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5月19日(木) 8:00~10:00 第3会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室B)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 142-145)

座長:

下濱 俊(札幌医科大学医学部 神経内科学講座) 羽生春夫(東京医科大学病院 高齢診療科)

≪ねらい≫

本シンポジウムでは,認知症原因の約80%を占める3大変 性認知症疾患(AD,DLB,FTD)の病態について4つの異な る学際的アプローチによる最新の研究成果を基に討論する.

まず,臨床症候学の立場から各疾患の特徴について血液・脳 脊髄液バイオマーカーの研究成果を含めて議論する.次に,

急速に発展している形態画像・機能画像・バイオマーカーイ メージング解析による各疾患の特徴について議論する.認 知症の病因・病態機序の理解は,単一遺伝子疾患の病因遺伝 子の解明により飛躍的に進歩した.さらに,次世代シーケン サーの実用化により疾患関連遺伝子の探索が急速に進めら れている.そこで,ゲノム・遺伝学の立場から3大変性認知 症をどのように理解するか議論する.最後に,臨床病理の立 場から各疾患の病理像がいかに臨床症候学,神経画像,およ び疾患原因・関連遺伝子と関連しているか,また,合併病理 をどのように評価するかについて議論する.

共催:日本認知症学会

S-06-1

臨床症候学の立場から: 血液・脳脊髄液 バイオマーカーの研究成果を含めて

京都府立医科大学病院 分子脳病態解析学(神 経内科学併任)

○徳田隆彦

アルツハイマー病(AD),レヴィ小体型認知症(DLB),前頭側頭型認知症 (FTD)などの脳疾患によって出現する臨床症候は,その病理学的な原因にかか わらず,脳病理の局在によって規定されている.したがって,典型的なADでは,

その初期病変である内側側頭葉病変に対応して,近時記憶の障害(MMSEでの遅 延再生の障害など)で発症することが多く,病変が側頭頭頂連合野や前頭連合野 などの新皮質に進展するにしたがい,高次機能障害や実行機能障害が出現してく る.DLBでは,ADと比較して初期には記憶障害は軽度である場合が多いが,こ れは初期にはADよりも内側側頭葉病変が軽いことに対応している.DLBにみら れる認知機能障害や精神症状は,大脳辺縁系のレヴィ小体の出現に関連している と考えられるが,DLBでは多くの場合,ADにみられるアミロイド沈着や神経原 線維変化を伴っていることが多く,これらも認知機能障害を悪化させる原因と なっている.ADと比較する上でのDLBの特徴は,初期から精神症状が見られる 頻度が高いことであり,とくに幻視は診断基準においても中核的特徴となってい る重要な徴候である.幻視の出現機序としては,DLBでは錯視の頻度も高く,ま た特徴的な後頭葉の脳血流低下が認められることからも,大脳における視覚情報 処理の障害が背景にあると考えられている.FTDは,当初は,古典的なピック病 をそのプロトタイプとして,人格変化・病識の欠如・脱抑制などで発症し,病理 学的には前頭葉および側頭葉前方部に病変の首座がある非AD型の変性性認知症 として提唱されたが,現在では,進行性流暢性失語(PNFA)や意味性認知症(SD)

を 加 え た 臨 床 症 候 群 で あ る 前 頭 側 頭 葉 変 性 症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)の下位分類の一病型としてまとめられており,FTD,

PNFA,SDは脳の変性・萎縮部位に対応した臨床症候群である.FTDでは,その 病変の首座が前頭葉・側頭葉に存在することから,病識の欠如・常同行動・脱抑 制・注意の転動性の亢進・被影響性の亢進・無関心,自発性の低下・食行動異常 などの臨床症状で特徴づけられる.

本講演では,シンポジウム全体のイントロダクションもかねて,上記のような それぞれの症候学的な特徴を紹介し,また,最近の血液・脳脊髄液バイオマーカー 研究の成果についても概説したい.

