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世界をリードするプリオン病研究、さらな る高みを目指して

ドキュメント内 プレナリー (ページ 94-97)

座長:山田 正仁 ‌‌

金沢大学大学院医薬保健学総合研 究科‌脳老化・神経病態学(脳神経 内科学)

佐藤 克也 ‌‌

長崎大学医歯薬学総合研究科医療 科学専攻保健科学分野(脳神経内 科学専攻)

≪ねらい≫

プリオン病研究ではプリオン病サーベイランスの充実により 臨床症状・画像検査・髄液検査・治療・病理などのエビデン ス構築が飛躍的な進歩を遂げている。プリオン病の研究分野 について過去の報告を踏まえ、最新のトピックスを紹介し、

新たな研究課題を提起する。

‌‌後援:日本神経感染症学会、アジア・パシフィックプ リオン研究会

S-19-1 クロイツフェルト・ヤコブ

病/ゲルストマン・ストロ イスラー・シャインカー病

○‌‌三條 伸夫

東京医科歯科大学病院脳神経病態学分野(脳神経内科)

【略歴】

1990年‌ 3月‌‌‌東京医科歯科大学医学部医学科卒業 1990年‌ 6月‌‌‌旭中央病院 内科研修医

1998年‌ 3月‌‌‌東京医科歯科大学大学院‌医学系研究科大学院修了 2002年‌ 4月 ‌カナダ トロント大学 神経変性疾患研究センター‌Post-プリオン病は正常プリオン蛋白が伝播性を有する異常プリオ ン蛋白に変化し,主に中枢神経内に凝集・蓄積することによ り急速に神経変性をおこす疾患であり、特発性、プリオン蛋 白遺伝子変異による遺伝性、他のプリオン病からの感染によ る獲得性に分類される。プリオン病は1年間に100万人に1-2 人程度の割合で発症する。人畜共通感染症として我が国では 五類感染症に指定されており、診断後7日以内に保健所へ報 告が義務づけられている。

わが国のプリオン病サーベイランス委員会では、平成11年4 月1日から令和1年9月までに7229例の臨床情報をもとにサー ベイランス調査を行い、サーベイランス委員会にて合計 3639例をプリオン病と診断した。内訳は孤発性CJDが2789例

(76.6%)と最多で、遺伝性プリオン病のうち遺伝子変異の確 認されている遺伝性CJDが593例(16.3%)で、ゲルストマン・

ストロイスラー・シャインカー病(GSS)が144例(4%)、致死 性家族性不眠症(FFI)が4例であった。わが国の遺伝性プリ オン病では、PRNPコドン180や105の変異など、他の国では ほとんど認められないタイプの変異遺伝子が多い傾向があ る。

孤発性プリオン病では、PRNPコドン129がメチオニンのホ モ接合で、蛋白分解酵素で処理した際の泳動パターンがタイ プ1型の異常プリオン蛋白によるMM1型が大多数を占める。

1-2ヶ月で急速に進行する認知症に加え、錐体路徴候,小脳 失調,ミオクローヌス等が出現する。脳波検査ではミオク ローヌスが頻繁に出現する極期に1Hz程度の周期性同期性 放電(periodic synchronous discharge:PSD)が出現する。

脳MRIの拡散強調画像(diffusion weighed image:DWI)や FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)画像での大 脳皮質や基底核のリボン状高信号変化は広く知られており、

MRI画像がきっかけでCJDを疑われる症例は少なくない。脳 萎縮は発症から数ヶ月後より顕在化してくる。遺伝性CJDの うち、コドン200に変異では古典型と同様に経過をとるが、

コドン180に変異を有する場合は進行が遅い。

GSSで最も頻度が多いのがPRNPコドン102の変異で、平均 発症年齢は55歳で、初発症状の約90%が小脳失調症状で、歩 行障害を主訴とし、その後に認知症を伴って両者が緩徐に進 行する。脳波の異常や頭部MRIで高信号が認められない。コ ドン105に変異を有するGSSは痙性対麻痺、パーキンソン症 候群、精神症状などで発症することが知られている。

31 シ ン ポ ジ ウ ム 日

シンポジウム 19

8月31日(月)15:15 ~ 16:45 第12会場(岡山国際交流センター8Fイベントホール)

