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次世代ALS治験:国内ALS医師主導治験か ら浮かび上がる課題とは?

ドキュメント内 プレナリー (ページ 73-76)

座長:青木 正志 ‌‌

東北大学大学院医学系研究科神経 内科学

相澤 仁志 ‌‌

東京医科大学‌神経学分野

≪ねらい≫

1999年に国内承認されたRiluzole以来、長らく登場しなかっ た第2のALS治療薬が本邦発のEdaravoneであったことは 大きなインパクトをもって世界に迎えられている.さらに 2017年,同じ運動ニューロン疾患である脊髄性筋萎縮症

(SMA)にはNusinersen,球脊髄性筋萎縮症(SBMA)には Leuprorelinが相次いで承認され、ALS創薬の追い風となっ ている。実際、国内では現在5つのALS治験がいずれも医師 主導で実施されており、これまでにない活況である。しかし ながら、ALSにおけるシーズの探索、治験のデザイン、被験 者エンロールメント、そして治験実施上の課題もまた明らか となりつつある。本シンポジウムでは、ALSひいては神経変 性疾患全体に対する創薬研究を見据え、次世代ALS治験に向 けた重要課題を提示し合い、その克服戦略を会員と共に議論 したい。

S-12-1 ALSに対する肝細胞増殖

因子(HGF)脊髄腔内反 復投与の第II相試験

○‌‌割田  仁

東北大学病院 脳神経内科

【略歴】

平成12年(2000年)‌‌東北大学大学院医学系研究科卒業(神経内科学・糸山泰 同年‌‌ ‌ ‌‌‌岡山大学医学部附属病院神経内科・助手人教授)

平成13年(2001年)‌国立療養所(現‌国立病院機構)米沢病院神経内科 平成17年(2005年)‌東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野・助手 平成19年(2007年)‌同・助教

平成29年(2017年)‌東北大学病院神経内科(現‌脳神経内科)・院内講師 難治性疾患の代表、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)は、主として運動ニューロンの変性 により平均数年で全身へと骨格筋萎縮と筋力低下が進行し、

呼吸筋麻痺にいたる致死的疾患である。国内外でリルゾール とエダラボンが承認されているものの生存期間延長効果は限 定的なため、新たな治療法開発が強く求められている。

これまでに私たちは本邦発、運動ニューロン保護作用を もつ肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor, HGF)に よるALS治療法開発を非臨床試験から治験へと進めてき た。ALSラットモデル脊髄腔内への組換えヒトHGF蛋白質

(recombinant human HGF, rhHGF)投与による用量依存的 かつ明確な有効性(発症期からの投与でも約63%の罹病期 間延長)をもとに、軽症ALS患者を対象とした第I相治験に てrhHGF脊髄腔内投与の安全性および薬物動態を確認した

(Warita, et al. J Clin Pharmacol, 2018)。この成果をもとに 第II相治験プロトコルと脊髄腔内投与機器を開発し、2016年 5月より東北大学病院および大阪大学医学部附属病院の2施設 にてプラセボ対照二重盲検試験(医師主導治験)を実施中であ る。本治験は、第I相で確認した最高用量2.0 mg/回を2週に1 回外来にて24週間投与する二重盲検期と、希望者のみ続けて 24週間実薬を投与する継続投与期(オープン試験)からなる。

ALSは初発症状や進行速度に大きな個人差を示す不均一な 症候群である。そこで比較的小さなサンプルサイズで有効性 を検証できるよう、仮登録後12週の前観察期間にて一定の進 行速度を示す被験者のみを本登録している。国内約1万人と 希少で、しかも変性疾患としては速い進行を示すALSに対し て国内5つの治験が併進する中、目標48症例の75%が本登録 に至ってなお現在も実施中である(2019年12月末現在)。これ まで最大の課題は被験者組み入れに時間を要し資金不足に難 渋していることであるが、本治験の完遂によってALSに対す るrhHGF脊髄腔内投与の早期薬事承認をめざしている。

31 日 シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 11

8月31日(月)13:30 ~ 15:00 第07会場(岡山コンベンションセンター2F展示ホール)

