内科・バイオリソースセンター・
高齢者ブレインバンク・神経病理
髙尾 昌樹
埼玉医科大学国際医療センター神 経内科・脳卒中内科≪ねらい≫
神経病理は、臨床神経学においての位置づけは、依然として 重要である。しかし、近年は、神経病理自体に触れる機会が 極端に減少していることから、とんでもない誤解がみられる こともある。正しい知識は、患者さんの治療という観点から も重要であるので、基本的な病理所見に関して、あらためて 見直そうとするもの。対象は、新人からベテランまでを広く 設定する。
後援:日本神経病理学会
S-21-1 神経・筋病理
○村山 繁雄
1,21 東京都健康長寿医療センター 神経内科・バイ オリソースセンター・高齢者プレインバンク
(神経病理)、2 大阪大学連合小児発達学研究科
【略歴】
職歴:1979年3月東京大学医学部医学科卒業。1979年6月東京大学医学 部神経内科。
1985年11月 東京大学医学部神経病理。1988年6月東京大学医学博士。
「Pick病の免疫組織科学的・超微形態的研究」。1988年7月米国ノースカロ ライナ大学チャペルヒル分校クリニカルフェロー。1991米国ノースカロラ イナ州医師免許。1992年10月 東京大学医学部附属病院神経内科。1999 年6月 東京都老人総合研究所神経病理部門室長。2013年4月 より機構改 革で現職。
学会:日本神経病理学会理事長、アジアオセアニア神経病理学会理事長、国 際神経病理学会副理事長、米国神経病理学会誌副編集長。
教職:大阪大学大学院常勤特任教授(内定)、脳科学研究科、徳島大学・広島 神経・筋生検は、通常標本で病理学的に診断がつくのは血 管炎、サルコイドーシス、アミロイドーシスで、神経生検は 電顕検索、筋病理は凍結筋組織化学が国際標準である。神経 内科医の関与として、生検を担当すること、神経症状による 経過フォローが主務なので、病理学的理解は必須である。本 講演では通常標本の病理をまず呈示する。
神経生検においては電顕標本が国際標準であり、厚切り標 本が基準となる。神経外膜、周膜、内膜の順に血管を含む間 質を評価する。ついで神経束間の所見差の有無、ミエリンオ ボイド、髄鞘の薄い線維、オニオンバルブ、小径有髄のクラ スターの観察に続き、有髄線維密度、大径・小径線維比率の 計測が必須となる。電子顕微鏡観察では基底膜、無髄線維の 評価が対象となる。
筋生検においては筋生検凍結組織化学が国際標準であ り、hamtoxylin eosin (H.E.)、Gomori Trichrome (GT)、
NADH- TR染色が基本となる。ジストロフィン免疫染色、抗 体三種としてHLA- ABC、CD8、C5bQは保険適用になるので、
迅速診断が出来る施設では、ここまでは病理診断科で対応が 可能である。H.E.染色は基本であり、大小不同、中心核、間 質の拡大、壊死、再生、細胞浸潤の有無が重要である。GT 染色では間質の開大、細胞内異常構造物としてミトコンド リア異常に伴う赤色ぼろ線維、ネマリン小体、cysoplasmic body等の有無を確認する。NADH-TR染色はミトコンドリア 内膜に存在する酵素で、ミトコンドリアは筋原線維に沿って 整列しており、慢性筋肉疾患では筋原繊維の配列が乱れ、筋 原線維間網の乱れとして評価される。ターゲット線維、ター ゲトイド線維、ringbinden、sarcoplasmic mass等は、いず れも意味がある。
ATP ase染色は以前は通常染色であったが、米国の筋肉ラ ボでははずされており、煩雑であることが大きな理由であ る。中央施設での対応で良い可能性がある。Type grouping, type specific atrophyを含め、小児疾患では必須である。
免疫染色は、筋炎疾患は上記三種は必須だが、他にも炎症 評価に多くのマーカーがある。ジストロフィー関係ではパネ ル染色が必要である。
1 シ ン ポ ジ ウ ム 日
シンポジウム 21
9月1日(火)9:00 ~ 10:30 第05会場(岡山コンベンションセンター3F302会議室)
Jp
S-21-2 神経内科医が知っておき
たい神経病理の基礎知識
「脳腫瘍」
○西村 広健
川崎医科大学病理学
【略歴】
所属は全て川崎医科大学 / 同附属病院
2001年 3月 川崎医科大学卒業,2001年4月~ 附属病院 初期研修医 2003年 4月~ 病理学 臨床助教 / 病院病理部 シニアレジデント 2012年10月~ 附属病院 卒後臨床研修センター長補佐,
2013年3月 大学院 終了 2013年 4月~ 病理学 講師 / 病院病理部 医長