Jp

S-19-2 プリオン病の画像検査

○‌‌藤田 浩司

徳島大学病院 神経内科

【略歴】

2002年3月徳島大学医学部医学科卒業。徳島大学医学部・歯学部附属病院 研修医、国立精神・神経センター国府台病院レジデントを経て、2005年10 月より徳島大学病院神経内科。2011年3月徳島大学大学院医科学教育部博 士課程修了。2014年8月~2018年3月Center for Neurosciences, The Feinstein Institute for Medical Research(New York)留学。2018年4 月より徳島大学病院神経内科に勤務し現在に至る。所属学会は日本内科学 会(認定内科医・総合内科専門医・内科指導医)、日本神経学会(神経内科専 門医・神経内科指導医)、日本脳卒中学会(脳卒中専門医・脳卒中指導医)、

日本神経感染症学会(評議員)、Asian Pacific Society of Prion Research

(Councilor)、American Academy of Neurology等。科研費、AMED、

Dystonia Medical Research Foundation等の助成によりプリオン病、ジ ストニア等の研究を進めている。

進行性認知症などでプリオン病が疑われる患者の初期評価 において画像検査の果たす役割は大きい。主なモダリティ はMRIと脳血流シンチグラフィである。まず鑑別診断が問題 となり、非プリオン病、プリオン病それぞれを示唆する所 見を並行して確認する。MRIでは拡散強調像 (DWI)、見か けの拡散係数 (ADC)、FLAIR像、T1強調像、arterial spin labelingなどを組み合わせて評価する。ADC上昇や脳血流上 昇は非プリオン病を示唆し、Creutzfeldt-Jakob病ではDWI 高信号・ADC低下、FLAIR軽度高信号、脳血流低下が一般 的である。Gerstmann-Sträussler-Scheinker病は初期には MRIで異常を認めないことが多いが、脳血流シンチグラフィ では大脳皮質などの脳血流低下が特徴的である。

プリオン病の治療開発研究において、早期に介入を開始する ために早期診断が肝要であり、治療効果を検出するために進 行を反映するバイオマーカーの創出が望ましい。早期診断に おける画像検査の役割は上述したが、治験を行う上では早期 診断のための基準の策定が必要であろう。進行マーカーとし てMRIではDWI (高信号の範囲・強度)、3D T1強調像 (容積)

が候補であり、撮像・評価法の標準化が求められる。

S-19-3 プリオン病の髄液診断

○‌‌佐藤 克也

1

、西田 教行

2

調   漸

3

1 長崎大学医歯薬学総合研究科医療科学専攻保

健科学分野(脳神経内科学専攻)、2 長崎大学医歯薬学総合研 究科感染分子解析学、3 長崎大学病院 へき地病院再生支援・

教育機構

【略歴】

1995年 長崎大学医学部卒業

1995-1996年 長崎大学医学部附属病院・北九州市立八幡病院・長崎原爆 病院にて研修

1997年    長崎県離島医療組合富江病院勤務 1998-2002年 東北大学大学院講座病態神経講座 大学院

2002-2005年 長崎大学医学部 第一内科 神経グループ 客員研究生 2006年    長崎大学医学部・歯学部付属病院 へきち病院再生支援・

教育機構・助教

2007-2009年 長崎大学医学部 第一内科 神経グループ助教 2009-2015年 長崎大学医歯薬学研究科 感染分子 講師・准教授 2015年―    長崎大学医歯薬学研究科 教授 現職

(旧運動障害リハビリテーション学講座・教授)

プリオン病の髄液診断は以前全く注目されていなかった。

1996 年アメリカのHsich らとドイツのZerrらが髄液中の14-3-3 蛋白の有効性を示し,1998 年WHO 診断基準の補助項目 の一つとなったために,プリオン病における髄液検査が重要 視されるようになった.

2000年より日本において髄液中の14-3-3 蛋白の検査が開始さ れたが、2002年より長崎大学において髄液中の14-3-3蛋白を 含めたバイオマーカーの検査を開始した。我々は14-3-3蛋白 以外の総タウ蛋白、NSE、S-100蛋白など様々のバイオマー カーについて報告した。又2007年日本におけるプリオン病の 髄液解析センターとして日本全国のプリオン病患者の髄液を 集積・解析した。さらに2011年プリオン病患者の髄液からの リアルタイムQUIC(RT-QUIC:real-time quaking-induced conversion)法と呼ばれる方法にて異常プリオン蛋白の検出 に成功した。又2011年からプリオン病患者の髄液からの異常 プリオン蛋白の検出を含むバイオマーカーの検討を行ってい る。さらに2011年以降からRT-QUIC法を応用してプリオン 病患者の臓器から異常プリオン蛋白の検出に成功した。

