法 務
6 商法に関する電子化の推進
1 規制の現状と進捗状況 制度の概要
【商業帳簿等】
・商法上、商業帳簿及び営業に関する重要書類は10年間、総会議事録等は本店において10年間(支店においてはそ の謄本を5年間)、監査報告書等は本店において5年間(支店においてはその謄本を3年間)、原本で保存することが 義務づけられている。(商法第36条、第244条、第260条の4、第282条、第429条)
・定款・株主名簿等は書面で常時備え置き、閲覧・コピーに応じなければならない。(商法第263条)
【株主総会の招集通知】
・会社は、株主総会の招集通知を作成し、書面にて総会を招集する2週間前に送付しなければならない。(商法第23 2条)
・議決権を有する株主の数が千人以上の会社は、株主総会の招集通知に、議決権行使に参考となるべき事項と定められ るものを記載した書類を添付しなければならない。(監査特例法第21条の2)
【株主総会の議決権行使】
・株主総会に出席しない株主は、書面によって議決権行使をすることができる。(監査特例法第21条の3)
・議決権行使書面には、株主が押印する欄を設けなければならない。(参考書類規則第8条)
【株式会社の各種公告】
・会社の公告は、官報又は日刊新聞紙に掲載しなければならない。(商法第166条第4項、第224条の3、第28 3条第3項、監査特例法第16条第2項)
【支店所在地での登記、登記事項の閲覧】
・会社の登記は、本店所在地の登記所のほか、支店所在地の登記所でも行うことが要求されている。(商法第64条か ら第67条、第188条等)
・ある登記所(例えば支店所在地の登記所)で、他の登記所(例えば本店所在地の登記所)の登記の内容をすべて閲覧 できるわけではない。
政府の対応(規制緩和 推進3か年計画)
記載なし。
2 論点整理
(注)・◇は当委員会の規制改革の意見・考え方であり、◆は◇に対する所管省庁等の説明や意見・考え方を示す。
・(IT関連)は、IT化関連の論点を含むことを示す。
【商業帳簿等の電子化】(IT関連)
論点1:商業帳簿等については、システム化による業務効率向上を図る観点から、電子データによる保存を認めるべきではないか。
◇商業帳簿は、電子データによる作成・保存が認められている。システム化による業務効率向上を図る観点から、計算書類、監査報告書、株主総 会議事録、取締役会決議議事録等についても、電子署名、電子的閲覧等の仕組みが整備されている場合には、電子データによる作成・保存を認 めるべきではないか。
◇定款等についても、同様の観点から、電子署名、電子認証、電子的閲覧等の仕組みが整備されている場合には、書面での作成及び備え置きは不 要とすべきではないか。
◆会社関係の書類の電子媒体による作成・保存・備置きについては、法令上、作成者又は第三者の署名又は認証が求められているもの(株主総会 議事録、取締役会議事録、定款等)の取扱い等の問題があるが、これについては、今後、法制審議会の検討課題とされ、審議されることが見込 まれる。
なお、電子署名及び認証業務に関する法律が規定する電子署名は、情報の暗号化を本質とするものであり、従来の署名とは質的に異なるもの であるから、電子署名が「署名」に含まれると解釈することは困難である。
【株主総会の招集通知の電子化】(IT関連)
論点2:株主総会の招集通知については、企業のコスト軽減、環境への配慮の観点から、インターネット経由での通知を認めるべきではないか。
◇招集通知については、すべての株主に対し書面で送付しなければならないため、企業に大きなコスト負担を強いている。インターネット経由に よる招集通知を希望する株主に対しては、企業のコスト軽減、環境への配慮の観点から、インターネット経由の通知を認めるべきではないか。
◇収集通知の添付書類の中には、代表者の印のみならず会計監査人の印や監査役の印が必要となるものもある。しかしながら、実際に株主に送付 する際には、原本を送付するのではなく、コピーを送付することになる。したがって、株主に対しては、現在の招集通知・添付書類の内容をそ のまま電子化したもので通知してもよいのではないか。
◆株主総会の招集通知の電子化については、招集通知の添付書類(特に署名が求められる議決権行使書面)の取扱い等の問題があるところ、これ についても、今後、法制審議会の検討課題とされ、審議されることが見込まれる。
