環 境
1 汚染土壌の浄化費用負担ルールの明確化と土地利用制限の前提となる基準の確立
1 規制の現状と進捗状況
制度の概要 【土壌汚染に係る環境基準】
・環境基本法(平成5年11月19日法律第91号)第16条第1項を受けて、「土壌の汚染に係る環境基準について」
(平成3年8月23日環境庁告示第46号)にて具体的な基準を設定。
【農用地の土壌汚染防止】
・農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和45年12月25日法律第139号)において農用地の土壌の特定有 害物質(主に重金属類)による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るための必要な 措置を規定。
【ダイオキシンによる土壌汚染】
・ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年7月16日法律第105号)において、ダイオキシン類による汚染土壌 に係る措置等を規定。
政府の対応(規制緩和 推進3か年計画)
記載なし。
2 論点整理
(注)・◇は当委員会の規制改革の意見・考え方であり、◆は◇に対する所管省庁等の説明や意見・考え方を示す。
・(環境関連)は、環境問題関連の論点を含むことを示す。
【土壌汚染の浄化基準】(環境関連)
論点1: 汚染土壌の浄化について、当該土地の用途に応じて浄化基準を設定すべきではないか。
◇「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年8月23日環境庁告示第46号)では、環境基本法第16条第1項を受けて、人の健康を保護 し及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準及びその基準を達成すべき期間を定めている。しかしながら、例えば住宅用と産業 用では有害物質の許容上限に差があるのが自然であり、実際ドイツやオランダでは、土地の用途に応じた有害物質ごとの上限基準を定めている。
これに対して日本では一律の基準しかないため、土壌の汚染が発覚した場合、土地の所有者は産業用であっても住宅用と同じ環境基準まで完全 浄化を行わざるを得ず、コスト負担が重いため汚染情報の開示に消極的になると言われている。また、汚染情報秘匿のために土壌浄化業者との 契約も閉ざされた形で行われることが多く、土壌浄化産業の健全な競争が行われていない。このため、汚染土壌の浄化について当該土地の用途 に応じた浄化基準を設定すべきである。
◆土壌汚染の処理対策については、汚染土壌に対する健康リスクの認識が重要であり、これを基礎として対策の必要性を考慮する必要がある。
現行の「土壌の汚染に係る環境基準」(平成3年8月23日環境庁告示第46号)のうち、農用地基準以外の環境基準は、土壌汚染に起因する地 下水等の水質汚濁を防止することにより、人の健康を保護することを目的として設定されている。土壌汚染は、その汚染の存在する土地の用途 にかかわらず地下水等の水質汚濁を引き起こすおそれがあることから、原則としてすべての土壌に一律に基準を適用することとしているもので ある。
土壌汚染の健康リスクについては、このような地下水の水質汚濁を通じた健康リスクの他、汚染土壌の直接摂取(なめる、触る等)による健 康リスクがあり、ドイツの基準は、このような直接摂取による健康リスクを踏まえ多様な基準値を設定している。環境庁では、今年度から、こ のような健康リスクについて調査研究を本格化したところである。この調査研究には、知見の集積や専門家による評価等に一定の時間を要する のは不可避であるが、この成果を見極めた上で、ドイツの例にも注意しつつ土壌汚染対策の在り方について検討していく方針である。
なお、汚染情報の開示に消極的な理由として、費用負担が重いことを指摘されているところであるが、汚染情報の適正な管理を社会的に定着 させていくためには、より多面的な問題点の検討が必要であると考えており、かかる観点から、今年度から、情報の登録、管理、公開等の在り 方に関して基本的な考え方を検討することにしている。
以上の検討に並行し、汚染土壌の浄化の円滑な推進には、浄化費用の低減化が緊要であると考えており、環境庁では、低コスト型の土壌汚染 浄化技術について実証調査を行い、その成果を事業者等に提示しているところである。
【汚染土壌浄化費用の負担ルール】(環境関連)
論点2:土壌汚染が明らかになった場合、その浄化にかかる費用負担のルールについて明確にすべきではないか。
◇汚染土壌の浄化に要する費用負担は、汚染者負担(Polluter Pays Principle(PPP))が原則ではあるが、土壌汚染はその発覚までに汚染 原因から長期間が経過している場合が多く、既に汚染者が存在しない可能性もあり、また一般的に浄化費用が高額になるため、現実的に汚染者 単独では負担しきれない場合が多い。そのため結果として費用負担の配分が決まらず、汚染状態が放置される結果になっている。したがって、
汚染者、土地所有者、地方公共団体、国の間で汚染状態の回復に要する費用負担のルールをあらかじめ明確にすべきである。
◆汚染土壌の浄化に係る費用の負担については、汚染原因者による負担が原則であると考える。なお、汚染原因者が複数存在する場合の負担割合 や汚染原因者が不明、不存在の場合、汚染原因者に負担能力がない場合の負担主体などについては、論点1で回答した健康リスクの調査研究結 果を踏まえつつ、我が国における土壌汚染の現状や諸外国における対策事例等について調査を進め、我が国にふさわしい対応の在り方について 検討していく考えである。
3 参考資料
<参考1>各国の状況(ドイツ連邦土壌保護令に定める土地の用途別環境基準)
土 壌 保 護 令 に 定 め る 試 験 値 (曝 露 経 路 :土 壌 → 人 体 ) m g / k g 乾 量
子 供 の 遊 び 場 住 宅 地 公 園 ・余 暇 施 設 産 業 用 地
ヒ 素 2 5 5 0 1 2 5 1 4 0
鉛 2 0 0 4 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0
カ ド ミ ウ ム 1 0 2 0 5 0 6 0
シ ア ン 化 合 物 5 0 5 0 5 0 1 0 0
ク ロ ム 2 0 0 4 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0
ニ ッ ケ ル 7 0 1 4 0 3 5 0 9 0 0
水 銀 1 0 2 0 5 0 8 0
ア ル ド リ ン 2 4 1 0 −
ベ ン ゾ ピ レ ン 2 4 1 0 1 2
D D T 4 0 8 0 2 0 0 −
ヘ キ サ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 4 8 2 0 2 0 0
ヘ キ サ ク ロ ロ シ ク ロ ヘ キ サ ン 5 1 0 2 5 4 0 0
ペ ン タ ク ロ ロ フ ェ ノ ー ル 5 0 1 0 0 2 5 0 2 5 0
P C B 2 4 1 0 2 0 0
(出 所 )B o d e n s c h u t z - u n d A l t l a s t e n v e r o r d n u n g A n h a n g 2