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5月18日(水) 13:15~15:15 第2会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室A)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 118-121)

座長:

松本昌泰(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 脳神 経内科学)

鈴木則宏(慶應義塾大学病院 神経内科)

≪ねらい≫

脳卒中治療ガイドライン2015が6月に発刊された.脳卒中 の一次予防,急性期治療について血圧コントロールはじめエ ビデンスに基づいた多くの改訂がなされた.脳梗塞・TIAの 分野でも血栓溶解療法について脳出血については急性期血 圧コントロールなど,くも膜下出血の領域では血管内治療に ついてなど全領域最新のエピデンスに基づいてガイドライ ンの改訂がなされた.

本シンポジウムでは,ガイドラインの改訂ポイントと改訂 後に既に展開しつつある新たなエピデンスについてディス カッションを行う.

G-01-1

脳卒中治療ガイドライン2015の改訂点と その後の展開

-脳卒中一般-東京女子医科大学病院 神経内科学

○北川一夫

2015に改訂された脳卒中治療ガイドラインでは 脳卒中一般 の項目は 管理,SCU,発症予防,地域連携の4項目に分けられ ている.管理では 脳卒中急性期に無呼吸低呼吸指数を勘案し た非侵襲的人工呼吸器管理の導入が推奨された.また神経症状 が安定している症例では発症前から服用している降圧薬などを 発症後24時間以後に再開することを考慮しても良いことなどが 推奨された.栄養に関しては 脳卒中発症後7日以上十分な経 口摂取が困難と判断された患者では発症早期から経鼻胃管によ る経腸栄養が推奨された.体位については低酸素血症 気道閉 塞 誤嚥の可能性のある症例では15-30度の頭位挙上を考慮し てよいことが記載された.発症予防の項目は危険因子の管理と ハイリスク群の管理に分類され,前者では高血圧 糖尿病 脂 質異常症 心房細動 喫煙 飲酒 炎症マーカー 後者には睡 眠時無呼吸 メタボリックシンドローム 慢性腎臓病 に分類 されている.最も変更されたのは心房細動の項目にCHADS2ス コアを指標に非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)の記載 が加わったことである.CHADS2スコア1点の場合でもNOAC による抗凝固療法が推奨されている.また高血圧の項目では後 期高齢者での管理目標が緩和され150/90mmHg未満とされてい る.また血圧変動の抑制が脳卒中予防に有効な可能性があり 血圧変動抑制の観点からカルシウム拮抗薬が推奨されている.

危険因子の項目では今回あらたに炎症マーカーが追記された.

高感度CRP濃度は血管炎症を反映するとされ アテローム血栓 症リスクの高い患者では高感度CRP濃度測定が推奨されてい る.地域連携の項目は今回あらたに追加された.市民への啓発 活動の推奨 救急隊員への病院前脳卒中評価ツールの使用 専 門医が不在の地域での遠隔医療システムの導入 病院間搬送

(Drip, Ship and Retrieve法) 急性期から回復期 慢性期にか けての切れ目のない医療を提供するための地域連携パスの活用 などが推奨されている

《略歴》昭和58年 3 月 大阪大学医学部医学科卒業

昭和58年 7 月 医員(研修医)(大阪大学医学部附属病院)

59年 7 月 医員(研修医)(国立大阪南病院)

61年 7 月 大阪大学医学部研究生 (内科学第一教室)

平成 2 年11月 米国コロンビア大学医学部研究員

5 年12月 医員(大阪大学医学部附属病院)(第一内科)

9 年10月 大阪大学助手(内科学第一教室)

18年 8 月 大阪大学医学部附属病院助手 (脳卒中センター) 19年 4 月 大阪大学大学院医学系研究科准教授(神経内科学)

22年 4 月 大阪大学医学部附属病院脳卒中センター 副センター 26年 4 月 東京女子医科大学医学部神経内科学 教授・講座主任長兼任

ガイドラインコース G-01:脳卒中治療ガイドライン2015の改訂点とその

座長:

松本昌泰(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 脳神 経内科学)

鈴木則宏(慶應義塾大学病院 神経内科)

≪ねらい≫

脳卒中治療ガイドライン2015が6月に発刊された.脳卒中 の一次予防,急性期治療について血圧コントロールはじめエ ビデンスに基づいた多くの改訂がなされた.脳梗塞・TIAの 分野でも血栓溶解療法について脳出血については急性期血 圧コントロールなど,くも膜下出血の領域では血管内治療に ついてなど全領域最新のエピデンスに基づいてガイドライ ンの改訂がなされた.

本シンポジウムでは,ガイドラインの改訂ポイントと改訂 後に既に展開しつつある新たなエピデンスについてディス カッションを行う.

