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5月19日(木) 15:15~16:55 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 155-158)

283

-シン ポジ ウム

S-10-2

レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder)

公立陶生病院 神経内科

○小栗卓也

レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder, RBD)

は,レム睡眠中の夢内容に一致した荒々しい行動を特徴とす る睡眠関連疾患である.夢内容は情動変化をともなう性質 であることが多く,それに応じて行動内容も寝言や叫び声か ら,布団を手足で跳ねのけたり,立ち上がって徘徊する等ま で様々である.診断には詳細な問診でこれらを確認すると ともに,睡眠ポリグラフ検査(PSG)で“筋活動低下を伴わな いレム睡眠(REM sleep without atonia, RWA)”を証明する ことが必須である.薬物治療はクロナゼパムが第一選択で ある.RBDはレム睡眠期にみられるパラソムニア(睡眠時 随伴症)のひとつであるが,鑑別すべき病態としてノンレム 睡眠からの覚醒時にみられるパラソムニア,てんかん発作,

睡眠呼吸障害などがある.問診聴取やPSG実施時には,これ らを念頭において進めていく.最近は,PSGの表面筋電図の 配置や解析法を工夫して診断精度を高める試みがなされて いる.なお激しい異常行動を呈しうる患者のPSG実施時は,

怪我をしないよう入念な準備が望まれる.RBDの治療では,

単純に薬物で夜間異常行動をコントロールするのみに留ま らない.症例によってはベッドパートナーが怪我を負って いたり,家族から「人格が変わってしまった」と思い込まれ ている場合もある.よって夜間異常行動のために患者・家族 らが被る心理的不利益にも目を向けて対応していく必要が ある.本講演では,神経内科医が抑えておきたいRBDの診 療方法について最近の知見を交え概説する.さらに睡眠医 学がいかにプライマリケアから脳生理を見通せる学問領域 であるかを知っていただく機会としたい.

《略歴》2000年 名古屋市立大学医学部卒

2000-05年 公立陶生病院研修医・神経内科医員 2005-06年 名古屋市立大学神経内科医員

2006-08年 京都大学脳機能総合研究センター研究員/関西電力病院 睡眠関連疾患センターにて研修

2009-14年 名古屋市立大学神経内科臨床研究医・特任助教 2014年- 公立陶生病院神経内科部長

認定:- 日本神経学会専門医・指導医

- WASM(World Association of Sleep Medicine)睡眠専門医 - RPSGT(Registered Polysomnographic Technologist; 米国睡眠技士

協会認定技士)

- RST(Registered Sleep Technologist; 米国睡眠医学認定委員会認定 技士)

S-10-3

ナルコレプシーとその類縁疾患

大阪回生病院 睡眠医療センター

○大倉睦美

ナルコレプシーは,昼間の眠気を主症状とする過眠症の一つである.

過眠症としては睡眠関連疾患国際分類より,ナルコレプシー(type1 type2)以外に特発性過眠症 Kleine-Levvin Sndrome 睡眠不足症候 群などがあるが,その病態の差異や診断方法がどのように行われてい るかということを経験する神経内科医は少ない.

閉塞性睡眠時無呼吸が一般にも知られる病気となり,以前より「睡眠」

を取り扱う施設が多くなったが,眠気=無呼吸という認識が広まったた めに眠気を主訴とすると,「無呼吸」を扱っている診療科に回されるこ とが多く,とりあえず無呼吸の検査を行い,正常範囲や軽症であればそ のまま確定診断をされずに終わってしまう症例がまれならず存在する.

本来は眠気の鑑別を行い,総合的に眠気―睡眠を取り扱うことが望ま しい.

