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第3章 住民同士の「ホスト-ゲスト」としての役割分担

3 まち歩きの楽しさの源泉

3.1 何もない話をすることの大切さ

3.1.2 参加者の視点

長崎さるくに参加している参加者たちは、いかなる場面でまち歩きの楽しさを感じてい るのだろうか。まち歩きに関わる人々の行動や言葉のやりとりを記述する前に、上述した

「アンニョン長崎!アンニョンさるく!」を実施した後、参加者を対象に実施したアンケ ート調査における自由記述を紹介する。そこでまち歩きの楽しさとは何かについて、参加 者たちの言葉を通じて把握することができる。

長崎さるくの参加者たちはガイドへの協力度が高いので、自由記述を詳細に記述しても らえると期待しつつ、インタビュー調査とアンケート調査の中間的な意味合いで、自由記 述の項目を設けた。サンプル数が少ない弱点はあるが、参加者たちが経験するまち歩きの 楽しさについて理解するにあたり、大まかなキーワードは得ることができると考える。

まず、「今回のツアーに参加して良かった点・楽しかった点は何ですか」とまち歩きの良

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さや楽しさについての質問と「今回のツアーの中で、ガイド、あるいは参加者どうしでの 交流は楽しかったですか」という参加者同士の会話の形成を意識した質問を設けた。

回答内容を整理した結果、一つ目の質問に関する回答内容について、「初めての体験」「地 域のことに対する学び」「知らない人との交流」「歩くこと」、この4つの項目に分類するこ とができた。二つ目の質問に関する回答内容については、「初めて会った人と会話ができた」

「人と共感できた」「歩きながら会話ができた」「皆でゴールまで来られた」「知らなかった ことに触れることができた」、この5つの項目に分類することができた。以下の二つの表は 参加者による自由記述についてまとめたものである。

【表3-3-1】アンケート調査自由記述のまとめ

今回のツアーに参加して良かった点・楽しかった点は何ですか?

初めての体験 天気が良くて、気持ち良かったです。女神大橋~旭大橋をはじめ海岸 やドッグを上からみたのも初めてでよかった。

その場所その場所の説明もしてもらえたので良かった。初めて行くと ころが多かったのでおもしろかった。

いろんな人 初めての場所 いろんな意味で楽しかった。

久しぶりにたくさん歩けたことと、はじめてみる場所を行けたことで す。

長崎で生まれて生活しているけれど、行ったことのない場所や普段見 ることができないところを見ることができてとても良かったです。女 神大橋も渡ったことがなかったので、良い経験になりました。

初めて女神大橋を渡った。初めてアリラン亭に行った。TVでしか見た ことなかった神崎神社もはじめてでした。

地 域 の こ と に 対する学び

その場所その場所の説明もしてもらえたので良かった。初めて行くと ころが多かったのでおもしろかった。

知らない長崎の世界遺産をまわれてよかった。

最初は歩けるか不安でしたがみんなで歩いたので楽しかったです。長 崎の知らない所もたくさん知れて良かったです。

長崎で生まれて生活しているけれど、行ったことのない場所や普段見

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ることができないところを見ることができてとても良かったです。女 神大橋も渡ったことがなかったので、良い経験になりました。

知 ら な い 人 と の交流

交流会の人と知りあえたことです。

1人で参加しましたが、お友達を作ることができて良かったです。

いろいろな人と出会えた。

いろんな人 初めての場所 いろんな意味で楽しかった。

ガイドのミョンジュさんが明るく楽しくガイドをしていただき、大変 楽しかったです。2次会のマッコリも貴重な体験でした。

天気にも恵まれ、いろんな方と話ができよかったです。

引率者が積極的にコミュニケーションに働きかけてくれる。お土産が 素敵。

様々な年代の方とコミュニケーションがとれた点 知らない人と自由に話せた。

歩くこと 久しぶりにたくさん歩けたことと、はじめてみる場所を行けたことで す。

最初は歩けるか不安でしたがみんなで歩いたので楽しかったです。長 崎の知らない所もたくさん知れて良かったです。

十分歩いたし気持ちよい疲労感があり気持ちよかった。

今回のツアーの中で、ガイド、あるいは参加者どうしでの交流は楽しかったですか?