G-01-1

脳卒中治療ガイドライン2015の改訂点と その後の展開

-脳卒中一般-東京女子医科大学病院 神経内科学

○北川一夫

2015に改訂された脳卒中治療ガイドラインでは 脳卒中一般 の項目は 管理,SCU,発症予防,地域連携の4項目に分けられ ている.管理では 脳卒中急性期に無呼吸低呼吸指数を勘案し た非侵襲的人工呼吸器管理の導入が推奨された.また神経症状 が安定している症例では発症前から服用している降圧薬などを 発症後24時間以後に再開することを考慮しても良いことなどが 推奨された.栄養に関しては 脳卒中発症後7日以上十分な経 口摂取が困難と判断された患者では発症早期から経鼻胃管によ る経腸栄養が推奨された.体位については低酸素血症 気道閉 塞 誤嚥の可能性のある症例では15-30度の頭位挙上を考慮し てよいことが記載された.発症予防の項目は危険因子の管理と ハイリスク群の管理に分類され,前者では高血圧 糖尿病 脂 質異常症 心房細動 喫煙 飲酒 炎症マーカー 後者には睡 眠時無呼吸 メタボリックシンドローム 慢性腎臓病 に分類 されている.最も変更されたのは心房細動の項目にCHADS2ス コアを指標に非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)の記載 が加わったことである.CHADS2スコア1点の場合でもNOAC による抗凝固療法が推奨されている.また高血圧の項目では後 期高齢者での管理目標が緩和され150/90mmHg未満とされてい る.また血圧変動の抑制が脳卒中予防に有効な可能性があり 血圧変動抑制の観点からカルシウム拮抗薬が推奨されている.

危険因子の項目では今回あらたに炎症マーカーが追記された.

高感度CRP濃度は血管炎症を反映するとされ アテローム血栓 症リスクの高い患者では高感度CRP濃度測定が推奨されてい る.地域連携の項目は今回あらたに追加された.市民への啓発 活動の推奨 救急隊員への病院前脳卒中評価ツールの使用 専 門医が不在の地域での遠隔医療システムの導入 病院間搬送

(Drip, Ship and Retrieve法) 急性期から回復期 慢性期にか けての切れ目のない医療を提供するための地域連携パスの活用 などが推奨されている

《略歴》昭和58年 3 月 大阪大学医学部医学科卒業

昭和58年 7 月 医員(研修医)(大阪大学医学部附属病院)

59年 7 月 医員(研修医)(国立大阪南病院)

61年 7 月 大阪大学医学部研究生 (内科学第一教室)

平成 2 年11月 米国コロンビア大学医学部研究員

5 年12月 医員(大阪大学医学部附属病院)(第一内科)

9 年10月 大阪大学助手(内科学第一教室)

18年 8 月 大阪大学医学部附属病院助手 (脳卒中センター) 19年 4 月 大阪大学大学院医学系研究科准教授(神経内科学)

22年 4 月 大阪大学医学部附属病院脳卒中センター 副センター 26年 4 月 東京女子医科大学医学部神経内科学 教授・講座主任長兼任

ガイドラインコース G-01:脳卒中治療ガイドライン2015の改訂点とその 後の展開

5月18日(水) 13:15~15:15 第2会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室A)

246 -ガイ

ドラ イン コー

G-01-2 脳梗塞・TIA

東京都済生会中央病院 神経内科

○高木 誠

脳梗塞・TIAに関する脳卒中治療ガイドライン2015(以下年2015度版)の主な 改定点とガイドライン発表後のトピックスについて取り上げる.

1.急性期

① 血栓溶解療法:rt-PA静注療法の治療可能時間が3時間以内から4.5時間以内 に延長されたことに伴い,2015年度版でも発症4.5時間以内のrt-PA静注療法がグ レードAで推奨された.また,4.5時間以内であっても治療開始が早いほど良好な 転帰が期待できること,来院後少しでも早く(遅くとも1時間以内に)治療を始め ることが強く勧められた(グレードA).

② 抗血小板療法:CHANCE試験の結果を受けて,非心原性脳梗塞の亜急性期

(3ヶ月以内)までの,またTIAの急性期に限定した治療法として,抗血小板薬2剤 併用(アスピリン+クロピドグレル)が勧められた(グレードB).

③ 経皮経管的脳血栓回収療法:2015年度版発刊時には血栓回収療法の有効性 は明確ではなくグレードC1であった.しかし,発刊後,海外においてrt-PA静注 療法に追加したステントリトリーバーによる血栓回収療法の有効性が明らかと なった.この結果を受け,AHA/ASAのガイドラインでは本治療法はクラス1の 治療法として推奨された.我が国では「経皮経管的脳血栓回収機器適正使用第2 版」が発表された(2015年4月).

2.慢性期

① 高血圧症:再発予防のための降圧目標としてラクナ梗塞,抗血栓薬服用中 では130/80mmHg未満を目指すことを考慮しても良いとされた(グレードC1).

② 高脂血症:2015年度版発刊後,わが国発のJ-STARSの結果が発表され,アテ ローム血栓性脳梗塞の再発予防に通常量のスタチンが有効であることが明らか となった.

