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第 4 章 結果と考察―日本語専攻学習者―

4.4 各学習者の学習軌跡―A03 と A05 を除く―

4.4.11 学習者 A13

A13は日本語学習について、「ずっと変化しなかった。ずっとあまり興味がないままだ った。(没什么变化吧,一直都没有什么。)(インタビュー調査/20140901)」と述べている。A13 は高校時代理系で、日本語専攻に配属され、日本語専攻に対して「あまり興味ないと思う。

転専攻しようか。(感觉没什么兴趣。转专业吧)(質問紙調査/20110920)」と考えていた。大学 に入学してから、転専攻試験の受験勉強用の教科書を購入した。しかし、入学一ヶ月後、

A13は転専攻について、考え方が変化してきている。「日本語専攻から転出できなくても 大丈夫だ。できなければ構わない。(一般想,转不成也没关系。)(質問紙調査/20111006)」と 変化した。そのように変化した理由は転入したい経済・管理関連の専攻はK大学では、優 位性の高い専攻ではないということである。転専攻試験の教科書を購入したが、受験勉強 はまだ開始していなかった。しかし、「日本語を専攻として学習することは考えたことも ない。言語学習の資質がないし、記憶力も良くない。(没想过会学习日语专业。没有语言学习的 天分,记性也不好。)(質問紙調査/20110920)」とあるように、日本語専攻に関心を示しておら ず、自分が日本語をよく学習できる自信がなかった。日本語学習開始前、ほとんどの理系 出身の学習者は文系の学習者が理系の学習者より日本語学習に向いていると信じていたが、

学習開始後、A13以外の学習者はあまり関係がないと思うようになった。それに対し、A13 は「文系の学生は暗記のための時間を作るのが上手だから。(文科生更注重背诵积累,文科生 更善于语言方面的学习。)(質問紙調査/20110920)」と文系の学生が有利と信じていた。当 時の日本語の授業に対して、「ちょっと難しかった。ちょっと緊張している。原因はちゃ んと暗記していなかったからだ。(有点难有点紧张。因为自己没有背。(質問紙調査/20111006)」

というような精神状態であった。学習者日常調査票から日本語学習がA13の日常生活にど のような位置を占めているかを見ていきたい。

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2011年度日本語専攻学生日常調査票 姓名 A13

平日では、毎日8コマほどの授業があるため、日本語学習の時間が限られていた。週末 の時間を有効に利用することができれば良いと考えていたからである。しかし、A13の日 常調査票から分かるように、限られた授業外の時間は日本語学習の他に、部活や副科目の ために使用されている。週末二日間で、日本語学習に使われた時間は僅か一時間半である。

下記の学習日記からもそのことが証明される。

今日もまた昼まで寝坊しちゃった。ご飯を食べたら、もう昼だった。ルームメートのA10 と一緒に街の方パソコンを見に行った、道が渋滞していて、バスも混んでいた。ようやく 用事が済んだところで、外国語学部主催の報告会を聞きに行かねばならなかった。居眠り したので、何も頭に入らなかった。夜は嫌々ながら少し日本語の本文を暗唱し、早めにベ ッドについた。

(今天又起得很晚,吃过饭后已经是中午,和A10一起去广埠屯看电脑,路很不好走,挤公交挤得 够呛,整个人晕头晕脑的,好不容易忙完回家,又得去听什么国奖国励的报告会。什么也没听进去,

就睡了一小会。晚上勉强读了一会儿日语课文,便早早的睡了。)

(学習日記/20121204)

今朝目覚めたときはもう 10 時だった。午後はネットサーフィンをして、映画と音楽をダ

2011-11-19(土) 2011-11-20(日)

内容(学習、仕事、娯楽 の時間を時間帯ごとに 書きなさい)

精神状態 内容(学習、仕事、娯楽の時 間を時間帯ごとに書きなさ い)

精神状態

午 前

—9:30 寝坊

9:30—11:00 日本語の 音読(—9:30 睡觉

9:30—11:00 读日语)

集 中 し て い なかった

(松懈状态)

—9:30 寝坊

9:30—11:00 部活動の記事 と副科目の論文を書いてい た(—9:30 睡觉

9:30—11:00 写通讯稿,论文)

まあまあだっ た

(精神好像可以 集中了)

午 後

13:00—17:00 パ ソ コ ン教室で軍事理論や微 分積分の論文の資料を 収集した(13:00—17:00 在机房做军事理论,微积 分论文的材料)

退屈だった。

大 部 分 の 時 間 を ネ ッ ト サ ー フ ィ ン に使用した

(很无聊,大 部分时间耗在 网页上了)

歴史の授業の感想文と微分 積分の論文を書いていた

(写历史课感想,微积分发展 史)

良かった

(很好)

夜 6:00-9:00 映画鑑賞 9:00—11:00 筆者との 雑談(6:00-9:00 看电影

9:00—11:00 班 主 任 谈

话)

欠落 部活動の記事を完成させ、

プリントアウトしてから微 分 積 分 の 宿 題 を や っ て い た。(写通讯稿论文三篇,之 后用电脑打出来写微积分作业)

時 間 が 少 な い!疲れた!

