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脳神経内科基本領域化に向けて

ドキュメント内 プレナリー (ページ 168-172)

座長:戸田 達史 ‌‌

東京大学大学院医学系研究科神経 内科学

髙橋 良輔 ‌‌

京都大学医学部附属病院脳神経 内科

≪ねらい≫

2018年1月の臨時社員総会で、神経学会は専門医制度におけ る基本領域化を目指すことを決定した。2019年の学術大会で、

基本領域化に関する緊急シンポジウムを開催し、現状につい て報告するとともに、日本医師会、厚労省の方々のご意見を 聞くことができた。しかし、時間が限られていたために、会 員からの意見を聞いて議論を深めることはできなかった。本 年も同趣旨のシンポジウムを持ち、神経内科専門医基本領域 化に向けてのその後の進展を会員に報告すると共に、なぜ神 経学会が基本領域を目指すことが必要なのかについて会員の 方々と認識を共有し、また当事者である若手医師も含めた会 員の皆様の様々なご意見を伺って議論することができればと 考えて、神経内科専門医基本領域化推進対策本部提案で本シ ンポジウムを企画した。

S-44-1 医師の働き方改革と三位

一体改革のゆくえ

○‌‌堀岡 伸彦

厚生労働省

【略歴】

平成17年‌ 4月 ‌東京都保健医療公社 多摩南部地域病院で初期研修医とし 平成19年‌ 5月 厚生労働省入省 保険局医療課で診療報酬改定を担当。て勤務。

平成23年‌ 9月 ‌原子力災害対策本部被災者支援チーム医療班で原子力災害 被災者の被曝線量の推定などの業務に従事。

平成24年12月 厚生労働省 健康局疾病対策課課長補佐で難病改革に従事 平成25年‌ 4月 ‌厚生労働省から山梨県福祉保健部 健康増進課長として‌

平成27年‌ 4月 山梨県福祉保健部参事・医務課長出向。

平成28年‌ 4月 厚生労働省 医政局医事課課長補佐

平成29年‌ 8月 厚生労働省 医政局医事課医師養成等企画調整室長 令和 元 年‌ 8月 厚生労働省 医政局総務課保健医療技術調整官

○社会医学に関する学歴、研究歴等

平成17年‌ 4月 順天堂大学公衆衛生学教室 研究生 平成25年‌ 4月 ‌山梨大学社会医学講座非常勤講師。‌

千葉科学大学非常勤講師。

平成26年‌ 4月 健康科学大学客員教授 平成28年‌ 3月 医学博士号授与(順天堂大学)

○ 医師の長時間労働の背景には、

・ 医師法に基づく応召義務が課せられていることや、

・ 手術中に執刀医が途中で離れることができないといった、

医療行為に内在する特性、

・ 日々進歩する知識・技術を習得するための自己研鑽が常に 求められることなど、

その働き方について、特殊性があることや、地域や診療科で の医師の偏在が存在していることがある。特に外科系、産婦 人科系の診療科は平均の労働時間で週60時間近くとなってお り、極めて長時間労働である。

○ 政府案では2024年から医療機関を三類型とし、連続時間 規制やインターバル規制を義務とし、厳しく健康確保措置を 講ずる代わりに一般労働者よりも、高い労働時間上限を認め るものとなる。

○ 働き方改革を実行するためには、医療提供体制の効率化 と医師偏在対策、診療科偏在対策をセットで行うことが必要 不可欠である。ここではその内容についてご紹介したい。

2 シ ン ポ ジ ウ ム 日

シンポジウム 44

9月2日(水)9:00 ~ 10:30 第04会場(岡山コンベンションセンター3F301会議室)

公募 Jp

S-44-2 脳神経内科の基本領域化

はなぜ必要か−これまで の歩み−

○‌‌髙橋 良輔

京都大学医学研究科臨床神経学

【略歴】

昭和58年京都大学医学部卒業。京都大学神経内科(亀山正邦教授)に入局。

京都大学医学部附属病院神経内科研修医、北野病院内科・神経内科レジデン ト、東京都立神経病院神経内科・医員を経て平成元年より平成11年まで東 京都神経科学総合研究所 神経学研究部門・主任研究員。出口武夫研究部長 の指導の下、平成7年京都大学より医学博士授与。平成7年ー平成9年、研究 休職により米国カリフォルニア州ラホヤのバーナム研究所、Dr. John Reed の研究室に博士研究員として留学。平成11年ー平成16年、理化学研究所・

脳科学総合研究センター・運動系神経変性研究チーム・チームリーダー。平 成17年より現職である京都大学大学院医学研究科臨床神経学(脳神経内科)・

教授。その後、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、日本神経学会 代表理事(平成26年―30年)、パーキンソン病・運動障害疾患学会代表、日 本神経科学会副会長、学術大会では、第37回日本神経科学大会長、第12回 MDSJコングレス大会長を務める。現在、ライフサイエンス委員、日本脳科 学関連学会連合副代表、World Parkinson Coalition役員。

