175
-なお る神 経内 科
TN-10-2
神経損傷に対する革新的なニューロリハ ビリテーション"人工神経接続"
京都大学大学院医学研究科神経生物学
○西村幸男
神経損傷患者の願いは,"失った機能を取り戻したい",そ れに尽きるであろう.すなわち,自分で自分の身体を思い通 りに動かしたいのであろう.脳梗塞や脊髄損傷による四肢 の麻痺は大脳皮質と脊髄運動ニューロンを結ぶ下行路の切 断に起因するものであり,損傷部位の上位及び下位の神経回 路はその機能を失ってはいない.従って,その切断された下 行路の役割を代償できれば,失ったと四肢の随意制御を再獲 得できる可能性がある.本講演では,神経損傷後に残存した 神 経 構 造 同 士 を,損 傷 領 域 を 超 え て Brain Computer Interfaceを介して繋ぐ“人工神経接続”による革新的なニュー ロリハビリテーション法について紹介する.
《略歴》1999-2003 千葉大学 大学院 医学研究科 医学博士 2003-2007 自然科学研究機構生理学研究所 研究員 2007-2010 ワシントン大学客員研究員
2009-2014 科学技術振興機構 さきがけ専任研究員
2011- 自然科学研究機構生理学研究所 准教授 現在に至る 2011- 総合研究大学院大学 准教授(併任) 現在に至る 賞歴2010 日本神経科学学会 奨励賞
2011 日本生理学会 奨励賞 2012 文部科学大臣表彰若手科学者賞
2013 経済産業省Innovative Technologies 2013特別賞 2015 日本学術振興会賞
TN-10-3
自家骨髄間質細胞移植による脳梗塞再生 医療をめざして
北海道大学医学研究科脳神経外科
○七戸秀夫,寳金清博
近年,脳梗塞に対する細胞治療に期待が集まっている.なかでも骨髄間質細胞 (bone marrow stromal cells; BMSC)は,他の細胞ソースと比較し生命倫理的な問 題や,腫瘍形成の問題がないなど臨床応用に有利な特徴を有し,国内外で臨床試 験が開始されつつある.本発表では,自家BMSCによる脳梗塞再生医療に関する 基礎研究と,トランスレーショナルリサーチの両面から報告させていただく.
BMSC移植治療は,その機序としてBMSCの神経系細胞への分化や神経保護作 用,内在性神経幹細胞の賦活化などがあげられているが,その詳細には不明な点 が多い.われわれはマウス/ラット脳梗塞モデルを作成し,BMSCを脳内移植し た.同種移植であるため移植後6週まで免疫抑制剤を投与した.結果,移植前の BMSCは,その培養液中に多くの成長因子やサイトカインを産生し,BDNF,
NGFに関してFISHを行うとほとんどの細胞がmRNAを発現していた.BMSCを 脳内に移植すると,移植1ヶ月後では脳梗塞周辺部に遊走した細胞が多数みられ,
ドナー細胞はBDNF,NGFのmRNAを発現していた.同部では神経細胞死が有 意に抑制されており,一部に神経系細胞への分化傾向を示すドナー細胞もみられ た.また,一部の細胞は病側のsubventricular zone (SVZ)周辺に生着し,同部で はdoublecortin陽性細胞の増加を認め,移植による内在性神経幹細胞の賦活化が 示唆された.BMSC移植による治療機序は,移植時からの時間経過や細胞の生着 部位などのパラメータによって,多面性を示すことが示唆された.
現在我々は,医師主導治験『新たな培養・移植・イメージング技術を駆使した 自己骨髄間質細胞移植による脳梗塞再生治療 - 治療メカニズムの解明を目的とし た臨床試験』(RAINBOW研究)を準備中である.本治験は,1) ウシ胎仔血清 (FCS)などの代替として,他家ヒト血小板溶解物(platelet lysate: PL)を基礎培養 液に添加し,自家BMSCを培養する,2) 脳梗塞周辺部への効率的な移植を目指し,
脳定位的手術により細胞を直接移植する,3) MRIによる移植細胞の挙動把握を 目的とし,超常磁性酸化鉄(SPIO)製剤によりBMSCをラベルする,4) FDG-PET やIomazenil-SPECTを用いて,細胞移植がホスト脳に及ぼす影響を客観的に評価 するなど,過去の臨床試験と異なる新規性のあるプロトコールを採用している.