RT-QUIC法を応用してプリオン病以外の神経疾患について の異常蛋白増幅方法に成功した。これまでの研究成果につい て詳細に説明する。

31 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 19

8月31日(月)15:15 ~ 16:45 第12会場(岡山国際交流センター8Fイベントホール)

Jp

世界をリードするプリオン病研究、さらな る高みを目指して

座長:山田 正仁 ‌‌

金沢大学大学院医薬保健学総合研 究科‌脳老化・神経病態学(脳神経 内科学)

佐藤 克也 ‌‌

長崎大学医歯薬学総合研究科医療 科学専攻保健科学分野(脳神経内 科学専攻)

≪ねらい≫

プリオン病研究ではプリオン病サーベイランスの充実により 臨床症状・画像検査・髄液検査・治療・病理などのエビデン ス構築が飛躍的な進歩を遂げている。プリオン病の研究分野 について過去の報告を踏まえ、最新のトピックスを紹介し、

新たな研究課題を提起する。

‌‌後援:日本神経感染症学会、アジア・パシフィックプ リオン研究会

S-19-1 クロイツフェルト・ヤコブ

病/ゲルストマン・ストロ イスラー・シャインカー病

○‌‌三條 伸夫

東京医科歯科大学病院脳神経病態学分野(脳神経内科)

【略歴】

1990年‌ 3月‌‌‌東京医科歯科大学医学部医学科卒業 1990年‌ 6月‌‌‌旭中央病院 内科研修医

1998年‌ 3月‌‌‌東京医科歯科大学大学院‌医学系研究科大学院修了 2002年‌

4月 ‌カナダ トロント大学 神経変性疾患研究センター‌Post-doctoral‌fellow

2004年11月 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野 助手(現‌助教)

2011年‌ 2月‌‌‌東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野 講師 2016年‌ 4月 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野 准教授 2016年‌ 8月 ‌東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野 ‌

プロジェクト教授

プリオン病は正常プリオン蛋白が伝播性を有する異常プリオ ン蛋白に変化し,主に中枢神経内に凝集・蓄積することによ り急速に神経変性をおこす疾患であり、特発性、プリオン蛋 白遺伝子変異による遺伝性、他のプリオン病からの感染によ る獲得性に分類される。プリオン病は1年間に100万人に1-2 人程度の割合で発症する。人畜共通感染症として我が国では 五類感染症に指定されており、診断後7日以内に保健所へ報 告が義務づけられている。

わが国のプリオン病サーベイランス委員会では、平成11年4 月1日から令和1年9月までに7229例の臨床情報をもとにサー ベイランス調査を行い、サーベイランス委員会にて合計 3639例をプリオン病と診断した。内訳は孤発性CJDが2789例

(76.6%)と最多で、遺伝性プリオン病のうち遺伝子変異の確 認されている遺伝性CJDが593例(16.3%)で、ゲルストマン・

ストロイスラー・シャインカー病(GSS)が144例(4%)、致死 性家族性不眠症(FFI)が4例であった。わが国の遺伝性プリ オン病では、PRNPコドン180や105の変異など、他の国では ほとんど認められないタイプの変異遺伝子が多い傾向があ る。

孤発性プリオン病では、PRNPコドン129がメチオニンのホ モ接合で、蛋白分解酵素で処理した際の泳動パターンがタイ プ1型の異常プリオン蛋白によるMM1型が大多数を占める。

1-2ヶ月で急速に進行する認知症に加え、錐体路徴候,小脳 失調,ミオクローヌス等が出現する。脳波検査ではミオク ローヌスが頻繁に出現する極期に1Hz程度の周期性同期性 放電(periodic synchronous discharge:PSD)が出現する。

脳MRIの拡散強調画像(diffusion weighed image:DWI)や FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)画像での大 脳皮質や基底核のリボン状高信号変化は広く知られており、

MRI画像がきっかけでCJDを疑われる症例は少なくない。脳 萎縮は発症から数ヶ月後より顕在化してくる。遺伝性CJDの うち、コドン200に変異では古典型と同様に経過をとるが、

コドン180に変異を有する場合は進行が遅い。

GSSで最も頻度が多いのがPRNPコドン102の変異で、平均 発症年齢は55歳で、初発症状の約90%が小脳失調症状で、歩 行障害を主訴とし、その後に認知症を伴って両者が緩徐に進 行する。脳波の異常や頭部MRIで高信号が認められない。コ ドン105に変異を有するGSSは痙性対麻痺、パーキンソン症 候群、精神症状などで発症することが知られている。

31 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 94-97)

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