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PAとNPM、NPGの関係性

第4章  ニュー・・パブリック・ガバナンスのフレームワークーOsborne を中心とす

2  PAとNPM、NPGの関係性

公共の管理やマネジメントについては、1800年代後半から

1970

年代、80年代初頭に かけてはPA、

1980

年代から

2000

年代初頭はNPMが主流であったが、最近主張されて いるのがNPGである41。これら三者の違いについて

Osborne(2007)は、図表4−5のよ

うに整理している。PAの主要な要素について、

Osborne(2007)は、

「法規制による支配」、

「規制やガイドラインへの焦点」、「政策形成と実行における中央集権」、「公的組織の政治 的な分割」、「予算増分主義へのコミットメント」、「サービス提供システムにおける専門職 の権限」をあげている42。また、NPMの主要な要素として、「民間のマネジメントからの 教訓」、「実践的なマネジメント、政策決定者と実行者の分離」、「インプットとアウトプッ トのコントロール、評価や業績測定、監査等の重点化」、「公共サービスの提供単位ではな く、コスト管理に焦点」、「公共サービスにおける資源代替やサービス提供のための市場や

競争の活用」等をあげている43

NPGについては、ネットワークを基盤とし、外部との信頼と関係性を通じたガバナン スメカニズムを特徴としている44。この点はSLなどのサービスマーケティングの流れを 汲むものであり、企業における先行研究の影響を受けている。一方で、組織ガバナンスが 焦点としてあげられているが、NPMにおける市場主義の導入による行政システム改革の 結果、公共サービス提供主体の多様性の可能性が開かれ、ガバナンス論が活発となった流 れがある。ただし、NPMにはじまった従来型のガバナンスは、住民や組織が行政と並ん で多元的な参加者としてガバナンスの担い手となることを想定してはいない。

図表4−5  PA,NPM、NPGの要素

  PA  NPM  NPG 

理論的根拠  政治学、行政学 公共選択論、経営管理 組織的社会学、ネットワー ク論

性質  中央集権 分権 多元

焦点  政策システム 組織内部のマネジメント 組織間ガバナンス

強調  政策実行 サービスの投入とアウト

プット

サービスのプロセスとア ウトカム

外部との関係性、組織 的なパートナー 

政策システムの潜在的な 要素

競争的市場の中の独立し た請負者

関係性が前進する中での 供給者や中間代理者 ガバナンスメカニズム  集権型 市場、古典派、新古典派経

信頼と関係性

価値基盤  公共部門の特質 競争と市場の効果 新たな協調主義

Hartley(2010)は、PAとNPMとネットワークガバナンスの違いについて、図表4−6

のとおり整理している。なお、

Hartley(2010)が提起しているネットワークガバナンスにつ

いては、相互影響といったNPGの特徴と同様のものであり、ほぼ同義であると本論文で は捉えている。NPMとの違いについて、競争性と継続的な変化という大きな違いが指摘 されているが、ニーズや課題のところにあげられているような多様性や複雑性に対応して いくためには、継続的な変化という要素は重要視されるものである。また、

Hartley(2010)

は、戦略について、ガバナンスにおいては社会による形成を特徴としており、ガバナンス におけるネットワークとパートナーシップの重要性や市民のリーダーシップを指摘してい る。

出 所 )Osborne,S.P., The (New) Public Governance?, Public Management Review, 2007,p.383.を筆者訳出。

PA  NPM  Networked  governance 

文脈  堅実 競争性 継続的な変化

住民  均質 細分化 多様性

ニーズと課題  専門職によって定義され る正確さ

市場を通じ表面化するウ ォンツ

不安定でリスクにさらさ れた複雑性

戦略  中央集権 市場と顧客が中心 社会による形成

アクターを通じたガバナ ンス 

階層 公務員

市場

購入者と供給者 相談者と請負人

ネットワークとパートナ ーシップ

市民のリーダーシップ

キーコンセプト  公共物 公共選択 公的価値

Howlett et al. (2017)

は、NPGと他のセオリーとの統合を主張している先行文献の中 で、図表4−7のように、PAとNPM、NPGの特徴的なことを比較している。NPM とNPGとの比較では、主な目標のとらえ方として、NPMでは顧客を対象に、主な目標 としては、より効果的、効率的、質の高いサービスを特徴としている。この点は、多くの 論者が指摘しているNPMの短所を指摘するようなものではない。また、NPGについて は住民を対象に、主な目標としては、より包括的かつ柔軟で、効果的な行政を目標として いる。NPMが競争を特徴としているのに対し、NPGは協調を特徴としている。NPG における行政の役割として、促進者とし、積極的な役割を与えている。概ねこの整理には 賛同できるが、NPGが目指すものは個々の住民の福祉の向上はもとより、

Osborne et al.

(2015)

Koopenjan(2012)らが主張するように、複雑化、多様化する社会に対応する、い

わば地域社会に変革をもたらすガバナンスであるという視点も重要である。

  PA  NPM  NPG 

主な目標  内容

正当性と法令遵守

顧客

より効果的、効率的、質の 高い公共サービス

住民

より包括的かつ柔軟、効果 的な行政

特徴  官僚主義 官僚主義後の競争的なス

タイル

競争主義後の協調的なス タイル

支配的かつ実質的な政策 ツール 

政府による直接の供給 私的組織との契約 行政でないアクターや住 民とのコ・プロダクション 重要なプロセスとなるマ

ネジメントと政策ツール 

規則とインプットをベー スとするマネジメントツ ール

ベンチマークや他のアウ トプットをベースとする マネジメントツール

重要なマネジメントツー ルとしての公共への参加 と信頼

説明責任  階層 市場志向 多様性

行政の役割  執行 舵取り 促進者

図表4−6  ガバナンスと行政管理の概念の違い 

出所)Jean Hartley., “Innovations in governance and public services: past and present,”

Public Money and management, 2010, p.28.を筆者訳出。

図表4−7  行政改革の政策ツールと動向 

出所)Howlett, M., A. Kekez and O. Poocharoen, “Understanding Co-production as a policy tool: Integrating New Public Governance and Comparative Policy Theory,”

Journal of Comparative Policy Analysis, 2017, p.1.を筆者訳出。

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