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神経感染症、新たな時代

ドキュメント内 プレナリー (ページ 192-195)

座長:原  英夫 ‌‌

佐賀大学医学部内科学講座神経 内科

三浦 義治 ‌‌

都立駒込病院脳神経内科

≪ねらい≫

神経感染症は以前から診断や治療法に苦渋する症例が多かっ た。医療の進歩に伴い新たな検査法が開発され、診断が困難 だった非典型例の症例が診断できるようになっている。この シンポジウムでは典型例を数例紹介し、その際に重要な鑑別 疾患を挙げる。典型例を踏まえ、非典型例やその疾患以外の 疾患を診断および治療するポイントを説明する。

S-52-1 神経感染症におけるUp

todate

○‌‌亀井  聡

上尾中央総合病院 脳神経内科

【略歴】

●職歴:昭和55年6月‌‌‌‌‌‌‌‌  ‌‌ ‌日本大学医学部神経学教室入局 昭和61年10月~63年1月‌‌‌‌‌ ‌米国エモリー大学およびCDCに留学。

平成‌‌9年3月~平成14年2月‌‌‌ ‌日本大学医学部神経内科 講師 平成14年3月~平成19年3月‌‌‌‌‌日本大学医学部内科学系神経内科学分野 平成19年4月~平成22年2月‌‌‌ ‌同上 准教授助教授

平成22年3月~平成31年3月‌‌‌ ‌同上‌主任教授 平成31年4月~現在‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌ ‌同上‌教授

‌上尾中央総合病院 神経感染症センター センター長

●主要所属学会:

日本神経学会(名誉会員・前理事・代議員・編集委員会委員・広報委員会幹事),‌

日本神経治療学会(理事・評議員・治療指針作成委員会委員・医療保険委員会 委員),‌日本神経感染症学会(特別功労会員・前理事長),日本薬物脳波学会

(理事・評議員)

●診療ガイドライン作成委員・委員長

単純ヘルペス脳炎(日本神経治療学会・日本神経学会・日本神経感染症学会 髄膜炎・脳炎は、早期の適切な治療が転帰の上から重要であ るNeurological Emergencyとして位置づけられている。髄 膜炎・脳炎の動向として、❶細菌性髄膜炎、❷真菌性髄膜炎、

❸単純ヘルペス脳炎および❹自己免疫性脳炎について概説す る。

❶診療ガイドラインは2014年に改定された。本邦では年間約 1500人の発生と推定されていたが、ヘモフィルスb型インフ ルエンザ菌(Hib)や肺炎球菌に対するワクチン定期接種開始 後、小児を中心に発症数は大きく減少した。一方、補体タン パク質 C5 に対する終末補体阻害剤エクリズマブが開発され 最近承認された。本薬は血液疾患の他、重症筋無力症(MG)

の治療薬として認可されている。本薬は、終末補体複合体 C5b-9 産生を抑制することにより神経筋接合部における運動 終板の破壊を抑制する。本薬使用により髄膜炎菌をはじめと する莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる。特に、

髄膜炎菌感染症の発生率を1000~2000倍増加させることが知 られており、本剤投与開始前に髄膜炎菌に対するワクチンを 接種することが必要である。髄膜炎菌感染を発症した場合に は、セフォタキシムまたはセフトリアキソンが必要となる。

❷診療ガイドラインは2014年の改定された。アスペルギルス や接合菌性髄膜炎では脳梗塞を含む脳血管障害を併発しやす く、その対応に留意する。

❸診療症ガイドラインは2014年に改定され、入院6時間以内 にアシクロビルの点滴を開始することが推奨され、またアシ クロビルが奏功しない場合て、 フォスカルネットへの変更が 推奨された。最近、本症の約2割で抗NMDA受容体脳炎の併 発が知られてきており、再燃時や非定型症候の場合には、自 己抗体脳炎の併発を考慮する必要がある。

❹本症では多くの新規の抗神経抗体が報告され、その病像も 明らかになり、新たな治療指針も公表されてきている。

2 シ ン ポ ジ ウ ム 日

シンポジウム 52

9月2日(水)10:45 ~ 12:15 第07会場(岡山コンベンションセンター2F展示ホール)

Jp

S-52-2 本邦における進行性多巣

性白質脳症患者の集計研 究と診療体制整備

○‌‌三浦 義治

都立駒込病院 脳神経内科

【略歴】

平成 4年 東京医科歯科大学医学部医学科卒業

東京医科歯科大学医学部附属病院神経内科医員勤務 平成 5年 東京都立広尾病院循環器科勤務

      長野県厚生連鹿教湯病院内科勤務 平成 6年 東京都立駒込病院神経内科勤務 平成 7年 茨城県厚生連土浦協同病院神経内科勤務 平成 9年 東京医科歯科大学医学部神経内科医員勤務 平成10年 東京医科歯科大学医学系研究科大学院入学 平成14年 同修了

