージングの登場は、アルツハイ マー病診断に画期的な進歩をもたらした。また近年はタウイ メージングも可能となってきている。一方血液髄液における バイオマーカーも進化し、脳内のアミロイド蓄積を正確に反 映するマーカーが実用化しつつある。そのような進歩が臨床 現場で応用されるようになって、いままで日常臨床レベルで ADと診断されていた患者の2割近くがアミロイド陰性の非 AD疾患であることがわかってきた。一方日常診療では病歴 聴取や診察が不十分であったりすると、非認知症疾患がAD と診断されることも指摘されるようになってきた。これらは 未だ日常臨床の現場で使えるAD特異的な診断技術やバイオ マーカーなどが確立されていないため生じることを理解し、

その確定診断には注意が必要であると思われる。本講演では、

日常臨床でADと診断されやすい病態を解説しながら、AD 診療におけるピットフォールについて考えたみたい。

1 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 25

9月1日(火)9:00 ~ 10:30 第10会場(岡山県医師会館2F三木記念ホール)

公募 En

S-25-4 Alterationof

autophagy-relatedproteinsin synucleinopathies

○ ‌‌Yasuo‌Miki

Department of Neuropathology, Hirosaki University Graduate School of Medicine, Japan

【CurriculumVitae】

[Professional Experience]

2018-2020 Research Associate, Queen Square Brain Bank for Neurological Disorders, UCL Queen Square Institute of Neurology, UK 2013-2018 Assistant Professor, Department of Neuropathology, Hirosaki

University Graduate School of Medicine, Japan

2007-2013 MD, Department of Neurology, Aomori Prefectural Central Hospital, Japan

2005-2007 MD, Yodogawa Christian Hospital, Japan [Education]

2011 PhD, Hirosaki University Graduate School of Medicine, Japan 2005 MD, Hirosaki University School of Medicine, Japan [Honors and Awards]

2019 JSNP Award, the Japanese Society of Neuropathology

2017 Hirosaki University Outstanding Young Thesis Award, Hirosaki University 2015 JSNP Award, the Japanese Society of Neuropathology

[Research Interests]

Neuropathology of neurodegenerative diseases including synucleinopathies

Macroautophagy (herein referred to as autophagy) is a highly conserved degradation pathway through which abnormal macromolecules and organelles are sequestered and delivered to the lysosomes. Autophagy consists of several steps: initiation of autophagy, formation of autophagosomes to engulf proteins selected for degradation, and degradation of engulfed proteins after fusion with the lysosomes. These processes are strictly regulated by multiple autophagy-related genes and the dysregulation of autophagy can result in accumulation of aberrant proteins and neuronal cell loss. Thus, it is of paramount importance to maintain autophagy for cellular survival.

Dysregulation of autophagy is now a common feature in many neurodegenerative diseases including Parkinson's disease (PD) and multiple system atrophy (MSA), both of which are categorized as synucleinopathy based on the abnormal accumulation of α-synuclein. PD is characterised by the presence of Lewy bodies, phosphorylated and fibrillated form of α-synuclein in the neuronal cytoplasm and processes. In contrast, in MSA, phosphorylated α -synuclein accumulates predominantly in the cytoplasm of oligodendroglia and, to a lesser extent, neuronal cytoplasm.

In addition, accumulation of abnormal α-synuclein can also be found in the nucleus of oligodendroglia and neurons.

Our previous studies have shown the impairment in various steps of autophagy among these diseases; however, its pattern of impairment was different.

I n t h i s s y m p o s i u m, w e w i l l d e m o n s t r a t e o u r previous findings in the impairment of autophagy in synucleinopathies. In addition, we have recently generated a mouse model of MSA, which enables us to understand its initial disease progression. We would also like to discuss a potential alteration of autophagy especially in the early stage of MSA.

1 シ ン ポ ジ ウ ム 日

9月1日(火)9:00 ~ 10:30 第12会場(岡山国際交流センター8Fイベントホール)

S-26-2 血管性認知症診療のピッ

トフォール

○‌‌長田  乾

1

、山﨑 貴史

2

髙野 大樹

2

1 横浜総合病院 臨床研究センター、

2 横浜総合病院 神経内科

【略歴】

65歳、横浜総合病院臨床研究センター長、1978年に弘前大学医学部を卒業、

財団法人脳血管研究所美原記念病院にて神経内科を研修、1983年に米国コ ロラド大学に留学、1984年から秋田県立脳血管研究センター神経内科学研 究部で脳卒中や認知症の臨床研究に従事、2016年から現職、専門領域は、

脳卒中、認知症、画像診断、神経心理学

血管性認知症はさまざまな脳血管障害を基盤とする認知症の 総称である。血管性認知症の臨床像は、脳卒中により失語症 や半側空間無視などの神経脱落症状を後遺する脳卒中後認知 症、小梗塞や小出血の集積、鬱血性心不全や徐脈に起因する 低灌流、さらにはアルツハイマー病に軽症の脳血管障害を合 併する場合など多岐にわたる。とくに高齢者においては脳血 管障害とアルツハイマー病の並存など複合病理を示す症例が 高率に認められることから、脳血管障害を予防することで、

