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5月20日(金) 8:00~10:00 第10会場(神戸国際会議場B1F・1F メインホール)

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 38-41)

座長:

赤松直樹(国際医療福祉大学 福岡保健医療学部)

松本理器(京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動 異常生理学講座)

≪ねらい≫

世界に先駆けて本邦は超高齢者社会になりつつある.か つてJ字型といわれた発病率は,超高齢化社会となりU字型 となった.原因となる脳血管障害,認知症が増加し,また従 来潜因性と考えられた中に自己免疫機序のてんかんが明ら かになりつつある.若年者のてんかんに比して,高齢者てん かんは,少量の抗てんかん薬でコントロール可能な群が存在 する一方,初発の発作がてんかん重積で治療に苦慮する症例 にも遭遇する.超高齢者社会として世界に発信できる,本邦 での高齢者てんかん診断と治療の最前線を,治るてんかんを 目指して,包括的に討議するシンポジウムを企画した.

共催:日本てんかん学会

TN-07-1

高齢者におけるてんかん診断上の留意 点:認知症との関連から

宇多野病院 神経内科

○木下真幸子

高齢者のてんかん発症率は高く,認知症はその重要な基礎疾患である.

A.高齢者のてんかん発作は,若年者と異なる特徴を持つ.けいれんを伴わないてんかん 発作の診断は一般に難しいが,特に高齢者では,単純部分発作を経ず突然に複雑部分発作を 生じる,明確な運動症状を欠く,症状が軽微かつ多彩である,発作後のもうろう状態が長い,

非けいれん性重積を示すことがある,などの特徴がある.患者本人は症状を十分に把握して いないことが多いため,てんかん発作に特徴的な症状を,家族や周囲の人から積極的に聴取 する.記憶の障害が主訴である場合,それが意識障害(意識減損)と関連している可能性に十 分注意する.

B.てんかん発作を誘発する要因が多数存在する.てんかん閾値を低下させる薬剤が多数 知られている.急性症候性発作の原因となる種々の病態のうち,特に治療可能なものを鑑別 する必要がある.自己免疫介在性の脳炎・脳症では,原疾患の症状とてんかん発作による症 状とが混在し,さらに精神症状が前景に立つ場合は管理が非常に困難である.

C.発作間欠期に進行性の認知機能障害を呈する症例がある.小児のてんかんではてんか ん性脳症の概念が確立している:すなわち,てんかん性活動自体が重篤な認知・行動の障害の 原因となり,治療によりてんかん性活動を抑えると,発作予後だけでなく発達予後も改善し うる.成人においても抗てんかん薬加療により,類似の認知機能改善を認める例があるが,

逆に薬剤の副作用により認知機能が悪化する場合もある.成人難治部分てんかんでは,発作 焦点の近傍,および焦点と強い機能連関を持つ領域には脳機能低下が存在することが知られ,

主に外科的治療(てんかん焦点切除術)による改善例がある.

D.てんかんの合併により認知症はさらに悪化しうる.ヒトの変異型アミロイド前駆体タ ンパク質を過剰発現するマウスでは,アミロイドベータ(Aβ)の蓄積によりてんかん発作が 誘発され,さらに海馬の神経回路で生じる抑制性の代償反応により学習や記憶が障害されう るとの報告がある.加えて,過剰なシナプス活動・グルタミン放出によるNMDA受容体刺激 は,Aβの分泌を促進する.ヒトにおいても,プレセニリン1遺伝子変異による常染色体優性 遺伝アルツハイマー病患者では,てんかん発作発症群における海馬CA1の神経脱落が,非発 症群と比較し有意に強いことが報告されている.

