環 境
6 使用済み自動車のリサイクル推進のための課題の検討
1 規制の現状と進捗状況
制度の概要 ・使用済み自動車のみを対象としたリサイクル法制度はないが、本年6月に改正された「再生資源の利用の促進に関す る法律」(「資源の有効な利用の促進に関する法律」と改名)の下で、指定省資源化製品及び特定再利用促進製品と され、原材料等の使用の合理化、その長期間の使用の促進その他の当該製品に係る使用物品等の発生の抑制を促進す るべき製品及び再生部品として利用することを促進することが必要な製品とされる見込み。
・廃掃法上は、個人が所有・使用して使用後不要となった自動車は、一般廃棄物の扱いを受ける(廃掃法第第2条第1 項)。したがってその運搬・処理を行うには廃掃法による一般廃棄物処理業の許可が必要とされる。一方、事業用に 使用された自動車は使用後不要になった場合産業廃棄物に扱いを受け、その運搬・処理を行うには廃掃法による産業 廃棄物処理業の許可が必要とされる(廃掃法第第2条第4項)。
・使用済自動車のリサイクル、適正処理をより一層促進するため、通商産業省は、産業構造審議会廃自動車処理・再資 源化小委員会における検討を踏まえ、関係法令やガイドラインから有効なものを活用し、体系的に組み合わせた包括 的政策パッケージ(使用済自動車リサイクル・イニシアティブ)を策定、平成9年5月に公表した。その中では、将 来的な自動車のリサイクル達成目標率等を掲げており、これに基づいて(社)日本自動車工業会を中心に業界で自主 的努力活動を行っている。
政府の対応(規制緩和 推進3か年計画)
記載なし。
2 論点整理
(注)・◇は当委員会の規制改革の意見・考え方であり、◆は◇に対する所管省庁等の説明や意見・考え方を示す。
・(環境関連)は、環境問題関連の論点を含むことを示す。
【使用済み自動車の廃棄物としての規制】(環境関連)
論点1:使用済み自動車のリサイクルにあたっては、廃掃法の規定を弾力的に運用すべきではないか。
◇自動車は典型的なアセンブルド・プロダクトであり多くの部品の集合体であるため、使用済み自動車のリサイクル・プロセスでは、有価物、無 価物、有害物質等様々な物が排出される。現行の廃掃法は、このような部品集合体の処理を前提としていないため、使用済み自動車のリサイク ルに廃掃法を文字どおりに適用するとスムーズなリサイクルを進める上で様々な障害が生じる。廃掃法上の廃棄物の定義では、有価か無価とい うことが問題となるため、使用済み自動車については、リサイクルの段階で排出される物により、廃棄物になったりならなかったり複雑である ことに加え、有価物でも社会経済状況によっては無価になるなど不安定である。したがって、このような特性を踏まえた上で、使用済み自動車 のリサイクルの実施を円滑化する観点から廃掃法の運用については、弾力的に考えるべきである。
◇使用済み自動車は、解体事業者に解体委託した段階で自動車としての機能を終えて廃棄の意思が明確になるが、それ以前のディーラー、整備業 者、中古車専業者で流通している段階では、有価・無価を基準とする現在の廃棄物の定義では、廃棄物になったりならなかったりし極めて不安 定である。したがって、使用済み自動車の取扱いについては、一貫性のある対応が確保されるべきである。(再掲)
◆廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、その 物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意志等を総合的に勘案して実態に即して判断すべきものである。使用 済み自動車も同様である。
◇使用済み自動車は、個人が使用した後廃棄する場合、一般廃棄物と見なされるが、市町村による回収・処理のシステムは出来上がっておらず、
現状では、実質的に廃掃法の原則は適用困難であり、自動車製造者や販売者のネットワークに頼ってリサイクル・プロセスにのっているのが実 態である。したがって、使用済み自動車の流通にあたっては、廃掃法上の業の許可の規定を弾力的に運用すべきである。
◆廃棄物の収集・運搬及び処分については、生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から、廃棄物処理法において必要な規制を設けているとこ ろである。同法においては、市町村が一般廃棄物の処理を委託する場合は、受託者は廃掃法上の業の許可は必要ではない。また、広域的に収集 又は運搬することが適当であるとして厚生大臣が指定した一般廃棄物を適正に収集・運搬することが確実であるとして厚生大臣の指定を受けた 者については、廃棄物処理業の許可を不要とする制度を設けている。
