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5月21日(土) 8:00~10:00 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 41-44)

169

-なお る神 経内

TN-08-2

遠位型ミオパチーに対するシアル酸治療

1東北大学病院 神経内科学,2国立精神神経医療 研究センター神経研究所疾病研究第1部

○青木正志1,鈴木直輝1,割田 仁1,西野一三2 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(あるいはGNEミオパチー)

という希少筋疾患は,10歳台後半から20歳代にかけて出現し,体幹 から離れた部位から筋肉が萎縮,変性し次第に体の自由が奪われて いく有効な治療法のない難病である.我が国での患者数は200-400 名程度と推定されている.その原因遺伝子がシアル酸代謝に関わ るGNEであることが見いだされ,西野らのモデル動物を用いた非 臨床試験でもシアル酸補充療法の有効性が示された.これまでに 東北大学病院で患者を対象とした普通製剤による医師主導第Ⅰ相 試験を行ったが,海外と同じ徐放製剤にて,追加の医師主導第Ⅰ相 試験を実施した.その結果,安全性には特に問題なく,海外と同様 に血清中N-アセチルノイラミン酸濃度の上昇及び尿中総及び遊離 N-アセチルノイラミン酸排泄量の増加を確認した.

その後PMDAとの対面助言相談にて,進行中の国際共同第Ⅲ相 試験の試験計画と同様な計画で日本独自に第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施 し,海外データと併せ医薬品としての承認申請をすることに合意を 得た.平成27度中に第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始するべく準備をしてい る.試験計画はGNE遺伝子変異をサンガー法で遺伝子診断し,確 定診断のできたGNEミオパチーの患者を対象にN-アセチルノイラ ミン酸徐放錠6g/日の有効性と安全性を検証する.6分間歩行試験 で200m以上歩行可能な50歳までの患者を対象とし,15例以上の患 者を対象とした医師主導第2/3相試験を実施する.主要評価項目は 筋力計で測定した上肢筋力の合計値とした.副次評価項目はGNE ミオパチー機能活動尺度などである.他に血清遊離N-アセチルノ イラミン酸濃度及び尿中遊離及び総N-アセチルノイラミン酸濃度 も測定し,血液検査,血液生化学検査等の臨床検査及び有害事象を 観察する.スクリーニング,投与開始前,その後8週ごとに48週ま で観察し,予定の試験をひとまず終了し,申請データを作成する計 画である.

また,上記試験においてGNE遺伝子変異を確認できているGNE ミオパチーの歩行不能患者も若干名対象に加え,有効性及び安全性 を検討する予定である.

《略歴》平成 2 年 3 月 東北大学医学部卒業

4 月 東北大学医学部神経内科へ入局 平成 6 年 3 月 東北大学大学院医学研究科卒業

平成 8 年 4 月 米国ボストンのハーバード大学マサチューセッツ総合 病院神経内科(Prof. Robert Brown)へ留学 平成10年 9 月 東北大学医学部附属病院神経内科助手 平成19年 6 月 東北大学病院講師

平成23年 2 月 東北大学大学院医学系研究科神経内科教授 平成24年 4 月 東北大学病院臨床研究推進センター 副センター長 専門分野筋萎縮性側索硬化症(ALS),筋疾患などの神経・筋疾患の病態の解明 と治療法の開発,再生医療,トランスレーショナルリサーチ

TN-08-3

神経筋疾患に対するサイバニックニュー ロリハビリテーション:robot suit HAL の臨床

国立病院機構 新潟病院 神経内科

○中島 孝

CybernicsはCybernetics,Mechatronics,Informaticsを融合した,機器と身体/脳が リアルタイムに情報を交換し人を支援する技術概念である.山海はそれに基づいて生 体電位駆動型装着型ロボット,すなわち随意運動意図に対応して皮膚表面に出現する 運動単位電位(MUP)を検出し,運動意図を解析し,各種センサー情報と運動パターン のデータベースを参照し,適切なモータトルクで随意運動を増強するHAL(Hybrid assistive limb)を発明した.HALは装着者の随意運動意図に基づき動作する,サイバ ニック随意制御(CVC),HAL内部の運動データベース(例,起立,歩行,走行等)を 参照し,生体電位信号が不完全でも正しい運動パターンを完成させる サイバニック自 律制御(CAC),装着者にHALの重量を感じさせない,サイバニックインピーダンス制 御(CIC)により構成される.