《略歴》【現職】独立行政法人国立病院機構宇多野病院神経内科医長

【学歴】1996年3月 京都大学医学部卒業

2005年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程卒業

【略歴】1996年3月 京都大学医学部卒業

1996年5月 京都大学医学部附属病院神経内科研修医 1997年4月 大阪府済生会野江病院神経内科医師 1999年4月 関西電力病院内科医師

2001年4月 京都大学大学院医学研究科博士課程入学 2005年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程卒業

2005年4月 京都大学大学院医学研究科臨床神経学(神経内科)医員 2007年4月 独立行政法人国立病院機構宇多野病院神経内科(発作科)医師 2011年4月 現職

【学会資格】

日本神経学会専門医・指導医,日本てんかん学会専門医・指導医,

日本臨床神経生理学会認定医(脳波分野)

【受賞】2003年 第27回 国際臨床神経生理学会 Fellowship Award受賞 2004年 第34回 日本臨床神経生理学会学術大会 優秀ポスター賞受賞 2005年 第26回 国際てんかん学会 Young Investigator Award受賞 2007年 第41回 日本てんかん学会Juhn and Mary Wada奨励賞受賞 2008年 日本てんかん学会Sponsored Award受賞

座長:

赤松直樹(国際医療福祉大学 福岡保健医療学部)

松本理器(京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動 異常生理学講座)

≪ねらい≫

世界に先駆けて本邦は超高齢者社会になりつつある.か つてJ字型といわれた発病率は,超高齢化社会となりU字型 となった.原因となる脳血管障害,認知症が増加し,また従 来潜因性と考えられた中に自己免疫機序のてんかんが明ら かになりつつある.若年者のてんかんに比して,高齢者てん かんは,少量の抗てんかん薬でコントロール可能な群が存在 する一方,初発の発作がてんかん重積で治療に苦慮する症例 にも遭遇する.超高齢者社会として世界に発信できる,本邦 での高齢者てんかん診断と治療の最前線を,治るてんかんを 目指して,包括的に討議するシンポジウムを企画した.

共催:日本てんかん学会

TN-07-1

高齢者におけるてんかん診断上の留意 点:認知症との関連から

宇多野病院 神経内科

○木下真幸子

高齢者のてんかん発症率は高く,認知症はその重要な基礎疾患である.

A.高齢者のてんかん発作は,若年者と異なる特徴を持つ.けいれんを伴わないてんかん 発作の診断は一般に難しいが,特に高齢者では,単純部分発作を経ず突然に複雑部分発作を 生じる,明確な運動症状を欠く,症状が軽微かつ多彩である,発作後のもうろう状態が長い,

非けいれん性重積を示すことがある,などの特徴がある.患者本人は症状を十分に把握して いないことが多いため,てんかん発作に特徴的な症状を,家族や周囲の人から積極的に聴取 する.記憶の障害が主訴である場合,それが意識障害(意識減損)と関連している可能性に十 分注意する.

B.てんかん発作を誘発する要因が多数存在する.てんかん閾値を低下させる薬剤が多数 知られている.急性症候性発作の原因となる種々の病態のうち,特に治療可能なものを鑑別 する必要がある.自己免疫介在性の脳炎・脳症では,原疾患の症状とてんかん発作による症 状とが混在し,さらに精神症状が前景に立つ場合は管理が非常に困難である.

C.発作間欠期に進行性の認知機能障害を呈する症例がある.小児のてんかんではてんか ん性脳症の概念が確立している:すなわち,てんかん性活動自体が重篤な認知・行動の障害の 原因となり,治療によりてんかん性活動を抑えると,発作予後だけでなく発達予後も改善し うる.成人においても抗てんかん薬加療により,類似の認知機能改善を認める例があるが,

逆に薬剤の副作用により認知機能が悪化する場合もある.成人難治部分てんかんでは,発作 焦点の近傍,および焦点と強い機能連関を持つ領域には脳機能低下が存在することが知られ,

主に外科的治療(てんかん焦点切除術)による改善例がある.

D.てんかんの合併により認知症はさらに悪化しうる.ヒトの変異型アミロイド前駆体タ ンパク質を過剰発現するマウスでは,アミロイドベータ(Aβ)の蓄積によりてんかん発作が 誘発され,さらに海馬の神経回路で生じる抑制性の代償反応により学習や記憶が障害されう るとの報告がある.加えて,過剰なシナプス活動・グルタミン放出によるNMDA受容体刺激 は,Aβの分泌を促進する.ヒトにおいても,プレセニリン1遺伝子変異による常染色体優性 遺伝アルツハイマー病患者では,てんかん発作発症群における海馬CA1の神経脱落が,非発 症群と比較し有意に強いことが報告されている.

