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最終処分地選定プロセスの見直し

第一章 本研究の背景等

1.4 我が国における HLW 処分に関する取組

1.4.4 最終処分地選定プロセスの見直し

日本学術会議の提言や原子力委員会の見解を踏まえ、2013年(平成25年)5月、経済 産業省は放射性廃棄物WGを設置し、最終処分に関する取組の見直しについて議論を開始 した。また、同年12月には、放射性廃棄物WGにおける専門家による議論と並行して閣 僚レベルでも議論を進めるため、最終処分関係閣僚会議が開催された。

放射性廃棄物 WG(2014)は、「将来世代の負担を最大限軽減するため、長期にわたる 制度的管理(人的管理)に依らない『最終処分』を可能な限り目指すことが必要であり、

そのため、現世代の責任として、最終処分に向けた取組を進めることが必要」(放射性廃棄

物WG, 2014, p.8)としつつ、同時に、「将来世代に社会的価値の選択肢が十分委ねられる

仕組みを確実に担保していくことも重要」(同上, p.9)であると指摘した。また、最終処分 関係閣僚会議では、現世代の責任として地層処分を前提に取組を進めつつ、将来世代が最 良の処分方法を再選択できるよう可逆性と回収可能性を担保する、政府が科学的有望地を 提示し、重点的な理解活動を行ったうえで複数地域に対し申入れを実施する等の基本的な 取組の方向性を示した63

こうした方針を受け、2014年(平成26年)4月に閣議決定された『エネルギー基本計 画』では、HLW を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、

HLW問題の解決に向け、国が前面に立って取り組むとし、HLW処分施設の立地選定にお いては、HLW 処分の安全性が十分に確保できる地点を選定するため、国は科学的有望地 を示して地域の地質環境特性を科学的見地から説明し、立地への理解を求めることとした。

また、立地選定に向けて国民や地域住民の理解を得る観点から、「立地地点は地域による主 体的な検討と判断のうえで選定されることが重要であり、多様な立場の住民が参加する地

63 最終処分関係閣僚会議(2013)「第1回最終処分関係閣僚会議議事概要」, 2013年(平成25 年)12月17日。

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域の合意形成の仕組みを構築する」(閣議決定, 2014, p.45)こととし、「国民共通の課題解 決という社会全体の利益を地域に還元するための方策として、施設受入地域の持続的発展 に資する支援策を国が自治体と協力して検討、実施する」(同上)こととした。

政府は、2014年(平成26年)4月に閣議決定された『エネルギー基本計画』に定めた HLWの最終処分に関する考え方を踏まえ、2015年(平成27 年)5月、基本方針を改定 し、閣議決定を行った。新たな基本方針では、HLW の最終処分の各段階における調査地 区の選定や最終処分の実施を円滑に実現するためには、調査地区の選定に係る関係住民の 理解と協力を得ること、またその前提として国民の理解と協力を得ることが極めて重要と の認識を示し、相互理解を深めるための広報活動や情報公開の徹底等を図ることとした。

また、2015年(平成27年)5月の基本方針では、受益圏と受苦圏の間の地域間公平の 問題に配慮して、「(HLW 処分)事業の実現が社会全体の利益であるとの認識に基づき、

その実現に貢献する地域に対し、敬意や感謝の念を持つとともに、社会として適切に利益 を還元される必要があるとの認識が、広く国民に共有されることが重要」(閣議決定, 2015,

p.1)との見解が示された。また、HLW処分事業が長期にわたる事業となることから、地

域住民との共生関係の構築、地域の自立的な発展、地域住民の生活水準の向上や地域の活 性化に寄与することが重要であり、このため、処分地選定に向けた調査を受け入れる地域 に対し、社会的課題の解決という社会全体の利益を持続的に還元していくとの観点から、

文献調査の段階から電源三法交付金を交付するとともに、処分地選定調査の進展に応じて、

地域の関心や意向を踏まえた地域の持続的発展に資する総合的な支援措置を関係地方公 共団体と協力して検討し、講じていく、との方針が示された。

さらに、2015年(平成27年)5月の基本方針では、現世代と将来世代の間の世代間公 平の問題に留意し、現世代の責任と将来世代の選択可能性を明記した。具体的には、HLW を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、その対策を確実に 進めるとしたうえで、同時に、今後の技術その他の変化の可能性に、柔軟かつ適切に対応 する観点から、最終処分に関する政策や最終処分事業の可逆性を担保するとともに、HLW が最終処分施設に搬入された後においても、安全な管理が合理的に継続される範囲内で、