【専門領域】神経病理学(剖検脳,末梢神経・筋生検),胎盤病理学
【学会活動】日本病理学会,日本神経病理学会,日本神経病理学会中国四国地 方会,臨床神経病理懇話会,日本筋学会,日本胎盤学会など
[はじめに]
脳腫瘍の中には,非腫瘍性神経疾患を思わせる臨床像/画像 所見を呈するものもあり,神経内科診療において脳腫瘍の知 識が必要となるものと考えられるが,現在脳腫瘍は膨大な数 の組織型があり,病理所見のみならず遺伝子異常も含めた理 解が必要で,脳腫瘍病理の全てを網羅することは困難である。
また,病理診断に必要・有用な免疫染色用の抗体も多岐にわ たり使用されており,全てを理解することも難しい。今回は,
知っておくと役に立つキーワードとして,脳腫瘍病理検索に 有用となる代表的な免疫染色について紹介する。また逆に,
非腫瘍性神経疾患であるものの,脳腫瘍の臨床像を呈する疾 患にも注意が必要であり,代表的な疾患を提示する。脳腫瘍,
非腫瘍性疾患いずれにおいても,脳生検による診断が必要と なる場合には,生検部位の選択が難しいが,実際の症例を提 示して問題点を共有したい。
[脳腫瘍病理検索に有用な免疫染色]
いわゆる「免疫染色」は,各種抗体を用いる病理学的検索法で ある。1) 神経膠腫の診断にはmIDH1, ATRX, p53が重要で,
遺伝子検索のサロゲートマーカーとはならないとされている ものの,実臨床では非常に有用である。グリオーシスかグ リオーマかの鑑別にも役に立つ場合があり得る。2) 脳悪性 リンパ腫の多くはB-cell系統であり,診断にはCD20,CD79a が重要である。血管内リンパ腫(IVL)の検索には皮膚生検が 有用で,特に老人性血管腫の生検がIVLの検出率が高い。3)
髄膜腫の良いマーカーとしてMUC4,SSTR2aが報告され,
孤立性線維性腫瘍との鑑別についてSTAT6を含めて検索す ることで確診可能となった。
[脳腫瘍の臨床像を呈する非腫瘍性神経疾患]
代表的には感染症(トキソプラズマ,進行性多巣性白質脳症),
脳血管障害(アミロイドアンギオパチー,皮質下出血),脱髄 疾患などが遭遇する可能性が高く,注意が必要である。
[脳生検部位の選択]
生検部位に病変が含まれているかどうかの判断が最も難し く,術中病理検査以外に判断することは事実上不可能である ものの,病理検査でも判断が難しい症例が多く,簡単にはい かない。病理を含めた臨床各科における術前の情報共有がき わめて重要である。
S-21-3 神経変性疾患の病理
○高梨 雅史、服部 信孝
順天堂大学医学部 脳神経内科
【略歴】
1995年筑波大学医学専門学群卒業 1995年より順天堂大学脳神経内科医局入局 2003年順天堂大学大学院卒業、医学博士取得 2003年順天堂大学脳神経内科助手 2005年順天堂大学脳神経内科講師 2007年順天堂大学脳神経内科准教授 2014年順天堂大学脳神経内科医局長
2016年順天堂大学越谷病院脳神経内科先任准教授 2019年順天堂大学脳神経内科先任准教授 所属学会日本内科学会
日本神経学会 日本神経病理学会 日本認知症学会 資格・役職 日本神経学会専門医
日本内科学会認定医、総合内科専門医 日本神経病理学会評議員
日本認知症学会専門医
神経病理学における"変性"とは、虚血、炎症、新生物など明 らかな原因が特定されずに引き起こされる神経細胞脱落、ア ストログリオーシスの現象である。
神経変性は中枢神経系いずれの部位でも起こり得るが、疾患 ごとに変性を来す部位がある程度決まっており、それらの部 位は解剖学的な系統に沿った連なりをしている。変性疾患と 臨床病理学的に理解する上では病理学的な系統変性を理解す ることが重要である。
また神経変性の多くは疾患特異的な異常タンパクの凝集体が 出現する。これらの異常タンパクの凝集が神経変性の病態に 関与していることが推測され、近年神経変性疾患の分類はこ れに基づき大きく変化をしている。
さらに、神経変性疾患病理を解剖学的系統変性とタンパク凝 集を並列させて理解することは、現在神経変性疾患の進展病 態として推測されている伝播 (propagation)様式を考える上 でも重要なことである。
本講演では神経変性疾患の病理について、各疾患を神経系統 による分類と関連異常タンパクによる分類で対比し疾患と病 理像の関連を理解できるようlectureするとともに、異常凝 集タンパク伝播に関連した解説をする。
1 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 21