平成14年 東京都立墨東病院神経内科勤務

平成15年  東北大学大学院医学系研究科生体防御学講座微生物学分野研究員 平成16年 京都大学ウイルス研究所感染病態研究領域研究員

      同助手 平成19年 同助教

平成20年 埼玉県総合リハビリテーションセンター神経内科医長 平成21年 茨城県厚生連土浦協同病院神経内科科長

平成23年10月 がん・感染症センター都立駒込病院脳神経内科医長 平成24年5月より 同診療科責任医長

本邦における進行性多巣性白質脳症患者の集計研究は、厚生 労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性 疾患政策研究事業) プリオン病及び遅発性ウイルス感染症 に関する調査研究班PML分科会を中心に行われてきた。そ の疫学調査は2010年以降は3期に分類される。①第一期(2010 年-2016年1月):国立感染症研究所(西條先生、中道先生)での 髄液JCVPCR検査受付時の臨床調査票を中心として都立駒込 病院脳神経内科セカンドオピニオン外来・電話(FAX)相談、

PML情報センタ-(駒込病院内)へのメール相談 (PML診 断等医師からの相談対応、メフロキン治療相談対応、患者・

家族からの相談対応、製薬会社からの相談対応)を中心に行っ た。②第二期(2016.1-2018.3)より効率的なPML発症症例疫 学調査を目的として2016年1月よりPMLサーベイランス委員 会を組織し、事務局を駒込病院に設置し、PMLサーベイラ ンス委員会会議検討による症例調査登録システムが行われ た。③第三期(2018.4-):駒込病院事務局を中心に症例登録し て情報収集を行い、自治医科大学公衆衛生学部門で登録デー タ解析を行う新システムとなった。この際調査票の改訂、自 治医科大学を含めた4施設の連携強化を行った。上記第三期 の新システムにて214件の事務局登録がなされ(PML疑い症 例を含む)、PMLサーベイランス委員会会議判定後の疫学 解析は75症例(うちPMLの診断は36例)となった。本年も引 き続きPMLサーベイランス委員会を開催し、PML疑い症例 の検討を行い、追加の解析を行ってゆく予定である。

また、駒込病院-国立感染症研究所ウイルス第二部間で血清 抗JCV抗体測定研究が始まっており、今後のサーベイランス 検討やPML疑い症例への応用も検討中である。また近年で はPML患者を継続治療目的に駒込病院へ転院受け入れする 診療体制を開始しており、PML診療体制の強化にも取り組 んでいる。これらの症例を交えて発表する。

S-52-3 プリオン病

○‌‌浜口  毅

1

、山田 正仁

2

1 金沢大学病院 脳神経内科、2 金沢大学大学院 脳老化・神経病態学(神経内科学)

【略歴】

1998年3月に金沢大学医学部を卒業し、同年4月に金沢大学神経内科に入局 しました。2001年4月より金沢大学大学院医学系研究科脳老化・神経病態 学(神経内科)に入り、プリオン病、アルツハイマー病、脳アミロイドアンギ オパチーなど、認知症の原因となる疾患の研究に従事しました。2005年3 月に大学院を修了し 、2009年4月から2011年9月まではドイツのチュービ ンゲン大学にて、脳βアミロイドーシスの伝播をテーマに研究を行いました

(Prof. Mathias Jucker)。2011年10月から金沢大学附属病院神経内科助教、

2015年8月から現職(金沢大学附属病院神経内科講師)です。

ヒトのプリオン病は、その原因から原因不明の孤発性、プ リオン蛋白(prion protein: PrP)遺伝子変異を伴う遺伝性、

医療行為や食品から感染した獲得性の3種類に分けられ る。孤発性Creutzfeldt-Jakob病(sporadic Creutzfeldt-Jakob disease: sCJD)は、PrP遺伝子多型と異常PrPのタイプによっ て6型に分類される。典型的な病像を呈するMM1型やMV1 型は、WHOやEU診断基準等を用いて診断が可能である。し かし、それ以外の型は非典型的病像を呈し、現在の診断基 準ではしばしば診断が困難である。我が国に多い非典型例 はMM2型で、MM2型はその病理学的な特徴からMM2皮質 型とMM2視床型に分けられる。MM2皮質型は経過が遅く、

認知症以外の神経症候の出現が乏しいという特徴があるが、

我々はMM2皮質型が頭部MRI拡散強調画像で皮質の高信号 を認め、それらの特徴を含んだ診断基準案を提案し、その診 断基準案は感度77.8%、特異度98.5%であることを本学術集会 で報告している。MM2視床型については、以前に両側視床 の血流・糖代謝低下が診断マーカーとなる可能性を報告した が、まだ臨床的に有用かどうかは不明である。遺伝性プリオ ン病については、プリオン病を疑う神経症候があり、PrP遺 伝子に変異を認めれば診断が可能である。わが国の遺伝性プ リオン病は、PrP遺伝子V180I変異を持つものの頻度が最も 高い。V180I変異を持つ遺伝性CJDは家族歴がない例がほと んどで、家族歴がなくてもプリオン病を疑った時にはPrP遺 伝子検査を行うことが重要である。わが国では、硬膜移植 後CJDが多発しており、世界中の全症例の6割以上を占める。

