第 2 章 先行研究調査
第 2 節 従業員のインターナルコミュニケーション満足度
2. インターナルコミュニケーション満足度の測定方法
表 6: コミュニケーション満足度の測定尺度の整理 (筆者作成)
測定尺度名 提唱者
質問項目の内容 特徴
Communication Satisfaction Questionnaire (CSQ)
Downs & Hazen (1977)
Downs (1988) (USA)
・合計51項目:従業員満足、生産性、40の コミュニ ケーション質問項目
・7点リッカートスケール(1988年版は、10点リッカ ートスケール)と限定的なオープンエンドな質問
・所要時間:10-15分
・8つのコミュニケーションディメンジョンの構成 1. コミュニケーション風土:従業員を組織のゴール
に向けるための動機付けや働きかけ、会社のコミ ュニケーションに対する姿勢についての満足度 (CC)
2. 上司とのコミュニケーション(SC) 3. 自分の職場に関する情報(OI)
4. メディアの品質:対面の話し合い、会議、書類、
社内通知、メール等の内容、量、頻度についての 満足度(MQ)
5. 同僚とのコミュニケーション(HC) 6. 自社に関する情報(OP)
7. 部下とのコミュニケーション(Sub) 8. 自分の評価についてのフィードバック(PF)
・優れている点:
1. 調査時間が短く、効率的、包括的。
2. 多くの企業における調査実績。
3. 仕事の満足、組織コミットメント、
生産性との正の強い相関関係に関 する多くの実証研究成果がある。
4. 他社と比較可能な基準(データバン ク)があり、調査対象企業のコミュ ニケーションの状態を他社と比較 できる。
・課題点:
1. 部門間コミュニケーションの調査 項目がない。
2. 社長からのコミュニケーション調 査項目がない。
3. 相関が強い因子がある。(例:HCと PF)
International Communication Association (ICA) Audit Survey (CAS)
Goldhaber (USA) (1976)
・合計134項目:122のコミュニケーション項目(13 のディメンジョン)
・5点リッカートスケールとクリティカルインシデント についてのオープンエンドな質問
・所用時間:30分以上
・13のディメンジョンの構成
1. 組織、業務等に関して実際に受信される情報量 2. 組織、業務等に関して受信が望まれる情報量 3. 組織、業務等に関して実際に送信される情報量 4. 組織、業務等に関して送信が望まれる情報量 5. 発信された情報の現在のフォローアップ情報量 6. 発信された情報に必要なフォローアップ情報量 7. 上司、部下等の情報源から受信される情報量
・優れている点:
1. 実際のコミュニケーション量と望 ましい量との比較ができ、ギャップ がはっきりする。
2. 組織全体のコミュニケーションを 網羅的に調査できる。
3. 多くの実績があり、調査対象、組織 規模も多岐に応用可能である。
4. 他社との比較可能な基準(データバ ンク)があり、調査対象企業のコミ ュニケーションの状態を他社と比 較できる。
8. 上司、部下等の情報源から受信が望まれる情報量 9. 対面、電話等メディアから受信される情報量 10. 対面、電話等メディアから受信が望まれる情報 量
11. 情報源から受信される情報の適時性
12. 組織コミュニケーションにおける上司、部下等 との関係
13. 組織、及び自己の成果、業績評価に対する満足 度
5. オープンエンドな質問により内容 の濃いデータを得られる。
・課題点:
1. 調査に時間がかかる。
2. データバンクとの比較には、いつの 基準データか注意を払う必要があ る。
3. 因子の妥当性が低い。
Organizational Communication Development (OCD) Audit Questionnaire
Wiio (Finland) (1975)
・参加型ワークショップと質問票による 2 段階の調査
・質問票(全76項目)は12のディメンジョン
・質問票は5点リッカートスケール
・所用時間: ワークショップと質問票合計で、1日
・12のディメンジョンの構成 1. 全体的なコミュニケーション満足 2. 様々な情報源からの受信情報量(現在)
3. 様々な情報源からの受信情報量(理想)
4. 特定な業務に関する必要な受信情報量(現在)
5. 特定な業務に関する必要な受信情報量(理想)
6. 改善を必要とするコミュニケーションエリア 7. 仕事の満足度
8. コンピュータ情報システムの利用のし易さ 9. 業務時間中のコミュニケーションへの時間配分 10. 受信者の一般的なコミュニケーション態度 11. 組織に固有な質問
12. コミュニケーションチャネル(探したい情報項 目ごとの情報源)
・優れている点:
1. フィンランド、USA、スウェーデン、
オーストラリアの多くの企業にお ける実践実績。
2. 他社と比較可能な基準(データバン ク)があり、調査対象企業のコミュ ニケーションの状態が他社と比較 できる。
3. コミュニケーションチャネルに関 する質問は、実際の組織のコミュニ ケーションシステムにおける情報 流通構造の解明につながる可能性 がある。
・課題点:
1. 参加型ワークショップは時間と費 用がかかる。
2. 英語による信頼性、妥当性に関する 検証論文が少ない。
Organizational Communication Questionnaire (OCQ)
Roberts & O’Reilly (USA)
(1973)
・全35項目(16のディメンジョン)
・7点リッカートスケール22問 時間配分(%)の回答13問
・所用時間:5-10分
・16のディメンジョンの構成 A. 組織コミュニケーションの質問 1. 相互のコミュニケーションに対する願望 2. 上司とのコミュニケーションの配分時間(%)
・優れている点:
1. 短時間の調査である。
2. 他にはない質問項目(情報の正確 さ、頻度、情報のコントロール)が ある。
3. もともと海軍機関の研究としてス タートした経緯もあり、コミュニケ ーションプロセスに加えて、上司へ
3. 部下とのコミュニケーションの配分時間(%)
4. 同僚、水平コミュニケーション の配分時間(%) 5. 情報の正確さ
6. 情報の内容を要約して発信する頻度 7. 受信した情報のうち直属の上司に発信する量 8. 受信する情報量の負荷の多さ
9. 従業員の全体的な満足度
10.書面によるコミュニケーションの配分時間(%) 11.対面コミュニケーションの配分時間(%) 12.電話によるコミュニケーションの配分時間(%) 13.それ以外のコミュニケーション手段の配分時間 (%)
B. コミュニケーション関連の質問 1. 上司に対する信頼
2. 上司の影響力 3. 昇進、上昇志向
の信頼、上司の影響、上昇志向とい った個人の内面とコミュニケーシ ョンの関係も測定する。
課題点:
1. 他社と比較する基準がない。
2. 部門間コミュニケーション、部門内 コミュニケーションに関する質問 項目がない。
3. 社長のコミュニケーションに関す る質問項目がない。
4. 短すぎる。