公募 Jp

S-11-4 アストログリオーシスの

イメージング

○‌‌菊池 昭夫

東北大学大学院医学系研究科 神経内科学分野

【略歴】

1996年03月 東北大学医学部医学科卒業

1996年05月 東北大学医学部附属病院神経内科医師 1997年04月 山形市立病院済生館神経内科医師 1997年10月 財団法人広南会広南病院神経内科医師

2001年03月 東北大学大学院医学系研究科内科学専攻(神経内科)修了 2001年04月 財団法人広南会広南病院神経内科医師

2002年10月 いわき市立総合磐城共立病院神経内科医長 2003年04月 国立仙台病院神経内科医師

2004年04月 国立病院機構仙台医療センター神経内科医師 2006年04月 国立病院機構宮城病院臨床検査科長 2007年05月 東北大学病院神経内科助教

異常蛋白凝集体、神経受容体、トランスポーター、神経炎 症などの様々なPETトレーサーが開発され可視化が可能に なってきている。神経炎症は神経免疫疾患のみならず神経変 性疾患などにもみられており、これらをターゲットしたPET トレーサーの開発は臨床応用や病態把握に非常に役立つと考 えられる。今日まで神経炎症のPETイメージングでは、ミ クログリアとアストロサイトのTSPO、GSK3、P2X7、ミク ログリアのROS、COX、アストロサイトのI2BS、MAO-Bな どをターゲットとして様々なトレーサーが開発されている。

特に、ミトコンドリア外膜に存在するTSPO (translocator protein)をターゲットとして開発された[11C]PK11195は、ア ルツハイマー病やパーキンソン病などの疾患で利用されて いる。一方、アストロサイトのMAO-Bを標的としたPETト レーサーには[11C]L-deprenyl-D2などがあるが、MAO-Bに 不可逆的に結合しコントラストが悪いなどの問題点がある。

そこで、我々は新規MAO-B PETトレーサーとして、[18F]

SMBT-1を開発した。既に薬物動態試験や毒性試験は終了し、

海外にてアルツハイマー病患者を対象に[18F]SMBT-1トレー サーの臨床評価を実施している。今後、様々な神経変性疾患 や神経免疫疾患に拡大し有効性を検討する予定である。

31 シ ン ポ ジ ウ ム 日

8月31日(月)13:30 ~ 15:00 第09会場(岡山県医師会館4F402会議室)

S-12-2 孤発性ALSに対するAMPA 受容体拮抗薬の臨床治験

○‌‌相澤 仁志

東京医科大学 神経学分野

【略歴】

1982年 旭川医科大学医学部卒業 同大学病院 第一内科 研修医 1985年 東京大学医学部 神経内科 医員

1989年 国立精神神経センター 神経研究所 研究員 1991年 マサチューセッツ総合病院 神経遺伝学研究室 研究員  筋萎縮性側索硬化症(ALS)の9割以上は孤発性であり、孤 発性ALSの脊髄運動ニューロン変性の病態には、AMPA受 容体を介したCa2+の持続的な細胞内流入増加が関与している ことが知られている[1]。さらに、慢性的細胞質内Ca2+増加に よるCa2+依存性カルパインの活性化はALSの神経病理学的特 徴であるTDP-43陽性封入体形成を促す[2]とともに核膜を障害 し、その機能異常・形態異常も引き起こすと報告されている

[3][4]。従って、平均半減期が105時間と長いAMPA受容体拮抗

薬である抗てんかん薬ペランパネルは、AMPA受容体を介 した細胞内へのCa2+流入増加を持続的に阻止し、孤発性ALS の病態の進行を抑制する可能性がある。事実、孤発性ALSの 病態モデルであるコンディショナルADAR2ノックアウトマ ウスにおいてペランパネルの臨床的有効性、病理学的進行抑 制効果も認められている[5]。 以上のことから、ペランパネ ルは既存の治療薬とは異なり、孤発性ALSの特異的な病態を 阻止しうるものであり、新規治療薬としてALSに対して効果 を示す可能性が高いと考え、孤発性ALSを対象とした臨床治 験を2017年4月より開始した。

 治験デザインは多施設共同、二重盲検、無作為化、プラ セボ対照、並行群間比較、第II相試験である。一次登録基準 を満たした患者のうち12週間の観察期間の後に二次登録基 準を満たした患者をプラセボ群、4mg投与群、8mg投与群の 3群に無作為に割り付ける。目標症例数は総数60例(各群20 例)である。48週の二重盲検投与期間に引き続きオープンラ ベル継続投与試験を行う。主要評価項目は二重盲検期におけ る日本語版改訂ALS Functional Rating Scaleの投与開始時 から最終投与時までの変化量で、安全性・忍容性についても 評価する。2020年1月末には二重盲検期の結果が得られる予 定である。謝辞:本研究は AMED(日本医師会)の課題番号 JP18lk0201037の支援を受けた。

1) Hideyama T, et al. Neurobiol Dis. 2012;45:1121-8. doi:

10.1016/j.nbd.2011.12.033.