【使用済み自動車リサイクルシステムの在り方】(環境関連)
論点2:リサイクルにおいて重要な役割を担っている使用済み自動車解体事業者の実態を把握し、事前選別に限らず処理の全般にわたる適正処 理のガイドラインを作成し、使用済み自動車の処理の全般にわたるシステムを構築すべきではないか。また、使用済み自動車の処分を依 頼する者にとって、適正な処理を行える業者を選択することが難しいため、解体事業者の実態把握を行いその情報を開示すべきではない か。
◇使用済み自動車のリサイクルの第一段階で重要な役割を担っているのが、自動車解体事業者であるが、その規模や業態も多様なこと、一律に許 認可に係るものではないことなどにより、実態については十分には把握されていない。しかしながら、自動車解体事業は、今後使用済み自動車 の取扱いに当たりますます重要になるフロンあるいは廃油等の環境負荷物質の回収や処理に携わる事業であるため、行政によりその実態を把握 し、処理の全般にわたる適正処理のガイドラインを作成するとともに、使用済み自動車の処理の全般にわたるシステム構築を検討すべきである。
◆使用済み自動車リサイクルイニシアティブにおいて、「解体事業者等の役割」として①解体段階でのバッテリー等の除去、②エアバッグの処理、
③フロン回収、④解体作業に伴い排出される廃棄物等の適正処理といった取組に努めるべき旨をうたっているところである。また、自動車製造 事業者による解体マニュアルの配布や、解体段階で回収・除去される特定フロンやエアバッグを処理するため、自動車製造事業者・自動車販売 事業者等による特定フロンの自主回収システムの整備やエアバッグ自主回収システムの構築といった取組を同イニシアティブに基づいて行って いる。通商産業省としては、自動車のリサイクルシステムの在り方について関係者及び関係省庁とも協力しながら検討していく必要があると考 えている。
◆自動車解体はシュレッダー処理をするという廃棄物処理の一過程と考えられ、自動車解体業者を廃棄物処理業者としてとらえている。適正処理
のガイドラインについては、平成7年6月27日付け衛産第55号「シュレッダー処理される自動車及び電機機械器具の事前選別について」を 既に策定し、運用している。
また、平成9年の廃掃法の改正により、すべての産業廃棄物についてマニフェスト制度を導入したことを踏まえ、自動車関係業界において廃 自動車専用マニフェストを導入した。さらに平成12年の改正では最終処分までの排出事業者責任を明確にするための措置として、マニフェス トにより最終処分に関する情報が排出事業者に報告されるよう改正を行った。
◇使用済み自動車について、廃掃法によると、排出者は適正処理のために産業廃棄物処理業の許可を有する処理業者に責任を持って処理委託する 必要が生じるが、現状ではどの業者が適正な処理が可能でかつ資格を有しているか情報がない。したがって、排出事業者のために解体事業者に 関する情報を調査し、開示するとともに自動車解体業者の廃掃法に基づく許可取得の円滑化を図るべきである。
◆厚生省においては、優良な産業廃棄物処理業者を選択しやすくするため、インターネットを利用して、産業廃棄物処理業者についての様々な情 報を公開することとしており、年内のスタートを予定している。
3 参考資料
<参考1> 各国の状況
(廃自動車処理等に関するEU指令案の概要)
項 目 主 な 内 容
発生防止(第4条第2項) ○鉛、水銀、カドミウム、6価クロムの使用制限・排出防止
・当該指令発効後18カ月経過以降は上記4物質の新車への使用禁止、同含有部品の埋立禁止(但 し、適用除外リストを設け、一定期間特定部品への使用を可能とする)
回収(第5条) ○使用済み自動車収集システムの構築
○ユーザーに認定解体事業者への引渡しを義務づけ
○認定事業者の発行する解体証明書を自動車抹消登録の条件とする
○使用済み自動車回収に関する製造者等の責任の拡大(処理コストの負担)
処理(第6条) ○技術要件に適合した処理の義務づけ
○事前選別
リユース・リカバリー(第7条第2項) ○部品再利用、再資源化の目標率設定
・2006年、2015年にはそれぞれ85%、95%の再資源化(うちそれぞれ80%、85%
はリユースと材料リサイクルで達成、またエネルギー回収をそれぞれ5%、10%に制限)
リサイクル性(第7条第4項) ○新型車のリサイクル性の目標率設定と認証制度化
・2005年以降販売の新型車は95%のリサイクルを可能とする設計(うち85%はリユースと 材料リサイクル)
・認証制度による確認