《略歴》1978年 京都教育大学教育学部附属高校卒業

1984年 信州大学医学部卒業,信州大学医学部附属病院・研修医(第三内科: 柳 澤信夫教授)

1992年 信州大学医学部附属病院・助手(第三内科) 1993年 東京都精神医学総合研究所・客員研究員(~1995)

1997年 NY大学病理学講座(B.Frangione教授)postdoctoral fellow(~1999) 2001年 信州大学医学部附属病院・専任講師(第三内科)

2002年 信州大学加齢適応研究センター・助教授 2005年 京都府立医科大学神経内科学・講師

2011年 京都府立医科大学分子脳病態解析学(神経内科学併任)・准教授 2014年 京都府立医科大学分子脳病態解析学・教授

所属学会日本神経学会(認定専門医・代議員),日本認知症学会(認定専門医・評議員・指 導医),日本内科学会(認定内科医・認定内科専門医),日本正常圧水頭症学会 (理事),日本神経治療学会,MDS(Movement Disorder Society Japan) 趣味・特技

空手(日本空手協会公認初段),スキー(京都府立医科大学病院スキー・スノー ボード部代表)

シンポジウム S-06:3大変性認知症疾患(AD,DLB,FTD)の病態解明に

座長:

下濱 俊(札幌医科大学医学部 神経内科学講座) 羽生春夫(東京医科大学病院 高齢診療科)

≪ねらい≫

本シンポジウムでは,認知症原因の約80%を占める3大変 性認知症疾患(AD,DLB,FTD)の病態について4つの異な る学際的アプローチによる最新の研究成果を基に討論する.

まず,臨床症候学の立場から各疾患の特徴について血液・脳 脊髄液バイオマーカーの研究成果を含めて議論する.次に,

急速に発展している形態画像・機能画像・バイオマーカーイ メージング解析による各疾患の特徴について議論する.認 知症の病因・病態機序の理解は,単一遺伝子疾患の病因遺伝 子の解明により飛躍的に進歩した.さらに,次世代シーケン サーの実用化により疾患関連遺伝子の探索が急速に進めら れている.そこで,ゲノム・遺伝学の立場から3大変性認知 症をどのように理解するか議論する.最後に,臨床病理の立 場から各疾患の病理像がいかに臨床症候学,神経画像,およ び疾患原因・関連遺伝子と関連しているか,また,合併病理 をどのように評価するかについて議論する.

共催:日本認知症学会

S-06-1

臨床症候学の立場から: 血液・脳脊髄液 バイオマーカーの研究成果を含めて

京都府立医科大学病院 分子脳病態解析学(神 経内科学併任)

○徳田隆彦

アルツハイマー病(AD),レヴィ小体型認知症(DLB),前頭側頭型認知症 (FTD)などの脳疾患によって出現する臨床症候は,その病理学的な原因にかか わらず,脳病理の局在によって規定されている.したがって,典型的なADでは,

その初期病変である内側側頭葉病変に対応して,近時記憶の障害(MMSEでの遅 延再生の障害など)で発症することが多く,病変が側頭頭頂連合野や前頭連合野 などの新皮質に進展するにしたがい,高次機能障害や実行機能障害が出現してく る.DLBでは,ADと比較して初期には記憶障害は軽度である場合が多いが,こ れは初期にはADよりも内側側頭葉病変が軽いことに対応している.DLBにみら れる認知機能障害や精神症状は,大脳辺縁系のレヴィ小体の出現に関連している と考えられるが,DLBでは多くの場合,ADにみられるアミロイド沈着や神経原 線維変化を伴っていることが多く,これらも認知機能障害を悪化させる原因と なっている.ADと比較する上でのDLBの特徴は,初期から精神症状が見られる 頻度が高いことであり,とくに幻視は診断基準においても中核的特徴となってい る重要な徴候である.幻視の出現機序としては,DLBでは錯視の頻度も高く,ま た特徴的な後頭葉の脳血流低下が認められることからも,大脳における視覚情報 処理の障害が背景にあると考えられている.FTDは,当初は,古典的なピック病 をそのプロトタイプとして,人格変化・病識の欠如・脱抑制などで発症し,病理 学的には前頭葉および側頭葉前方部に病変の首座がある非AD型の変性性認知症 として提唱されたが,現在では,進行性流暢性失語(PNFA)や意味性認知症(SD)

を 加 え た 臨 床 症 候 群 で あ る 前 頭 側 頭 葉 変 性 症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)の下位分類の一病型としてまとめられており,FTD,

PNFA,SDは脳の変性・萎縮部位に対応した臨床症候群である.FTDでは,その 病変の首座が前頭葉・側頭葉に存在することから,病識の欠如・常同行動・脱抑 制・注意の転動性の亢進・被影響性の亢進・無関心,自発性の低下・食行動異常 などの臨床症状で特徴づけられる.