脳神経内科は、英語のNeurologyに相当する領域で、脳から脊髄・

末梢神経筋までの神経系を場とするすべての器質的疾患を対象 とし、そこでの外科的処置以外のすべての診療を担当する診療 科である。欧米主要国ではNeurologyは専門医制度において基 本領域と位置づけられている。我が国でも神経内科の専門医制 度は、全診療科中5番目、内科専門医とほぼ同時期に発足した。

しかし我が国の専門医認定制度が協議される中で、2002年に日 本神経学会は内科のサブスペシャルティーとなる方針を決定し た。この後、神経内科専門医受験資格を得るために必要とされ た認定内科医の資格は従来の制度の枠組み内で取得可能な、基 本的な診療能力を中心としたものであったために、大きな問題 を生じることはなかった。

新専門医制度の中では基本領域、サブスペシャルティーの区別 が従前より明確化され、基本領域の研修内容の標準化が求めら れた中で、内科からは当初初期研修修了後3年間の総合内科研 修を行ったあとでないと神経内科研修ができないという案が示 された。これは神経内科の研修実態とかけ離れていたために学 会内で大きな議論となった。

そこで日本神経学会では、将来のあるべき神経内科専門医につ いて検討することを目的として、2016年7月、神経内科専門医課 題検討委員会を設置した。専門医制度における神経内科のあり 方について徹底的に議論検討しそれを踏まえて作成された「日 本神経学会課題検討委員会答申書」が2017年7月の理事会で承認 された。この骨子は、日本神経学会が「内科専門医制度との連 携・協力を前提とした神経内科専門医の基本領域化」を将来構想 としているという点である。2017年8月からの全国的な周知活 動を経て、2018年1月8日、臨時社員総会を開催し、上述の答申 書の結論を踏まえた「将来の神経内科専門医のあり方に関する 日本神経学会の考え方と立場」が賛成多数で承認された。脳・神 経関連専門診療領域で脳神経外科と精神科が基本領域であるの に対し、脳神経内科は内科専門医のサブスペシャルティーであ るという「ねじれ」に起因する弊害の顕在化こそ基本領域化でし か合理的に解決できない問題である。具体的には脳卒中専門医、

認知症専門医をめざす若手が脳神経内科を選択しない傾向を助 長し、我が国の医療の健全な発展を妨げるリスクを高める。こ のような基本領域化の必要性について議論を深めたい。

S-44-3 脳神経内科の基本領域化

が必要な理由:認知症・

脳卒中診療から

○‌‌冨本 秀和

三重大学病院 脳神経内科

【略歴】

昭和 56年 3月 京都大学医学部卒業

昭和 56年 6月 京都大学医学部付属病院神経内科(亀山正邦教授)

昭和 57年 6月 静岡県島田市民病院内科医員

昭和 59年 4月 京都大学医学部大学院博士課程内科系専攻 昭和 62年11月 米国メイヨー・クリニック留学(脳血管障害研究室)

平成  3年 4月 京都大学医学部付属病院神経内科医員 平成  7年 4月 康生会武田病院神経内科医長

平成 12年 7月 京都大学大学院医学研究科・臨床神経学・助手 平成 19年 1月 京都大学大学院医学研究科・臨床神経学・講師 平成 20年 5月 三重大学大学院医学研究科・神経病態内科学・教授 平成 22年 4月 同上・認知症医療学講座・教授(兼任)

平成 24年 4月 同上・認知症疾患医療センター・センター長(兼任)

平成 31年 4月 三重大学副学長(兼任)

 神経内科診療において脳卒中、認知症の比重は極めて大き い。平成29年、日本神経学会が学会員を対象に行ったアンケー トでは、診療している疾患としては1位脳卒中、2位変性疾患、

3位認知症であった。基本領域の診療科では地域偏在がない ことが前提となるが、地域での訪問診療の対象疾患の2位、3 位を脳卒中、認知症が占めている。歴史的にみると日本神経 学会は昭和35年に日本精神神経学会から独立した当時、主な 対象疾患は神経変性疾患であった。脳卒中に関しては、脳神 経外科学会が昭和23年に設立され先行したため、神経内科の 主要疾患となりにくい事情もあった。しかし、脳卒中、とく に虚血性脳卒中は世界中で脳神経内科が主たる診療科となっ ている。これは急性期治療の多職種連携はもとより、回復期、

