シン ポジ ウム
座長:
辻 省次(東京大学大学院医学系研究科 神経内科学 教室)
荻野美恵子(北里大学医学部附属新世紀医療開発セン ター 横断的医療領域開発部門包括ケア 全人医療学)
≪ねらい≫
女性医師数は増加の一途を辿っているが,医療界において は女性医師の活用は順調に進んでいるとは言いがたい.日 本神経学会においても会員数の21%および専門医の21%は 女性であるが,評議員は6%弱,女性理事は歴代1人のみ,委 員会委員や学会での座長などを務める女性神経内科医は非 常に少ないのが現状である.増えつつある女性神経内科医 を活用し,男女共同参画を進めることは,今後の神経学会の 会員増や活力など戦略的発展にも寄与する.
政府は203030をスローガンに女性の登用を進めようとし てきた.女性医師個人の問題にとどまらず,今後の少子高齢 化の進む日本にとって,社会にとって,医療にとって,学会 にとって,男女共同参画がなぜ重要なのかを議論する場を持 つことにより,管理職医師や同僚,当事者の理解を深め,実 現可能な方策を模索したい.
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今なぜ「女性活躍」が重要なのか
前厚生労働事務次官
○村木厚子
少子高齢化が進展する中で,わが国にとって今最も重要な 課題は,女性の活躍と,男女双方にとっての仕事と家庭の両 立の実現である.女性活躍推進法の施行をまじかに控え,わ が国の抱える課題と対応策を考える.
《略歴》前厚生労働事務次官 村木 厚子(むらき あつこ)
1955年高知県生まれ.1978年高知大学卒業.同年労働省(現厚生労働 省)入省.女性政策,障がい者政策などに携わり,2008年雇用均等・児 童家庭局長,2012年社会・援護局長などを歴任.2013年7月から2015年 10月まで厚生労働事務次官.
(著書)「あきらめない」(日経BP社),「私は負けない」(中央公論新社) など
シンポジウム S-13:男女共同参画の意義と取り組みについて
5月20日(金) 8:00~10:00 第14会場(神戸国際会議場5F Room 501 )
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ポジ ウム
S-13-2
なぜ医療界において男女共同参画は必要 か?
並木病院
○山本纊子
10数年前から勤務医の労働時間が非常に長く,医師の不足が非常に問題となり,2007年か ら2015年までに医学部定員を約1500増加させたが,卒業して実際に仕事をするまでには時間 が掛かり,急場には間に合わず,注目を浴びたのが結婚・出産・育児で離職あるいは短時間非 常勤勤務の女性医師で,何らかの支援をする事で復職あるいは長時間勤務を可能にできない かと探索を始めた.2014年には全医師数のうち女性医師の占める割合20.4%,その約20年後 には30%を超えるとなれば猶更である.
医師の不足には地域差や専門科の差なども大きな要素ではあるが,何といっても母数を大 きく保つことは必要である.神経内科でも年々女性医師が増えており,夫々の職場で女性医 師の就労,就労継続あるいはキャリア形成に取り組んでおられることと思うが,支援する側 も支援される側も画一ではなく,非常に個別的でなかなか一括することはできない.
そこで高齢者の自立に使われている自助,互助,共助,公助の考えを当てはめてみると誰が どのレベルでサポートをすると良いかが明快になる.自助はもちろん自分でできることは自 分で努力することであるが,出来ないことは同僚や友人にお願いするのが互助で,この時に は持ちつ持たれつの関係でないと継続は難しい.共助は病院や学会など組織としてサポート するもので,時短勤務,複数主治医制,日当直免除,あるいは専門医の期限の猶予などがこれ に当たる.昨今は非常に配慮が行き届き,同僚が疲弊すると言う事態もある.公助は公的な 施策とそれに配分される予算に尽きるが,最近は多くの予算が当てられており,特に院内保 育所設置に対する補助により多くの保育所ができ,育児中の女性医師の福音となっている.
育児の期間は6~8年程であるが,学校に行ってもなかなか手が抜けずサポートされるばか りの様ではあるが,女性医師は,患者さんの観察など詳細で良い臨床医となり,現場での活躍 も期待できると考える.いずれにしても女性医師自身の就労・就労継続の熱意が第一で,長 い目で見て下さることを願っている.
男女共同参画は男女がそれぞれの特徴を生かして,協力してより社会を作ることであり,
その最も基本はお互いの率直に話し合うことが最も重要と考える.
《略歴》1943年10月29日生
昭和44年3月 名古屋大学医学部卒 昭和46年4月 名古屋大学第一内科入局
昭和55年4月 名古屋保健衛生大学(現藤田保健衛生大学)水野内科助手 昭和59年7月 神経内科助教授昇任
昭和63年2月 神経内科講座教授昇任 平成17年4月 藤田保健衛生大学分院 院長 平成21年4月 医療法人並木会並木病院院長 藤田保健衛生大学名誉教授
現在に至る
【所属学会】
日本神経学会名誉会員 日本神経眼科学会名誉会員 日本心身医学会名誉会員 日本顔面神経学会名誉会員
【関係諸団体の役職】
厚労省「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」座長 厚労省「医療従事者の需給に関する検討会―医師需要分科会」参考人 名古屋市教員委員会 元委員長
高齢者施策推進協議会委員
愛知県「あいち健康長寿推進会議」 「生活習慣病対策協議会」前委員
「医師確保対策協議会」前委員長 愛知県病院協会理事
愛知県医師会 治験審査会 委員長 国際女医会副会長(2013~2016年)
日本女医会会長(2014年5月~)
日本医師会理事(2014年6月~)
S-13-3
なぜクオータ制(女性への特別扱い(?))