初 め て 会 っ た 人 と 会 話 が で きた

同じ景色を見て感動したことです。ふつうでは知りあえない人と会え たことです。

はじめた会った人たちと話し合ったことが楽しかったです。

他人の話を聞ける。個人は介入してこない。色んな人がいるなあ。行 く先、行った先についての話にしぼっているところ。

楽しかった。知らない長崎を新たに発見したこと。知らない人と自由 に話せたこと。

さるくヘビー参加者がいたこと。本格的なカメラを持っている人がい た。

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若い人たちの話ができたこと良かったです。たまには若い人たちとの さるくもいいですね。

人 と 共 感 で き た

同じ景色を見て感動したことです。ふつうでは知りあえない人と会え たことです。

最初はぎこちなかったけれど、終了時友達になった。それがさるくの いいところです。

同じアイドルのファンが見つかって、別の楽しさもありました。また、

途中でいろんな人のお話を聞けて教えてもらうことも多かったです。

歩 き な が ら 会 話ができた

歩きながらお話できてよかったです。

一緒に歩きながら話すのが楽しくて良かったです。

皆 で ゴ ー ル ま で来られた

ツアー後の懇親会は楽しかったです。皆で最後に集まって話すのもい いなと感じました。

みんなたくさん歩いていたので、もっと歩くのを頑張らないといけな いと思ったが、みなさんゆっくり歩いてよかった。

長く歩いて疲れた後のマッコリとキムパは最高においしかったです。

二次会もあって楽しめました。ありがとうございました。

知 ら な か っ た こ と に 触 れ る ことができた

長崎の知らないことを教えてもらったので楽しかった。

同じアイドルのファンが見つかって、別の楽しさもありました。また、

途中でいろんな人のお話を聞けて教えてもらうことも多かったです。

他人の話を聞ける。個人は介入してこない。色んな人がいるなあ。行 く先、行った先についての話にしぼっているところ。

自分の知らない長崎について知ることができた。

楽しかった。知らない長崎を新たに発見したこと。知らない人と自由 に話せたこと。

参加者の意見から読み取れるものについてまとめると、まず一つ目は、「知らない人との 交流」「初めて会った人と会話ができた」などの項目の中でみられる非日常的な会話の成立 である。ガイドや他の参加者の中には、知らない人や初めて会った人が多くいるわけであ るが、彼らとまち歩きの途中で会話したこと自体がまち歩きの楽しさとして挙げられてい

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る。それは家族や友達、同僚等、日常的な人間関係の中で行う会話とは内容や形態が異な るはずである。ここでは「非日常的な会話」として示し、どのような会話がなされるのか については、次の事例を通じて詳細に論じていく15

二つ目は、「初めての体験」「地域のことに対する学び」「知らなかったことに触れること ができた」などの項目の意見の中で読み取れる、長崎に対する発見や気づきの経験である。

今回のまち歩きのテーマであった「長崎港」や「世界遺産」など、訪れる場所やガイドの 解説の内容そのものに関する意見は見当たらなかった。具体的なガイドの説明内容よりも

15 初めて会った人と会話をすることを楽しさとして捉えているのは、まち歩きの参加者のみで はない。ガイドと参加者たちを迎える人々も同様なのである。以下の事例では、長崎さるくに 協力する店の店主が、長崎さるくに参加することで、人と安心しておしゃべりができることを 楽しみにしていることを示している。

韓国の釜山交通放送から、地域再生をテーマにした特集のための長崎さるくについての取 材依頼があった。筆者は簡単なインタビューの後、まちの案内を行った。案内の途中、「長 崎は今日も異国だった」コースで立ち寄る果物屋を案内した。そこは100円でカットフル ーツを提供しており、特に熱い夏には果物を食べながら休憩をとることができ、参加者か らも好評の場所であった。そこで釜山交通放送ディレクターは、果物屋の店主(70代女性)

に予定されていなかったインタビューを実施した。「長崎さるくの効果は何だったのか」

について質問であった。

彼はまず「ここを開発してほしいとは思ってないですか?」「売り上げは上がりましたか?」

と質問した。店主は、開発については考えたことがないと言い、お金のためにやっている わけではないけれど、少々の売り上げにはなる。完全に無料でやったり、大きな赤字が出 るまでの金額ではやっていないと答えた。そして長崎さるくに関わることで「人と安心し ておしゃべりできる」ことを良い点として語った。どんな人なのか、変な人ではないかと いう心配なしで、さるくから来たお客さんだからということで安心できるという。そして、

お客さんもさるくガイドさんが連れて行ってもらうことで安心できると。店主が語ったさ るくの良いところを、韓国からのプロデューサーは共感できたかどうかは疑問だった。(2

017年11月30日、「韓国からの番組ディレクターと果物屋店主のインタビュー」調査日誌の

中から)

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