我々は、硬膜移植後CJDは病理学的特徴から非プラーク型と プラーク型に分けられ、非プラーク型はsCJD典型例と同様 の特徴を有するが、プラーク型は経過が遅く、脳波上の周期 性同期性放電を認めない例が多い。プラーク型硬膜移植後 CJDはその特徴からMMiK型CJDと呼ばれ、その病型であれ ば獲得性プリオン病と診断できる可能性がある。硬膜移植歴 がなくsCJDと診断されていた症例の中にMMiK型CJDが存 在している。MMiK型CJDの頭部MRIでは両側視床に異常信 号を認める特徴があり、今後MMiK型CJDの診断マーカーと なる可能性がある。

2 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 52

9月2日(水)10:45 ~ 12:15 第07会場(岡山コンベンションセンター2F展示ホール)

Jp

神経感染症、新たな時代

座長:原  英夫 ‌‌

佐賀大学医学部内科学講座神経 内科

三浦 義治 ‌‌

都立駒込病院脳神経内科

≪ねらい≫

神経感染症は以前から診断や治療法に苦渋する症例が多かっ た。医療の進歩に伴い新たな検査法が開発され、診断が困難 だった非典型例の症例が診断できるようになっている。この シンポジウムでは典型例を数例紹介し、その際に重要な鑑別 疾患を挙げる。典型例を踏まえ、非典型例やその疾患以外の 疾患を診断および治療するポイントを説明する。

S-52-1 神経感染症におけるUp

todate

○‌‌亀井  聡

上尾中央総合病院 脳神経内科

【略歴】

●職歴:昭和55年6月‌‌‌‌‌‌‌‌  ‌‌ ‌日本大学医学部神経学教室入局 昭和61年10月~63年1月‌‌‌‌‌ ‌米国エモリー大学およびCDCに留学。

平成‌‌9年3月~平成14年2月‌‌‌ ‌日本大学医学部神経内科 講師 平成14年3月~平成19年3月‌‌‌‌‌日本大学医学部内科学系神経内科学分野 平成19年4月~平成22年2月‌‌‌ ‌同上 准教授助教授

平成22年3月~平成31年3月‌‌‌ ‌同上‌主任教授 平成31年4月~現在‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌ ‌同上‌教授

‌上尾中央総合病院 神経感染症センター センター長

●主要所属学会:

日本神経学会(名誉会員・前理事・代議員・編集委員会委員・広報委員会幹事),‌

日本神経治療学会(理事・評議員・治療指針作成委員会委員・医療保険委員会 委員),‌日本神経感染症学会(特別功労会員・前理事長),日本薬物脳波学会

(理事・評議員)

●診療ガイドライン作成委員・委員長

単純ヘルペス脳炎(日本神経治療学会・日本神経学会・日本神経感染症学会 の3学会合同・2012-2019年作成委員会委員長)、細菌性髄膜炎(日本神経治 療学会・日本神経学会・日本神経感染症学会の3学会合同・2011-2019年作 成委員会委員長)

●その他活動:

独立行政法人‌医薬品医療機器総合機構専門委員

髄膜炎・脳炎は、早期の適切な治療が転帰の上から重要であ るNeurological Emergencyとして位置づけられている。髄 膜炎・脳炎の動向として、❶細菌性髄膜炎、❷真菌性髄膜炎、

❸単純ヘルペス脳炎および❹自己免疫性脳炎について概説す る。

❶診療ガイドラインは2014年に改定された。本邦では年間約 1500人の発生と推定されていたが、ヘモフィルスb型インフ ルエンザ菌(Hib)や肺炎球菌に対するワクチン定期接種開始 後、小児を中心に発症数は大きく減少した。一方、補体タン パク質 C5 に対する終末補体阻害剤エクリズマブが開発され 最近承認された。本薬は血液疾患の他、重症筋無力症(MG)

の治療薬として認可されている。本薬は、終末補体複合体 C5b-9 産生を抑制することにより神経筋接合部における運動 終板の破壊を抑制する。本薬使用により髄膜炎菌をはじめと する莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる。特に、

髄膜炎菌感染症の発生率を1000~2000倍増加させることが知 られており、本剤投与開始前に髄膜炎菌に対するワクチンを 接種することが必要である。髄膜炎菌感染を発症した場合に は、セフォタキシムまたはセフトリアキソンが必要となる。

❷診療ガイドラインは2014年の改定された。アスペルギルス や接合菌性髄膜炎では脳梗塞を含む脳血管障害を併発しやす く、その対応に留意する。

❸診療症ガイドラインは2014年に改定され、入院6時間以内 にアシクロビルの点滴を開始することが推奨され、またアシ クロビルが奏功しない場合て、 フォスカルネットへの変更が 推奨された。最近、本症の約2割で抗NMDA受容体脳炎の併 発が知られてきており、再燃時や非定型症候の場合には、自 己抗体脳炎の併発を考慮する必要がある。

❹本症では多くの新規の抗神経抗体が報告され、その病像も 明らかになり、新たな治療指針も公表されてきている。

2 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 192-195)

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