ナルコレプシーはtype1においてはhypocretin-1の低下の関与が2000 年に判明し,そ

の病態生理の解明も徐々になされてきている神経疾患である.しか し神経学的所見をとり,解剖学的に異常な局所を推定し,臨床経過も踏 まえ病因を考え,診断にいたるための検査を考えていくという通常の 方法では診断に結びつきにくい.さらには睡眠の検査をすぐに行えな いということが,過眠症を神経内科で診断治療を行うことが少ない要 因となっている.実際の過眠症の診療では詳細な問診が重要であり,

典型的なnarcolepsy type1であればある程度診断は問診をもって可能で ある.主症状はあくまで眠気であり,意識障害ではないこと,もう一つ の特徴的な症状である情動脱力発作(cataplexy)は情動の変化を契機 をした脱力で,意識減損は通常伴わないこと等問診する上で必ず押さ えておくべきポイントがある.さらには睡眠不足の関与は病名にかか わらず多くの症例であり,睡眠習慣の聴取が必須であり,複合因子とし て眠気をとらえる視点を要する.

本講演では,実際の過眠症鑑別の診療方法,検査について紹介すると ともに,現時点で判明している病態生理,今後何故神経内科医が扱うべ き疾患であるのかその魅力も知っていただけたらと考えている.

《略歴》平成3年神戸大学医学部医学科卒業

兵庫県立尼崎病院内科・神経内科にて研修 専攻医

兵庫県立高齢者脳機能研究センター附属病院神経内科にて認知症診 療・神経心理学を学ぶ

神戸大学大学院医学研究科神経情報学講座にてセロトニントランス ポーターの研究

米国スタンフォード大学医学部精神行動科学科 ナルコレプシーセン ターにてポストドクトラルフェローとして主にナルコレプシー犬とと もにナルコレプシーにおけるdopaminergic systemの役割について 研究 Stanford大学のsleep centerとの合同カンファレンスで睡眠 医療の存在を知る

神戸市立中央市民病院神経内科を経て

大阪府立健康科学センターにて睡眠医療のてほどきを受け 平成14年より大阪回生病院睡眠医療センターにて睡眠医療に従事

シンポジウム S-10:神経内科のsubspecialtyとして押さえておきたい睡眠 関連疾患

5月19日(木) 15:15~16:55 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

シン ポジ ウム

S-10-2

レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder)

公立陶生病院 神経内科

○小栗卓也

レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder, RBD)

は,レム睡眠中の夢内容に一致した荒々しい行動を特徴とす る睡眠関連疾患である.夢内容は情動変化をともなう性質 であることが多く,それに応じて行動内容も寝言や叫び声か ら,布団を手足で跳ねのけたり,立ち上がって徘徊する等ま で様々である.診断には詳細な問診でこれらを確認すると ともに,睡眠ポリグラフ検査(PSG)で“筋活動低下を伴わな いレム睡眠(REM sleep without atonia, RWA)”を証明する ことが必須である.薬物治療はクロナゼパムが第一選択で ある.RBDはレム睡眠期にみられるパラソムニア(睡眠時 随伴症)のひとつであるが,鑑別すべき病態としてノンレム 睡眠からの覚醒時にみられるパラソムニア,てんかん発作,

睡眠呼吸障害などがある.問診聴取やPSG実施時には,これ らを念頭において進めていく.最近は,PSGの表面筋電図の 配置や解析法を工夫して診断精度を高める試みがなされて いる.なお激しい異常行動を呈しうる患者のPSG実施時は,

怪我をしないよう入念な準備が望まれる.RBDの治療では,

単純に薬物で夜間異常行動をコントロールするのみに留ま らない.症例によってはベッドパートナーが怪我を負って いたり,家族から「人格が変わってしまった」と思い込まれ ている場合もある.よって夜間異常行動のために患者・家族 らが被る心理的不利益にも目を向けて対応していく必要が ある.本講演では,神経内科医が抑えておきたいRBDの診 療方法について最近の知見を交え概説する.さらに睡眠医 学がいかにプライマリケアから脳生理を見通せる学問領域 であるかを知っていただく機会としたい.

