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第 4 章 結果と考察―日本語専攻学習者―

4.4 各学習者の学習軌跡―A03 と A05 を除く―

4.4.13 学習者 A15

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日本語専攻学習開始

無味乾燥だが、日本語専攻だからという義務感

時間経過 学習者の心理状態 学習動機 日本語専攻に配属され

たが、強い抵抗感

転専攻するには元の専攻の試験に合格しなければならない

日本語学習は将来の専攻に良い可能性がある

一年生上半期終了

図4-14 大学一年生上半期における学習者A14の日本語の学習動機のモデル

A14は最初、日本語専攻に入学する前、理系であった自分が文系専攻に配属されたこと に強い不満を持っていた。日本語学習開始後のA14は、当面の専攻は日本語で、その勉強 が義務づけられていること、転専攻できる条件の一つは日本語の授業の試験に合格する必 要があること、日本語は技能として将来に有益であると考えられること、という三つのこ とによるものであると思われる。しかしながら、もし日本語専攻に配属されていなかった ら、A14が日本語学習をこれまで行っているか否かの問題を先に考えよう。理工学しか考 えていなかったA14はおそらく日本語を勉強していなかっただろう。したがって、A14の 日本語の学習動機は日本語専攻だからという義務感によるものが最も大きいと思われる。

そして、日本語学習は将来の専攻に有利なことや、転専攻のために日本語の試験に合格す る必要があるということが、A14が日本語をよく学習することの動機になったのである。

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日本語学習の方法に気付いた。A15は日本語学習の方法を意識したとはいえ、試験の結果 が良くなかったことが結構衝撃になったのか、日本語学習に対する態度が一変した。授業 中、以前は積極的に授業活動に参加していたA15は、グループ活動の際、クラスメートに 呼ばれ、グループが結成されるのを待っていた。以前は授業中、担当教師の質問に対して 積極的に回答していたが、発言が少なくなってきており、一段と高い声で先生の質問に答 える風景が見られなくなったのである。無論、分からないことについて先生に尋ねるシー ンも見られなくなったのである。この時、日本語学習開始(一般的には9月5日前後軍事 訓練が開始し、9月25日に終了し、その後、授業が開始することになっている。)から二 十日間も経っていない。日本語学習については、「何を学習しているか分からない。あま り興味がないように感じる。(不知道在学什么,感觉没多大兴趣。)(質問紙調査/20111012)」

というように変化した。そして、転専攻については、「転専攻したい、日本語に興味ない から。(想转专业,对日语不感兴趣。)(質問紙調査/20111012)」という意思を表明し、祖父 にも「日本語が好きだったら、何も言わない。もともと、こういう性格が言語学習に向い ていない。管理専攻はお前にぴったりの専攻だぞ。(我爷爷说,如果我喜欢日语,他什么也不会 说,但是觉得我的性格不适合学习语言。他觉得管理专业很适合我。)(質問紙調査/20111012)」と 言われ、管理科への転専攻の受験準備に取り掛かった。A15は当時、聞き取り小テストで 低い点数しか取れなかったことについて、自分があまり努力していなかったと帰属したが、

日本語に興味がない、自分の性格はむいていない、転専攻したいと強烈に感じた。

その後、単語や本文の暗誦が増加し、記憶に多大な負担を与えていたので、日本語学習 に膨大な時間をかけないと、授業に遅れることになってしまう。そのため、このプレッシ ャーに耐えられずに、日本語が嫌だという気持ちが次第にエスカレートした。A15の「学 習者日常調査票」を見てみよう。

2011年度日本語専攻学生日常調査票 姓名 A15 2011-11-28

(月)

2011-11-29 (火)

2011-11-23 (水)

2011-11-24 (木)

2011-11-25 (金)

学 習 内容

精神 状態

学習 内容

精神 状態

学習 内容

精神 状態

学習 内容

精神 状態

学習 内容

精 神 状態 朝

練 な い

(无)

寝 て い た( 睡 觉)

な い

(无)

寝 て い た

( 睡 觉)

日 本 語

( 日 语)

普 通

(一般)

寝 て い た

觉)

風邪で、

良 く な か っ た

(不怎么 好,因为 感冒了)

体 操

( 早 操)

眠 か っ た

(困)

1 -2

微 分 積 分

( 微 积分)

普 通

(一般)

日 本 語(日 语)

良 く な か っ た 。 上 と

総 合 日 本 語

( 综 合 日

最 悪 だ っ た 。 代 理 の 先 生 の 授 業 を

コ ン ピ ュ ー タ ー(计 算机基

風 邪 で 良 く な か っ た

(不怎么 好,感冒

パ ソ コ ン の 実 践 授 業(计

良 か っ た

(好)

145 同 じ

( 不 好,同 上)

语) 全 然 聞 き た く な か っ た( 很 差,不想 听 代 课 老 师 讲 课)

础) 了) 算 机 上机)

3 -4

総 合 日 本 語(日 语)

良くな か っ た。代 理の先 生が好 きでは ないか ら( 不 好,不喜 欢 代 课 老师)

政 治

( 政 治课)

