• 検索結果がありません。

5月21日(土) 15:00~16:50 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 184-187)

シン ポジ ウム

座長:

加世田ゆみ子(広島市立リハビリテーション病院 脳 神経内科)

生駒一憲(北海道大学病院 リハビリテーション科)

≪ねらい≫

シンポジウムでは,ニューロリハビリテーション場面で遭 遇するさまざまな症候に対する新たな治療アプローチを概 説する.症候面では運動障害,摂食・嚥下機能障害,半側空 間無視,認知症と多岐にわたる側面を取り上げ,神経内科医 が日常診療の技術として習得できるためのイントロダク ションの役割も担いつつ,エキスパートにも知識が深められ るような内容も盛り込む.

共催:日本ニューロリハビリテーション学会

S-20-1

痙縮に対するボツリヌス療法

徳島大学病院 神経内科

○塚本 愛

痙縮とは上位運動ニューロンの障害により運動速度依存 性の伸張反射の亢進を呈し,深部腱反射の亢進を伴う運動障 害とLanceにより定義されている.原因は中枢神経系内の機 械的損傷,血流障害,変性などの障害である.痙縮の弊害と して筋緊張の亢進により関節の変形,可動域制限をもたら し,更衣や衛生の妨げになることがある.また,随意運動の 妨げや筋肉のスパズムにより疼痛の原因となることがある.

そのため,痙縮を軽減するような治療が望まれることが多 い.ただし,下肢痙縮はそれを利用して立位や歩行の安定性 をもたらしている可能性があるので,治療の際には注意が必 要である.痙縮の治療法としてボツリヌス療法以外にも内 服,リハビリテーション,バクロフェンの髄注療法などがあ るが,ボツリヌス療法の利点は手技的にはそれほど難しくな く,有効性と安全性が確立されていることである.ボツリヌ ス毒素の作用点はいくつか知られているが,痙縮の治療に最 も関連した作用点は神経筋接合部でアセチルコリンの放出 を抑制することで,強力な筋弛緩効果を発揮する.ただし,

痙縮の治療では,ボツリヌス療法だけでは効果は限定的であ るので,リハビリテーションの併用は必須である.ボツリヌ ス療法の開始時には施注筋とそれぞれの投与量を考え,診察 する.施注筋を決定するために,筋の収縮や筋量を視診や触 診にて確認する.体表から観察できない深部筋が痙縮に影 響を及ぼしていることもある.痙縮は上肢では屈筋群,下肢 では伸筋群に分布することが多く,特定の肢位をとる傾向が ある.投与量に関しては,ボトックス®を成人の痙縮に使用 する場合,上肢の遠位筋では50単位まで,近位筋では100-

200単位,下肢の遠位筋では100-200単位,近位筋では300単 位までを目安に考えているが,実際は患者により体重や筋の 容量,痙縮の程度が異なるため,投与量の調整が必要である.

過量投与により,脱力を来し,日常生活レベルを下げないよ うに留意が必要である.注射の際には,判別が困難な前腕の 筋や深部の筋などに対しては超音波や針筋電図をガイドと して使用する.ほとんどの例で反復治療を必要とし,治療3-4か月後に再治療が必要か検討する.本講演では実際での症 例を提示しながら,痙縮に対するボツリヌス療法について解 説する.

《略歴》平成16年 山口大学医学部医学科卒業 徳島大学病院初期研修医 平成18年 倉敷中央病院神経内科医員 平成20年 関西電力病院神経内科医員 平成21年 徳島大学病院神経内科医員 平成25年 徳島大学大学院修了

徳島大学病院神経内科特任助教

シンポジウム S-20:ニューロリハビリテーションの新たな治療アプローチ

5月21日(土) 15:00~16:50 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)

312 -シン

ポジ ウム

S-20-2

摂食嚥下障害に対する多職種介入

1川崎医科大学 リハビリテーション医学教室,

2川崎医療福祉大学 医療技術学部 リハビリ テーション学科

○平岡 崇1,2

リハビリテーション医学・医療の主要分野のひとつに摂食嚥下障 害分野が挙げられる.脳血管障害の合併症としての摂食嚥下障害 は,軽度なものまで含めると約70%にのぼるとの報告もある.その 他,明らかな脳血管障害の既往を有さない高齢リハビリテーション 患者においても,かなりの割合で摂食嚥下障害が存在することも知 られている.摂食嚥下障害の放置は,誤嚥性肺炎発症に直結する が,摂食嚥下リハビリテーション(摂食嚥下リハ)を含む適切な対応 で誤嚥性肺炎の発症を有意に減じられることが知られている.つ まり誤嚥性肺炎の予防の観点からも摂食嚥下リハの果たす役割は 大きい.なかでも脳血管障害による摂食嚥下障害やそれに伴う誤 嚥性肺炎は患者数も多く,摂食嚥下リハの中核を占める.脳血管障 害医学の進歩に伴い,脳血管障害そのもので命を落とす患者は減少 したが,その後遺症としての摂食嚥下障害患者が急増した.この点 については,平成23年以降の日本人死亡原因の第3位に肺炎が挙 がっている点からも伺い知ることが出来る.このように脳血管障 害診療の観点からも,摂食嚥下障害に対する適切なマネージメント は欠かすことが出来ない重要な課題の一つであると言える.当院 においては,脳卒中科・脳神経外科・リハビリテーション科3科合同 /多職種での脳血管障害診療体制が整備されており,多面的な診療 を展開している.その一環として,摂食嚥下障害診療にも積極的に 取り組んでいるが,そのアプローチ方法としては,多職種による Transdisciplinary team approachが重要である.

