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第 4 章 結果と考察―日本語専攻学習者―

4.1 日本語学習開始時までの学習動機

4.1.2 グループ 2

グループ2の学習者は理科系出身者で、1名を除いて男性である。日本語学科を志望し ていなかったので、完全に希望とは裏腹に配属されたという認識を持っている。

日本語学科に配属されることを知った後の学習者の反応は以下のようであった。

信じられない、絶望した。

(不可置信,甚至产生了绝望的感觉。) (A09/質問紙調査/20110920)

日本語を勉強してたまるもんか。自然科学でもないし、技術的なものではない、進路はよ くない。

(我怎么能学日语呢,日语没有科技含量(不是自然科学),没有前途。)

(A10/質問紙調査/20110920)

驚いた。自分の気に入った専攻に入れなかったから、悲しかった。

(很惊讶,没能选上自己喜欢的专业,心里觉得不舒服。)

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(A11/質問紙調査/20110920)

ちょっと驚いた。(理科系なのに)どうして言語の専攻に配属された?でも、抵抗感はあ まり強くなかった。自然のなりゆきに任せよう。

(感觉有点惊讶,怎么会学到语言专业,但也不是特别反感,一切随缘,呵呵。)

(A12/質問紙調査/20110920)

ちょっと悲しかった。転専攻のことまで考えた。日本語にあまり興味がない。

(有点不舒服,想过转专业,感觉对日语兴趣很小。) (A13/質問紙調査/20110920)

(結果を知った後)どうしたらいいか分らなかった。がっかりだった。でも、日本語をで きる限り一生懸命勉強しようと思った。

很空吧,走一步算一步,尽力学好,很无助,有点失落失望,很快恢复继续努力。

(A14/質問紙調査/20110920)

大学に入学することができれば、どの専攻でも構わない。

无所谓,上大学不管什么专业都行。) (A15/質問紙調査/20110920)

ほとんどの理科系の学習者にとって、夢にも思わなかった専攻に配属されたというのが 正直な感想である。日本語科に配属されると分かった後、学習者A12とA15以外、強い抵 抗感を抱いていた。専攻に拘泥することはなく、自然の成行きに任せようと考えた学習者 が2名いた。上記のように、学習者A12は他の学習者ほどではなかったが、言語専攻に配 属されたことを不思議に感じていたことがその後のフォローアップインタビューの結果か ら明らかになった。A15はこの時点で、大学に入れればいい、どの専攻かは重要ではない と考えていたようである。

抵抗感を抱いていた理由について、学習者は次のように述べている。

元々理系だったので、日本語を学習するのは全然プラスにならない。それに対して、文系 の学生は言語習得が得意そうだ。それに、言語はただの道具に過ぎないので、四年間をか けて一つの道具を勉強するべきではない。さらに、(私の性格は)機械科学などの理工学 が向いていると思う。

(本身是理科生,学起来毫无优势,文科生本身习文,而语言也是文学的一部分;感觉语言向是一 门工具,尔大学四年不应该仅仅学一种工具;(我的性格)更适合学习机械之类的理工科门类。)

(A09/質問紙調査/20110920)

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頭の隅ですら日本語を考えたことがなかった。人文科学を勉強する気はなかった。自然科 学を勉強したい。

压根没想学日语,没想学人文科学,想学自然科学。 ) (A10/質問紙調査/20110920)

日本語専攻なんて考えたこともない。だって、日本語は文系のものだもの。自分が理系だ ったので。

(没有想过语言方面的专业,日语是文科专业,而自己是理科生,就没有想去选。)

(A11/質問紙調査/20110920)

理工学のものが好きで、得意なのだ。高校の英語の学習を通して、自分が怠け者で、暗記 が必要な科目があまり好きではないことに気付いた。

(因为我比较喜欢理工科方面的东西也比较擅长;而通过对英语的学习,我发觉自己比较懒,不太 喜欢记背的东西。) (A12/質問紙調査/20110920)

理系だったので、文字系の専攻に関心がない。特に丸暗記が嫌い。それに、K大学は理系 が強いので、文系を勉強したいなら、文系が強い武漢大学に行くべきだ。

因为是理科生,所以对那些文字型专业不感兴趣,有点不喜欢死记硬背;而且华科是一所理科性 大学,学外语应该去武大。) (A13/質問紙調査/20110920)

理系だったので、文系のものが得意じゃない。言語学習は抽象的で、ロジック的、理性的 だ。

我是理科生,不擅长文科,语言是一种抽象思维、逻辑思维、理性思维。

(A14/質問紙調査/20110920)

日本語なんて考えたこともない。

(没考虑过。) (A15/質問紙調査/20110920)

「考えたこともない」日本語学科に配属されたことにショックを感じ、日本語専攻を含 め、文系の専攻に強い抵抗感があることが分かる。彼らが日本語専攻に配属されたことを 否定的に捉えている理由は主に四つにまとめることができる。1)日本語が文系学科で、理 系出身の学習者が得意な分野ではない。2)言語はただの道具に過ぎず、大学四年間の専攻 とするべきではない。3)理科系が好き。一方、英語学習を通して、大量の時間をかけて記 憶する科目が嫌いであることを知っている。4)K大学の強みは理工学であるため、日本語 学習を行うなら文系大学で行ったほうがいい。

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学習者は理系出身者で、文系の専攻に対する偏見が強く、多くの時間をかけて記憶する 言語学習には不向きであるという先入観が強いことが明らかになった。「自己決定理論」

に当てはめると、日本語学科に配属され、不本意でありながら日本語を学習する動機は「無 動機」と言っても異論がなかろう。

日本語専攻に配属されると知った後の、グループ 2 の学習者の日本語学習に備えて取っ た行動を見てみよう。

インターネットで日本語学習のビデオにしたがって、簡単な会話を勉強した。

(有,通过网上的一些启蒙课件学习简易日文对话。)

(A09/質問紙調査/20110920)

ない。

(没有。)

(A10/質問紙調査/20110920)

インターネットで日本語について調べていた。それに、意識的に日本のアニメを見ていた。

(通过网上查阅资料,并且看了一些日本动漫。)

(A11/質問紙調査/20110920)

普段は日本語と接するチャンスがほとんどなく、(日本語学科に配属されると知った後)

意識的に日本のドラマ(バトル・ロワイヤルⅠ・Ⅱ)とアニメ(千と千尋の神隠し)を見て いた。

(有,平时与日语接触几乎为零,但暑假里找了大逃杀1、2,千与千寻之类的不错的影视作品。)

(A12/質問紙調査/20110920)

日本の有名な作家の作品(川端康成、村上春樹)を読むことで、生活スタイルや思考スタ イル、習慣を少し知った。

(有吧,也只看了一些日本名家的名著(川端康成、村上春树),了解他们的生活方式,一些习俗 和思考方式。)

(A13/質問紙調査/20110920)

日本語の基礎を少し勉強した。というのは『標準日本語』を何ページかを読んだけど、あ まり分からなかった。

(有,看了一下基本资料,标准日本语看了几页,没看懂。

(A14/質問紙調査/20110920)

63 ない。

(没有。)

(A15/質問紙調査/20110920)

グループ2の学習者は本来は理工学関連の専攻を希望していたが、点数が届かず、全く 志望していなかった日本語専攻に配属された。これらの学習者には日本語学科に配属され るという通知を受領した後、ショックを感じていたが、その後日本語学科に配属されたと いう事実を受け止め、日本語学習に向けて積極的な行動を取ったものが多かった。この点 については、グループ1の学習者とはさほど変わらない。日本語学科入学時点では、学習 者全てが一様にゼロから日本語学習を始めたといっても良かろう。