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インターナルコミュニケーションの汎用プロセスモデルの生成

ドキュメント内 成長ベンチャー企業の (ページ 150-161)

第 5 章 GTA による汎用プロセスモデルの生成

第 4 節 インターナルコミュニケーションの汎用プロセスモデルの生成

最後に、得られたカテゴリーから選択コーディングによってプロセスモデルを生成する。6 つのカテゴリーをプロセスになるように繋げていく。筆者は、インターナルコミュニケーショ ンプロセスの起点は、社長のインターナルコミュニケーション意識であり、終点は、従業員の インターナルコミュニケーション満足度の向上と定義した。プロセスは、左から右に流れるた め、一番左に社長のインターナルコミュニケーション意識、右に従業員のインターナルコミュ ニケーション満足度がくる。一方、縦方向を考えると、社長、ミドル、一般従業員のピラミッ ド構造を考え、ピラミッドに、それぞれの6つのカテゴリーが配置されるようにした。社長(上 段)は、社長のカテゴリーである「A: 社長のメッセージ創造と継続的な伝達意思」と「B: 強 いリーダーとしての目に見える社長の存在感」、ミドルレベル(中段)は、「C: ミドルのリー ダーシップ育成と中核的存在としての自由で、チャレンジングな部門管理」、従業員レベル(下 段)は、「E: 一体感を感じられるオープンで活発な社内の雰囲気」とした。次に、「D: 仕事に 対する誇りとチャレンジを通じた成長の実感」は、ミドルも含む従業員全体であることと、一 体感との関係で言えば、一体感が構造的に下から支えるイメージのため、一体感の上部(中段)

に配置した。最後に、専門部門の活動である「F: 専門スタッフによる積極的な活性化とぬくも りの伝達」は、一体感と社長の意識に関係するカテゴリーのため、その間に配置した。図21 に、ピラミッド的に配置した絵を示す。

次に、それぞれのカテゴリーを左から右に横方向に、上から下に縦方向に、時間的な関係性

(前後)、効果の関係性(因果)の点で流れるようにプロセスを考えることとした。

表15のコーディング時に使用した質的データ(インタビューデータ) を中心に、表15のコー ディングでは使用しなかったインタビューデータも再度見直し、それぞれのカテゴリーの関連 性を示す言葉をデータから見つけ、カテゴリー間の行為主体(発し手と受け手)、コミュニケ ーションの流れを想定しながら、一つひとつ丁寧にカテゴリー間のコミュニケーションパス

(→)を書き加えた。

このようにして、実際のインタビューデータと向き合いながら、行きつ戻りつ試行錯誤して プロセス図を完成させた。なお、本文中の記載にあたり、プロセス図を縮小して表記した場合 は字が小さくなるので、カテゴリー名を以下のように省略する。省略しても意味する内容は変 わらない。またGTAによって生成されたカテゴリーではないが、プロセスの終点である「従 業員のインターナルコミュニケーション満足度の向上」も表中に記載する。

表 17: カテゴリー名と省略名の対応

コード 正式カテゴリー名 プロセス図上の省略名

A 社長のメッセージ創造と継続的な伝達意思 社長の伝達意思

B 強いリーダーとしての目に見える社長の存在感 強いリーダーとしての社長の存在感 C ミドルのリーダーシップ育成と中核的存在しての自由で、

チャレンジングな部門管理

ミドルの育成と部門管理

D 仕事に対する誇りとチャレンジを通じた成長の実感 仕事への誇りと成長の実感 E 一体感を感じられるオープンで活発な社内の雰囲気 一体感と活発な社内の雰囲気 F 専門スタッフによる積極的な活性化とぬくもりの伝達 専門部門による活性化 G 従業意のインターナルコミュニケーション満足度の向上 従業員の満足度向上

図 21: インターナルコミュニケーションプロセスのカテゴリー配置

コミュニケーションパス(→)を書き加えていく作業について説明する。初めに、インター ナルコミュニケーション満足度に直接影響を与える要因として、社長のカテゴリーとミドルの カテゴリーを除く、「D : 仕事への誇りと成長の実感」と「E : 一体感と活発な社内の雰囲気」

(原因)と、「G: インターナルコミュニケーション満足度の向上(結果)」をコミュニケーシ ョンパス(→)で結んだ。「D : 仕事への誇りと成長の実感」は、インターナルコミュニケーシ ョン満足度に対して、個人レベルの満足度、「E : 一体感と活発な社内の雰囲気」は集団レベル の満足度と解釈される。「A : 社長の伝達意思」は、「B : 強いリーダーとしての社長の存在感」

「C : ミドルの育成と部門管理」「F: 専門部門による活性化」に直接影響を与えると考え、そ れらをコミュニケーションパス(→)で結んだ。「B : 強いリーダーとしての社長の存在感」は、

「C : ミドルの育成と部門管理」「D : 仕事への誇りと成長の実感」「E : 一体感と活発な社内の 雰囲気」に直接影響を与えると考え、それらをコミュニケーションパス(→)で結んだ。「C : ミ ドルの育成と部門管理」は、「D : 仕事への誇りと成長の実感」「E : 一体感と活発な社内の雰 囲気」に上司、部下の関係で直接影響を与えると考え、それらをコミュニケーションパス(→)