9月1日(火)9:00 ~ 10:30 第05会場(岡山コンベンションセンター3F302会議室)
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神経内科医が知っておきたい神経病理の基礎知識 座長:村山 繁雄
東京都健康長寿医療センター神経内科・バイオリソースセンター・
高齢者ブレインバンク・神経病理
髙尾 昌樹
埼玉医科大学国際医療センター神 経内科・脳卒中内科≪ねらい≫
神経病理は、臨床神経学においての位置づけは、依然として 重要である。しかし、近年は、神経病理自体に触れる機会が 極端に減少していることから、とんでもない誤解がみられる こともある。正しい知識は、患者さんの治療という観点から も重要であるので、基本的な病理所見に関して、あらためて 見直そうとするもの。対象は、新人からベテランまでを広く 設定する。
後援:日本神経病理学会
S-21-1 神経・筋病理
○村山 繁雄
1,21 東京都健康長寿医療センター 神経内科・バイ オリソースセンター・高齢者プレインバンク
(神経病理)、2 大阪大学連合小児発達学研究科
【略歴】
職歴:1979年3月東京大学医学部医学科卒業。1979年6月東京大学医学 部神経内科。
1985年11月 東京大学医学部神経病理。1988年6月東京大学医学博士。
「Pick病の免疫組織科学的・超微形態的研究」。1988年7月米国ノースカロ ライナ大学チャペルヒル分校クリニカルフェロー。1991米国ノースカロラ イナ州医師免許。1992年10月 東京大学医学部附属病院神経内科。1999 年6月 東京都老人総合研究所神経病理部門室長。2013年4月 より機構改 革で現職。
学会:日本神経病理学会理事長、アジアオセアニア神経病理学会理事長、国 際神経病理学会副理事長、米国神経病理学会誌副編集長。
教職:大阪大学大学院常勤特任教授(内定)、脳科学研究科、徳島大学・広島 大学・大阪市立大学・東京医科大学神経内科客員教授。
神経病理コンサルタント:国立国際医療研究センター、国立東京・下志津・
沖縄病院・刀根山・静岡てんかん・広島西医療センター、虎ノ門・横浜労災病院・
亀田総合・NTT東日本関東・近森・香川大学医学部附属病院。
神経・筋生検は、通常標本で病理学的に診断がつくのは血 管炎、サルコイドーシス、アミロイドーシスで、神経生検は 電顕検索、筋病理は凍結筋組織化学が国際標準である。神経 内科医の関与として、生検を担当すること、神経症状による 経過フォローが主務なので、病理学的理解は必須である。本 講演では通常標本の病理をまず呈示する。
神経生検においては電顕標本が国際標準であり、厚切り標 本が基準となる。神経外膜、周膜、内膜の順に血管を含む間 質を評価する。ついで神経束間の所見差の有無、ミエリンオ ボイド、髄鞘の薄い線維、オニオンバルブ、小径有髄のクラ スターの観察に続き、有髄線維密度、大径・小径線維比率の 計測が必須となる。電子顕微鏡観察では基底膜、無髄線維の 評価が対象となる。
筋生検においては筋生検凍結組織化学が国際標準であ り、hamtoxylin eosin (H.E.)、Gomori Trichrome (GT)、
NADH- TR染色が基本となる。ジストロフィン免疫染色、抗 体三種としてHLA- ABC、CD8、C5bQは保険適用になるので、
迅速診断が出来る施設では、ここまでは病理診断科で対応が 可能である。H.E.染色は基本であり、大小不同、中心核、間 質の拡大、壊死、再生、細胞浸潤の有無が重要である。GT 染色では間質の開大、細胞内異常構造物としてミトコンド リア異常に伴う赤色ぼろ線維、ネマリン小体、cysoplasmic body等の有無を確認する。NADH-TR染色はミトコンドリア 内膜に存在する酵素で、ミトコンドリアは筋原線維に沿って 整列しており、慢性筋肉疾患では筋原繊維の配列が乱れ、筋 原線維間網の乱れとして評価される。ターゲット線維、ター ゲトイド線維、ringbinden、sarcoplasmic mass等は、いず れも意味がある。
ATP ase染色は以前は通常染色であったが、米国の筋肉ラ ボでははずされており、煩雑であることが大きな理由であ る。中央施設での対応で良い可能性がある。Type grouping, type specific atrophyを含め、小児疾患では必須である。
免疫染色は、筋炎疾患は上記三種は必須だが、他にも炎症 評価に多くのマーカーがある。ジストロフィー関係ではパネ ル染色が必要である。