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日本語双学位学習者のデータ収集

第 3 章 研究方法

3.2 データ収集

3.2.2 日本語双学位学習者のデータ収集

ここでは、日本語双学位学習者のデータ収集の方法について述べる。

(1)第一学年のインタビュー調査と記述式質問紙調査

2012年2月、日本語双学位開始前、調査に承諾した対象者にそれまでの日本語学習につ いて自由に語ってもらった。履修の経緯、日本語関連の知識、目標に関する質問をもとに、

半構造化インタビューを実施した。その前に実施した記述式質問紙調査では、これらの質 問について調査したが、記述式質問紙に慣れていないためか、詳細に日本語を学習するに 至った経緯を書くことができなかった。記述式質問紙に記載されている回答に基づいて、

各学習者のインタビューの質問項目を作成した。インタビューは学習者の移動時間を考慮 し、K大学の講義棟の教師休憩室で行い、許可を得てICレコーダーに録音した。一人あた りの収録時間は約20分である。以下は、質問項目の一部である21

① どうして日本語双学位を選んだのか。具体的に説明しなさい。

21 K大学の学習者の場合、学習者と個別に相談し、インタビューの時間を決めて行った。他の大学の学習 者の場合、授業終了後、送迎バスに乗る学習者もいるため、昼休みの2時間を利用して行った。人数が 多かったため、複数回に分けて行った。

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② 日本(日本文化・日本社会)に関する知識を持っているか。どのようにして得たか。

この調査を行うことによって、日本語双学位履修前の学習者の学習動機と学習行動を把 握することができる。日本語双学位開始後の学習者の学習動機の変化も見ることができる。

この部分についての質問項目は、日本語双学位学習開始時の日本語の学習動機を分析する 際、詳細に述べる。

その他、第一学年前半終了時(2012年8月)、第一学年終了時(2012年12月)という 二つの時点で、記述式質問紙調査を実施した。第一学年前半終了時に調査を実施したのは、

学習者は日本語双学位学習がどのようなものであるかをある程度把握し、比較的正確に自 分の日本語学習を評価できるようになる時期であると考えたためである。第一学年終了時 に調査を行ったのは、一年の日本語学習を通して、日本語双学位の位置づけを理解し、履 修を二年目も継続するかどうかを決定する時期であるためである。これらの調査を実施す ることにより、学習者の当時の学習動機を正確に把握することができる。質問項目は、日 本語双学位の学習動機と学習行動の変化に関する項目の他に、授業観察やコミュニティグ ループ22で獲得した知見からも質問項目を設けた。

(2012 年8月 第一学年前半)

①日本語双学位学習開始半年後、想像していた双学位とどう違うか、答えなさい。

②日本語に対する興味は日本語双学位開始前と比べて、増加したか(あるいは減少したか)。

日本語双学位を履修したことに対して、何か新しく思ったことがあるか(自分の選択が 間違っているか、日本語学習に向いていないか、また他に何か思ったことがあるか)。

(2012年12月 第一学年後半)

日本語双学位開始後一年が過ぎたが、下記の事項について、この一年間の日本語双学位学 習の自己評価をしなさい(段階毎に答えなさい。過去一年とあるように、長い期間の自己 評価であるため、しっかり振り返ってから、具体的に答えなさい。)。

出席状況(出席できなかったとき、その原因と当時の心理状況を書きなさい。):

授業への集中力:

授業前の予習:

授業後の復習:

授業外の日本語の関連知識:

学習効果(平日のテストの実施時期と成績):

現在の学習効果と予想していた学習効果と違いがあったのか:

22 直後の(4)と(5)で詳細に説明する。

42 (2)学習日記

日本語双学位課程の第一学年の前期である2012年2月の下旬から3月の上旬までの間23 と第一学年の後期の11月、それぞれ二週間を取り出し、学習者に日本語学習日記を記録さ せた。Wen(1993)を参考に、学習日記の様式を作成した。学習日記の内容は、その日に どのような日本語学習を行ったか、どのような気持ちであったかなどである。これらを記 録させることにより、日本語双学位の学習が学習者の日常生活の中でどのような位置を占 めていたかを見ることができる。

今日は一日日本語の授業だった。授業中、教科書の単語を密かに復習していた。放課後、

字幕なしでアニメを見た。その際、どの程度セリフを理解できるかで、自分の聴解力を測 っていたが、それは無意味だと気づいた。前後の内容や声色から聴解力に関係なく推測で きるからだ。(略)