HALを使うと運動プログラム理論(Bernstein,1967)の理想的な脳・神経・筋系再プ ログラミングを現実におこなえる可能性がある.HALのCICにより,装着者は固有感 覚に基づき身体感覚情報をリアルタイムに感じることができるし,CVCにより随意運 動意図を生体電位により実際の運動現象よりも早期に検出するため,随意運動意図に 基づく運動発現を得ることができる.CACにより歩行などの正確な動作パターンがサ ポートされ,複数の脳領域の活動と複数の筋-関節の動作がリアルタイムに同期される.

HALには人の身体機能を増強する特徴だけでなく,脳活動と運動現象を正しく反復し て行わせることでの神経可塑性を促進する運動プログラム学習効果がある.山海は上 記をiBF仮説(interactive Bio-Feedback hypothesis)として提唱した.HALを使用した 歩行練習を繰り返し,HALを脱いだ後に得られる歩行改善効果は神経ネットワークの 再構築にあると考えることから,Cybernic neurorehabilitationといえる.

臨床応用とiBFの仮説の検証のために,運動単位(motor unit)自体の病変に適合した 医療モデル(HAL-HN01)を開発し,神経・筋疾患に対する多施設共同医師主導治験 NCY-3001をおこなった.治験機器提供会社であるサイバーダイン株式会社はその結 果に基づき,2015年3月25日に薬事申請をおこない2015年11月25日に医療機器承認がな された.それより上位の病変に基づくHAMなど痙性対麻痺に対するNCY-2001試験

(治験)が適応拡大目的で行われている.さらに,他の神経疾患に対する応用も検討さ れている.

《略歴》1983年 新潟大学医学部卒

1993年~ 新潟大学脳研究所神経内科入局 1985年~1991年 新潟大学大学院医学博士課程(医学博士)

1987年~1989年 Fogarty Fellow, Biological Psychiatry Branch, National Institute of Mental Health, National Institutes of Health (USA)

1991年~2003年 国立療養所犀潟病院 神経内科医長,放射線科医長,臨床研 究部病態生理研究室長

2001年~2004年 厚生労働省薬事・食品衛生審議会専門委員

2004年~ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)専門委員 2004年~ 独立行政法人国立病院機構新潟病院 副院長 研究班活動

H27年度~ 日本医療研究開発機構研究費 難治性疾患実用化研究事業「希少 難治性脳・脊髄疾患の歩行障害に対する生体電位駆動型下肢装着型補助ロボッ ト(HAL-HN01)を用いた新たな治療実用化のための多施設共同医師主導治験 の実施研究」研究開発代表者

H27年度~ 日本医療研究開発機構研究費 障害者対策総合研究開発事業「進 行したALS患者等を含む障害者のコミュニケーション支援機器の開発」研究開 発代表者

なおる神経内科 TN-08:ここまで来た!近未来の神経治療

5月21日(土) 8:00~10:00 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

なお る神 経内

TN-08-2

遠位型ミオパチーに対するシアル酸治療

1東北大学病院 神経内科学,2国立精神神経医療 研究センター神経研究所疾病研究第1部

○青木正志1,鈴木直輝1,割田 仁1,西野一三2 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(あるいはGNEミオパチー)

という希少筋疾患は,10歳台後半から20歳代にかけて出現し,体幹 から離れた部位から筋肉が萎縮,変性し次第に体の自由が奪われて いく有効な治療法のない難病である.我が国での患者数は200-400 名程度と推定されている.その原因遺伝子がシアル酸代謝に関わ るGNEであることが見いだされ,西野らのモデル動物を用いた非 臨床試験でもシアル酸補充療法の有効性が示された.これまでに 東北大学病院で患者を対象とした普通製剤による医師主導第Ⅰ相 試験を行ったが,海外と同じ徐放製剤にて,追加の医師主導第Ⅰ相 試験を実施した.その結果,安全性には特に問題なく,海外と同様 に血清中N-アセチルノイラミン酸濃度の上昇及び尿中総及び遊離 N-アセチルノイラミン酸排泄量の増加を確認した.

