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郵送法-新宿区と足立区

ドキュメント内 著者 金井 茂樹 著者別名 KANAI Shigeki (ページ 131-136)

第5章 自治体世論調査の品質

第 5 節 調査法別の事例分析

5.3 郵送法-新宿区と足立区

118

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図5-8 新宿区と足立区の世論調査の回収率の推移(1996 年~2006 年)

②世論調査の回収状況

両区の 2006 年の世論調査報告書から、調査の概要、回収不能票の内訳、男女別・世代別 回収率を整理したものが表 5-8 である。また、新宿区と足立区における調査法変更前後に おける回収率・回答 1 件あたり経費(決算額ベース)を整理したのが表 5-9 である。

表5-8 新宿区と足立区の最新世論調査の概要

区分 新宿区 足立区

調査名 新宿区区民意識調査 足立区政世論調査

調査期間 2006 年 8 月 17 日~9 月 4 日 2006 年 9 月 4 日~9 月 25 日

回収数/標本数 1,209/2,500 1,383/3,000

回収率 48.4% 46.1%

抽出方法 層化二段抽出 単純無作為抽出

事前通知 実施していない 実施していない

リマインダー 1 回(ハガキ) 1 回(封書)

謝礼 なし なし

担当部署 区長室区政情報課 政策経営部区政相談課

73.1%

70.3% 70.5% 75.3%

51.0% 50.6% 49.1% 49.0% 45.2%

48.4%

75.6% 76.7% 74.9% 75.2%

71.0%

63.6%

60.3%

63.0%

49.9% 49.5%

46.1%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

新宿区 足立区 新宿区

足立区

郵送法 個別面接聴取法

120 男女別・世代別回収数

20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 合計

新宿 男性 56 85 92 98 102 91 524

女性 75 133 116 118 132 100 674 足立 男性 42 101 99 119 113 113 588 女性 71 158 107 149 137 136 759 男女別回収数と回収率

回収 未回収・無回答

新宿 男性 524(42.0%) 723(58.0%) 1,247 女性 674(53.8%) 579(46.2%) 1,253 1,198(47.9%) 1,302(52.1%) 2,500 足立 男性 588(38.7%) 930(61.3%) 1,518 女性 759(51.2%) 723(48.8%) 1,482 1,347(44.9%) 1,653(55.1%) 3,000

表5-9 新宿区と足立区における回収率および有効回答 1 件当たり経費(決算額ベース)

調査法 面接法(~1999) 郵送法(2001~)

実施年度 1996 1997 1998 1999 2001 2002 2003 2004 2005 2006 新宿 回収率(%) 73.1 70.3 70.5 75.3 51.0 50.6 49.1 49.0 45.2 48.4

経費(円)/件 3,670 3,800 3,660 3,729 1,572 1,503 1,399 1,379 足立 回収率(%) 75.6 76.7 74.9 75.2 63.6 60.3 63.0 49.9 49.5 46.1

経費(円)/件 5,633 4,613 4071 3,814 1,885 1,988 1,435 1,544

(注)筆者作成

なお、1 件あたり経費は、調査の要した経費総額を回収数で除した金額である。新宿区に ついては『新宿区各会計歳入歳出決算書』および『新宿区予算執行の実績報告』、足立区に ついては『足立区各会計歳入歳出決算説明書・各会計決算参考資料』の決算額をもとに算 出した。

新宿区と足立区が実施した 2004~2006 年の 3 回の世論調査の世代別回収率を表したもの が図 5-9、図 5-10 である。

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図5-9 『新宿区区民意識調査』(2004 年~2006 年)の世代別回収率

図5-10 『足立区政世論調査』(2004 年~2006 年)の世代別回収率

両区のいずれの調査の回収率も 45%~50%の範囲にあり、大きな差はみられない。新宿 区の調査における世代別回収率は世代が高くなるほど回収率が高くなっている。ここで、

世代階級と回収率の相関関係を確認すると、2004 年調査の相関係数は 0.985(P < 0.01)、 2005 年調査の相関係数は 0.976(P < 0.01)、そして 2006 年調査では相関係数は 0.974(P <