維持期までのシームレスな治療・ケアが脳卒中患者の予後に 影響するためである。脳卒中発症後、患者の3割が認知症、

数パーセントがてんかんに罹患するが、併存することの多い アルツハイマー病や海馬硬化に関する理解も重要である。さ らに、脳神経内科は予防から急性期、回復期・維持期までを 時間軸を通して診療できる点に強みがある。一方、認知症は 精神科、脳神経内科が主な専門診療科である。精神科は精神 症状の理解、BPSD対応に優位性があり、脳神経内科は神経 学的診察と神経画像に基づいた初期診断、身体合併症への対 応に強みがある。認知症の初期診断の遅れが指摘されている が、家族会のアンケート調査では、最初にかかった専門診療 科は脳神経内科20%、精神科11.2%、老年科2.8%となっており、

脳神経内科は受診抵抗が少ない点で優位性がある。かかりつ け医と脳神経内科医を比較した報告では、自信をもって認知 症診断をできる割合はかかりつけ医21%、脳神経内科72%、

サブタイプ診断については夫々13%、44%と大きな差がある。

 以上から両疾患における脳神経内科の必要性は明らかであ る。然るに、両疾患でカウンターパートにある精神科と脳神 経外科はいずれも基本領域にあり、認知症専門医、脳卒中専 門医を取得する場合に、連動研修が担保されない限り内科系 とそれ以外で研修期間に差が生じてくる。全身を診ることが でき患者に寄り添うことのできる内科系の神経専門医が減少 することの危険性は、国民医療や地域医療の観点から明らか であり、このことがまさに脳神経内科の基本領域化が必要で ある最大の理由である。

2 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 44

9月2日(水)9:00 ~ 10:30 第04会場(岡山コンベンションセンター3F301会議室)

公募 Jp

脳神経内科基本領域化に向けて

座長:戸田 達史 ‌‌

東京大学大学院医学系研究科神経 内科学

髙橋 良輔 ‌‌

京都大学医学部附属病院脳神経 内科

≪ねらい≫

2018年1月の臨時社員総会で、神経学会は専門医制度におけ る基本領域化を目指すことを決定した。2019年の学術大会で、

基本領域化に関する緊急シンポジウムを開催し、現状につい て報告するとともに、日本医師会、厚労省の方々のご意見を 聞くことができた。しかし、時間が限られていたために、会 員からの意見を聞いて議論を深めることはできなかった。本 年も同趣旨のシンポジウムを持ち、神経内科専門医基本領域 化に向けてのその後の進展を会員に報告すると共に、なぜ神 経学会が基本領域を目指すことが必要なのかについて会員の 方々と認識を共有し、また当事者である若手医師も含めた会 員の皆様の様々なご意見を伺って議論することができればと 考えて、神経内科専門医基本領域化推進対策本部提案で本シ ンポジウムを企画した。

S-44-1 医師の働き方改革と三位

一体改革のゆくえ

○‌‌堀岡 伸彦

厚生労働省

【略歴】

平成17年‌ 4月 ‌東京都保健医療公社 多摩南部地域病院で初期研修医とし 平成19年‌ 5月 厚生労働省入省 保険局医療課で診療報酬改定を担当。て勤務。

平成23年‌ 9月 ‌原子力災害対策本部被災者支援チーム医療班で原子力災害 被災者の被曝線量の推定などの業務に従事。

平成24年12月 厚生労働省 健康局疾病対策課課長補佐で難病改革に従事 平成25年‌ 4月 ‌厚生労働省から山梨県福祉保健部 健康増進課長として‌

平成27年‌ 4月 山梨県福祉保健部参事・医務課長出向。

平成28年‌ 4月 厚生労働省 医政局医事課課長補佐

平成29年‌ 8月 厚生労働省 医政局医事課医師養成等企画調整室長 令和 元 年‌ 8月 厚生労働省 医政局総務課保健医療技術調整官

○社会医学に関する学歴、研究歴等

平成17年‌ 4月 順天堂大学公衆衛生学教室 研究生 平成25年‌ 4月 ‌山梨大学社会医学講座非常勤講師。‌

千葉科学大学非常勤講師。

平成26年‌ 4月 健康科学大学客員教授 平成28年‌ 3月 医学博士号授与(順天堂大学)

○ 医師の長時間労働の背景には、

・ 医師法に基づく応召義務が課せられていることや、

・ 手術中に執刀医が途中で離れることができないといった、

医療行為に内在する特性、

・ 日々進歩する知識・技術を習得するための自己研鑽が常に 求められることなど、

その働き方について、特殊性があることや、地域や診療科で の医師の偏在が存在していることがある。特に外科系、産婦 人科系の診療科は平均の労働時間で週60時間近くとなってお り、極めて長時間労働である。

○ 政府案では2024年から医療機関を三類型とし、連続時間 規制やインターバル規制を義務とし、厳しく健康確保措置を 講ずる代わりに一般労働者よりも、高い労働時間上限を認め るものとなる。

○ 働き方改革を実行するためには、医療提供体制の効率化 と医師偏在対策、診療科偏在対策をセットで行うことが必要 不可欠である。ここではその内容についてご紹介したい。

2 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 168-172)

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