また,本治験では自家移植のテーラーメイドとしての’治療の質’を重視しつつ,
将来的な産業化も目指す.
《略歴》学歴:
平成 6 年 北海道大学医学部医学科卒業 職歴,研究歴:
平成13年 北海道大学脳神経外科にて,脳虚血および中枢神経再生医療に関す る研究に従事
平成16年 北海道大学医学博士号取得
平成17年 米国スタンフォード大学脳神経外科(Prof. G.K. Steinberg)に留学 平成19年 帰国,北海道大学病院脳神経外科に勤務
平成22年 北海道大学病院脳神経外科 助教
平成27年 (独)医薬品医療機器総合機構(PMDA) 派遣職員(非常勤) 平成27年 北海道大学医学研究科脳神経外科 特任助教
所属学会:
日本脳神経外科学会(専門医),日本脳卒中学会(専門医,評議員),日本脳循環 代 謝 学 会 (評 議 員),日 本 再 生 医 療 学 会,The Society for Neuroscience,
American Heart Association,American Association of Neurological Surgeons など専攻:
(臨床分野) 脳卒中の診断および内科的治療,(基礎分野) 脳虚血における apoptosisの関与,骨髄間質細胞移植による中枢神経再生
なおる神経内科 TN-10:なおる神経内科の中のニューロリハビリテーションの役割 ~ニュー ロリハはdisease modifying therapyとしての役割を果たせるか?
5月21日(土) 8:00~10:00 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)
なお る神 経内 科
TN-10-2
神経損傷に対する革新的なニューロリハ ビリテーション"人工神経接続"
京都大学大学院医学研究科神経生物学
○西村幸男
神経損傷患者の願いは,"失った機能を取り戻したい",そ れに尽きるであろう.すなわち,自分で自分の身体を思い通 りに動かしたいのであろう.脳梗塞や脊髄損傷による四肢 の麻痺は大脳皮質と脊髄運動ニューロンを結ぶ下行路の切 断に起因するものであり,損傷部位の上位及び下位の神経回 路はその機能を失ってはいない.従って,その切断された下 行路の役割を代償できれば,失ったと四肢の随意制御を再獲 得できる可能性がある.本講演では,神経損傷後に残存した 神 経 構 造 同 士 を,損 傷 領 域 を 超 え て Brain Computer Interfaceを介して繋ぐ“人工神経接続”による革新的なニュー ロリハビリテーション法について紹介する.
《略歴》1999-2003 千葉大学 大学院 医学研究科 医学博士 2003-2007 自然科学研究機構生理学研究所 研究員 2007-2010 ワシントン大学客員研究員
2009-2014 科学技術振興機構 さきがけ専任研究員
2011- 自然科学研究機構生理学研究所 准教授 現在に至る 2011- 総合研究大学院大学 准教授(併任) 現在に至る 賞歴2010 日本神経科学学会 奨励賞
2011 日本生理学会 奨励賞 2012 文部科学大臣表彰若手科学者賞
2013 経済産業省Innovative Technologies 2013特別賞 2015 日本学術振興会賞
TN-10-3
自家骨髄間質細胞移植による脳梗塞再生 医療をめざして
北海道大学医学研究科脳神経外科
○七戸秀夫,寳金清博
近年,脳梗塞に対する細胞治療に期待が集まっている.なかでも骨髄間質細胞 (bone marrow stromal cells; BMSC)は,他の細胞ソースと比較し生命倫理的な問 題や,腫瘍形成の問題がないなど臨床応用に有利な特徴を有し,国内外で臨床試 験が開始されつつある.本発表では,自家BMSCによる脳梗塞再生医療に関する 基礎研究と,トランスレーショナルリサーチの両面から報告させていただく.