本講演では,シンポジウム全体のイントロダクションもかねて,上記のような それぞれの症候学的な特徴を紹介し,また,最近の血液・脳脊髄液バイオマーカー 研究の成果についても概説したい.

《略歴》1978年 京都教育大学教育学部附属高校卒業

1984年 信州大学医学部卒業,信州大学医学部附属病院・研修医(第三内科: 柳 澤信夫教授)

1992年 信州大学医学部附属病院・助手(第三内科) 1993年 東京都精神医学総合研究所・客員研究員(~1995)

1997年 NY大学病理学講座(B.Frangione教授)postdoctoral fellow(~1999) 2001年 信州大学医学部附属病院・専任講師(第三内科)

2002年 信州大学加齢適応研究センター・助教授 2005年 京都府立医科大学神経内科学・講師

2011年 京都府立医科大学分子脳病態解析学(神経内科学併任)・准教授 2014年 京都府立医科大学分子脳病態解析学・教授

所属学会日本神経学会(認定専門医・代議員),日本認知症学会(認定専門医・評議員・指 導医),日本内科学会(認定内科医・認定内科専門医),日本正常圧水頭症学会 (理事),日本神経治療学会,MDS(Movement Disorder Society Japan) 趣味・特技

空手(日本空手協会公認初段),スキー(京都府立医科大学病院スキー・スノー ボード部代表)

シンポジウム S-06:3大変性認知症疾患(AD,DLB,FTD)の病態解明に 対する学際的アプローチ

5月19日(木) 8:00~10:00 第3会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室B)

270 -シン

ポジ ウム

S-06-2

神経画像の立場から

東京都健康長寿医療センター 神経画像研究 チーム

○石井賢二

潜行性に発症し緩徐に進行する変性疾患を正確に診断するためには,

臨床症状だけでなく,客観的な病態指標の裏付けが必要となる.AD,

DLB,FTDの最新の臨床診断基準では,何れも神経画像所見に重要な 位置付けが与えられている.

一般診療や臨床研究で広く用いられてきた形態画像(X線CT,MRI)

や機能画像(脳血流SPECT,FDG-PET)は,脳血管障害などの他の病 態を鑑別するとともに,萎縮や血流代謝低下所見に基づいて神経障害 の分布と程度を推定することが可能であり,診断とステージングの最 も基本的な情報となる.統計画像法や形態解析法の進歩により,定量 的な取り扱いや集団での評価が可能となり,進展リスク評価や介入効 果判定に用いることも出来るようになった.

これに加え,いくつかの病態特異的な画像診断が近年実用化して,早 期病態の理解や根本治療薬開発に向けた研究が加速している.アミロ イドイメージングは,ADの潜行期・前臨床期に始まる線維型アミロイ ドβの脳内沈着を非侵襲的に可視化できる技術であり,実用的なPET 用診断薬[11C]PiBの登場以来,臨床研究に広く用いられ,ADの早期病 態探索や病態修飾薬開発に欠かせない診断技術となった.[18F]標識の 普及型診断薬も開発され,その臨床的意義も確立しつつある.また,こ こ数年でタウ蛋白病変を可視化できる診断薬が複数登場し,その臨床 知見も急速に蓄積されつつある.タウイメージングはADのみならず FTDの主要な原因であるタウオパチーの病態理解や治療薬開発への応 用も期待される.また,primary age related tauopathy (PART)や異常 蛋白の播種(spreading)が話題となっているが,これらを組み込んだ 病態仮説の構築と検証が,アミロイド/タウイメージングを基軸に行 うことができるのではないかとも期待される.Lewy小体病理と相関の 高い123I-MIBG心筋シンチや,黒質変性の指標となるドパミントランス ポーター(DAT)SPECTが利用可能となり,DLBや黒質変性を伴う FTDの早期病態評価が可能になった.更に,機能的MRI(fMRI)を用 いて検出される脳機能ネットワークは,早期の機能評価のみならず,変 性病態の進展との関わりも指摘され,注目されている.

本講演では3大変性認知症疾患の病態理解におけるこれら神経画像の 役割について,その現状と展望を概説する.