その後PMDAとの対面助言相談にて,進行中の国際共同第Ⅲ相 試験の試験計画と同様な計画で日本独自に第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施 し,海外データと併せ医薬品としての承認申請をすることに合意を 得た.平成27度中に第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始するべく準備をしてい る.試験計画はGNE遺伝子変異をサンガー法で遺伝子診断し,確 定診断のできたGNEミオパチーの患者を対象にN-アセチルノイラ ミン酸徐放錠6g/日の有効性と安全性を検証する.6分間歩行試験 で200m以上歩行可能な50歳までの患者を対象とし,15例以上の患 者を対象とした医師主導第2/3相試験を実施する.主要評価項目は 筋力計で測定した上肢筋力の合計値とした.副次評価項目はGNE ミオパチー機能活動尺度などである.他に血清遊離N-アセチルノ イラミン酸濃度及び尿中遊離及び総N-アセチルノイラミン酸濃度 も測定し,血液検査,血液生化学検査等の臨床検査及び有害事象を 観察する.スクリーニング,投与開始前,その後8週ごとに48週ま で観察し,予定の試験をひとまず終了し,申請データを作成する計 画である.

また,上記試験においてGNE遺伝子変異を確認できているGNE ミオパチーの歩行不能患者も若干名対象に加え,有効性及び安全性 を検討する予定である.

《略歴》平成 2 年 3 月 東北大学医学部卒業

4 月 東北大学医学部神経内科へ入局 平成 6 年 3 月 東北大学大学院医学研究科卒業

平成 8 年 4 月 米国ボストンのハーバード大学マサチューセッツ総合 病院神経内科(Prof. Robert Brown)へ留学 平成10年 9 月 東北大学医学部附属病院神経内科助手 平成19年 6 月 東北大学病院講師

平成23年 2 月 東北大学大学院医学系研究科神経内科教授 平成24年 4 月 東北大学病院臨床研究推進センター 副センター長 専門分野筋萎縮性側索硬化症(ALS),筋疾患などの神経・筋疾患の病態の解明 と治療法の開発,再生医療,トランスレーショナルリサーチ

TN-08-3

神経筋疾患に対するサイバニックニュー ロリハビリテーション:robot suit HAL の臨床

国立病院機構 新潟病院 神経内科

○中島 孝

CybernicsはCybernetics,Mechatronics,Informaticsを融合した,機器と身体/脳が リアルタイムに情報を交換し人を支援する技術概念である.山海はそれに基づいて生 体電位駆動型装着型ロボット,すなわち随意運動意図に対応して皮膚表面に出現する 運動単位電位(MUP)を検出し,運動意図を解析し,各種センサー情報と運動パターン のデータベースを参照し,適切なモータトルクで随意運動を増強するHAL(Hybrid assistive limb)を発明した.HALは装着者の随意運動意図に基づき動作する,サイバ ニック随意制御(CVC),HAL内部の運動データベース(例,起立,歩行,走行等)を 参照し,生体電位信号が不完全でも正しい運動パターンを完成させる サイバニック自 律制御(CAC),装着者にHALの重量を感じさせない,サイバニックインピーダンス制 御(CIC)により構成される.

HALを使うと運動プログラム理論(Bernstein,1967)の理想的な脳・神経・筋系再プ ログラミングを現実におこなえる可能性がある.HALのCICにより,装着者は固有感 覚に基づき身体感覚情報をリアルタイムに感じることができるし,CVCにより随意運 動意図を生体電位により実際の運動現象よりも早期に検出するため,随意運動意図に 基づく運動発現を得ることができる.CACにより歩行などの正確な動作パターンがサ ポートされ,複数の脳領域の活動と複数の筋-関節の動作がリアルタイムに同期される.

HALには人の身体機能を増強する特徴だけでなく,脳活動と運動現象を正しく反復し て行わせることでの神経可塑性を促進する運動プログラム学習効果がある.山海は上 記をiBF仮説(interactive Bio-Feedback hypothesis)として提唱した.HALを使用した 歩行練習を繰り返し,HALを脱いだ後に得られる歩行改善効果は神経ネットワークの 再構築にあると考えることから,Cybernic neurorehabilitationといえる.

臨床応用とiBFの仮説の検証のために,運動単位(motor unit)自体の病変に適合した 医療モデル(HAL-HN01)を開発し,神経・筋疾患に対する多施設共同医師主導治験 NCY-3001をおこなった.治験機器提供会社であるサイバーダイン株式会社はその結 果に基づき,2015年3月25日に薬事申請をおこない2015年11月25日に医療機器承認がな された.それより上位の病変に基づくHAMなど痙性対麻痺に対するNCY-2001試験

(治験)が適応拡大目的で行われている.さらに,他の神経疾患に対する応用も検討さ れている.