BMSC移植治療は,その機序としてBMSCの神経系細胞への分化や神経保護作 用,内在性神経幹細胞の賦活化などがあげられているが,その詳細には不明な点 が多い.われわれはマウス/ラット脳梗塞モデルを作成し,BMSCを脳内移植し た.同種移植であるため移植後6週まで免疫抑制剤を投与した.結果,移植前の BMSCは,その培養液中に多くの成長因子やサイトカインを産生し,BDNF,
NGFに関してFISHを行うとほとんどの細胞がmRNAを発現していた.BMSCを 脳内に移植すると,移植1ヶ月後では脳梗塞周辺部に遊走した細胞が多数みられ,
ドナー細胞はBDNF,NGFのmRNAを発現していた.同部では神経細胞死が有 意に抑制されており,一部に神経系細胞への分化傾向を示すドナー細胞もみられ た.また,一部の細胞は病側のsubventricular zone (SVZ)周辺に生着し,同部で はdoublecortin陽性細胞の増加を認め,移植による内在性神経幹細胞の賦活化が 示唆された.BMSC移植による治療機序は,移植時からの時間経過や細胞の生着 部位などのパラメータによって,多面性を示すことが示唆された.
現在我々は,医師主導治験『新たな培養・移植・イメージング技術を駆使した 自己骨髄間質細胞移植による脳梗塞再生治療 - 治療メカニズムの解明を目的とし た臨床試験』(RAINBOW研究)を準備中である.本治験は,1) ウシ胎仔血清 (FCS)などの代替として,他家ヒト血小板溶解物(platelet lysate: PL)を基礎培養 液に添加し,自家BMSCを培養する,2) 脳梗塞周辺部への効率的な移植を目指し,
脳定位的手術により細胞を直接移植する,3) MRIによる移植細胞の挙動把握を 目的とし,超常磁性酸化鉄(SPIO)製剤によりBMSCをラベルする,4) FDG-PET やIomazenil-SPECTを用いて,細胞移植がホスト脳に及ぼす影響を客観的に評価 するなど,過去の臨床試験と異なる新規性のあるプロトコールを採用している.
また,本治験では自家移植のテーラーメイドとしての’治療の質’を重視しつつ,
将来的な産業化も目指す.
《略歴》学歴:
平成 6 年 北海道大学医学部医学科卒業 職歴,研究歴:
平成13年 北海道大学脳神経外科にて,脳虚血および中枢神経再生医療に関す る研究に従事
平成16年 北海道大学医学博士号取得
平成17年 米国スタンフォード大学脳神経外科(Prof. G.K. Steinberg)に留学 平成19年 帰国,北海道大学病院脳神経外科に勤務
平成22年 北海道大学病院脳神経外科 助教
平成27年 (独)医薬品医療機器総合機構(PMDA) 派遣職員(非常勤) 平成27年 北海道大学医学研究科脳神経外科 特任助教
所属学会:
日本脳神経外科学会(専門医),日本脳卒中学会(専門医,評議員),日本脳循環 代 謝 学 会 (評 議 員),日 本 再 生 医 療 学 会,The Society for Neuroscience,
American Heart Association,American Association of Neurological Surgeons など専攻:
(臨床分野) 脳卒中の診断および内科的治療,(基礎分野) 脳虚血における apoptosisの関与,骨髄間質細胞移植による中枢神経再生
なおる神経内科 TN-10:なおる神経内科の中のニューロリハビリテーションの役割 ~ニュー ロリハはdisease modifying therapyとしての役割を果たせるか?
5月21日(土) 8:00~10:00 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)
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る神 経内 科
TN-10-4
脊髄再生医療におけるリハビリの重要性
慶應義塾大学医学部整形外科学
○中村雅也
脊髄再生医療におけるリハビリの重要性に着目して行った基礎研究を紹 介し,今後の展望にも言及したい.