【株主総会におけるインターネットでの議決権行使の実現】(IT関連)
論点3:株主総会の議決権行使については、より多くの株主との意思疎通を図り、同時に定足数の確保を図る観点から、インターネット経由で の議決権行使を認めるべきではないか。
◇書面による株主総会の議決権行使は、議案に対する賛否を書面に記入して総会当日会場に持参するか、前日までに会社宛へ郵送することになっ ている。このため、遠隔地や海外の株主にとって議決権を行使するのが事実上困難になっている。株主総会参加のための時間・距離・コストの 制約を取り除き、より多くの株主との意思疎通を図り、同時に定足数の確保を図る観点から、株主が希望する場合には、インターネットでの議 決権行使を認めるべきではないか。
◇インターネットでの議決権行使を阻害している要因は、議決権行使書面の書面要件のほか、議決権行使書面に株主が押印する欄を設けなければ ならないという規定である。押印欄を設ける目的が株主の本人確認であることを考えると、電子署名を利用した本人確認でも問題はないと考え られる。したがって、議決権行使書面の電子化を認めるとともに、議決権行使書面に押印する欄を設けなければならないとする参考書類規則第 8条については、削除すべきではないか。
◆インターネットによる議決権行使については、書面による議決権行使との関係のほか、インターネットによる議決権行使を認める会社の範囲、
議決権行使に関するデータの保存・備置き等の問題があり、これについても、今後、法制審議会の検討課題とされ、審議されることが見込まれ る。
【電子媒体による株式会社の各種公告の実現】(IT関連)
論点4:株式会社の各種公告については、企業のコスト削減の観点から、電子媒体による公告を認めるべきではないか。
◇商法は、定時総会によって決議された決算、会社の議決権を行使する者又は配当を受ける者への公告を定めている。多くの企業は、定款で公告 の媒体として日刊新聞紙を使用することとしており、コストが掛かっている。企業のコスト削減の観点から、電子媒体による公告を認めるべき ではないか。
◇証券取引法では、有価証券報告書、半期報告書等の開示書類の提出、受理という一連の手続等について、平成13年6月から電子化を実施し、
平成16年6月以降は原則義務化される。オンラインにより提出等の手続が行われた有価証券報告書等は、財務局、証券取引所等においてモニ ター画面により公衆縦覧に供するほか、提出会社において同様に公衆縦覧に供することができることされている。商法において電子媒体による 公告を認めた場合でも、例えば登記所ならびに会社で見られるようにすれば、公衆縦覧に供することはできる。したがって、証券取引法との整 合性の観点からも、電子媒体による株式会社の各種公告を認めるべきではないか。
◆電子媒体による公告を唯一の公告方法とすることについては、インターネットの普及状況等を考慮しつつ検討すべきであるが、これについても、
今後、法制審議会の検討課題とされ、審議されることが見込まれる。
【支店所在地での登記の不要化、登記事項の閲覧の合理化】(IT関連)
論点5:会社の登記については、企業の負担を軽減する観点から、支店所在地登記所での登記を不要とし、本店所在地で一括してオンラインに より登記できることとするとともに、これを支店所在地の登記所又はインターネット経由でも閲覧可能とすべきではないか。
◇企業が積極的にリストラクチャリングを進めるのに伴い、支店の統廃合が頻繁に行われているが、本店所在地と支店所在地双方の登記所で登記 が必要なことから、二重に手間が掛かっている。企業の負担を軽減する観点から、支店所在地登記所での登記を不要とし、本店所在地登記所で 一括してオンラインにより登記できるようにするとともに、支店取引の相手方等は、これを支店所在地の登記所又はインターネット経由でも閲 覧可能とすべきではないか。
◇今年度内には、利用者は指定法人と契約すれば、コンピュータ化されている登記情報をパソコン画面上で見ることができるようになる予定であ る。しかし、すべての登記所における商業登記情報のコンピュータ化が、完全に終了するわけではない。また、指定法人と契約しない利用者は、