289
-シン ポジ ウム
S-12-2
筋ジストロフィーの患者レジストリーと 臨床試験ネットワーク:Remudyと MDCTN
1国立精神・神経医療研究センター,2大阪大学
大学院医学系研究科 神経内科学,3国立病院機構 東埼玉病院
○木村 円1,森まどか1,高橋正紀2,三橋里美1, 中村治雅1,小牧宏文1,西野一三1,川井 充3, 武田伸一1
国際協調に基づく遺伝性神経・筋疾患の臨床開発の推進を 目的に活動するTREAT-NMDと協調し,国立精神・神経医 療研究センターに神経・筋疾患患者情報登録Remudyが設置 され,現在,ジストロフィノパチー,GNEミオパチー,筋強 直性ジストロフィー(事務局:大阪大学神経内科)のレジス トリーを運用している.また他の希少な遺伝性筋疾患レジ ストリーも準備中である.臨床試験の計画及び実施の際に 必要となる対象者の地域分布等の疫学情報,自然歴情報の解 析,また効率的な試験参加者のリクルートに関する登録者へ の正確な情報提供を実施している.実際のリクルートのた めには筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク MDCTNの 整備がきわめて重要であり,国内での治験・臨床試験の実施 に大きく貢献している.今後,新薬の申請の際に対照群とし て活用することができる自然歴データや,承認後の安全性評 価のための市販後調査に資するデータベース構築が課題で あり,国内でもクリニカルイノベーション・ネットワーク構 想の一環として検討がはじまった.我々の取り組みは,我が 国における希少難病の臨床研究基盤整備のモデルを提示し ており,治験・臨床試験が検討されている難病に広く展開す ることが期待されている.
《略歴》1993年 熊本大学医学部 卒業,熊本大学第一内科 入局 1995年 水俣市立総合医療センター 内科・神経内科 2001年 熊本大学大学院医学研究科(神経内科) 修了 2002年 ワシントン大学神経学 シニアフェロー 2005年 帰国,熊本大学医学部附属病院 神経内科 医員 2008年 同 助教
2011年 から現職.神経・筋疾患患者登録Remudy事務局,筋ジスト ロフィー臨床研究登録班班長
S-12-3
希少神経難病患者が専門医療と地域医療 に望むこと
NPO法人 ALDの未来を考える会
○木村勝行
平成27年1月1日施行の「難病患者に対する医療等に関する法律」によ り,対象疾患が56から300疾患まで拡大し,希少難病患者数が増加した ことに伴い,病状をサポートする専門医療や在宅療養をサポートする 地域医療における課題を明らかし,改善を図る必要性が高まっていま す.
まず,専門医療においては,病状が進行し対処療法に頼らざるを得な い実情を改善するための根本的な治療法の開発・病態解明が望まれま す.これらの実現に向けて,臨床研究の内容や進捗状況を知りたい患 者も多く存在しており,臨床研究に積極的に協力する意思は持つ患者 も存在しています.また,希少難病ゆえに同じ疾患の患者と巡り合う 機会が少ないことから,他の患者はどのような症状でどのような治療 を受けているのか等の情報を必要とする患者も存在しています.特に,
急性期の患者が治療法を選択する際には,必要不可欠な情報ではない かと思われます.
次に,地域医療においては,リハビリテーションや介護サービスの充 実が望まれます.総じての傾向として,重度身体不自由者(児)の短期 入所施設やリハビリ施設がない,施設があっても満床のため受け入れ てもらえない,希望する回数を利用できない,医療的ケアが必要になる とヘルパーの受け入れが難しくなる等により,介護者である家族に負 担がかかっているのが実情です.また,サービスを受ける頻度や回数 が場所によって異なり,規模が大きい都市の方がサービスを受ける機 会に恵まれる傾向にあり,地域間格差をなくすことも望まれます.
専門医療・地域医療に共通して望むこととしては,希少難病患者の医 療情報を全国の医療機関で共有できる難病医療支援ネットワークの構 築があげられます.専門医療機関は都市部に立地しており,地域に住 む患者は長時間かけて都市部の専門医療機関まで通院し,緊急時でも 遠く離れた専門医療機関まで救急搬送されることも少なくありません.
難病医療支援ネットワークが構築されれば,将来的には地域の医療機 関で専門医療を受けることも期待でき,全国の希少難病の症例が集積 されるとともに,希少難病患者をサポートする地域の医療・福祉関係者 へ医療情報を提供することも可能になります.希少難病患者のQOL向 上のためにも,難病医療支援ネットワークが早期に実現されることが 望まれます.
《略歴》1989年大阪府立大卒業後,国内大手コンサルティングファームや国内 大手監査法人に所属し,上場企業や医療機関を対象に,組織人事・財 務会計・情報システム&ネットワークに関するアドバイザリー業務・
法定監査業務に従事.
