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ベース話者ごとスピーチレベル・シフトの比較

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 103-109)

第 4 章 「グローバルな観点」からみるスピーチレベルとスピーチレベル・シフト 58

4.2 母語場面と接触場面におけるスピーチレベルとスピーチレベル・シフトの比較

4.2.2 両場面におけるスピーチレベル・シフトの比較(対目上、対同等)

4.2.2.2 ベース話者ごとスピーチレベル・シフトの比較

するダウンシフトが有意に多いのに対し、同等に対するアップシフトが有意に多いことが 観察された。なお、接触場面における男性ベース話者の場合、有意差が見られなかった。

以上から、母語場面と接触場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、対話者側 との上下関係によって、スピーチレベル・シフトの分布に差異があると言える。

3.0

4.7

1.7 2.9

7.4 6.3

10.4

3.9 15.0

8.6 6.8

3.6

5.0

27.1

9.1

21.6

0 5 10 15 20 25 30

%

ダウンシフト アップシフト

7.3

9.2

2.5

5.2

9.4 9.1

16.5

7.9 8.8

3.9

9.4

18.2

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

JFB023/O JFB023/S JMB006/O JMB006/S TFBA003/O TFBA003/S

%

ダウンシフト アップシフト

4-8 母語場面と接触場面における各女性ベース話者と各男性ベース話者のスピーチレ ベル・シフトの使用割合

図4-8を参照すると、母語場面における全ての女性ベース話者と男性ベース話者は、目 上に対してアップシフトを多く使用している点で共通していることがわかった。また、女 性ベース話者JFB022 と男性ベース話者JMB005を除くと、母語場面における全てのベー ス話者は、同等に対してダウンシフトを多く使用していることが観察された。これにより、

母語場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、社会的に同等の相手に対するスピ ーチレベル・シフトの分布傾向に個人差があることが伺える。

一方、女性ベース話者TFBA003と男性ベース話者TMBA001を除くと、接触場面におけ る全ての女性ベース話者と男性ベース話者は、母語場面と正反対であり、目上に対してダ ウンシフトを多く使用しているのに対し、同等に対してアップシフトを多く使用している ことが観察された。

すなわち、母語場面と接触場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、対話相手 との上下関係によって、スピーチレベル・シフトの使用傾向が異なっていることが観察さ れた。

以上の母語場面と接触場面における全ての女性ベース話者と男性ベース話者が使用する ダウンシフトとアップシフトの回数をカイ二乗検定で行った結果と残差分析の結果を、以 下の表4-14に示した。

7.2

14.9

4.5 6.1

10.9

1.6 30.6

5.9

13.8

4.7

3.3

12.9

0 5 10 15 20 25 30 35

JFB024/O JFB024/S JMB007/O JMB007/S TFBA004/O TFBA004/S

%

ダウンシフト アップシフト

4-14 母語場面と接触場面における女性ベース話者ごとと男性ベース話者ごとのスピ ーチレベル・シフトの出現回数に関するカイ二乗検定と残差分析の結果

カイ二乗検定

ベース話者ごと ダウンシフト アップシフト χ2の結果

母 語 場 面

女性 ベース話者

JFB021

対目上 3(8.652) 19(13.348)

χ2(27) = 88.867, p<.01

対同等 18(12.978) 15(20.022)

JFB022

対目上 3(7.079) 15(10.921)

対同等 6(6.685) 11(10.315)

JFB023

対目上 8(10.225) 18(15.775)

対同等 7(5.112) 6(7.888)

JFB024

対目上 8(16.517) 34(25.483)

対同等 15(8.258) 6(12.742)

男性 ベース話者

JMB004

対目上 2(2.360) 4(3.640)

対同等 8(4.719) 4(7.281)

JMB005

対目上 1(1.966) 4(3.034)

対同等 4(3.539) 5(5.461)

JMB006

対目上 2(3.539) 7(5.461)

対同等 4(2.753) 3(4.247)

JMB007

対目上 8(12.978) 25(20.022)

対同等 11(7.865) 9(12.135)

接 触 場 面

女性 ベース話者

TFBA001

対目上 17(8.652) 5(13.348)

対同等 9(14.551) 28(22.449)

TFBA002

対目上 9(5.899) 6(9.101)

対同等 6(12.584) 26(19.416)

TFBA003

対目上 17(13.371) 17(20.629)

対同等 8(9.438) 16(14.562)

TFBA004

対目上 10(5.112) 3(7.888)

対同等 1(3.539) 8(5.461)

男性 ベース話者

TMBA001

対目上 5(3.933) 5(6.067)

対同等 10(6.685) 7(10.315)

TMBA002 対目上 8(5.899) 7(9.101)

対同等 2(5.112) 11(7.888)

( )内は期待値

残差分析

調整された 残差と結果

ベース話者ごと ダウンシフト アップシフト

母語 場面

女性 ベース話者

JFB021 対目上 -2.519*▽ 2.519*

対同等 1.848+ -1.848+

JFB022

対目上 -2.002*▽ 2.002*

対同等 -0.346 ns 0.346 ns

JFB023 対目上 -0.916 ns 0.916 ns

対同等 1.085 ns -1.085 ns

JFB024 対目上 -2.803**▽ 2.803**▲ 対同等 3.073**▲ -3.073**

男性 ベース話者

JMB004

対目上 -0.302 ns 0.302 ns

対同等 1.961*▲ -1.961*

JMB005 対目上 -0.889 ns 0.889 ns

対同等 0.317 ns -0.317 ns

JMB006 対目上 -1.059 ns 1.059 ns

対同等 0.971 ns -0.971 ns

JMB007

対目上 -1.831+ 1.831+

対同等 1.463 ns -1.463 ns

接触 場面

女性 ベース話者

TFBA001 対目上 3.721**▲ -3.721**

対同等 -1.936+ 1.936+

TFBA002 対目上 1.663+ -1.663+

対同等 -2.458*▽ 2.458*▲ TFBA003

対目上 1.317 ns -1.317 ns

対同等 -0.615 ns 0.615 ns

TFBA004 対目上 2.810**▲ -2.810**

対同等 -1.748+ 1.748+

男性

ベース話者 TMBA001 対目上 0.698 ns -0.698 ns

対同等 1.673+ -1.673+

TMBA002 対目上 1.127 ns -1.127 ns

対同等 -1.789+ 1.789+

表 4-14 によると、母語場面と接触場面における各女性ベース話者と各男性ベース話者 は、目上と同等に対して使用するダウンシフトとアップシフトの回数に 1%の有意水準で 有意であった(χ2 (27) = 88.867 , p<.01)。なお、残差分析の結果、母語場面における女性ベ

ース話者JFB021とJFB022は、目上に対してアップシフトを有意に多く使用していること

がわかった。また、女性ベース話者JFB024は、目上に対してアップシフトを有意に多く使 用しているのに対し、同等に対してダウンシフトを有意に多く使用していることが観察さ れた。一方、母語場面における男性ベース話者JMB004のみ、同等に対するダウンシフト の使用が有意に多いことが見られた。

一方、接触場面における女性ベース話者TFBA001とTFBA004は、母語場面と正反対で あり、目上に対してダウンシフトを有意に多く使用していることが観察された。また、女 性ベース話者 TFBA002 は、同等に対するアップシフトの使用が有意に多いことが見られ た。一方、接触場面における男性ベース話者は、有意差が見られなかった。

以上から、母語場面と接触場面における女性ベース話者と男性ベース話者は、対話相手 との上下関係によって、スピーチレベル・シフトの使用傾向が大きく異なっていると言え る。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 103-109)

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