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カルテル・談合に対する執行の強化

ドキュメント内 橡00論点公開表紙2000.PDF (ページ 71-74)

1  規制の現状と進捗状況  制度の概要 

 

【独禁法違反者に対する課徴金制度】 

・公正取引委員会は、事業者が他の事業者と共同して対価を決定するなど、競争を実質的に制限する不当な取引制限 を行うことで、商品や役務の対価に影響を与える行為をしたときは、行為の実行期間における商品又は役務の売上 額の100分の6(小売業については100分の2、卸売業については100分の1)を乗じた額の課徴金を納付 することを命じなければならない。(独禁法第7条の2) 

【独禁法違反事件に関する調査のための強制権限・強制処分】 

・公正取引委員会は、事件について必要な調査をするため、事件関係人等に出頭を命じて審訊し、又はこれらの者か ら報告を徴すること、帳簿書類その他の物件の所持者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留めておく こと、事件関係人の営業所その他必要な場所に立ち入り、業務及び財産の状況、帳簿書類その他の物件を検査する こと等の処分をすることができる。また、公正取引委員会の職員を審査官に指定し、同様の処分をさせることがで きる。(独禁法第46条) 

【独禁法違反における検査妨害・調査のための強制処分違反の罪】 

・公正取引委員会の立入検査若しくは審査官による処分などの規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、6 月以下の懲役又は、20万円以下の罰金に処する。(独禁法第94条) 

・調査のための強制権限の規定による処分に違反して出頭せず、報告、情報若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報 告、情報若しくは資料を提出した者等は、20万円以下の罰金に処する。(独禁法第94条の2) 

政府の対応(規制緩和 推進3か年計画) 

  記載なし。 

 

2  論点整理 

(注)・◇は当委員会の規制改革の意見・考え方であり、◆は◇に対する所管省庁等の説明や意見・考え方を示す。 

 

【独禁法違反者に対する課徴金および罰則】 

論点:独禁法の違反行為の抑止効果を上げるために、裁量型の課徴金制度の導入や検査妨害等に対する罰則の強化等の方策を検討すべきでは ないか。また、摘発をしやすくするために、調査に積極的に協力する違反者に対する課徴金の減免措置等の方策を検討すべきではないか。 

◇現行の課徴金の水準は、米国や欧州における罰金や制裁金と比較して十分なものとは言い難い。特に、悪質なカルテルや談合の取締りとペナ ルティの強化は、公正かつ自由な競争を促進する観点から重要な課題であり、特に悪質な違反行為類型をガイドライン上で明確化した上で、

そうした違反行為類型に対しては高い課徴金を課す、裁量型の課徴金制度の導入を検討すべきではないか。 

◆課徴金制度は、カルテルによる経済的利得を国が徴収し、違反行為者がそれを保持し得ないようにすることによって、社会的公正の確保と違 反行為の抑止を図り、カルテル禁止規定の実効性を確保することを目的とするものであり、その水準はカルテルの実施による利得を算定する 方式として合理的な範囲に止められるものである。 

  一方、独占禁止法違反行為に関しては、課徴金とは別に、制裁措置として刑事罰が定められており、悪質な違反行為類型に利得を超えて高 い課徴金を課すなど課徴金に裁量を導入することにより制裁的性格を持たせることとすると、憲法の禁止する二重処罰に抵触するおそれがあ る。ちなみに、米国においては、カルテルに対し刑事罰はあるが課徴金制度はなく、EUにおいては、制裁金制度はあるが刑事罰はない。 

  したがって、特に悪質なカルテルや談合に関する制裁の強化として課徴金額を引き上げることは適当でなく、むしろ、刑事告発を積極的に 行うことにより、独占禁止法の違反行為に対する抑止効果を上げていくことが適切であると考える。 

  なお、公正取引委員会は、平成2年6月、国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案などについて積極的に刑事処罰 を求めて告発を行う旨の方針を公表した際、告発の対象となる価格カルテル、入札談合等の行為類型についても明らかにしている。 

 

◇独禁法違反における検査妨害等の罪や調査のための強制処分違反等の罪に対する現行の罰則が十分に抑止効果を持つものかどうかについて 検討を行い、必要があれば見直すべきではないか。 

