第5章 日本人英語教師の英語観と形成要因
5.3 RQ1 に対する結果
5.3.2 学生時代の学習経験についての属性分析
総計 2 18 87 179 286
そのような授業に対してどのように感じていたかという項目は別に質問すべきであ ったことが反省点として挙げられる。しかし、この項目について「まったくあては まらない」という強い否定を示す回答と、「あまりあてはまらない」という否定の回 答がどの年代においても圧倒的多数を占めている現状は特筆すべき点である。
さらに、学生時代に受けた英語の授業について、興味が持てるものであったかを 尋ねる質問(質問 30「中学時代、または高校時代に受けた英語の授業は興味が持て るものだった」)の回答を分析した結果は以下の表5.7に示すとおりである。
表5.7 年代における属性分析:
質問 30「中学時代、または高校時代に受けた英語の授業は興味が持てるものだ
った」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかと いうとあて はまる
よくあてはま る
総計
20 代 7 (10.9%) 12 (18.8%) 14 (21.9%) 19 (29.7%) 12 (18.8%) 64 30 代 5 (6.3%) 18 (22.5%) 24 (30.0%) 18 (22.5%) 15 (18.8%) 80 40 代 3 (4.3%) 14 (20.0%) 19 (27.1%) 27 (38.6%) 7 (10.0%) 70 50 代 2(3.4%) 6 (10.3%) 23 (39.7%) 18 (31.0%) 9 (15.5%) 58
60 代 0 3 (%) 5 (35.7%) 5 (35.7%) 1 (7.1%) 14
総計 17 53 85 87 44 286
各年代いずれも回答にばらつきが見られ、「どちらともいえない」という回答を中 心に「どちらかというとあてはまる」あるいは「あまりあてはまらない」といった 回答をした人数の比重が高いが、「まったくあてはまらない」という回答よりも「よ くあてはまる」という回答がいずれの年代においても多いことからも、全体として は、学生時代の英語の授業は興味の持てるものであったと感じている協力者が多い ことがわかる。
このことから、学生時代の授業に対しては全体的にそれほど強い否定を示す傾向 は見られないものの、「コミュニケーションを重視した授業」に限っては、そのよう な授業を受けていない、あるいは「楽しかった」という肯定的な感情を、年代が上
がるほど持ちえていないことがわかった。
また、学生時代の英語という教科についてどのように捉えているかを問うものと して、質問 28「中学時代、または高校時代は英語が好きだった」、質問 29「中学時 代、または高校時代は英語が得意なほうだった」がある。この回答についての全体 的な傾向は、後の 5.7.5 の「教師の英語学習経験」においても詳述するが、質問 28 の全体の回答平均値は4.25、質問29の平均値は4.19と、5件法の質問紙における平 均としてはかなり高い数値となっている。このことからも、協力者である英語教師 たちは、学生時代の英語という教科に対してかなり好意的で、自己効力感をもって いたことがわかる。
次に、質問28、29における年代別の傾向、および男女別の傾向についても検証し ておきたい。
はじめに、英語が「好きだった」かどうかを問う質問28について、年代別の分析 を行ったところ(表5.8)、特に年代ごとに顕著な特徴は見られなかった。
表5.8 年代における属性分析:
質問28「中学時代、または高校時代は英語が好きだった」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかと いうとあて はまる
よくあてはま る
総計
20 代 4 (6.3%) 2 (3.1%) 4 (6.3%) 20 (31.3%) 34 (53.1%) 64 30 代 2 (2.5%) 8 (10.0%) 9 (11.3%) 14 (17.5%) 47 (58.8%) 80 40 代 1 (1.4%) 3 (4.3%) 7 (10.0%) 26 (37.1%) 33 (47.1%) 70 50 代 0 1 (1.7%) 5 (8.6%) 24 (41.1%) 28 (48.3%) 58
60 代 0 2 (14.3%) 1 (7.1%) 5 (35.7%) 6 (42.9%) 14
総計 7 16 26 89 148 286
次に、同じ質問28において男女別に分析を行った。結果は表5.9のとおりである。
表5.9 男女別における属性分析:
質問28「中学時代、または高校時代は英語が好きだった」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかと いうとあて はまる
よくあてはま る
総計
男性 4 (2.4%) 11 (6.5%) 17 (10.1%) 63 (37.5%) 73 (43.5%) 168 女性 3 (2.5%) 5 (4.2%) 9 (7.1%) 26 (22.0%) 75 (63.6%) 118
総計 7 16 26 89 148 286
「どちらかというとあてはまる」と「よくあてはまる」を合わせると、男性が136 人(81.0%)、女性が101人(85.6%)で「好きだった」という回答がほぼ同じ割合を 占めているが、特に女性において、「よくあてはまる」と答えた割合が男性よりもか なり多いことがわかる。
また、「英語が得意であった」かどうかを問う質問 29 も、年代別、男女別の比較 を行いたい。表5.10は年代ごとの回答の比率である。こちらも質問28と同様に特に 大きな年代による差は見られない。
表5.10 年代における属性分析:
質問29「中学時代、または高校時代は英語が得意なほうだった」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかと いうとあて はまる
よくあてはま る
総計
20 代 3 (4.7%) 4 (6.3%) 6 (9.4%) 22 (34.4%) 29 (45.3%) 64 30 代 1 (1.3%) 7 (8.8%) 9 (11.3%) 19 (23.8%) 44 (55.0%) 80 40 代 2 (2.9%) 4 (5.7%) 9 (12.9%) 19 (27.1%) 36 (51.4%) 70 50 代 0 2 (3.4%) 4 (6.9%) 27 (46.6%) 25 (43.1%) 58 60 代 0 2 (14.3%) 2 (14.3%) 6 (42.9%) 4 (28.6%) 14
総計 6 19 30 93 138 286
続いて、男女別の比較を表5.11に表した。
表5.11 男女別における属性分析:
質問29「中学時代、または高校時代は英語が得意なほうだった」
まったくあて はまらない
あまりあて はまらない
どちらともい えない
どちらかと いうとあて はまる
よくあてはま る
総計
男性 3 (1.8%) 14 (8.3%) 19 (11.3%) 59 (35.1%) 73 (43.5%) 168 女性 3 (2.5%) 5 (4.2%) 11 (9.3%) 34 (28.8%) 65 (55.1%) 118
総計 6 19 30 93 138 286
やはりここでも、質問 28 ほどの差はないものの、「よくあてはまる」と回答した 割合が女性のほうが男性より多くなっていることがわかる。英語という教科が好き であるから得意になるのか、教科として得意であるから英語が好きなのかという因 果関係についてはこの数値のみから明らかにすることはできないが、本調査におい ては、女性教師のほうがより学生時代に英語という教科を好ましく思い、得意であ ったと強く感じている割合が多いことがわかった。