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本研究のオリジナリティ

ドキュメント内 成長ベンチャー企業の (ページ 58-61)

第 2 章 先行研究調査

第 1 節 先行研究調査に基づく本研究のオリジナリティ

6. 本研究のオリジナリティ

先行研究調査によって、先行研究には大きく 3 つの欠缺があることが分かった。

第一に、インターナルコミュニケーションプロセスとインターナルコミュニケーション満足 度の関係が研究されていない。或は、インターナルコミュニケーション満足度を高めるような インターナルコミュニケーションとは何か、どんなプロセスになっているかという視点で研究 されていない。確かに、インターナルコミュニケーション満足度は、実務的なインターナルコ ミュニケーション監査 (Downs, 1988) に利用されている。しかし、監査という性格上、イン ターナルコミュニケーション満足度スコアの毎年の変化のモニターによる問題点や課題の抽 出、改善策の提示が中心であり、インターナルコミュニケーションプロセスそのものの解明や プロセス理論の構築は行われていない。監査は、企業内部の専門家やコンサルタント等の外部 の専門家によって、会計監査と似たような考え方で企業におけるインターナルコミュニケーシ ョンの実態を明確にし、問題点、改善点の指摘を行うだけである。被調査企業のインターナル コミュニケーション満足度が高いか低いかについてはわかるが、なぜインターナルコミュニケ ーション満足度が高いか低いかについて、その理由や原因の解明は表層的であることが多い。

つまり、構造的な根本原因が分からないため、その処方箋も対処療法的になり、当面のインタ ーナルコミュニケーションの改善を図る程度であり、インターナルコミュニケーションをプロ セス的に根本的に改善するには至らない。

第二に、インターナルコミュニケーションプロセス自体についても、リーダーのメディア選 択や特定の目的に対するコミュニケーションの研究が多く、組織における汎用的なプロセス理 論の導出には至っていない。つまり、それらの研究は、どのようなコミュニケーションを行え ば、従業員に価値観の共有、会社の期待する姿勢・行動の実践を促しうるかに、リーダーシッ プ、メディア、対面コミュニケーション、場といった視点で、研究したに過ぎない。本研究で 取り上げるような、組織における全てのコミュニケーションを研究範囲とし、その組織的な制 度、仕組み、枠組みまでをも考慮した全社的なプロセスの解明はなされていない。

第三に、大企業をテーマにしたインターナルコミュニケーションの研究例は存在しても、成 長ベンチャー企業の研究例はほとんどない。企業が成長、発達するためにはどのようにインタ ーナルコミュニケーションを行うべきか、企業の成長によってインターナルコミュニケーショ ンはどのように変化、発達していくのか、両者の関係についての研究例も見当たらない。

このように、インターナルコミュニケーションプロセスの構造解明に関する研究は、既存理 論の限界、既存の研究の欠缺部分であり、組織のプロセス自体が体系的に明確になっていない。

更に、研究分野としても新しく、確立された研究デザインも存在しない。これらの関係を、全 体図として図11に示す。なお、図ではインターナルコミュニケーションと仕事の満足度の関係

を中心に企業成長に至る関係性の(→)を描いているため、全ての変数間での細かな関係性は

(→)で示していない。実際には、(→)が錯綜する複雑な図になると予想される。

図 11: インターナルコミュニケーションが企業成長に影響する全体図 (筆者作成)

図 11 に示すように、企業成長に影響を与える要因は、大きく内部要因と外部要因に分かれ る。そのうち内部要因の複雑なプロセスは、太枠内のインターナルコミュニケーションを出発 点とする。太枠内の「社長の意識→組織のプロセス→従業員の満足度」はブラックボックスで ある。このブラックボックス、つまり、インターナルコミュニケーション(意識→プロセス→

満足度)の構造解明によって、満足度を高めるプロセスが分かれば、先行研究の成果と合わせ て、企業成長までの連鎖モデルを構築できる。それは、社長のコミュニケーション意識→組織 インターナルコミュニケーションプロセス→従業員のインターナルコミュニケーション満足度

→仕事の満足度→顧客満足度等→企業成長というモデルである。

図式を単純化して整理すると、図 12 のようになる。本研究領域は、社長のインターナルコ ミュニケーション意識を起点とするインターナルコミュニケーションプロセスの解明によって、

どのようにすれば、社長によって発信される様々なメッセージが、ミドル、一般従業員に伝わ り、従業員のインターナルコミュニケーション満足度を向上させるかを明確にすることである。

インターナルコミュニケーション [本研究エリア]

顧客満足度 組織コミットメ ント

ロイヤルティ その他の変数

その他の変数 リーダーのコミュニケーショ

ンへの要求(特定の目的)

その他の変数

生産性

組織コミットメ ント

信頼、権限委譲 仕事のパフォー マンス

その他の変数 仕事の満足度

その他の変数

その他の変数

インターナルコミュニケーション満足度の向上は、従業員の仕事の満足度、生産性、その他の 変数にプラスに働き、最終的には企業成長を実現する。

図 12: 企業成長のモデルにおける本研究領域の位置付け (筆者作成)

(実線は直接的な影響、点線は間接的な影響)

企業成長は、従業員一人ひとりの成長の集合体であり、その意味で、一人ひとりが成長する ことが企業全体の成長に繋がる。しかし、従業員個人が、ばらばらに勝手気儘に仕事をしたの では、仮に一人ひとりが成長しても、当然組織としての成長は落ちる。その意味で、競艇のエ イト競技のように、全員がコックスの掛け声宜しく同じ方向を向いて、一体感をもって成長す る必要がある。ビジョンや価値観を共有することは、従業員が同じ方向を向くことであり、そ うなって初めて、従業員は会社の期待する姿勢・行動を起こすようになり、企業成長が実現す る。このように、本モデルは、先行研究成果を包含、拡張するモデルである。図11の全体図 によって、インターナルコミュニケーションを取り巻く研究分野は俯瞰され、本研究の研究領 域、既存の研究の欠缺部分は明確になり(図12)、本研究のオリジナリティが非常に高いこと が分かった。

次節以降では、研究の糸口を探るために、本節で提示した先行研究分野について、個々の研 究内容について詳細にレビューする。次章第2節では、従業員のインターナルコミュニケーシ ョン満足度に関する研究について、第3節では、リーダーのインターナルコミュニケーョンに 関する研究について、第4節では、組織のインターナルコミュニケーションプロセスに関する 研究について、本研究を進める上で利用価値の高い先行研究の内容を示す。

従業員のイ ンターナル コミュニケ ーション

満足度 社長のコミ

ュニケーシ ョン意識 リーダー

コミュニ ケーショ ンへの要

本研究領域 先行研究

企業成 長の 実現 仕事の満

足度、そ の他の 様々な変

先行研究

組織のイン ターナルコ ミュニケー ションプロ

セス

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