《略歴》【現職】独立行政法人国立病院機構宇多野病院神経内科医長

【学歴】1996年3月 京都大学医学部卒業

2005年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程卒業

【略歴】1996年3月 京都大学医学部卒業

1996年5月 京都大学医学部附属病院神経内科研修医 1997年4月 大阪府済生会野江病院神経内科医師 1999年4月 関西電力病院内科医師

2001年4月 京都大学大学院医学研究科博士課程入学 2005年3月 京都大学大学院医学研究科博士課程卒業

2005年4月 京都大学大学院医学研究科臨床神経学(神経内科)医員 2007年4月 独立行政法人国立病院機構宇多野病院神経内科(発作科)医師 2011年4月 現職

【学会資格】

日本神経学会専門医・指導医,日本てんかん学会専門医・指導医,

日本臨床神経生理学会認定医(脳波分野)

【受賞】2003年 第27回 国際臨床神経生理学会 Fellowship Award受賞 2004年 第34回 日本臨床神経生理学会学術大会 優秀ポスター賞受賞 2005年 第26回 国際てんかん学会 Young Investigator Award受賞 2007年 第41回 日本てんかん学会Juhn and Mary Wada奨励賞受賞 2008年 日本てんかん学会Sponsored Award受賞

なおる神経内科 TN-07:治るてんかん:高齢者てんかんの診断と治療

5月20日(金) 8:00~10:00 第10会場(神戸国際会議場B1F・1F メインホール)

166 -なお

る神 経内

TN-07-2

高齢者てんかんの治療

1国際医療福祉大学 福岡保健医療学部,2福岡山 王病院

○赤松直樹1,2

高齢者の治療で考慮すべき重要な点に,忍容性tolerability

(副作用の少なさ)がある.高齢者てんかんではどの薬剤で も発作抑制効果が十分あるので,治療薬選択においてはその 患者の個別条件を考えて副作用が少ない薬剤を選択の際に 考慮すべきである.新規抗てんかん薬で,ガパペンチン,ラ モトリギン,レベチラセタムは忍容性で有利な薬剤とされて いる.ガパペンチンはカルバマゼピンと比較してやや発作 抑制効果は劣るが,他の薬剤との相互作用が全くなくて,副 作用の心配が非常に少ない点でてんかん原性のむしろ低い てんかんの治療に有用である.ラモトリギンも忍容性が高 い薬剤で高齢者てんかんの治療に適していると考えられて いる.レベチラセタムも他剤との相互作用がなく,過敏症

(薬疹等)も少ない.新規抗てんかん薬の本邦での承認は他 の抗てんかん薬との併用で認められているが,欧米では単剤 でも使用されている.

発作頻度,脳波所見,画像所見,抗てんかん薬による治療 経過などから,てんかん発作の重症度(てんかん原性の強さ)

を推定することも必要である.高齢発症で脳波にてんかん 波の出現が少なくMRIでも器質病変がない場合は,てんかん 原性が低く,少量の抗てんかん薬で発作抑制が可能であるこ とが多い.

治療に当たっては心理的な側面にも配慮が必要である.

てんかんは長らく誤解と偏見でみられてきたという歴史が ある.高齢者の中には,てんかんと診断されることで精神的 に苦痛に感じる人もいる.てんかんは医学的には病態の理 解も進み,治療も進歩していることを話して,精神的な面で もケアを行うことが必要である.