現在は,デロイトトーマツグループの監査法人に所属し,上場企業・
医療機関・国公立大学法人を対象に,財務会計・情報システム&ネッ トワークに関する法定監査業務・アドバイザリー業務に従事.
2012年4月より,ALDに罹患する男子の親として,NPO法人ALDの未 来を考える会の患者支援事業に関わっており,関西エリアを中心に活 動している.
シンポジウム S-12:難病法制定後の極めて希少な神経難病の医療提供を 考える
5月20日(金) 8:00~10:00 第9会場(ポートピアホテル偕楽3本館B1F)
シン ポジ ウム
S-12-2
筋ジストロフィーの患者レジストリーと 臨床試験ネットワーク:Remudyと MDCTN
1国立精神・神経医療研究センター,2大阪大学
大学院医学系研究科 神経内科学,3国立病院機構 東埼玉病院
○木村 円1,森まどか1,高橋正紀2,三橋里美1, 中村治雅1,小牧宏文1,西野一三1,川井 充3, 武田伸一1
国際協調に基づく遺伝性神経・筋疾患の臨床開発の推進を 目的に活動するTREAT-NMDと協調し,国立精神・神経医 療研究センターに神経・筋疾患患者情報登録Remudyが設置 され,現在,ジストロフィノパチー,GNEミオパチー,筋強 直性ジストロフィー(事務局:大阪大学神経内科)のレジス トリーを運用している.また他の希少な遺伝性筋疾患レジ ストリーも準備中である.臨床試験の計画及び実施の際に 必要となる対象者の地域分布等の疫学情報,自然歴情報の解 析,また効率的な試験参加者のリクルートに関する登録者へ の正確な情報提供を実施している.実際のリクルートのた めには筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク MDCTNの 整備がきわめて重要であり,国内での治験・臨床試験の実施 に大きく貢献している.今後,新薬の申請の際に対照群とし て活用することができる自然歴データや,承認後の安全性評 価のための市販後調査に資するデータベース構築が課題で あり,国内でもクリニカルイノベーション・ネットワーク構 想の一環として検討がはじまった.我々の取り組みは,我が 国における希少難病の臨床研究基盤整備のモデルを提示し ており,治験・臨床試験が検討されている難病に広く展開す ることが期待されている.
《略歴》1993年 熊本大学医学部 卒業,熊本大学第一内科 入局 1995年 水俣市立総合医療センター 内科・神経内科 2001年 熊本大学大学院医学研究科(神経内科) 修了 2002年 ワシントン大学神経学 シニアフェロー 2005年 帰国,熊本大学医学部附属病院 神経内科 医員 2008年 同 助教
2011年 から現職.神経・筋疾患患者登録Remudy事務局,筋ジスト ロフィー臨床研究登録班班長
S-12-3
希少神経難病患者が専門医療と地域医療 に望むこと
NPO法人 ALDの未来を考える会
○木村勝行
平成27年1月1日施行の「難病患者に対する医療等に関する法律」によ り,対象疾患が56から300疾患まで拡大し,希少難病患者数が増加した ことに伴い,病状をサポートする専門医療や在宅療養をサポートする 地域医療における課題を明らかし,改善を図る必要性が高まっていま す.
まず,専門医療においては,病状が進行し対処療法に頼らざるを得な い実情を改善するための根本的な治療法の開発・病態解明が望まれま す.これらの実現に向けて,臨床研究の内容や進捗状況を知りたい患 者も多く存在しており,臨床研究に積極的に協力する意思は持つ患者 も存在しています.また,希少難病ゆえに同じ疾患の患者と巡り合う 機会が少ないことから,他の患者はどのような症状でどのような治療 を受けているのか等の情報を必要とする患者も存在しています.特に,
急性期の患者が治療法を選択する際には,必要不可欠な情報ではない かと思われます.
次に,地域医療においては,リハビリテーションや介護サービスの充 実が望まれます.総じての傾向として,重度身体不自由者(児)の短期 入所施設やリハビリ施設がない,施設があっても満床のため受け入れ てもらえない,希望する回数を利用できない,医療的ケアが必要になる とヘルパーの受け入れが難しくなる等により,介護者である家族に負 担がかかっているのが実情です.また,サービスを受ける頻度や回数 が場所によって異なり,規模が大きい都市の方がサービスを受ける機 会に恵まれる傾向にあり,地域間格差をなくすことも望まれます.
専門医療・地域医療に共通して望むこととしては,希少難病患者の医 療情報を全国の医療機関で共有できる難病医療支援ネットワークの構 築があげられます.専門医療機関は都市部に立地しており,地域に住 む患者は長時間かけて都市部の専門医療機関まで通院し,緊急時でも 遠く離れた専門医療機関まで救急搬送されることも少なくありません.