《略歴》東京都健康長寿医療センター研究所 神経画像研究チーム チームリー ダー・研究部長

1985年京都大学医学部卒業.京都大学神経内科,東京都老人医療センター 神経内科勤務を経て,1990年より東京都老人総合研究所ポジトロン医学研 究施設勤務.1997-1999年米国立衛生研究所NINDS客員科学者.2004年よ り東京都老人総合研究所附属診療所長,研究副部長.2009年より現職.

ポジトロンCTを用いて,脳の加齢研究や様々な神経疾患の病態研究,診断 法の開発に携わってきた.J-ADNI/J-ADNI2/AMEDプレクリニカル研 究/DIAN-JapanアミロイドPETコア,H19-25年度厚生労働省アミロイド イメージング研究班長.専門は,神経内科学,脳核医学.

S-06-3

ゲノム・遺伝子からみた認知症の病態解

新潟大学脳研究所 生命科学リソース研究セン ター

○池内 健

変性性認知症は先天的因子と後天的因子が複合的に関与し発症に至る.遺伝 的要因は先天的因子の代表であり,ほぼすべての変性性認知症の病態に関与す る.遺伝子の変化が最も強く寄与するのはメンデル遺伝形式をとる遺伝性認知 症であり,遺伝子変異の有無が認知症の発症を直接的に規定する.家族性アルツ ハイマー病(AD)の原因遺伝子はAPP,PSEN1,PSEN2である.家族性前頭側 頭型変性症(FTLD)の原因遺伝子としはMAPT,GRN,CHMP2B,VCP,

C9orf72が同定されている.本邦ではMAPT変異による家族性FTLDが多い

(Kasuga et al. 2015).家族性レビー小体型認知症の原因遺伝子としてはSNCAが 知られており,我々は p.G51D変異を報告した(Tokutake et al. 2014).家族性認 知症の原因遺伝子は,それ自身がコードするタンパクが脳内に病的に蓄積したり

(タウやαシヌクレイン),認知症の病態に直接的に関与することが多い.そのた め変性性認知症は,比較的頻度が少ない遺伝性認知症をモデルとして,その病態 の理解が進められてきたという経緯がある.

一方,大多数を占める孤発性認知症においても遺伝的要因が関与する.ADに おけるAPOEε4は重要な遺伝的因子であり,本邦の孤発性ADの約半数は APOEε4陽性である(Miyashita et al. 2014).AD発症におけるAPOEの役割を 理解することは極めて本質的であると思われるが,その機序については未だ十分 に解明されていない.APOEε4アレル保因者は無症候の段階で脳内アミロイド 蓄積の早発化が生じる.我々は,認知機能が正常な段階から脳脊髄液アミロイド β42値にAPOE多型が強い影響を与えることを見出している.APOE以外の孤 発性ADのリスク遺伝子としてSORL1/LR11を日本人を含む多人種において 我々は報告した(Miyashita et al. 2013).興味深いことに,SORL1/LR11はApoE と相互作用し,SORL1/LR11を介したアミロイドβの細胞内への取り込みが ApoE多型により異なることを我々は見いだしている(Yajima et al. 2015).

網羅的なゲノムDNA配列情報が得られる次世代シーケンサを用いた解析によ り低頻度バリアントが孤発性認知症のリスクとなることが最近相次いで報告さ れている.低頻度バリアントを呈する新たなリスク遺伝子は従来のパラダイム では検出できなかったものであり,認知症の新たな病態機序を開拓できる可能性 がある.本講演では分子遺伝学の新しい知見に基づいた変性性認知症の病態解 明について議論する.

《略歴》平成 3 年 新潟大学医学部卒業

平成 5 年 新潟大学医学部付属病院神経内科レジデント 平成10年 日本学術振興会特別研究員

平成12年 新潟大学大学院医学研究科博士過程修了(医学博士)

平成12年 シカゴ大学 博士研究員(日本学術振興会海外特別研究員)

平成15年 新潟大学医歯学総合病院 助手 平成16年 新潟大学脳研究所助手 平成17年 新潟大学脳研究所助教

平成20年 文部科学省研究振興局学術調査官(併任)

平成22年 新潟大学研究推進機構准教授

平成25年 新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター教授 主な学会活動

日本神経学会(専門医・代議員),日本認知症学会(専門医・評議員),

日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医)

シンポジウム S-06:3大変性認知症疾患(AD,DLB,FTD)の病態解明に 対する学際的アプローチ

5月19日(木) 8:00~10:00 第3会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室B)

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-シン ポジ ウム

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 142-145)

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