普 通

( 一 般)

微 分 積 分 の 授 業 を サ ボ っ た

( 微 积 分 课 翘 了)

私 事 を や っ て い た

( 处 理 私事)

総 合 日 本 語(日 语)

上 と 同 じ(同上)

5 -6

歴 史

( 历 史)

サ ボ っ た 。 寮 で 寝 て い た

(翘课,

睡觉)

授 業 な か っ た から、

本 を 読 ん で い た(无 课,看 书)

良 か っ た

(好)

寝 室 で

( 在 寝室)

寝 て い た( 睡 觉)

寝 室 で(在 寝室)

寝 て い た(睡觉)

微 分 積 分

( 微 积分)

サ ボ っ た 。 寝 て い た 。

( 翘 课,睡 觉)

上記の A15 の日本語学習調査票から分かるように、風邪を引いたとはいえ、学習者 A15の日本語学習の精神状態は良くなかった。課外学習をした日は二週間の中に3日間し かなかった。「学習者日常調査票」を書かせた2週間には、日本語授業での精神状態が悪 い授業数は半分に達した。原因としては、「お腹が空いた」「眠気がした」「新しい先生 が嫌い」「風邪をひいた」「興味がないし、聞いてもわからないし」が挙げられた。特に、

「新しい先生が嫌い」という理由で三日間も続けて授業に出たくないと書いた。「新しい 先生」に関して、厳しすぎることが嫌いな理由であった。日本語学習における暗記を無味 乾燥だと思い、興味がなくなったところに、前の担当教師と比べて厳しく馴染みのない教 師に以前にも増して反感を抱いているわけである。この時期、日本語学習に反感を抱いて おり、日本語学習を一時的に放棄している。

その結果、中間試験でA15は成績がクラスで最下位となり、不合格であった。

なんて不運だ。やっぱり不合格になった。予想したけど、受け入れられないのは今の気持

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ちだね。時間をかけないことは元々駄目だと分かっているが、他のことにも時間を分けな ければいけないので。悲しすぎる。どうしようもないね。期末試験では合格できるようベ ストを尽くすだけだ。

(很不幸,自己的日语终究还是挂科了,意料之外又是意料之中,不花时间终究还是不靠谱的,可 是时间只有那么多,还得分开来做很多其他别的事情,想来确实可悲,令人无可奈何,我只能尽我 所能让期末考试不挂科吧。)

(学習日記/20111206)

A15は不合格になったことに何の驚きもなく、予想していた結果だと言っているが、不 合格であることは非常にショックなことであると感じているようであった。A15は転専攻 を強く希望していたが、担当教師から転専攻可能になる必要な条件は転入専攻のテストに 合格するのみではなく、前学期のテストに赤点がないことだという規定が伝えられた。初 めて耳にした規定はA15に大きな衝撃を与え、上記のような心境がもたらされたのである。

転専攻に成功するため残りの二ヶ月間、最大限に努力して赤点をとらないと決心した。こ のように、日本語学習の必要性を再度意識し、頑張って勉強しようとした態度が日記から 分かる。

朝、語感を養うために日本語を半時間ほど読んだ。授業の時でも真面目に聞いた。課外の 復習もした。こういうモードは長期間続けないと、効果は出ないと思う。時間が必要だ。

早晨读了半个小时日语,培养语感,上课时听得挺认真的,课后也有复习,这种日语学习模式必 须长期坚持下来才会有效果,这是以时间投入为保证的。

(学習日記/20111212)

A15は転専攻の試験準備をする中で、日本語学習に時間と精力をかけ、如何に日本語を マスターするかについても考えるようになった。その結果、A15は転専攻試験にも合格し、

日本語の授業にも合格し、転専攻することに成功したのである。

上記のA15の日本語の学習動機をまとめると、図4-15になる。

日本語専攻学習開始 中間試験

時間経過 学習者の心理状態 日本語専攻に配属さ

れたが、抵抗なし

無味乾燥のため、一時 期学習動機なし

試験で不合格になり、転専攻に成功するた めに、学習動機降上昇

一年生上半期終了

図4-15 大学一年生上半期における学習者A15の日本語の学習動機のモデル

A15は、理系出身にも関わらず、日本語学科に配属されたことに抵抗感を持っていなか

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った。当時、Kは大学に入学することができれば、専攻が重要ではないという考えであっ た。日本語学習開始後、学習内容の少ない50音学習の時、日本語に新鮮味を感じ、情熱を こめて、日本語学習を行っていた。しかし、その後、学習内容の増加にしたがい、Kは無 味乾燥だと感じるようになり、一時的に日本語学習を放棄していた(少人数のため、授業 をさぼることができず、日本語の授業には出ていた)。その後、中間試験で不合格になり、

転専攻に成功するために、毎日授業外に一定の時間を割いて日本語学習を行っている。

A14とA15以外の学習者の学習動機を描写し、図にする際、基本的には最低でも一学期 を単位に学習動機の変化を追っているが、A14とA15は一学期しか日本語学科にいなかっ たため、日本語の学習動機の細かい変化を追ったのである。