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ニュートラル・ポライトネス効果

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 126-129)

第 5 章 「ローカルな観点」からみるスピーチレベル・シフト

5.1 母語場面におけるスピーチレベル・シフトのポライトネス効果

5.1.2 ニュートラル・ポライトネス効果

例5)JFB024-JFO016(女女、目上)「感想」

発話文 番号

発話文

終了 話者 発話内容 スピーチ

レベル

シフ ト

264 * JFO016 んー1年住んでみてどうだった?[→]。 N

265-1 / JFB024 あーでも,,

266 * JFO016 学生だったけど…。 NM

265-2 * JFB024 学生でー、ちょっとがやがやしすぎて後悔

してるんですよ=。 267-1 / JFB024 =<もっとちゃんと>{<},,

268 * JFO016 <ほんと?>{>}<笑い>。

267-2 * JFB024 勉強しとけば良かったー=。

269-1 / JFB024 =もっともっと自分から交流してー,,

270 * JFO016 うんうん<うんうんうんうんうんうんうん

うん>{<}。

269-2 * JFB024 <積極的にやれば良かったと思ってる>{>}

んですけど、帰ってきたときはやっぱ安心 P

して(うんうん)、あーもう二度と行きたくな い(<笑い>)と思ったんですけど、やっぱり。

271 * JFO016 過ぎてみると…。 NM

272 * JFB024 うん、過ぎてみると<楽しい>{<}66。 N D

273 * JFO016 <いいのかな>{>}。 N

274 * JFO016 うんうんうん。

275 * JFB024

でもいるときはほんとに辛くて(うんうん うん)、なんで辛いかっていうとたぶん言語 が伸びないからで。

NM

276 * JFO016 <笑い>。

277 * JFB024 それは自分が悪いんですけど。 P U

278 * JFO016

まあね、ある一定ぐらいでね、行くと結構

伸びるのほんと難しい…。 NM

279 * JFO016 ねー。

例5)は、ベース話者JFB024と目上の対話相手JFO016が、一年中国で過ごすという話

題について話している場面である。ベース話者JFB024は、発話文番号269(269-1と 269-2)で、無標スピーチレベルの丁寧体を用い、目上に当たるJFO016への配慮を表している。

発話文番号272で、ベース話者は直前の対話相手の中途終了型発話(「過ぎてみると…。」) を、「うん、過ぎてみると<楽しい>{<}。」のように普通体を用い、中途終了の発話を補完し ていることが見られる。ベース話者は、対話相手が言葉探しの途中、対話相手の発話を自 分の理解に基づき補足している、すなわち、共同発話を作っている。

このようなダウンシフトの使用は、対話相手の発話を補完することによって、言語形式 上から共同発話を形成している。「ディスコース・ポライトネス理論」に基づき、このダウ ンシフトは相手が心地よく感じる「プラス・ポライトネス効果」も、相手が失礼だと感じ る「マイナス・ポライトネス効果」も見られない。一方、「プラス・ポライトネス効果」と

「マイナス・ポライトネス効果」と別次元の効果、すなわち、共和的話し方を使用するこ

66 発話文番号272と273で、話者双方は「楽しい」と「いいのかな」を同時発話していることが見 られた。ベース話者JFB024は「うん、過ぎてみると楽しいです」のように発話末の「です」がオー バーラップによって中断される可能性が考えられる。しかし、本研究では、このような同時発話に よる発話末のスピーチレベルの判断には限界がある。この点について、今後検討すべきである。

とにより、和やかな雰囲気を作り出しているという効果があると考えられる。

例6)JMB006-JMSa004(男男、同等)「繰り返し」

発話文 番号

発話文

終了 話者 発話内容 スピーチ

レベル

シフ ト

57 * JMSa004 ふーん、で、機械、制御でしたっけ??。 P

58 * JMB006 機械制御<です>{<}。 P

59 * JMSa004 <あー>{>}、具体的にはどういうことをや

ってらっしゃる<んですか?>{<}。 P

60 * JMB006 <ロボット>{>}とかです。 P

61 * JMSa004 あ、ロボットですね、<あー>{<}。

62 * JMB006 <はい>{>}。

63 * JMB006 《沈黙2秒》単純には<笑い>。 NM

64 * JMSa004 あー。

65 * JMSa004 じゃそれ、つく、作るってことですか?、

ロボットを。 P

66 * JMB006 そうですね=。

67 * JMSa004 =あー。

68 * JMB006 ロボットを(あー)作る。 N D

69 * JMB006 あのー、NHKとかでロボットコンテスト

<やってる…>{<}。 NM

70 * JMSa004 <はいはいはい、あります>{>}。 P U

71 * JMB006

ああいうのにも、(あー)ええ、出たことが

あります。 P

例6)の会話は、同等の対話相手JMSa004がベース話者JMB006の専門(機械制御)に について聞いている場面である。ベース話者JMB006は、発話文番号57-65で、無標スピ ーチレベルの丁寧体を使い続けており、同等の相手に当たるJMSa004に対して初対面の疎 の人間関係を配慮している。

対話相手による「<あー>{>}、具体的にはどういうことをやってらっしゃる<んです

か?>{<}。」(発話文番号59)という質問に対し、ベース話者はその直後の発話文番号60で、

「<ロボット>{>}とかです。」と答えている。この「質問-応答」の隣接ペアはともに無標 スピーチレベルの丁寧体を使っている。その後、対話相手は「じゃそれ、つく、作るって ことですか?、ロボットを。」(発話文番号65)を発話し、先ほどの「<ロボット>{>}とかで す。」という返答に対してさらに確認を求めていることが見られる。それに対し、ベース話 者は発話文番号68で、「ロボットを(あー)作る。」のように普通体を用い、相手の質問の一 部を繰り返しながら、相手からの確認の質問を返答した。

このようなダウンシフトの使用は、対話相手の発話の一部を繰り返して言うことで、対 話相手からの確認を応答する時に見られた。「ディスコース・ポライトネス理論」に基づき、

このダウンシフトは相手が心地よく感じる「プラス・ポライトネス効果」も、相手が失礼 だと感じる「マイナス・ポライトネス効果」も見られない。一方、このダウンシフトは、

「プラス・ポライトネス効果」と「マイナス・ポライトネス効果」と別次元の効果、すな わち、相手の発話を繰り返すことにより、発話内容を強調するという効果があると考えら れる。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 126-129)

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