(时间很紧,特 别作文不好写,

感觉很累)

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ウンロードした。夜はダウンロードした映画をベッドでゴロゴロしながら見ていた。

(早上一觉十点,下午玩了会儿电脑,下了几部电影音乐,晚上便躺在床上看电影,一天就如此过 去了。) (学習日記/20111210)

午後ものらりとくらり過ごした。もうすぐ聞き取りテストだから、夜になって渋々教科書 の単語を暗記した。あまり集中していなかった。頭もシャキっとしていなかった。時間を 大変かけてようやく一ユニットを暗記した。遅すぎ。単語の暗記には一時間しか使わなか った。そのあと寝た。

(因为要听写了,所以晚上便用来记日文单词了,注意力不太集中,头脑也好像还没清醒似的,花 了好久才记了一单元的单词,太慢了。

下午又浑浑地过去了,到了晚上才勉强拿起日语书,仅仅读了一个小时课文,就很松懈地睡去了。)

(学習日記/20111211)

上記の学習日記から分かるように、週末、A13は朝遅くまで寝ることがほとんどであり、

聞き取りの試験や宿題がある時のみ日本語を学習していた。これらの日本語学習を行う際、

「渋々」、「嫌々」のような精神状態であった。そのため、日本語学習は常に一連の活動 の最後に行われていた。自由記述質問紙に「まだ慣れていない。時間の配分が合理的でな い。たとえば、毎週の日曜日夜更かしなければならない。(还未完全适应,时间安排还是不合 理,如每个星期日都得熬夜。)(質問紙調査/20111121)」とあるように、学習日記では、A13 は 翌日に宿題が確認されるため、前日の夜急いで宿題を完成させることがよくあった。日本 語の授業に対して、「日本語の基礎はちゃんとしていなかったから、授業についていけな いことに困難を感じている。(基础没打好,学起来有一点困难。)(質問紙調査/20111121)」とあ るように、日本語の授業についていけない状態であった。当時のA13は転専攻する気持ち があったが、強くなく、行動に移していなかった。当時、転専攻しなかった理由について、

A13は下記のように考えている。「転専攻するハードルが高く、かつ双学位制度も利用で きるので。(转专业好像是特别难,然后就好像是说可以学二学位。)(インタビュー調査/20150524)」

という理由であった。双学位制度があるため、それを利用して自分の学習したい専攻を学 習すればよいというのがA13の考えであった。

この状態が一年生の後半まで続いていた。ただし、上半期と比べて、下半期の学習日記 から、A13は日本のアニメを見るようになったことが分かる。上半期も見ていたが、頻度 が高くはなかった。下半期になって、多く見るようになったという変化の直接的な背景と しては、A13がパソコンを入手したことであろう。A13は大学入学前に、アニメをほとん ど見たことがなかった。日本語を専攻とした以上、アニメなどの鑑賞は日本語学習に有利 であると言われているため、教科書の学習を好まないA13は意識的に罪悪感のない、かつ 日本語の勉強にもなる学習の仕方を選んだ。しかし、その効果は弱く、「日本の漫画やド

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ラマを見ていたが、それでも興味がなかった。(就算是看动漫看日剧也没什么兴趣) (インタビュ ー調査/20140901)」という。

二年生になり、一年生の成績がクラスで下位のほうであったため、学期の最初に、ちゃ んと学習しようと思っており、短い期間努力して日本語を学習していたが、「あまり効果 が無かったので、頑張る力もなくなった。(没有什么效果,也没什么动力坚持下了。)(インタビ ュー調査/20150524)」というような状態になった。当時の学習日記から、A13 の日本語学 習の精神状態が窺える。

夜は寝室で日本語の本を読んでいた。少し日本語の本を読んだら、携帯のほうに問題があ り、一晩かけて携帯の回復に力を入れた。日本語の教科書を音読する計画が台無しになっ た。もう。寮は本当に学習の場所じゃない。

(晚上在寝室看书,读了一会书之后不幸的是手机刷成砖了,唉唉唉,花费了一晚上的时间修复。

本来打算读书的计划泡汤了,唉,寝室不是学习的地方。)

(学習日記/20121119)

何も変化のない総合日本語、それから自分と関係のない会話の授業、昼休みは午後まで続 いていた。夜も何をやったかもう分からなくなった。また、一日過ぎてしまった。

毫无变化的综日课,完全不关己事的会话课,一觉睡过的下午,不知所为的晚上,哦,一天又过去 了。

(学習日記/20121120)

1点目の日記からA13が日本語学習にやる気がなく、前述の日常調査票とも同じように、

何かあるとき、つい後回しにしてしまうことが分かる。2 点目の日記から、A13 が日本語 の授業に対して嫌悪感を持っていることや自分の日常生活に計画性がないということが明 らかである。

A13はすべての希望を双学位制度に託した。双学位を履修し、双学位のほうの大学院ま で進学する計画を立てていた。双学位で何を履修するかについては、A13は「当時はこれ から何をするか分からない状態だった。日本語に抵抗があったので、別の専攻を学習して みよう。当時もこれからずっと広告関連の仕事につきたいというわけではなかった。目標 が無かったみたいだ。(总感觉不知道自己到底要干什么,学双学位也是,只是说当时不太想搞日语这 一块,谈后就是说换一个,然后就学了广告,当时也没打定主意说要搞广告这一块,就跟没找到目标似的。 (インタビュー調査/20140901)」という状態で、当時関心を持っていた武漢大学の広告学を 履修した。しかし、実際にどのように広告を制作するかの授業であると思ったら、実際の ところ、理論的なものが多かった、あまり実用性がないという意味で意表をつかれた双学 位であった。双学位の一年目は双学位の授業への出席率が良かったが、三年生の下半期か