また摂食嚥下リハを語る上で経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は 欠かせない.PEGは持続的経鼻胃管(CNG)のデメリットを補う非 常に重要な代償的栄養摂取手段であるが,その選択には賛否両論あ る.その背景には,医学的・福祉的・倫理的・哲学的・経済的問題 が複雑に絡み合っており,一概にその選択の正誤を論じられるもの ではない.しかし臨床現場において,摂食嚥下リハを成功に導くた めに必要なPEGならば,特別な事情がない限り必要に応じて原則た めらわずに選択すべきであると考える.

本セッションでは,摂食・嚥下障害に対する多職種介入について,

当院での取り組みや若干の研究結果も交え,その重要ポイントにつ いて総括したい.

《略歴》平成 8 年 川崎医科大学リハビリテーション医学教室 入局(研修医) 平成14年 川崎医科大学大学院 生理系病態運動生理学 修了(博士(医学)) 平成17年 川崎医科大学リハビリテーション医学教室 講師

川崎医科大学附属病院リハビリテーション科 医長 平成22年~平成24年 米国 ジョンズ・ホプキンス大学留学 平成25年 川崎医科大学リハビリテーション医学教室 准教授(現職)

川崎医科大学附属病院リハビリテーション科 副部長(現職)

川崎医療福祉大学リハビリテーション学科 教授(現職/兼務)

S-20-3

半側空間無視に対する新しいリハビリ テーションアプローチ

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教 室

○水野勝広

半側空間無視(以下,無視)は,「大脳半球損傷の反対側に提示された刺激を報 告したり,刺激に反応したり,与えられた刺激を定位することの障害」と定義さ れる(Heilman et al, 1985).無視は右半球損傷患者に多いといわれており,右半 球損傷患者の13-100%に出現すると報告されている(Bowen et al, 1999).

無視の評価のための代表的な机上検査として,線分2等分検査,末梢検査,模 写・描画などがよく用いられるが,このような検査の異常はすべての無視患者で 同様ではなく,検査のうちいくつかは正常である場合もある.一方,日常生活で も様々な場面で無視症状が観察される.無視の症状は多彩であり,個々の患者に よって異なるため,臨床的には多彩な病態の入り混じった症候群としてとらえる べきである.このような多様性が,無視の診断・治療アプローチをより複雑にし ている.また,注意の転動性や視覚性ワーキングメモリーなど,空間的な左右差 のない障害も無視の発現に影響を与える(Husain and Rorden,2003年).

半側空間無視の責任病巣は頭頂葉後部(posterior pariertal cortex: PPC)

(Heilman and Watson, 1972)や 上 側 頭 回(superior temporal gyrus: STG)

(Karnath et al, 2000)など様々な部位が挙げられ議論されてきたが,近年,ニュー ロイメージング技術の発展などにより,頭頂葉と前頭葉を結ぶ連絡線維の重要性

(Thiebaut de Schotten et al, 2005),損傷部位による無視のタイプの違い(Verdon et al, 2010)などについての知見も得られている.これらの知見から,現在では 後頭葉,頭頂葉,前頭葉にまたがる広範な視覚性注意ネットワークの障害と捉え る説が主流となりつつある(Corbetta et al, 2005).

半側空間無視はリハビリテーション(以下,リハ)を行う上で大きな阻害要因 であり,最終的な機能予後に大きく影響するため,これまで数々の治療法が試み られてきた.近年のシステマティックレビュー(Yang et al, 2013)では,半側空 間無視に対するリハは有効であり,中でもプリズム適応療法(Prism adaptation therapy: PA療法)は現在もっとも有効性が確立されている方法であるとされて いる.本邦の脳卒中ガイドライン2015においても,PA療法は視覚探索訓練,無 視側への手がかりの提示とともに,推奨される治療法とされている(Grade B).

本講演では,半側空間無視の診断,治療アプローチについて新しい考え方を紹 介する.

《略歴》1998年 慶應義塾大学医学部卒,同リハビリテーション医学教室入局 2年間初期研修後,市川市リハビリテーション病院,慶應義塾 大学月が瀬リハビリテーションセンター,東京都リハビリ テーション病院などに勤務,主に脳卒中,脊髄損傷,頭部外 傷などの回復期リハビリテーションに従事

2011年4月~2013年3月 フランス国立衛生医学研究所(リヨン)に留学 2014年4月より現職

シンポジウム S-20:ニューロリハビリテーションの新たな治療アプローチ

5月21日(土) 15:00~16:50 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)

313

-シン ポジ ウム

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 184-187)

Outline

関連したドキュメント