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第三章、 京劇『蘆蕩火種』

第六節、 1964 年京劇現代劇競演大会の初お目見え

1964 年 6 月 5 日から 7 月 31 日まで、文化部は北京で 1963 年京劇現代戯観摩演出 大会(1964 年京劇現代劇競演大会)を挙行した。

1964 年の京劇現代劇競演大会の開催は、京劇改革が新しい段階に到達したことを 象徴している。6 月 6 日の『人民日報』の報道は、「今回の全国で注目されている京劇 現代劇競演大会は、解放後の京劇工作者が現代劇を演出する新たな見せ場であり、京 劇界のこれまで例のない大規模な活動である。」と指摘している。8 月 1 日の社説は、

「今回の競演の勝利は、我が国の文学芸術の革命化を促進しなければならず、文芸戦 線の社会主義革命を最後まで行わなければならない」と指摘している。陸定一は「…

京劇の中に一輪の革命の生花を咲かせることが必要である。即ち、「五四」運動以来 の革命闘争の事績を表現することであり、全国解放後の階級闘争と生産建設の現代劇 を表現することが必要である。まさにそれゆえに、今回の競演は一つの良き発端であ る」と述べている。彭真はこの大会における講話の中で、京劇を五つの方面から改革 しなければならあい。多数の労働者、農民、兵士(革命の知識人を含む)のために奉 仕し、生きている人、現代人を演じ、一つの統一した京劇芸術スタイルで「革命の思 想内容」を演じ、「戦略の上で軽視、戦術の上で重視」しなければならないと指摘して いる。

1964 年の京劇現代劇競演大会はこのような重要な役割を持っており、「革命模範劇」

研究を深化させるためには、この京劇現代劇競演大会の研究を行わければならない。

筆者はそのため、1964 年の京劇現代劇競演大会に関する資料を集めてきたが、その中 で一つの問題があることを発見した。それは、大会に参加した機関、劇団と上演した 劇目の数字に言及した複数の文献で、文献の執筆者達がそれぞれ違うことを述べてい

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ることである。一体事実は何か。本節は『人民日報』、『戯劇報』等の新聞雑誌を主な 資料とし、1964 年競演大会に対して調査と考察を行った。その報告である。既存の成 果を継承し、更にそれを発展させるのが本文の目的である。

一、競演大会に参加した機関、劇団と演目に関する考察

1964 年 8 月 1 日の『人民日報』の「京劇現代劇競演大会は北京で閉幕」と題した報 道によると、「新華社 31 日、我が国の戯曲改革の歴史上重要な意義を持っている 1964 年の京劇現代劇競演大会は今日の午後首都で勝利のうちに閉幕した。…今回の競演大 会は二ヶ月を費やし、文化部に直属する機関と 18 の省、市、自治区の 29 の劇団、2000 人以上が参加し、計 35 の演目を上演した。…」と述べている。『人民日報』の報道は 新華社 31 日の記事を情報源としているため、主催機関から直接得た情報だと考える。

ところが 1964 年の『戯劇報』における今回の競演大会に関する文章によると、同じ 事柄が「文化部に直属する機関と 18 の省、市、自治区の 29 の劇団、2000 人以上及び 各地の観摩団の 300 人以上がこの大会に参加した。35 の演目を上演した…」163と書か れている。数字が食い違っているのである。そこで、この競演大会について書かれた 他の文献も調べてみたが、驚くべきことにその数字はさまざまであった。表(一)は 文献の出版年の順に基づき、そこに記述された数字をまとめたものである。

表(一)

163 「毛沢東思想的光輝勝利 社會主義新京劇宣告誕生——記一九六四年京劇現代戲觀摩演出大會」『戲 劇報』、1964 年、第 7 期、14-21 ページ。

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作品 機関 劇団 演目

『中国共産党執政四十年』164 未提示 29 37

『1976:狂乱的文学年代』165 19 28 37

『中国当代文学史』及び修訂版166 9 28 38

『中国当代文芸思想史論』付録167 19 28 37

『中国当代戯曲文学史』168 未提示 未提示 37

『国家的儀式―中国革命戯劇の文化透視』169 未提示 29 36

以上のように引用した資料は、今回の大会に参加した機関、演目、劇団について、

それぞれ違うことを述べている。なぜこのような食い違いが生じたのか。特定の原因 と根拠があるかどうか。以下はこの問題についての考察である。

(一)、参加した劇団に関する考察

参加した劇団数が、表(一)の三つの資料が述べている「28」か、他の二つの資料 が述べている「29」かであるが、結論から言えば 1964 年の京劇現代劇競演大会に参 加した劇団は「29」である。1964 年 8 月 1 日の『人民日報』の「京劇現代劇競演大 会、北京で閉幕」と題した報道の中で、参加した「29」の劇団を具体的に列挙してい る。次に、『人民日報』の報道を原文のまま引用する。

“讲话结束,乐队奏起欢乐的乐曲,沈雁冰代表文化部向参加这次观摩演出的二十九个剧团授予纪 念状。这二十九个剧团是:山东省京剧团、上海京剧院、北京京剧团、北京实验京剧团、黑龙江省哈 尔滨市京剧团、上海市戏曲学校、上海青年京昆剧团、内蒙古自治区艺术剧院京剧团、北京京剧二 团、河北省天津市京剧团、黑龙江省戏曲学校实验京剧团、云南京剧院一团、江西省南昌市京剧团、