2) Yamashita T, et al. Nat Commun. 2012;3:1307. doi:

10.1038/ncomms2303.

3) Yamashita T, et al. Sci Rep. 2017;7:39994. doi: 10.1038/

srep39994.

4) Aizawa H, et al. J Clin Neurol. 2019;15:62-67.doi:

10.3988/jcn.2019.15.1.62.

5) Akamatsu M, et al. Sci Rep. 2016; 6:28649. doi: 10.1038/

srep28649

S-12-3 発症早期ALSに対する高

用量メコバラミンの第III 相試験(JETALS)

○‌‌和泉 唯信

1

、沖  良祐

2

桑原  聡

3

、梶  龍兒

1,4

1 徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床神経科学分野、

2 徳島大学病院脳神経内科、

3 千葉大学大学院医学研究院神経内科学、

4 宇多野病院脳神経内科

【略歴】

1989年3月 北海道大学理学部数卒業 1995年3月 徳島大学医学部医学科卒業

1995年4月 広島大学医学部附属病院第三内科(中村重信教授) 

1996年1月 翠清会梶川病院脳外科 

1996年4月 財団法人住友病院神経内科(亀山正邦院長) 

〔目 的〕 高 用 量 の メコバラミン は、 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症

(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)の神経変性に対して保護 作用を示す可能性がin vitro及びin vivoで示唆されている。発症 3年未満のALS患者を対象とした臨床第II/III相試験では、主要評 価項目(観察期終了時から治療期16週目までのALSFRS-R合計点数 の変化量、非侵襲的呼吸補助装置の終日装着、侵襲的呼吸補助装 置の装着又は死亡)において、プラセボ群に対してメコバラミン 25 mg群及び50 mg群は優越性を示すことができなかったが、ALS 発症1年未満の部分集団では、イベント発生までの期間の延長及び ALSFRS-R合計点数の低下の抑制に用量反応性が認められた。こ のため、発症1年以内のALS患者を対象に対するメコバラミン 50 mgの有効性を検証することを目的とし、「高用量E0302の筋萎縮性 側索硬化症に対する第Ⅲ相試験-医師主導治験-」(JETALS)(E0302-TOK-763)を計画した。

〔方法〕本治験は多施設共同(全国25施設)、ランダム化、プラセボ 対照、二重盲検並行群間比較試験であり、観察期・治療期(二重盲 検期)・継続投与期(実薬投与期)の3期で構成される。主な選択基 準は、発症1年未満、Updated Awaji基準にてdefinite, probable, probable-laboratory-supportedに該当、ALS重症度基準1度又は2度、

観察期間中(12週間)にALSFRS-Rの合計点数が1-2点低下した患者 である。被験者は治療期にメコバラミン50mg もしくは プラセボ を週2回、16 週間、筋肉内投与を受ける。継続投与期には、希望者 に対してメコバラミン 50 mgを投与し、自己注射または訪問看護 による在宅注射も可とする。目標症例数は128例(メコバラミン50 mg 群 64例,プラセボ群 64例)である。主要評価項目は割付日か ら治療期16週目までのALSFRS-Rの合計点数の変化量である。

〔結果および考察〕2017年11月より症例登録を開始し、約2年間で 観察期 203例、治療期 130例を登録し、目標症例数を達成して2019 年10月に登録を終了した。症例リクルートのためにホームページ などによる広報、市民向けセミナー、他診療科との合同カンファ レンス、開業医に対しての講演会などを実施した。診断基準につ いては、徳島大学病院における観察期登録例 22例のうち、11例は 従来のEl Escorial 改訂Airlie House 診断基準ではPossibleであり、

Updated Awaji基準が被験者登録に有用と考えられた。

31 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 73-76)

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