《略歴》1983年 新潟大学医学部卒

1993年~ 新潟大学脳研究所神経内科入局 1985年~1991年 新潟大学大学院医学博士課程(医学博士)

1987年~1989年 Fogarty Fellow, Biological Psychiatry Branch, National Institute of Mental Health, National Institutes of Health (USA)

1991年~2003年 国立療養所犀潟病院 神経内科医長,放射線科医長,臨床研 究部病態生理研究室長

2001年~2004年 厚生労働省薬事・食品衛生審議会専門委員

2004年~ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)専門委員 2004年~ 独立行政法人国立病院機構新潟病院 副院長 研究班活動

H27年度~ 日本医療研究開発機構研究費 難治性疾患実用化研究事業「希少 難治性脳・脊髄疾患の歩行障害に対する生体電位駆動型下肢装着型補助ロボッ ト(HAL-HN01)を用いた新たな治療実用化のための多施設共同医師主導治験 の実施研究」研究開発代表者

H27年度~ 日本医療研究開発機構研究費 障害者対策総合研究開発事業「進 行したALS患者等を含む障害者のコミュニケーション支援機器の開発」研究開 発代表者

なおる神経内科 TN-08:ここまで来た!近未来の神経治療

5月21日(土) 8:00~10:00 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

170 -なお

る神 経内

TN-08-4

ギラン・バレー症候群に対するエクリズ マブ治療

近畿大学医学部 神経内科

○楠 進

ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome, GBS)は,

急性単相性の経過をとる自己免疫性末梢神経障害である.

急性期に血漿浄化療法あるいは経静脈的免疫グロブリン療 法(intravenous immunoglobulin, IVIg)を行うことで,重症度 が軽減し回復が早まることが示されており有効な治療とし て確立している.しかし,依然として人工呼吸器が必要な重 症例や,6か月後にも自力歩行不能な難治例は存在し,その ような症例に対する有効な新規治療法の開発が望まれてい る.GBS急性期には高頻度に抗糖脂質抗体が陽性となるが,

そのような抗糖脂質抗体の神経障害は補体介在性メカニズ ムによることが,抗Gal-C抗体による脱髄モデルや,抗GM1 抗体による軸索障害モデル,抗GQ1b抗体による神経筋接合 部伝達障害モデルで示されている.また抗GQ1b抗体による マウスの呼吸筋麻痺を伴うGBSモデルでは,補体系をブロッ クする分子標的薬であるエクリズマブによりその障害が軽 減することが報告された.エクリズマブは発作性夜間血色 素尿症の治療として既に使用されている薬剤である.以上 より,われわれはGBSの急性期治療としてのエクリズマブの 使用を考案した.現在GBS急性期に対するIVIgとエクリズ マブの併用療法について,IVIg単独治療を対照とする第二相 試験が,我が国と英国において開始されている.この試験の 結果に基づき,第三相試験を経て臨床応用につながることが 期待される.

《略歴》1978年3月 東京大学医学部医学科卒

1980年6月 東京大学医学部神経内科入局

1985年7月~1987年7月 米国エール大学留学

1999年4月 東京大学医学部神経内科講師

2003年4月 近畿大学医学部神経内科主任教授 現在に至る

(2012年10月~2014年9月 近畿大学医学部長)

学会日本神経学会(理事),日本内科学会(理事),日本神経免疫学会(理事),日本 末梢神経学会(理事),日本神経治療学会(理事),

American Neurological Association (Corresponding fellow),

International Inflammatory Neuropathy Consortium (Organising Committee member) など

Editorial board

Journal of Neuroimmunology

Neurology and Clinical Neuroscience (Deputy Editor) 末梢神経(編集委員長)

その他厚生労働省免疫性神経疾患調査研究班班長(平成20年4月~平成26年3月) ギラン・バレー症候群診療ガイドライン作成委員長

Steering committee member of International GBS Outcome Study (IGOS)

なおる神経内科 TN-08:ここまで来た!近未来の神経治療

5月21日(土) 8:00~10:00 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

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-なお る神 経内

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 41-44)

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