認知症の予防や進行を抑制できると考えられており、こうし た観点から脳血管障害の存在意義が見直されている。米国 心臓協会によれば、中年期のLife's Simple 7、すなわち、禁 煙、ダイエット、運動習慣、体重、血圧、血糖、血清脂質の 合計7因子から成る心血管健康スコアが高い群は、低い群と 比較して冠動脈疾患や脳卒中の発症リスクが低く、さらに最 近のコホート研究では老年期の認知症の発症リスクも低いこ とが示されており、血管性危険因子の管理・治療の重要性が 再認識されている。心房細動を有する集団は有しない集団と 比較して認知症の発症率が高いことから心房細動と認知症の 関連性が注目されているが、患者背景を見ると、心房細動を 有する集団は、一般に高齢で、教育歴が短く、高血圧、糖尿 病、血管疾患の合併率が高い場合が多くハイリスク集団であ る。心房細動に関連する認知症は、心原性脳塞栓による脳卒 中後認知症に加えて、合併する鬱血性心不全や徐脈などに起 因する低灌流性血管性認知障害、小梗塞や皮質微小梗塞がア ルツハイマー病の病態を修飾する場合などが想定される。心 房細動による抗凝固薬療法には約50年間にわたり唯一の治療 薬としてワルファリンが使われてきたが、治療域・安全域が 狭く、日本人を含むアジア人は服用中の頭蓋内出血の発症率 が高いことなどの問題を抱えていた。さらにワルファリン服 用中は、ビタミンKを多く含む緑黄色野菜や発酵食品の摂取 を制限し、ビタミンKの血中濃度は低く維持される。ところ が、ビタミンKは、凝固因子の合成のみならず、骨代謝や動 脈硬化、細胞膜を構成するスフィンゴ脂質などにも影響を及 ぼすことから、ビタミンK欠乏状態は、骨粗鬆症や動脈硬化 を悪化させ、さらには認知機能低下につながることから、高 齢者の認知機能を維持する観点からは、ビタミンKの摂取を 制限するべきではないと指摘されている。

S-26-3 Lewy小体型認知症診療

におけるピットフォール

○‌‌長濱 康弘

医療法人花咲会かわさき記念病院

【略歴】

1990年  京都大学医学部 卒業、京都大学病院神経内科入局 1993年 - 1997年 京都大学脳病態生理学講座にて医学博士号取得 2000年  滋賀県立成人病センター老年神経内科 医長 2010年  滋賀県立成人病センター老年内科 副部長 2013年  滋賀県立成人病センター老年内科 科長 2015年6月 かわさき記念病院 診療部長 2016年4月 かわさき記念病院 副院長

2004年 - 2009年 京都大学脳病態生理学講座臨床脳生理学 非常勤講師 所属学会:

日本神経学会 専門医・指導医 日本認知症学会 専門医・指導医 日本内科学会 総合内科専門医 日本脳卒中学会 専門医 日本認知症学会 代議員 日本高次脳機能障害学会 幹事 日本神経心理学会 理事 日本神経精神医学会 評議員

 Lewy小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB)は Alzheimer病(AD)に次いで頻度が高い認知症疾患で,臨床診 断では一次性認知症の10~15%を占める.進行性の認知機能 低下に加え,中核的臨床特徴として注意や覚醒レベルの顕 著な変化を伴う認知機能の変動,具体的で詳細な内容の繰り 返し出現する幻視,レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder, RBD),特発性パーキンソニズムが挙げられており,

そのうち2つが確認されればprobable DLBと診断できる.

 典型的症例の診断は容易だが,発病初期やprodromal stage,非定型例を診断する際には慎重な鑑別を要すること がある.抑うつは既往を含めるとDLBに合併する頻度が高 く,約70%の症例では他の症状に数年先行して発症する.高 齢発症のうつ病はDLB,ADなど器質疾患に関連することが 多いので,慎重に経過観察することが望ましい.RBDはシ ヌクレイノパチーの前駆症状として有名だが,全てのRBD が神経疾患に進む訳ではなく,Parkinson病/DLBに進行す る可能性が高いかどうかを見極める必要がある.またRBD 以外の睡眠時行動障害とRBDとの鑑別も意識しなければな らない.DLBでは初期から多彩な精神症状がみられ,認知 症が軽い時期から幻視がみられる場合はDLBの可能性が高 い.しかし幻視以外の症状についてはADなど他疾患でも生 じるため,誤認や被害妄想が目立つADをDLBと診断しない よう留意すべきである.DLBのパーキンソニズムは振戦が 少なく無動,左右対称性の筋強剛,易転倒性が目立つため,

非定型パーキンソニズム,特に進行性核上性麻痺との鑑別に 苦慮することがある.その他,頻度は低いがセネストパチー を呈する症例,前頭側頭型認知症類似の行動障害を呈する症 例,大脳皮質基底核症候群を呈する症例などがある.

 鑑別診断は容易でないこともあるが,非定型例でも詳細に 臨床症状を評価して必要なバイオマーカーを調べることによ り,正確な診断に近づくことが可能となる.

1 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 115-118)

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