難病医療支援ネットワークが構築されれば,将来的には地域の医療機 関で専門医療を受けることも期待でき,全国の希少難病の症例が集積 されるとともに,希少難病患者をサポートする地域の医療・福祉関係者 へ医療情報を提供することも可能になります.希少難病患者のQOL向 上のためにも,難病医療支援ネットワークが早期に実現されることが 望まれます.
《略歴》1989年大阪府立大卒業後,国内大手コンサルティングファームや国内 大手監査法人に所属し,上場企業や医療機関を対象に,組織人事・財 務会計・情報システム&ネットワークに関するアドバイザリー業務・
法定監査業務に従事.
現在は,デロイトトーマツグループの監査法人に所属し,上場企業・
医療機関・国公立大学法人を対象に,財務会計・情報システム&ネッ トワークに関する法定監査業務・アドバイザリー業務に従事.
2012年4月より,ALDに罹患する男子の親として,NPO法人ALDの未 来を考える会の患者支援事業に関わっており,関西エリアを中心に活 動している.
シンポジウム S-12:難病法制定後の極めて希少な神経難病の医療提供を 考える
5月20日(金) 8:00~10:00 第9会場(ポートピアホテル偕楽3本館B1F)
290 -シン
ポジ ウム
S-12-4
世界の希少難病対策の現状
1国立保健医療科学院国際協力研究部客員研究 員,2磐田市立総合病院 神経内科,3国立保健医 療科学院研究情報支援研究センター
○川島(児玉)知子1,2,水島 洋3
希少性ゆえに治療や医薬品開発が進まない難病領域においては,
近年国際連携による病態把握や医薬品開発への動きが一層高まっ ている.国内難病対策は1972年の「難病対策要綱」に基づき,調査 研究,医療施設整備や医療費負担の軽減,福祉の充実やQOL向上を 目指した総合的施策として世界に先駆けて推進されてきた.2014 年5月に成立した難病法(「難病の患者に対する医療等に関する法 律」2015年1月1日施行)では,難病の患者に対する医療費助成に関 して公平かつ安定的な制度を確立するほか,基本方針の策定,調査 及び研究の推進,療養生活環境整備事業の実施等の措置を講ずるこ とが趣旨とされる.海外では希少医薬品関連法規の整備を背景に,
1989年に米国NIHに希少疾患対策室が発足(現在National Center for Advancing Translational Sciences (NCATS)に属す),欧州でも 1999年にEU 加盟国の優先課題として国家プラン策定,Orphanetに よる疾患・治療ケア・研究開発情報の一元化が推進されてきた.
2011年には国際希少疾患研究コンソーシアム(IRDiRC)が発足し,
今後の希少(難病)疾患治療戦略として,世界各国との共同研究に よって症例の数を集積し,国際規模で治療開発を進める体制が構築 された.日本からは2015年4月に発足した国立研究開発法人日本医 療研究開発機構(AMED)が7月30日付で加盟し,臨床試験におけ る環境や枠組み,情報の共有ルールの取り決め等について議論に加 わる予定となっている.一方で,世界の極希少難病疾患対策では,
治療開発と併せて患者の遺伝情報を扱うカウンセリングや社会生 活を支援する福祉的側面も重要視されており,国際的には日本の難 病施策も北欧諸国の施策と並んで注視されている.極希少疾患に おいては各患者団体規模拡大に限界があるため,欧米ではNORD (National Organization for Rare Disorders) や European Organization for Rare Diseases (EURORDIS) が中心となって研究 開発へのパートナーシップを確立している.
《略歴》医師,医学博士,公衆衛生学修士
Tomoko Kodama_Kawashima, MD, PhD, MPH
平成 7 年 鹿児島大学医学部卒業,同医学研究科入学(第三内科)
平成 9 年 同大学 公衆衛生学教室へ学内留学
平成12年 同上大学院医学研究科において単位取得後退学(平成14年学位 平成12年 国立療養所南九州病院勤務(内科・神経内科)取得)
平成15年 英国熱帯医学公衆衛生大学院留学
平成17年 厚生労働省 国立保健医療科学院 政策科学部 主任研究官,
以降は同部計画科学室長(H18-19),人材育成部国際保健人材室 長(H20-21),国際協力研究部上席主任研究官(H22-)を経て,現 在同部にて客員研究員.平成22年度厚生労働科学研究費補助 金難治性疾患克服研究事業・事業官を務め,希少難治性疾患研 究および治療開発に関する米国NIHおよび欧州(EU)との国際 連携を担当.(H26年~磐田市立総合病院神経内科(非常勤))
シンポジウム S-12:難病法制定後の極めて希少な神経難病の医療提供を 考える
5月20日(金) 8:00~10:00 第9会場(ポートピアホテル偕楽3本館B1F)
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