1)亜急性期脊髄損傷に対するトレッドミル訓練:脊髄損傷後のトレッド ミル訓練が,運動機能,痙性,異常痛覚に与える影響を検討した.ラット胸 髄圧挫損傷モデルを作製し,無作為に訓練群と訓練を行わない対照群に振 り分けた.訓練群では,損傷後1~3週に部分体重支持トレッドミルを用い た二足歩行訓練を施行した.損傷前から損傷後7週までの各時点で,痙性の 評価として後肢屈曲抵抗とH/M比の測定,疼痛の評価として後肢の機械激 刺激および温熱刺激に対する反応閾値の測定を実施した.また,膜輸送タ ンパク機能型KCC2と神経栄養因子BDNFの発現量をwestern blotで解析し た.
痙性と疼痛は,訓練を終了した損傷後3週では両群間に有意差を認めな かったが,7週後では訓練群ではいずれも有意に抑制されていた.機能的 KCC2発現量も損傷後7週で訓練群において有意に増加しており,KCC2が痙 性や疼痛と関連している可能性が示唆された.神経栄養因子BDNF発現量 は損傷後3週と7週のいずれにおいても亢進していた.脊髄損傷後の運動療 法が長期的な下肢の痙性や疼痛を抑制する要因として,BDNF発現増加を 介して機能的KCC2発現量が増加するという機序が示唆された.
2)慢性期脊髄損傷に対する細胞移植とリハビリの併用療法:マウス重度 胸髄圧挫損傷モデルを作製し,損傷後6週から11週まで部分体重支持下ト レッドミル歩行訓練のみを実施した慢性期訓練群,訓練に加えて損傷後7週 に神経幹細胞移植を行った併用群,何も行わない対照群の3群に無作為に振 り分けた.BMSスコアとDigigait解析を用いて後肢運動機能を経時的に評 価に3群間で比較検討した.副作用の評価として,痙縮と機械的ならびに温 熱刺激に対する疼痛閾値を経時的に評価した.組織学的検討により移植細 胞は良好に生着し,3系統へと分化していた.対照群・訓練群と比較して,
併用群では有意に良好な後肢運動機能の改善がみられた.痙縮と疼痛閾値 は3群間で有意差を認めなかった.神経幹細胞移植に歩行訓練を併用するこ とで,従来の細胞移植単独では有意な効果が認められなかった慢性期脊髄 損傷に対しても,運動機能の回復が得られることが明らかとなった.
以上の結果を踏まえて,現在計画中の臨床研究においても,幹細胞移植と ともに移植前後のリハビリテーションが極めて重要であると考えている.
《略歴》1987年慶應義塾大学医学部卒業,1998年ジョージタウン大学客員研究員,2000年慶 應義塾大学整形外科助手,2004年同専任講師,2012年同准教授,2015年同教授 [主な専門分野] 脊椎脊髄外科,脊髄再生,iPS細胞,神経幹細胞,Neuroimaging [主な学会活動歴] 日本整形外科学会(代議員・移植再生委員会委員長),日本再生医 療学会(評議員),日本脊髄障害医学会(幹事・脊髄再生医療委員会委員長),日本 脊椎脊髄病学会(評議員),日本運動器疼痛学会(理事)など
[受賞歴] 1996年 慶應義塾大学医学部三四会奨励賞,2004年,2005年 Cervical spine research society Basic science research award, 2006年 日本整形外科学会・学会奨 励賞,慶應義塾大学医学部三四会・北島賞,2007年,2008年 Cervical spine research society Basic science research award, 2014年 第51回ベルツ賞(1等賞),日本再 生医療学会学会賞, Journal of Orthopaedic Science Best paper award 2013, 2015 年 Journal of Orthopaedic Science Best paper award 2014
なおる神経内科 TN-10:なおる神経内科の中のニューロリハビリテーションの役割 ~ニュー ロリハはdisease modifying therapyとしての役割を果たせるか?
5月21日(土) 8:00~10:00 第11会場(神戸国際会議場3・4F 国際会議室)
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