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全体のスピーチレベル・シフトの比較

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第 4 章 「グローバルな観点」からみるスピーチレベルとスピーチレベル・シフト 58

4.1.2 女性ベース話者と男性ベース話者のスピーチレベル・シフトの比較(対目上、

4.1.2.1 全体のスピーチレベル・シフトの比較

対同等 -11.440**▽ 11.440**

男性 ベース話者

JMB004

対目上 2.298*▲ -2.298*▽ 対同等 -0.402 ns 0.402 ns JMB005 対目上 2.543*▲ -2.543*

対同等 3.455**▲ -3.455**▽ JMB006 対目上 2.383*▲ -2.383*

対同等 1.689+ -1.689+

JMB007

対目上 1.432 ns -1.432 ns 対同等 0.992 ns -0.992 ns

表4-3によると、母語場面における各女性ベース話者と各男性ベース話者は、目上と同 等に対して使用する丁寧体と普通体の回数に 1%の有意水準で有意であった(χ2 (15) =

205.851 , p<.01)。なお、残差分析の結果、女性ベース話者JFB021は、対目上に使用する丁

寧体が有意に多いのに対し、対同等に使用する普通体が有意に多いことが観察された。ま た、女性ベース話者 JFB022 は、目上に対して丁寧体を有意に多く使用していることが見 られた。さらに、女性ベース話者JFB023とJFB024は、同等に対する普通体の使用が有意 に多いことがわかった。

一方、男性ベース話者JMB004とJMB006は、目上に対して使用する丁寧体が有意に多 いことがわかった。また、男性ベース話者JMB005は、目上と同等を問わず、全て丁寧体 の使用が有意に多いことが観察された。

以上から、全体のスピーチレベルの分布状況と異なり、各女性ベース話者と各男性ベー ス話者は、対話者側との上下関係によって、実際に使用するスピーチレベルの分布に差異 があると言える。

4-4 母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者のスピーチレベル・シフトの 使用頻度と使用割合(%

女性ベース話者

スピーチレベル・シフト

男性ベース話者

スピーチレベル・シフト ダウン

シフト

アップ シフト

発話文 総数

ダウン シフト

アップ シフト

発話文 総数

JFB021

対目上 対同等

33.1 1814.6

1919.8 1512.2

96

123 JMB004

対目上 対同等

23.6 812.7

47.3 46.3

55 63

JFB022

対目上 対同等

3(3.0)

64.7

15(15.0)

118.6

100 128

JMB005

対目上 対同等

1(1.7)

42.9

4(6.8)

53.6 59 140

JFB023

対目上 対同等

87.3 7(9.2)

1816.5 6(7.9)

109

76 JMB006

対目上 対同等

22.5 4(5.2)

78.8 3(3.9)

80 77

JFB024

対目上 対同等

8(7.2)

1514.9

34(30.6)

65.9

111 101

JMB007

対目上 対同等

8(8.3)

116.7

25(26.0)

95.5 96 164

合計

対目上 対同等

225.3 46(10.7)

8620.7 38(8.9)

416 428

合計

対目上 対同等

134.5 27(6.1)

4013.8 21(4.7)

290 444

図4-3は、全体的に母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者のスピーチレベ ル・シフトの使用割合を示したものである。

4-3 全体的に母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者のスピーチレベル・

シフトの使用割合 5.3

10.7

4.5

6.1 20.7

8.9

13.8

4.7

0 5 10 15 20 25

JFB/O JFB/S JMB/O JMB/S

%

ダウンシフト アップシフト

表4-4と図4-3によると、全体的に母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者 は、目上に対してアップシフトを極めて多く使用している(女性ベース話者:ダウンシフ

ト5.3%、アップシフト20.7%、男性ベース話者:ダウンシフト4.5%、アップシフト13.8%)

のに対し、同等に対してダウンシフトをやや多く使用している(女性ベース話者:ダウン シフト10.7%、アップシフト8.9%、男性ベース話者:ダウンシフト6.1%、アップシフト 4.7%)点で共通していることがわかった。これは、女性ベース話者と男性ベース話者は目 上に対する普通体の使用が非常に少ない(表4-1、女性ベース話者の対目上の普通体:13.9%、

男性ベース話者の対目上の普通体:6.0%)ことと関連していると考えられる。

以上の結果について、女性ベース話者と男性ベース話者の目上と同等に対するダウンシ フトとアップシフトの出現回数をカイ二乗検定で行った結果と残差分析の結果を、以下の 表4-5に示した。

4-5 全体的に母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者のスピーチレベル・

シフトの出現回数に関するカイ二乗検定と残差分析の結果 カイ二乗検定

全体 ダウンシフト アップシフト χ2の結果 女性

ベース話者

対目上 22(39.809) 86(68.191)

χ2(3) = 35.402, p<.01

対同等 46(30.962) 38(53.038)

男性 ベース話者

対目上 13(19.536) 40(33.464)

対同等 27(17.693) 21(30.307)

( )内は期待値

残差分析

調整された 残差と結果

全体 ダウンシフト アップシフト 女性

ベース話者

対目上 -4.470**▽ 4.470**▲ 対同等 4.027**▲ -4.027**▽ 男性

ベース話者

対目上 -2.056*▽ 2.056*▲ 対同等 3.045**▲ -3.045**

表4-5によると、母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、対目上と対同 等に使用するダウンシフトとアップシフトの回数に1%の有意水準で有意であった(χ2 (3)

=35.402 , p<.01)。なお、残差分析の結果、母語場面における女性ベース話者と男性ベース 話者は、目上に対してアップシフトを有意に多く使用しているのに対し、同等に対してダ ウンシフトを有意に多く使用している点で共通していることが観察された。このことから、

日本語母語話者の初対面会話において、対話相手との力関係を顕著に反映しているのはダ ウンシフトであることがわかった。

以上から、母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、全体的に対話者側と の上下関係に応じたダウンシフトとアップシフトの分布が似ていると言える。

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