で結んだ。「E : 一体感と活発な社内の雰囲気」と「D : 仕事への誇りと成長の実感」は相互に 関係するとしてコミュニケーションパス(→)で結んだ。専門は、「E : 一体感と活発な社内の

A: 社長のメッセージ創 造と継続的な伝達意思

(社長の伝達意思)

B: 強いリーダーとしての目に見える社長の存在感

(強いリーダーとしての社長の存在感)

G:従業員の インターナル

コミュニ ケーション

満足度 の向上

(従業員の 満足度向上)

D: 仕事に対する誇りとチャレンジを 通じた成長の実感

(仕事への誇りと成長の実感)

C: ミドルのリーダーシップ育 成と中核的存在しての自由で、

チャレンジングな部門管理

(ミドルの育成と部門管理)

E: 一体感を感じられるオープンで活発な 社内の雰囲気

(一体感と活発な社内の雰囲気)

ミドル 社長

一般従業員

F: 専門スタッフによる積極的活 性化とぬくもりの伝達

(専門部門による活性化)

雰囲気」に直接影響を与えると考え、それらを(→)で結んだ。これ以外の可能性も考慮し、

コミュニケーションパス(→)を、コミュニケーションの「発し手」「受け手」の組合せから 現実的に考え、更に、先に述べたインタビューデータの言葉に向き合いながら、データに裏打 ちされた形で、コミュニケーションパス(→)を書き、図22のプロセス図を完成させた。な お、コミュニケーションパス(→)番号①~⑫そのものには意味は無い。

図 22: 成長ベンチャー企業のインターナルコミュニケーションのプロセスモデル (筆者作成)

ここで、生成されたプロセス図において、左から右、上から下に、カテゴリー間をコミュニ ケーションパス(→)でたどりながら、どのようにインターナルコミュニケーションプロセス が表現されるかを説明する。順に、プロセスの流れとその意味するコミュニケーションを説明 する。そして、ICS = Highの成長ベンチャー企業のインタビューデータを引用し、それらのプ ロセスがデータに基づいていることを示す。

⑤ ⑥

③ ②

A: 社長のメッセージ創 造と継続的な伝達意思

(社長の伝達意思)

B: 強いリーダーとしての目に見える社長の存在感

(強いリーダーとしての社長の存在感)

G:従業員の インターナル

コミュニ ケーション

満足度 の向上

(従業員の 満足度向上)

D: 仕事に対する誇りとチャレンジを 通じた成長の実感

(仕事への誇りと成長の実感)

C: ミドルのリーダーシップ育 成と中核的存在しての自由で、

チャレンジングな部門管理

(ミドルの育成と部門管理)

E: 一体感を感じられるオープンで活発な 社内の雰囲気

(一体感と活発な社内の雰囲気)

F: 専門スタッフによる積極的活 性化とぬくもりの伝達

(専門部門による活性化)

[プロセス 1]

A: 社長の伝達意思→①→B: 強いリーダーとしての社長の存在感→④

→C: ミドルの育成と部門管理

A: 社長の伝達意思→①→B: 強いリーダーとしての社長の存在感→⑥

→D: 仕事への誇りと成長の実感

[説明] 社長が、ミドルや従業員の成長を意識して、ミドルや従業員の間で、自分の存在を示 して、直接自らの言葉で繰り返し、理念と従業員の成長を訴えるコミュニケーション プロセス。

(ケースKのM社長の例)

ケースKのM社長のインタビュー(社長の伝達意思):

『(社員の成長を訴求する会社の理念や行動規範について) 毎月の全社集会やミドルの研 修でよく出る質問に対して、毎回、毎回、自分達経営陣は、真剣に答えていて。(中略)同 じ話、100回しないと駄目なことは、100回しないと駄目です。同じ話ばかりしないといけ ない理由は、一瞬理解しても、腹に落ちるのに、10回では効かないくらいです。繰り返さ れている間に、いつの間にか、腹には落ちて来るので。』

ケースKのWさんのインタビュー(強いリーダーとしての社長の存在感):

『社長自身が、本当に、真摯に、もの凄く取り組んでいるっていうのをみると、はっと、こ っちもしてしまうという感じですかね。2つの経営理念を実現するために、自分は存在して いるとか。だから、こういうことやっているって言うのを、本当に一つ一つ、社員に対して も、一個の嘘もなく、全部、正直にやっている姿というのを、目の当たりにしていると、そ う言った気持ちになります。』

ケースKのHさんのインタビュー(強いリーダーとしての社長の存在感):

『社長が、全員を集めて、3-4時間かけて、一人ずつ回答していくものをやっていくので、

本当に経営陣の考えがダイレクトに伝わっていく。自分の聞きたいこともダイレクトに返っ て来る。もの凄く、そこは、大事にしているのですね。どんなに規模が大きくなって、忙し くなっても、そこは、もう止めとこう、誰か代理で、というのは一切ない。変わらないです ね。』

(ケースLのT社長の例)

ケースLのT社長のインタビュー(社長の伝達意思):

『実際に、多分、今のうちのレベルだと、私が思っていることが、人を介して伝わると、大

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