(今天是一天课,上课的时候算是翻了不知道多少页单词。再就是感觉看生肉这件事情来判断听力 水平很不靠谱,看生肉的时候有情景,有上下文,而且声优表现力都很强,很容易从中推断意思。

(略))

(B01/20121117/第一学年の後半)

(3)終了前の記述式質問紙調査

双学位課程終了前24の2014年4(第二学年の後半)に、二年間の日本語学習について記 述式質問紙調査を実施した。調査内容は二年間における学習動機、受講態度、授業外での 学習、現在の学習到達度と予想していた到達度との相違などである。協力者の回答で不明 なところについては、メールでフォローアップインタビューを実施した。以下は記述式質 問紙調査の質問例の一部である。

① 二年間の履修期間内で、日本語双学位の学習動機に変化があったか。どのように変 化したのか。

② 授業外で、日本語学習がどのように行われてきたのかを具体的に述べなさい。

(4)日本語双学位の授業の雰囲気や学習者のパフォーマンスを把握するために、第一学 年前半、2クラスの授業観察を3回ずつ行った(クラス①(20120317、20120403、20120822

23 筆者が決めた時期に必ず日記をつけていたとは限らない。日記をつけるのを忘れていた学習者も いたため、2月の下旬から3月上旬まではあくまでも原則上の期間である。

24 この時期には卒業論文の口頭試問が既に行われていたが、双学位証書は主専攻のほうの学位証 書が取得されてはじめて取得可能となるため、双学位証書受領は6月に行われる学士卒業証書 授与式の後になる。

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午前)、クラス②(20120402、20120415、20120822午後))。表3-8は観察した際のフィ ールドノーツの一部である。学習内容、授業の流れ、学習者の授業中の様子、筆者が気づ いたことを記述した。

表 3-8 授業観察のフィールドノーツ(一部抜粋)

クラス:①年月日:2012年8月22日(夏休み中の授業)、水曜日、場所:東九楼104 内 容:『総合日本語1』第12課、ユニット3、249頁、担当教師:Z、出席人数:45人(総人 数50人)

課題 授業の流れ 筆者からの評価 備考

本 文 の 音 読

①先生が挙手して発言するよ うに一度促したが、挙手する人 はいなかった

②先生がB31を指名し、音読さ せた

③B03が挙手し、音読した

④二人に対する先生のコメン ト:「あまり良くなかったです。

引き続き頑張ってください。」

B31:流暢ではなかった、

発音も少しおかしかった。

音読しながら、おかしいと ころを先生に指摘されて いた

①教室環境:学習者 はうつむいて自分で 音読の練習をしてい た。教室は騒がしか った

②学習者B31は予習 不足、B03は不足して いるところを指摘さ れたが、予習してい たことは窺えた

B03:NとLの発音の区別

がついていないところが あった。緊張のせいか、声 が震えていたが、比較的流 暢に音読できた

(5)コミュニティグループ

協力者との接触を深めるために、自由に交流(日本語も可)できるコミュニティグルー プ25をインターネット上に作成し、彼らの日本語学習を多面的に観察した。このグループ でのパフォーマンスから学習者の平日の日本語学習の一端を窺うことができる。無論、コ ミュニティグループで発言する学習者と発言しない学習者がいるが、筆者ができるだけ多 くの学習者に発言してもらうよう努力した26。図3-1は普段のチャット記録から取ってきた ものである。左は元の記録であり、右は日本語に訳したものである。

25 日本のlineのような通信アプリで、QQというものを使用し、コミュニティグループを作成した。この アプリは本研究で対象としている双学位プログラム参加者全員がアカウントを持っているため、最も 気軽に連絡を取りやすい手段である。

26 全ての学習者と個別にチャットし、「日本語学習はどう?」「コミュニティグループまたは個別に日本 語学習について疑問に思っていることを聞いてください。」「身についている日本語でコミュニティグ ループ練習するともっと印象に残りますよ。」などのようなことについて、学習者を積極的に発言する よう促した。その結果、日本語双学位の授業日の前日と土曜日・日曜日にコミュニティグループで発言 する人が増加したが、ほかの時間帯で発言する学習者は少なかった。また、内気な学習者、日本語学習 が良くできていない学習者、パソコンを頻繁に使用していない学習者などは、発言していなかった学習 者が多かった。