◆検査妨害に対する罰則の強化については、公正取引委員会の審査活動の実効性を高める上で重要なものと考えるが、これまでの調査において は、検査妨害や調査のための処分に対する抵抗により調査が著しく困難であったことはなく、現行の罰則規定による抑止力が不十分であると は考えていない。 

 

◇公正取引委員会が行う調査に積極的に協力する違反者に対しては、違反者の摘発の迅速化を図る観点から、課徴金を減免する措置の導入を検 討すべきではないか。 

◆課徴金制度は、カルテルによる経済的利得を国が徴収し、違反行為者がそれを保持し得ないようにすることによって、社会的公正の確保と違 反行為の抑止を図り、カルテル禁止規定の実効性を確保することを目的とするものであり、カルテルの実施による利得として擬制された算定 方式によって算出した額の納付を命じなければならないとされている。 

  したがって、裁量的性格を一切持たない課徴金制度について、公正取引委員会の調査に積極的な協力を行う違反行為者に対する減免措置を 導入することについては、慎重に検討する必要がある。 

 

◇独禁法違反行為の抑止効果の向上を図る方策や摘発をしやすくするための方策を検討するに当たっては、我が国の現行法体系との整合性や公 正性確保の観点も十分考慮すべきである。 

 

3  参考資料   

○ 独禁法違反への罰則・損害賠償の国際比較 

  日本  アメリカ  EU 

刑事罰  事業者と事業者団体は1億円以下の罰 金、個人は500万円以下の罰金あるい は3年以下の懲役 

法人は1千万ドル以下あるいは違反によ る利益の2倍以下の罰金 

個人は35万ドル以下、違反利益の2倍 以下の罰金あるいは3年以下の拘禁刑 

なし 

行政罰 

(課徴金・制裁金) 

違反期間の違反商品売上額の6%(製造 業の場合) 

なし  前年度企業総売上額の10%あるいは1

00万 ECU の大きい方  損害賠償  被害者に厳密な損害額の立証が要求され

ることから訴訟提起がまれ 

三倍額賠償制度  クラスアクション  国父訴訟制度 

被害者に厳密な損害額の立証が要求され ることから訴訟提起がまれ 

 

○ 独禁法違反に係る課徴金等の額の国際比較      (単位:円(ECU 及び米ドルは円に換算)) 

  日本(課徴金)  EU(制裁金)  米国(罰金) 

1995年   64 億 4640 万   15 億 1484 万( 1,451 万 ECU)     44 億 1,490 万(  4,165 万ドル)  1996年   66 億 0809 万    3 億 9150 万(   375 万 ECU)     28 億 4,292 万(  2,682 万ドル)  1997年   82 億 6421 万    9 億 1872 万(   880 万 ECU)    217 億 4,908 万( 20,518 万ドル)  1998年   31 億 3822 万  299 億 4505 万(28,683 万 ECU)    282 億 9,352 万( 26,692 万ドル)  1999年  161 億 9055 万  125 億 5201 万(12,023 万 ECU)  1,171 億 9,890 万(110,565 万ドル)  合計  406 億 4747 万  453 億 2212 万(48,412 万 ECU)  1,744 億 9,932 万(164,622 万ドル)  年平均   81 億 2949 万   90 億 6442 万( 8,682 万 ECU)    348 億 9,986 万( 32,924 万ドル) 

(注)日本については、課徴金納付命令による課徴金額であり、EUについては、EC委員会決定による制裁金額である。 

  EUの制裁金の場合、一般に制裁金決定に対する企業の無効訴訟が提起されることが少なくなく、「その結果、EC司法裁判所が委員会の制 裁金を取消又は減少させた例は少なくない」(「日米欧競争法と日本企業」小室程夫著)とされており、実際、最近でも、本年3月に判決が下 されたセメントカルテル事件(94年11月EC委員会決定)の制裁金無効訴訟でも、制裁金を課された40社が提訴し、そのうち、17社ま でが無効とされ、残る23社についても、1社に対する制裁金が10分の1強にまで減額されるなど、各社とも大幅に減額されている。(制裁 金全体では、38%にまで減額された。)他方、我が国の課徴金納付命令について、その取消しの訴えが東京高裁に提起された例もあるが、こ れまで減額又は取り消された例はない。 

ドキュメント内 橡00論点公開表紙2000.PDF (ページ 71-74)

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