が必要なのか 西陣健康会堀川病院
○小﨑真規子
近年では医師に占める女性の割合はおよそ2割であるが,
医学部および附属病院における女性教授の割合は2.6%と,
米国(20%)に比べて極めて低い.学会においても,2011年 の調査では日本医学会分科会の評議員と役員に占める女性 の割合はそれぞれ6.8%,3.4%と低く,100学会中55学会で女 性役員が一人もいなかった.この意思決定機会への女性の 参画が目立って少ない問題に対し,各学会で様々な取り組み が行われてきたが,依然として内閣府の掲げる「202030」に は程遠い状況である.このような状況を背景に,学会に対し 男女共同参画に関する委員会等がクオータ制導入を要望す る動きが見られており,実際に導入した学会では大きな成果 を上げている.
ここでいう「クオータ制」とは性別を基準に一定の人数や 比率を割り当てる手法のことで,数あるポジティブ・アク ションの手法の中でも即効性かつ効果の高い手法であるが,
その導入に際してはなぜそれが必要かという理解より男性 への逆差別を懸念される向きがある.その場合,「能力主義 だから性別は関係ない」といった意見が出されるが,「能力 主義」は本当に性別とは関係ないのだろうか? 残念なが ら,近年の社会科学分野における研究は,評価や昇進におけ る男女格差,指導的立場にある女性が少ないことなどに通底 する原因として,女性に対する「無意識の偏見」を指摘して いる.例えば,被評価者が同じ能力を持っている場合でも,
性別によって与えられる評価や好感度は大きく異なること が明らかになっている.客観的とされる能力主義であって も無意識の偏見の影響を受けることを知っておくことは重 要である.
《略歴》1995年 群馬大学医学部卒業.国立東京第二病院(現国立病院機構東 京医療センター)臨床研修医
1997年 国立病院東京医療センター(現 国立病院機構東京医療セン ター)総合内科
2000年 日本鋼管病院内科
2001年 筑波メディカルセンター病院総合診療科 2003年 新潟大学医歯学総合病院総合診療部
2008年 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療疫学分野 博士後期課程修了.財団法人田附興風会医学研究所北野病院 2010年 西陣健康会堀川病院内科健診部
2008-2012年 日本内科学会専門医部会女性医師に関するワーキング グループ委員
2013年- 日本プライマリ・ケア連合学会男女共同参画委員会委員
シンポジウム S-13:男女共同参画の意義と取り組みについて
5月20日(金) 8:00~10:00 第14会場(神戸国際会議場5F Room 501 )
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他分野に学ぶ どう現場に落とし込むの か~イクボスのすすめ~
株式会社マザーリーフ
○榊原陽子
他分野でブームとなっているイクボスを医療機関にも広 げ,男女ともにいきいきと働きつづけられる組織づくりの方 法を紹介します.
イクボスとは/イクボスが大流行している理由/イクボス 組織は業績がいい理由/イクボスになるための秘訣(上司の 心得)/イクボス組織になるためのホスピタリティマネジメ ントについて/
若い世代は,女性の勤務や男性の家事・育児に抵抗があり ません.また,地域活動,社会貢献,勉強,趣味,親の介護,
子の看護,自身の傷病などにより,働く時間や場所に制約の ある制約社員が急増しています.しかし,経営者や上司の固 定化した価値観・仕事のやり方・男女の役割意識が,ワーク ライフバランス・脱"長時間労働"・女性の社会活躍・男性の 家庭や地域活躍の妨げとなり,制約社員の意欲減退,出産や 介護離職者の増加,ひいては組織の競争力低下につながって います.だから,イクボスの存在が全ての組織に求められて いるのです.イクボスが多い組織では,社員の満足度・健康 度・愛社精神・仕事能力などが高まり,加えて,異質人材が いる集団となり,新しいモノや考え方が組織内に生み出され ます.いきいきと自立して働く組織になります.結果,組織 の生産性向上と利益拡大に繋がり,私生活の充実 と好業績,
定着率向上という相乗効果を生むようになります.特に医 療機関は,部下にプライベートや感情に配慮し,良好な人間 関係を築く・ホスピタリティ・マネジメントを導入すること により,女性だけでなく,男性も働きやすくなり,チーム医 療,患者中心の医療が実現できます.
《略歴》愛知県立千種高等学校 卒業 同志社大学経済学部 卒業
全日本空輸株式会社(ANA)に客室乗務員として入社
国際線,国内線に乗務しつつ,最年少のコーディネーター(管理職)に なるチーフパーサーとして乗務し,後輩の育成,組織マネジメントなどの 管理業務を行う
関西国際空港,名古屋空港にて,客室部門の立ち上げに関わる 平成14年 榊原陽子社会保険労務士事務所開業
平成19年 株式会社 マザーリーフ 設立
平成28年 東京医科歯科大学大学院 医療管理政策専攻 卒業見込 修士論文 テーマ 「医療機関の人間関係とホスピタリティ」
あいちウーマノミクス研究会 女性活躍産業会議 メンバー 愛知県女性の活躍促進コーディネーター
NPO法人 ファザーリングジャパン 会員
シンポジウム S-13:男女共同参画の意義と取り組みについて
5月20日(金) 8:00~10:00 第14会場(神戸国際会議場5F Room 501 )
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