0.01)という結果となった。このように新宿区では、毎年の調査において高い世代ほど回

29.0%

39.7%

50.3%

54.5%

60.0%

75.3%

25.0%

35.7%

49.5% 47.2%

63.4% 70.0%

25.4%

38.7%

52.9%

52.7%

68.7% 71.9%

10%

30%

50%

70%

90%

20-29 30-39 40-49 50-59 60-69

70-2004年 2005年 2006年

34.9%

44.7% 47.3% 51.6%

64.2%

57.2%

29.5%

42.6%

49.5%

48.3%

61.6%

60.8%

25.7%

42.0% 45.2%

52.4%

49.0%

53.3%

10%

30%

50%

70%

90%

20-29 30-39 40-49 50-59 60-69

70-2004年 2005年 2006年

122 収率が高いという一定の傾向があるといえる。

他方、足立区の調査においても、2006 年調査の 60 歳代の回収率が相対的に低くなってい るものの、世代が高くなるほど回収率が高くなる傾向がある。足立区の各年の調査におけ る世代階級と回収率との分析をした結果、2004 年調査の相関係数は 0.914(P < 0.05)、2005 年調査の相関係数は 0.957(P < 0.01)、そして 2006 年調査では相関係数は 0.893(P < 0.05)

となった。両区のグラフの形状は非常に似ていることがみてとれる。また、表 5-8 をもと に新宿区と足立区の男女別の回収率についてカイ二乗検定を行った。その結果、両区とも に性別により回収率に有意差があることが確認できた。

(3)インタビュー調査の結果

ここでは、新宿区と足立区の世論調査担当者へのインタビュー調査の結果を述べる。

新宿区の担当者へのインタビュー調査は、2007 年 10 月 24 日(午前 11 時~午後 0 時 10 分)に新宿区役所(東京都新宿区歌舞伎町 1-4-1)で実施した。足立区の担当者に対して は、2007 年 11 月 21 日(午後 3 時~午後 4 時)に足立区役所(東京都足立区中央本町 1-

17-1)にて実施した。このインタビュー調査の概要を整理したものが表 5-10 である。

表5-10 インタビュー調査の概要(新宿区・足立区)

区分 新宿区 足立区

調査対象者 区長室区政情報課 2 名 政策経営部区政相談課 1 名

事前通知の有無 実施していない 実施していない

調査期間 3 週間程度

週末の考慮している

3 週間程度 週末の考慮している 郵送用

封筒の配慮

角型 2 号封筒(色つき)

区の紋章を印刷 長形 3 号封筒(色つき)

調査票の配慮 薄い色のついた紙を使用

小冊子を同封 とくになし

リマインダー(督促

状)発送の時期 調査票発送 1 週間後 調査票発送 2 週間後

調査法変更理由 財政的な問題 財政的な問題

①類似点

いずれの区も、調査期間については 3 週間程度を設定し週末を可能な限り含めるように 設定している。そして、調査票を送付する封筒が他の郵便物に紛れ込まないようするため 一般的な茶封筒ではなく、他の色のついた封筒を使用している点も共通である。両区とも に、事前通知は行っていないが、新宿区では区が調査主体であることを明確に示すために

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区の紋章を大きく印刷した角形 2 号封筒を使用している。また、両区とも 2001 年に面接法 から郵送法に変更しているが、その理由も財政的な問題である点も共通である。

②相違点

両区の相違点として、調査票の工夫、リマインダー(督促状)の発送時期があげられる。

新宿区は、調査票に薄い色紙を使用したり、若者世代の回収率を高めるために区の政策を わかりやすくまとめた小冊子を入れるなど細かい配慮を行っている。リマインダーの発送 時期は、新宿区が調査票発送 1 週間後、足立区が 2 週間後になっている。新宿区では、「督 促状発送時点での回収数と最終的な回収数が倍近くになっている」としてリマインダーに よる回収率アップの効果を高めるために発送するタイミングを毎年試行錯誤している。

(4)郵送法の考察

ここで、両区の世論調査の概要、有効回答 1 件当たり経費およびインタビュー調査をも とに郵送法について考察を行う。

郵送法は、調査員が介入しないことから、他の調査法のように不在、転居、拒否、病気 など対象者が返送しない理由が明らかではない。そのため、具体的な対策が難しく、新宿 区でも可能な範囲において細かい配慮を行っているが試行錯誤的な部分も多くなっている。

また、両区ともに世代別の回収率が同じ傾向にある。これは、調査員が介入しないため、

他の調査法でみられるような区の調査方針が反映されることがないからである。

さらに、回答 1 件あたりの経費については、新宿区は 1999 年までの面接法において有効 回答 1 件あたり経費が 3,000 円台半ば、足立区においては 3,000 円台後半~5,000 円台半で 推移していたが、郵送法への変更後には両区ともに 1 件あたり経費が 1,300 円~1,500 円台 となり、それまでの 2 分の 1 程度の水準となっている。面接法から郵送法に変更すること により回収率は低下するが、経費的側面からは郵送法は有効な方法であるといえる。

ドキュメント内 著者 金井 茂樹 著者別名 KANAI Shigeki (ページ 131-136)