最終処分施設の閉鎖までの間のHLWの搬出の可能性、すなわち回収可能性を確保するこ ととした。さらに、将来世代が最良の処分方法を選択することができるよう幅広い選択肢 を確保するため、代替オプションを含めた技術開発等を進めることとした。

また、基本方針では、調査地区の選定プロセスを円滑に進めるため、関係住民に継続的 かつ適切に情報提供が行われ、関係住民の意見が最終処分事業に反映されることを通じ、

地域の主体的な合意形成が図られることが重要であるとし、調査の段階から、多様な関係 住民が参加し、最終処分事業について、情報を継続的に共有し、対話を行う「対話の場」

を設け、積極的な活動が行われることが望ましいとの考えを示した。政府やNUMOは、

こうした「対話の場」の有用性や活動内容の可能性を示し、「対話の場」が円滑に設置され るよう、また、「対話の場」において専門家等から多様な意見や情報を得られるよう、その 活動を継続的に支援することとした。さらに、調査地区の選定の円滑な実現に向け、政府 が前面に立って取り組むとの観点から、政府が、科学的有望地を提示し、国民及び関係す る住民の理解と協力を得ることに努めるとともに、理解活動の状況等を踏まえ、調査の実 施その他の活動に対する理解と協力について関係地方自治体に申入れを行うこととした。

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他方、地層処分の技術的信頼性について、最新の科学的知見を反映した再評価を行うた め、2013年(平成25年)10月、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力 小委員会の下に地層処分技術ワーキンググループ(以下、地層処分技術WG)が設置され た。地層処分技術WGでは、1999年(平成11年)11月に出された第2次取りまとめ以 降の科学的知見を反映して審議し、2014年(平成26年)5月、『最新の科学的知見に基づ く地層処分技術の再評価―地質環境特性及び地質環境の長期安定性について―』をまとめ、

「段階的なサイト調査を適切に行うことにより、すべての天然現象の長期的変動の影響を 踏まえてもなお、各々の好ましい地質環境とその地質環境の長期安定性を確保できる場所 をわが国において選定できる見通しが得られた」(地層処分技術WG, 2014, p.42)との認 識を示した。

さらに、地層処分技術WGは、2014年(平成26年)9月の第2回最終処分関係閣僚会 議で発表された「科学的有望地の具体的な要件・基準等について、地球科学的観点と社会 科学的観点を考慮し、総合資源エネルギー調査会において、専門家に更なる検討を進める」

64との方針を踏まえ、この具体的要件及び基準について議論を重ねた。そのうえで、2015 年(平成27年)12月には、火山や活断層が近くにある地域などは原則として除外した沿 岸部の適性がより高いとの中間整理をまとめた報告書65を公表した。その後も地層処分技 術WGは引き続き検討を進め、関係学会の会員や関係機関等に対する情報提供や意見照会 を実施し、学術的知見や利用する文献やデータの妥当性等について専門家の意見を収集し た。また、2016年(平成28年)5月には、OECD-NEAによる国際ピア・レビューを受

け、OECD-NEAがまとめた報告書66を活用して、国際社会に対しても、我が国の地層処分

の技術的信頼性について情報共有を行った。

地層処分技術WGは、これらのプロセスで得られた意見や助言等を踏まえ、2017年(平 成29年)4月、『地層処分に関する地域の科学的な特性の提示に係る要件・基準の検討結 果(地層処分技術WG とりまとめ)』を発表した。この中では、火山の近傍、活断層の近 傍、隆起・侵食が大きい範囲、地温が高い範囲、完新世火砕流等の分布範囲、軟弱な地盤 である範囲、油田・ガス田、炭田といった「好ましくない特性」が、現時点で、あるいは、

将来の可能性として確認される地域を「好ましくない特性があると推定される地域」と整 理し、こうした特性がいずれも該当しない地域を「好ましい特性が確認できる可能性が相 対的に高い地域」とした。さらに、将来的にHLWを輸送することを考慮し、「海岸からの 距離が短い範囲」を持つ地域を「輸送面でも好ましい地域」とした67

64 最終処分関係閣僚会議(2014)「第2回最終処分関係閣僚会議議事概要」, 2014年(平成26 年)9月30日。

65 総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会地層処分技術ワーキンググ ループ(地層処分技術WG)(2015)『科学的有望地の要件・基準に関する地層処分技術WG における中間整理』, 2015年(平成27年)12月。

66 OECD-NEA(2016) Japan’s Siting Process for the Geological Disposal of High-level Radioactive Waste – An International Peer Review。

67 総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会地層処分技術ワーキンググ ループ(地層処分技術WG)(2017)『地層処分に関する地域の科学的な特性の提示に係る要 件・基準の検討結果(地層処分技術WGとりまとめ)』, 2017年(平成29年)4月, p.73。

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