陕西省京剧院、湖北省武汉市京剧团、宁夏回族自治区京剧团、江苏省京剧团、吉林省长春市京剧 团、青海省京剧团、新疆维吾尔自治区乌鲁木齐市京剧团、广西僮族自治区京剧团、山东省淄博市

164 馬齊彬、陳文斌、林蘊暉、叢進、王年一、張天榮、卜偉華編寫、『中国共産党執政四十年』 (1949-1989)、中共党史出版社、1991 年、245 ページ。原文「大会历时两个月,有 29 个剧团、两千多人参加,

共演出了『芦荡火种』…等 37 个剧目」

165 楊鼎川著、『1967:狂乱的文学年代』、山東教育出版社、1998年、38 ページ。原文「文化部在北京 举办规模空前的全国京剧现代戏观摩演出大会,19 个省市自治区的 28 个剧团演出了《红灯记》…等 37 个剧目」

166 洪子誠、『中国当代文学史』、北京大学出版社、1999 年 8 月、194 ページ。及びその 2011 年 7 月的 修訂版、169 ページ。原文「来自 9 个省、市、自治区的 28 个京剧团演出了 38 台“现代戏”(指表现现 代生活的戏曲剧目)

167 柏定国、『中国当代文芸思想史論』(1956-1976) 、附錄〈中国文芸重大問題紀事年表(1956-1976)、中国社会科学出版社、2006 年、316-317 ページ。原文「…参加演出的有 19 个省、市的 28 个 剧团,演出了《芦荡火种》…等 37 个剧目」

168 謝柏梁、『中国当代戯曲文学史』、高等教育出版社、2006 年、139 ページ。原文「…6 月 5 日到 7 月 31 日,全国京剧现代戏观摩演出大会在北京举行,一共上演了 37 个剧目」

169 胡志毅、『国家的儀式-中国革命戯劇的文化透視』、廣西師範大学出版社 、2008 年、168 ページ。原 文「…来自全国各地的 29 个京剧团演出了 36 个现代京剧…」

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京剧团、山东省青岛市京剧团、中国京剧院一团、河北省唐山市京剧团、河南省京剧团、中国京剧院 二团、中国京剧院四团、贵州省贵阳市京剧团。当这些剧团的代表先后走上主席台领取纪念状,周 恩来总理等领导人同他们握手时,全场响起了雷动般的掌声。”

(二)、参加した機関に関する考察 次に参加した機関はどうだろうか。

引用した六つの先行研究の中で、三つは参加した機関を提示していない。二つは「19 の省市自治区」、「19 の省、市」と述べている。もう一つは「9 の省、市、自治区」と 言及している。しかしながら、『人民日報』と『戯劇報』の報道は「文化部直属の機関 と 18 の省、市、自治区」と指摘している。なぜこのような食い違いがあるのか。『矛 盾文集』170には、当時の文化部長であった沈雁氷の競演大会開幕式における開幕の挨 拶が収載されている。それによると、「…今回の競演は、解放後、最大規模の現代を題 材にした戯曲の競演であり、最初の京劇現代劇の競演でもある。今回の競演に参加す るのは、19 の省、市、自治区の 28 の京劇団であり、大、小合わせて 37 の演目を上演 する予定である。…」とある。

よって、参加した機関が「19」と述べている先行研究は、沈雁氷の開幕の挨拶を参 照したものと考えられる。しかし、沈雁氷の開幕式における講話は、この競演の計画 を述べたものであって、実際の状況によって幾つかを変更する可能性があり、これの みを根拠とすることはできない。『中国当代文学史』及びその修訂版はすでに参加し た機関を「9」と述べているが、この数字は実際のものとかなり離れているため、これ について特定の根拠があるかどうか、筆者は現時点ではまだ考察できていない。印刷 のミスである可能性もある。

以上のように引用した資料における、参加機関に関する記述は、『人民日報』及び

『戯劇報』の報道とかなり相違があるため、筆者は更に多くの考察と推定を行う。ま ず、『人民日報』が報道した29の劇団を基に、以下の考察を行う。

先行研究における問題は、参加した文化部直属の機関がどの位あるか、また、どの 省、市、自治区が参加したかである。この二つの問題が明らかになれば、参加した機 関の問題についてはおのずと明らかになる。まず、筆者は文化部直属の機関について 考察を行う。文化部の公式ホームページに掲載されている文化部直属の機関は以下の 通りである。

文化部信息中心、中国艺术研究院、中国国家图书馆、故宫博物院、中国国家博物馆、中央文化 管理干部学院、中国文化传媒集团有限公司、中国国家京剧院、中国国家话剧院、中国歌剧舞剧 院、中国东方演艺集团有限公司、中国交响团、中国儿童艺术剧院、中央歌剧院、中央芭蕾舞团、

中央民族乐团、中国美术馆、中国国家画院、中国对外文化集团公司、中国数字文化集团有限公

170 沈雁氷、『矛盾文集』第 27 卷、人民文学出版社出版、175-180 ページ。