《略歴》

昭和56年 3 月 兵庫県立西脇高等学校卒業 昭和62年 3 月 産業医科大学医学部医学科卒業

平成 5 年 3 月 産業医科大学大学院博士課程(博医甲第77号)

職 歴昭和62年 産業医科大学病院・小倉記念病院 臨床研修医

平成 4 年 米国Cleveland Clinic財団病院 神経内科レジデント・フェロー 平成 7 年 社団法人日本健康倶楽部福岡支部(産業医)

平成 9 年 産業医科大学 神経内科助手,平成18年同講師 平成23年 産業医科大学 神経内科准教授

平成26年 国際医療福祉大学 教授(福岡保健医療学部)

平成26年 福岡山王病院 脳神経機能センター神経内科(併任)現在に至る 学会活動等

日本神経学会 代議員,てんかんガイドライン委員会副委員長,てんかんセク ションコアメンバー,将来構想委員

日本てんかん学会 理事,代議員,ガイドライン委員長,教育委員,第47回大 会副会長日本臨床神経生理学会 評議員 教育委員,脳波セミナー・アドバンスコース 委員日本神経治療学会 代議員

TN-07-3

自己免疫性てんかんとの関連

京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常 生理学講座

○松本理器,池田昭夫

中高齢者発症のてんかんの鑑別として,自己抗体介在性くす ぶり型辺縁系脳炎の存在が近年明らかとなり注目されている.

亜急性に発症する,てんかん発作(複雑部分発作や全身けいれ ん),記銘力障害,精神症状(性格変化,易怒性など)を三徴と する.辺縁系の持続性の炎症により,通常の側頭葉てんかんと 異なり,記銘力障害,精神症状が亜急性に出現し持続する.両 側性の扁桃体・海馬の頭部MRIでの腫脹・高信号(FLAIR画像・

T2強調画像)や機能画像(FDG-PET・脳血流SPECT)での代 謝・血流増加が診断に有用とされる.神経細胞膜抗原に対する 自己抗体が介在する辺縁系脳炎の1型であり,免疫療法が奏功 する治療可能な脳炎として注目されている.当初VGKC複合体 抗体として発見されたが,その後シナプス間隙に存在する分泌 タンパクの1種であるleucine-rich glioma-inactivated 1(LGI1)

が真の標的と明らかになり,抗LGI1抗体の産生によりAMPA受 容体を介した興奮性シナプス伝達障害が出現することが病因の 本態とされている.早期診断による早期からの免疫治療介入に より,後遺症としての認知機能障害・症候性部分てんかんの軽 減・回避が可能な病態として注目されている.一方,特異的な 抗体が陰性の場合は,自己免疫機序が関与するてんかん症候群 の診断が困難な場合があるが,当施設で試みている診断アルゴ リズム(坂本ら,本学術大会ポスター)について紹介する.

長期にわたりくすぶり型脳炎の像を呈しうる自己免疫性辺縁 系脳炎・てんかの臨床的特徴・治療経験について自験例を中心 に概説する.

《略歴》平成 6 年 3 月 京都大学医学部卒業

平成 6 年 5 月 京都大学医学部附属病院(研修医)

平成 7 年 4 月 大阪赤十字病院(研修医・医師)

平成12年 7 月 クリーブランドクリニック神経内科てんかん・臨床神経生 理部門クリニカルフェロー

平成13年 7 月 同チーフクリニカルフェロー

平成14年 7 月 京都大学医学部附属病院神経内科(医員)

平成18年 4 月 国立病院機構宇多野病院関西てんかんセンター(神経内科 平成19年 4 月 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学(神経内科)助教医長)

平成23年 6 月 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学(神経内科)院内 平成24年 8 月 同 講師講師

平成25年 8 月 京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動異常生理学講 座 特定准教授

賞罰Advanced International Clinical Fellowship Award (The Cleveland Clinic Foundation)

Ellen Thomas Award for Epilepsy Research (The Cleveland Clinic Foundation)

第28回JUHN AND MARY WADA奨励賞 (日本てんかん学会)

第4回日本臨床神経生理学会奨励賞(日本臨床神経生理学会)

2015年度Excellent Teacher表彰(日本神経学会)など

なおる神経内科 TN-07:治るてんかん:高齢者てんかんの診断と治療

5月20日(金) 8:00~10:00 第10会場(神戸国際会議場B1F・1F メインホール)

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-なお る神 経内

ドキュメント内 第57回日本神経学会学術大会 抄 録 集 (ページ 38-41)

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