第5章 日本人英語教師の英語観と形成要因
5.3 RQ1 に対する結果
5.3.4 非母語話者英語と教養についての属性分析
表5.16 年代における属性分析:質問56「英語で授業を行うことについて不安がある」
まったくあて はまならい
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかとい うとあてはま
る
よくあてはま る
総計
20 代 5 (7.8%) 9 (14.1%) 19 (29.7%) 13 (20.3%) 18 (28.1%) 64 30 代 6 (7.6%) 14 (17.7%) 21 (26.6%) 27 (32.9%) 12 (15.2%) 80 40 代 6 (8.6%) 18 (25.7%) 14 (20.0%) 22 (31.4%) 10 (14.3%) 70 50 代 4 (6.9%) 10 (17.2%) 22 (37.9%) 16 (27.6%) 6 (10.3%) 58
60 代 0 2 (14.3%) 7 (50.0%) 5 (35.7%) 0 14
総計 21 53 83 83 46 286
そのそういうのを備えながら、国際人になるっていうことで、それは中学で 行ったからとかそういうことではなく、はい。
(*)じゃあ、そのきちんとした英語っていうのは基準っていうのはどう、どう
(B)基準ですかー、そうですねー。
発音なんかは発音記号で書いてあるのっていうのがそうですけど、文法もあ のその、きちっと使える。例えばenjoyだったら動名詞しかとらないので会 話の中でもそれを守るとか。
(*)ふーん、なるほどー。やっぱり聞いたときにー崩れてたりすると、
(B)そうですねー。やっぱり教養を、まあ、問われますよね。
学習モデルとしての標準化された母語話者英語というものが「正確な英語」であ るとすれば、それとは異なる発音をしたり、それとは違う文法を用いる学習者の英 語、非母語話者英語は、そこからの逸脱となり、その逸脱の度合いが大きいことに よって、「教養を問われる」のではないかという見解が看取できるストーリーである。
このB先生の見解については、すでに4.5.6でも議論したように、帰国子女としての B 先生のバックグランドからの影響を受けた、いわば母語話者に近い感覚からの考 え方ではないかという分析をし、帰国子女、あるいは長期の留学経験などの属性を もたないA先生が、語彙力や表現力の乏しさが教養のなさを示してしまう要因であ ると捉える見解と比較した。
これについての属性分析では、海外経験などについて様々な角度からの調査を行 うほうが、このA先生とB先生の見解の相違の要因について明確に捉えることが可 能になると考えられるが、本調査では前述のとおり、海外経験については詳細な記 述を求める質問をしておらず、海外経験の状況について年齢、期間、場所など、詳 細に調査していたとしても、個々のケースによってその影響は異なることが考えら れるため、これについてもまずは、学校種別、性別、年代による属性分析を行って みたい。
質問51は「日本人が英語を話すときに、語彙が限られていたり、文法が違ってい たりすると教養がない感じがする」という問いに対して、どの程度あてはまるかど うかを尋ねた質問である。学校種別、性別による分析は表5.17のとおりである。
表5.17 学校種別および性別における属性分析:
質問 51「日本人が英語を話すときに、語彙が限られていたり、文法が違ってい
たりすると教養がない感じがする」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかとい うとあてはま
る
よくあてはま る
総計
公立 8 (5.8%) 37 (27.0%) 49 (35.8%) 35 (25.5%) 8 (5.8%) 137 男性 3 (3.9%) 22 (28.6%) 25 (32.5%) 21 (27.3%) 6 (7.8%) 77 女性 5 (8.3%) 15 (25.0%) 24 (40.0%) 14 (23.3%) 2 (3.3%) 60 私立 18 (12.1%) 35 (23.5%) 50 (33.6%) 40 (26.8%) 6 (4.0%) 149 男性 14 (15.4%) 18 (19.8%) 32 (35.2%) 24 (26.4%) 3 (3.3%) 91 女性 4 (6.9%) 17 (29.3%) 18 (31.0%) 16 (27.6%) 3 (5.2%) 58
総計 26 72 99 75 14 286
この質問では、「まったくあてはまらない」を 1 とし、「あまりあてはまらない」
が2、と続き、「よくあてはまる」を5までとした5件法による平均値は2.93で「ど
ちらともいえない」という3に最も近い数値となっており、表5.17を見ても、「どち らともいえない」に99名の回答があり、それが最も多い回答となっていることがわ かる。いずれのカテゴリーにおいても、分散に大きな特徴は見られない。
続いて、同じ質問における年代別の分析をみてみる(表5.18)。
表5.18 年代における属性分析:
質問 51「日本人が英語を話すときに、語彙が限られていたり、文法が違ってい
たりすると教養がない感じがする」
まったくあて はまならい
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかとい うとあてはま
る
よくあてはま る
総計
20 代 11 (17.2%) 21 (32.8%) 14 (21.9%) 15 (23.4%) 3 (4.7%) 64 30 代 7 (8.8%) 15 (18.8%) 26 (32.5%) 27 (33.8%) 5 (6.3%) 80 40 代 6 (8.6%) 22 (31.4%) 25 (35.7%) 13 (18.6%) 4 (5.7%) 70 50 代 2 (3.4%) 12 (20.7%) 28 (48.3%) 14 (24.1%) 2 (3.4%) 58
60 代 0 2 (14.3%) 6 (42.9%) 6 (42.9%) 0 14
総計 26 72 99 75 14 286
年代別では、30代が他の世代(60代を除く2)と比較して、「あまりあてはまらな い」よりも「どちらかというとあてはまる」と回答している人数の比率が高い。20 代、40代は比較的類似した回答傾向であるのに比べて、その間の世代である30代の この傾向を分析するためには、さらなる調査が別に必要となると考えられる。
以上、ライフストーリー調査の結果に基づいて、始めに母語話者英語に対する意 識について属性分析を行い、次に、学生時代の英語学習経験について、さらには英 語を話すことへの不安について、最後に非母語話者英語と教養における属性分析を 試みた。次に、これらの結果を踏まえて考察を行う。