③ 抗血小板療法:非心原性脳梗塞の再発予防には抗血小板薬の投与が強く勧 められているが(グレードA),CSPSⅡ試験の結果を受けて前版グレードBであっ たシロスタゾールがグレードAに変更された.アスピリンとジピリダモールの 併用,1年間以上の抗血小板薬の2剤併用はわが国では行わないように勧められた

(グレードD).

④ 抗凝固療法:非弁膜症性心房細動のある脳梗塞またはTIA患者の再発予防 には,非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)またはワルファリンが勧められる が(グレードB),ワルファリンより頭蓋内出血を含めた重篤な出血合併症の少な いNOACをまず選択するように勧められた(グレードB).

⑤脳循環改善薬・脳代謝改善薬:エビデンスレベルの見直しにより推奨グレー ドが前版のBからC1に変更になった.

《略歴》1979年 慶應義塾大学医学部卒 1979年 東京都済生会中央病院内科研修医 1981年 同内科専修医(神経内科専攻)

1984年 同内科医員

1987年 Montefiore Medical Center 神経病理部門留学 1993年 東京都済生会中央病院内科医長

2002年 同内科部長 2004年 同副院長 2006年~同院長

2007年~慶應義塾大学医学部内科客員教授 専門領域:内科,神経内科,脳血管障害

所属学会:日本内科学会,日本神経学会,日本神経治療学会,日本脳卒中学会など 専門医 :総合内科専門医,神経専門医,脳卒中専門医

G-01-3

高血圧性脳内出血急性期治療

近畿大学医学部附属病院 救急災害センター脳 卒中センター

○大槻俊輔

神経救急の現場において,発症早期に搬送され神経学的に も重症症例の多い脳内出血症例において生命・機能予後は良 好でないため,緊迫感が張り詰める.転帰は血腫の部位と血 腫量による神経学的重症度によって規定され,血腫拡大が症 状悪化に直結する.

血腫拡大を停止させることが急性期治療の原則であり,血 腫拡大の因子の一つ,高度の高血圧に対して140mmHg未満 にできるだけ早期に降下させ,7日間持続させることを考慮 する.ニカルジピン,ジルチアゼム等のカルシウム拮抗薬,

ニトログリセリンの微量点滴静注が推奨される.しかし,頭 蓋内圧亢進状態では降圧目標に到達できないことと降圧に 相応して脳灌流圧の低下の危惧もある.止血薬として血管 強化薬や抗プラスミン薬の使用は理に適うが血腫吸引術や 除去術に進む場合,凝血塊が固く取りきれない可能性もあ る.ワルファリンによる抗凝固療法に対して新鮮凍結血漿 やビタミンK,プロトロンビン複合体製剤の使用の記載があ るが,それぞれ輸液量過多や保険適応外の現状に直面する.

また,新規非ビタミンK阻害性抗凝固薬の中和療法は活性炭,

血液透析,プロトロンビン複合体等の迅速な遂行へのハード ルが高い.しかし,発症4時間以内に降圧完了および抗凝固 療法中和は生命予後に重要であると報告されており,短時間 での判断と治療遂行が要求される.症例が血腫拡大するか 否か予測することは外科治療を念頭に準備に憂いなく対応 できるため,造影CTにおける血腫内造影剤血管外漏れ・ス ポットサインが参考になる.さらに脳浮腫治療薬の使用は 脳圧低下による再出血の可能性もあり,スポットサインが止 血完了していない大きい血腫の選別に有用と考えられる.

また,上部消化管出血予防として抗潰瘍薬の使用期間とその 用量,完全麻痺側下肢深部静脈血栓症の予防として弾性ス トッキングではなく間欠的空気圧迫や抗凝固薬導入等は現 場の判断に委ねられている.

神経救急の最前線において,脳卒中治療ガイドライン2015 は,チーム医療におけるリーダーシップをとる医師に,強固 たる治療方策の拠り所を授与し,ひとりひとりの患者さんに 対して最良の機能回復をめざすきめ細かい治療を提供する 裁量権をも許容する指針といえる.

《略歴》昭和61年神戸大学卒業.星ヶ丘厚生年金病院内科,八尾市立病院内科,大 阪大学医学部第一内科,米国国立衛生研究所脳卒中内科部門,大阪大学医 学部付属病院循環器内科,神経内科・脳卒中科,国立循環器病センター脳 血管内科,広島大学病院脳神経内科をへて平成24年7月より現職.脳卒中 治療ガイドライン2015脳出血班委員.脳卒中学会草野賞受賞歴.

ガイドラインコース G-01:脳卒中治療ガイドライン2015の改訂点とその 後の展開

5月18日(水) 13:15~15:15 第2会場(神戸国際展示場1号館2F 展示室A)

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-ガイ ドラ イン コー

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 118-121)

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