《略歴》2000年 名古屋市立大学医学部卒

2000-05年 公立陶生病院研修医・神経内科医員 2005-06年 名古屋市立大学神経内科医員

2006-08年 京都大学脳機能総合研究センター研究員/関西電力病院 睡眠関連疾患センターにて研修

2009-14年 名古屋市立大学神経内科臨床研究医・特任助教 2014年- 公立陶生病院神経内科部長

認定:- 日本神経学会専門医・指導医

- WASM(World Association of Sleep Medicine)睡眠専門医 - RPSGT(Registered Polysomnographic Technologist; 米国睡眠技士

協会認定技士)

- RST(Registered Sleep Technologist; 米国睡眠医学認定委員会認定 技士)

S-10-3

ナルコレプシーとその類縁疾患

大阪回生病院 睡眠医療センター

○大倉睦美

ナルコレプシーは,昼間の眠気を主症状とする過眠症の一つである.

過眠症としては睡眠関連疾患国際分類より,ナルコレプシー(type1 type2)以外に特発性過眠症 Kleine-Levvin Sndrome 睡眠不足症候 群などがあるが,その病態の差異や診断方法がどのように行われてい るかということを経験する神経内科医は少ない.

閉塞性睡眠時無呼吸が一般にも知られる病気となり,以前より「睡眠」

を取り扱う施設が多くなったが,眠気=無呼吸という認識が広まったた めに眠気を主訴とすると,「無呼吸」を扱っている診療科に回されるこ とが多く,とりあえず無呼吸の検査を行い,正常範囲や軽症であればそ のまま確定診断をされずに終わってしまう症例がまれならず存在する.

本来は眠気の鑑別を行い,総合的に眠気―睡眠を取り扱うことが望ま しい.

ナルコレプシーはtype1においてはhypocretin-1の低下の関与が2000 年に判明し,そ

の病態生理の解明も徐々になされてきている神経疾患である.しか し神経学的所見をとり,解剖学的に異常な局所を推定し,臨床経過も踏 まえ病因を考え,診断にいたるための検査を考えていくという通常の 方法では診断に結びつきにくい.さらには睡眠の検査をすぐに行えな いということが,過眠症を神経内科で診断治療を行うことが少ない要 因となっている.実際の過眠症の診療では詳細な問診が重要であり,

典型的なnarcolepsy type1であればある程度診断は問診をもって可能で ある.主症状はあくまで眠気であり,意識障害ではないこと,もう一つ の特徴的な症状である情動脱力発作(cataplexy)は情動の変化を契機 をした脱力で,意識減損は通常伴わないこと等問診する上で必ず押さ えておくべきポイントがある.さらには睡眠不足の関与は病名にかか わらず多くの症例であり,睡眠習慣の聴取が必須であり,複合因子とし て眠気をとらえる視点を要する.

本講演では,実際の過眠症鑑別の診療方法,検査について紹介すると ともに,現時点で判明している病態生理,今後何故神経内科医が扱うべ き疾患であるのかその魅力も知っていただけたらと考えている.

《略歴》平成3年神戸大学医学部医学科卒業

兵庫県立尼崎病院内科・神経内科にて研修 専攻医

兵庫県立高齢者脳機能研究センター附属病院神経内科にて認知症診 療・神経心理学を学ぶ

神戸大学大学院医学研究科神経情報学講座にてセロトニントランス ポーターの研究

米国スタンフォード大学医学部精神行動科学科 ナルコレプシーセン ターにてポストドクトラルフェローとして主にナルコレプシー犬とと もにナルコレプシーにおけるdopaminergic systemの役割について 研究 Stanford大学のsleep centerとの合同カンファレンスで睡眠 医療の存在を知る

