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結果と分析

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第5章 漢字圏年少継承日本語話者の日本語の漢字認識

5.5 スキャフォールディングの実施と効果に関する比較

5.5.1 結果と分析

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ォールディングが多い傾向があったが、後期修了時調査では④のバイリンガルスキャフォ ールディングが前期より増加していたことが示された。得点群別に見ると、②の日本語スキ ャフォールディングは得点群の正答数が下がるにつれて増加する傾向があり、③の中国語 スキャフォールディングは A 群以外で多く使用されるが群ごとの明確な傾向は見られなか った。

図5.13、5.14、5.15をもとに3都市比較を行うと、全体的には、台北と香港でも①と④ が少なく、②と③が多いという北京の前期修了時調査と同様の傾向を見せており、北京の後 期修了時調査ほど④は多く使用されていない。また、北京と台北では②の日本語スキャフォ ールディングより③の中国語スキャフォールディングの方が使用頻度が高いのに対し、香 港ではその逆の傾向を見せている。得点群別に見ると、②の日本語スキャフォールディング は、北京と香港で正答数が減少するにつれて増加する傾向は同様であるが、台北ではその傾 向ははっきりとは見られない。③の中国語スキャフォールディングの方も、北京と香港では 得点群ごとの傾向を見られないが、台北では正答の減少に従い増加している。

次に、以下の表5.17に北京・台北・香港それぞれの全体のスキャフォールディング実施 数と成功数及び成功率を示す。

表5.17 小学一年生後期修了時調査スキャフォールディング実施数と成功数及び成功率

(北京・台北・香港)

都市 実施数 一人当たり実施数 成功数 成功率

北京 183 12.2 98 54%

台北 60 4.3 38 63%

香港 120 8.57 74 62%

表5.17より、北京でのスキャフォールディング実施数が極めて多く、台北が極めて少な いことが明らかである。また、成功する割合を見ると台北、香港、北京の順に高く、台北で は効率のよいスキャフォールディングが実施されたことを示している。香港ではスキャフ ォールディングを多く使用した分、その効果もあったと見ることができる。だが、北京では スキャフォールディングを駆使した割には、その効果が上がっていないと言える。

表5.18 小学一年生後期修了時調査得点群別スキャフォールディング成功率(北京/台北/香港)

都市 A B C D E 全体

北京 60% 50% 47% 51% 60% 54%

台北 100% 72% 56% - - 63%

香港 0% 78% 45% 67% 58% 62%

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北京では最下位のE群が6名で北京児童の5分の2を占めることが影響していると思わ れたが、実際の得点群別の正答率を示した表 5.18 を見ると、北京E 群の成功率は 60%に 上り、真ん中に位置するB 群、C 群、D 群の成功率が低いことが分かる。台北と香港でも 真ん中に位置する C 群で成功率を下げていることは、児童に合わせて実施したスキャフォ ールディングのタイプに関係があることが窺える。

図5.16、5.17、5.18は、表5.17で示したスキャフォールディング実施数と成功数及び成 功率を、スキャフォールディングのタイプ別に示したものである。

図5.16, 5.17, 5.18 小学一年生後期修了時調査

タイプ別スキャフォールディング実施数と成功数及び成功率(北京/台北/香港)

020 4060 80100 100

2030 4050

成功率

スキャフォールディング数

総数 成功数 成功率

020 4060 80100 0

5 10 1520

成功率

スキャフォールディング数

総数 成功数 成功率

020 4060 80100 05

1015 2025

成功率

スキャフォールディング数

総数 成功数 成功率

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タスク中に実施したスキャフォールディングのうち、頻度が低い①の一般スキャフォー ルディングは除外して、②日本語スキャフォールディング、③中国語スキャフォールディン グ、④バイリンガルスキャフォールディングについて、3都市の特徴を分析する。

②③④を見ると、台北の「漢字の同定」を除いて、成功率はほぼ同じ傾向を見せている。

②の日本語スキャフォールディングの効果は、語彙ヒント>共起関係ヒント>文脈ヒント の順であることは共通しているが、下降線のカーブは緩やかな台北・香港に比べると、北京 は共起ヒント、文脈ヒントの成功率が急激に低くなる。③の中国語の漢字確認と漢字の同定 ヒントは簡体字を使う北京では成功率が低く、台北・香港では高い。④の漢字の意味への注 目と日本語への翻訳は、前述したように北京では前期に比べて増加している。香港も一定量 あり、台北が最も少ない。成功率も相対的に低く、北京 38%、台北 50%、香港 44%であ る。

このようなスキャフォールディングが互いにどのように関係しているのかについて、成 功したスキャフォールディングを類型別に示したものが以下の図5.19、5.20、5.21である。

図5.19, 5.20, 5.21 得点群別・類型別スキャフォールディング一人当たり成功数

(北京/台北/香港)

0.501

北京 A

01 2

北京 B

02 4

北京 C

01 2

北京 D

0 5

北京 E

0.20 0.4

台北 A

01 2

台北 B

02 4

台北 C

0.501

香港 A

01 2

香港 B

0 5

香港 C

02 4

香港 D

02 4

香港 E

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図5.19、5.20、5.21から明らかなように、得点群によって成功したスキャフォールディ ングの類型が異なることが分かり、それも 3 都市で異なる特徴を見せている。北京と台北 ではどの群も、③の中国語スキャフォールディングが②の日本語スキャフォールディング より効果的であり、香港のB群(A群は1名のみ、スキャフォールディング実施数1成功 数0)も北京・台北と同様の傾向であるのに対し、香港のC群D群E群は逆現象が起こっ ている。

以上の分析結果をもとに、漢字圏で日本語を継承する児童はどのように正答にたどりつ いているのか、どのような助けが有効なのかについて考察を行う。

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