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コ・プロダクションにおける価値と価値共創

第6章  コ・プロダクションの拡張と新たなビジネス・モデル−コ・クリエーション

1  コ・プロダクションにおける価値と価値共創

の要因者であるとしている点が、コ・プロダクションの特徴の一つと考えられる。

地方自治体の事務事業についても、利害関係者が対象となる事務事業については、こう したコ・プロダクションの視点からの改革改善が実施されていくことが求められる。前章 で述べたPA型、NPM型、NPG型の3つの類型の事務事業ごとの特徴を踏まえて、日 頃からの実務として定着される行政システムとマネジメントの手法が求められる。

図表6−2  Value production の2つの視点 

産業の視点 コ・プロダクティブな視点

価値創造は、連続性があり、一方向性で、他動性のもの であり、価値連鎖が好例である。

価値創造は、同時性があり、双方向のものであり、価値 の集合体が好例である。

全ての価値は、貨幣価値で測定できる。 いくつかの価値は、貨幣では測定できない。

価値は付加される。 価値は共創され、結合され、調和される。

価値は有用で優れた機能である 価値は有用で優れた資源を変化させたものである。

価値は目標であり、主観である。 価値は偶然性があり実在のものであり、双方向性によっ て創造される。

顧客は価値を破壊する。 顧客は価値を共創する。

価値は供給者のみの取引によって実現する。 価値は、関係性の中で顧客とともに共創される。

サービスは分離された行動である。 サービスは共創と考えられる全ての行動のフレームワー クである。

消費は創造の要素ではない。 消費者は創造の要因者としてマネジメントする。

会社や行為者が分析の単位である。 相互影響が分析の単位である。

価値の重要な特性であるコ・プロダクション等に触れながら、ビジネスを継続的に生み出 すために重要なものであるとした。そして、公共サービスの価値にとっては、個人や地域 社会、社会的政治的な特質もあり、より複雑であると説明している。そのうえで、コ・プ ロダクションにおける価値の特性として、以下の図6−3の考え方を示している。第一に あげているのが、福祉の増大と個人の満たされたニーズのことである。コ・プロダクショ ンにおける価値が、個人にとっての価値と公共にとっての価値によって成立していること を示している。第二に承認(満足)の増大である。顧客が利用することによって価値が創 造され、その価値が顧客も共創する立場となることによる満足度が増大することを示して いる。

第三に幸福の増大である。その中でキーワードとして示されているものの中に社会的包 摂(Social inclusion)といったものも挙げられている。このような社会との関係性を前提 とする概念のもと、利用者の生きた経験とサービス提供主体との相互影響を通じ、幸福の 増大といった価値が創造されることを示している。

第四に、変化に対応する能力の増大を示している。個人の成長や地域社会の発展等がキ ーワードとして示されている。価値共創による相互影響を通じた個人や組織等の関係性が 強化され、ソーシャルキャピタルが創造されることが示されている。

このように、コ・プロダクションにおいては、地方自治体スタッフと利用者個人レベル における現場サービスにおける相互影響を通じ、利用者個人のニーズを満たすサービスが 提供される第一段階から、それが利用され価値が創造される第二段階、利用者の生きた経 験がサービス提供者だけでなく地域においても共有され、地域レベルで幸福の増大が実感 される段階、最終段階の第

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段階としては、個人レベルの課題から地域の課題として捉え て政策形成につながる点や社会関係資本としての新たな価値提供主体となりうる地域資源 が生まれることが想定されている。個人レベル、個別組織レベルの課題が最終的には施策 レベルや政策レベルへの形成へとつながるとともに、新たな社会関係資本にもつながるボ トムアップの考え方に基づく展開が想定される。

Ⅰ福祉の増大ー満たされたニーズ(効果と影響/政策の実行)

◎個人と公共の価値によって成立

承認(満足)の増大

◎利用における価値

幸福の増大(個人/地域社会の精神/社会的包摂/民主的な充足感)

◎利用者の生きた経験

変化に対応する能力の増大(個人の成長/地域社会の発展/ソーシャルキャピタル/行動的な市民)

◎ソーシャルキャピタルの創造

また、

Osborne et al. (2016)では、コ・プロダクションによる価値共創のタイプとして4

つのタイプを示している。第一に、個人の社会的ニーズを満たす価値の共創、第二にコミ ュニティのニーズを満たす価値の共創、第三に個人の幸福量が増大する価値共創、第四に コミュニティにおける社会関係資本の共創としている。整理すると図表6―4のように整 理できる。このタイプ分類においても想定されているのは、個人のニーズからコミュニテ ィのニーズを満たすことにより、個人の幸福が増大し、コミュニティとしての社会問題解 決の力が高まる社会関係資本が形成されるというボトムアップのシナリオが想定されてい る。このことは、コ・プロダクションが従来の個人レベルでの捉え方での整理を超えた発 展的な要素があることを示していると考えられる。

価値共創の種類 内容

タイプⅠ

個人の社会的ニーズを満た す価値共創

社会への働きかけによるコ・プロダクションを通じて、個人の社会ニーズを満た すことによる価値共創

タイプⅡ

コミュニティのニーズを満 たす価値共創

社会への働きかけによるコ・プロダクションを通じて、コミュニティのニーズを 満たすことによる価値の共創

タイプⅢ

個人の幸福量が増大する価 値共創

タイプⅠあるいはタイプⅡの行動結果を通じて創造された個人の幸福という価 値の共創

タイプⅣ

コミュニティにおける社会 関係資本の共創

  将来の問題を解決する能力を共創するコ・プロダクションを通じて、個人あるい はコミュニティにおける社会関係資本の共創

図表6−4  コ・プロダクションによる価値共創の種類 

出所)Osborne, Stephen P., Zoe Radnor, and Kirsty Strokosch, “Production and the Co-Creation of Value in Public Services: A suitable case for treatment?," Public Management Review, 2016, p.645.を筆者が訳出。

図表6−3  コ・プロダクションにおける価値の特性 

出所)2016 年 9 月 12 日に開催された英国勅許公共財務会計協会日本支部(CIPFA JAPAN)

第 11 回CPEセミナーにおけるオズボーンの講演の資料を、筆者において訳したもの。  

2  コ・プロダクションの類型化とコ・クリエーションへの発展

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