神戸市立中央市民病院神経内科を経て

大阪府立健康科学センターにて睡眠医療のてほどきを受け 平成14年より大阪回生病院睡眠医療センターにて睡眠医療に従事

シンポジウム S-10:神経内科のsubspecialtyとして押さえておきたい睡眠 関連疾患

5月19日(木) 15:15~16:55 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

284 -シン

ポジ ウム

S-10-4

神経内科における睡眠問題への対応―睡 眠医学のシステムアプローチ

1関西電力医学研究所睡眠医学研究部,2関西電 力病院睡眠関連疾患センター

○立花直子1,2

日本では睡眠は神経内科において市民権を得ておらず,睡眠時無 呼吸症候群(sleep apnea syndrome, SAS)の有病率が群を抜いて高 いため,「睡眠」を前面に出して対応している施設の大多数は呼吸 器科や耳鼻咽喉科を主体としたSASクリニックもしくはラボであ る.したがって,専門外来を開設していない限り,睡眠に関係する 主訴(眠れない,朝起きられない,起きておくべき時間に眠くて困っ ている,睡眠中に変な行動がある,いびきや無呼吸がある)のみを 理由として患者が一般神経内科外来を受診することは少ない.た とえそういった患者が神経内科を受診したとしても睡眠検査の ゴ ー ル ド ス タ ン ダ ー ド で あ る 常 時 監 視 睡 眠 ポ リ グ ラ フ 検 査

(polysomnography, PSG)を実施できる施設はほとんどないため,

近隣の睡眠ラボやセンターに紹介してしまうことで完結させてい るものと思われる.

さらに神経内科医にとって睡眠に取り組みにくい理由は,手軽に 検査ができないことに加え,睡眠問題を扱う場合,症状や徴候から 局在診断をするという古典的神経学の手法が役に立たないところ にある.しかし,一方では睡眠は慢性もしくは緩徐進行性の種々の 神経疾患のQOLを左右する大きな要素であり,神経内科の日常臨 床の中で無視できない部分である.

睡眠問題について可能な限り原因に即した対応ができることが 理想であるが,睡眠のメカニズムはまだ十分に解明されておらず,

原因の鑑別診断をしていくという通常の医学的方法論は現場では あまり役にたたない.一般的にも不眠や過度の眠気の原因は多因 子であり,そのすべてに目を配りながら対応できることが理想であ るが,その方法論は十分には確立していない.したがって,当講演 では睡眠と覚醒とをシステムとして把握するやり方を紹介し,各々 の患者についてこのシステムの中のどの要素が侵されているかを 推測しながら介入可能なものに関与し,その経過を見ながら軌道修 正するやり方を提案したい.

《略歴》大阪生まれの大阪育ち.1983年大阪大学医学部卒業.当初,大阪大学医学部付 属病院神経科精神科医員(研修医),大阪府立公衆衛生研究所精神衛生部,大阪 府立成人病センター脳神経科レジデントなどに勤務する傍ら,夜は大阪大学精 神医学教室の睡眠脳波研究室にて睡眠研究に従事していた.1989年に渡英,

1990年ロンドン大学修士課程(神経科学専攻)修了.ロンドン大学付属神経学 研究所客員研究員を経たあと帰国し,1992年に京都大学大学院医学研究科博士 課程(脳統御学専攻)入学,1996年に同終了.

1995年7-9月および1996年7-9月スタンフォード大学睡眠障害センターリサー チ・フェローとして睡眠医学の臨床トレーニングを受けたことから,睡眠医学 に魅力を感じ,以来,日本における睡眠医学の確立に力を注いできた.2004年 にNPO法人大阪スリープヘルスネットワークを設立.2006年より関西電力病 院睡眠関連疾患センター長.2014年より一般社団法人日本臨床睡眠医学会理 事長.2015年より現職を兼務.現在,日本の神経内科領域で実現可能な睡眠診 療システムを模索する一方,睡眠技士(sleep technologist)や睡眠医学を志す 若手医師の教育・研修に取り組んでいる.

シンポジウム S-10:神経内科のsubspecialtyとして押さえておきたい睡眠 関連疾患

5月19日(木) 15:15~16:55 第8会場(ポートピアホテル本館B1F 偕楽2)

285

-シン ポジ ウム

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 155-158)

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