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さるくガイド研修会

第 2 章 長崎市におけるガイド事業の経緯とガイドにとってのガイド活動の

3 ガイド活動の精神的報酬について

3.2 ガイド同士のつながりが生まれる居場所

3.2.1 さるくガイド研修会

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スターの話を聞くために国内外からの聖地巡礼者が訪れている。それに対し、当事者では ないさるくガイドはまち歩きツアーの参加者に、どのような体験を提供し、どのような話 を伝えることができるのだろうか。ガイド研修を受けたさるくガイドは、聖地巡礼をする 信者を案内することはできないだろうが、観光客や地域住民は案内できると考えていた。

実際に島崎さんが所属しているNPO法人長崎の風(3.3.1を参照)では、長崎の教会をめぐ る学さるくを企画しており、そこで彼女は住民を案内している。

さるくガイドは当事者でも、専門家でもない。彼らがガイドをするべき理由や資格は、

客観的に説明しにくい。しかし、長崎さるくの参加者たちは、さるくガイドの非当事者性 や非専門性を認めており、その中で様々なコミュニケーションを実践している。長崎さる くにおいては、関係なさそうな人との関係なさそうな会話が行われており、そこから予想 しなかった新しいコミュニケーションが生まれているのである。

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ある程度抑えておかなければならない。そのためには案内を予定する場所に、ガイド本人 が自ら足を運んで雰囲気を感じることが重要なのである。

長崎国際観光コンベンション協会は月1回現地研修を実施している。先輩のさるくガイ ドを講師に招き、研修対象のコースを一通り案内してもらいながら、説明するポイント等 を教えてもらう形式である。研修は新人研修とブラッシュアップ研修、二つのグループに 分けて行われるが、新人研修には新人のガイドやそのコースの資格を取っていないガイド が参加し、平均20名前後の人数が参加する。研修に参加することで、そのコースを案内で きる資格が得られるため、新人ガイドのみではなく、そのコースのガイド資格を持ってい なかったガイドも参加する。ブラッシュアップ研修には、すでにコースの資格を取ってい るガイドたちが参加し、15名前後のガイドが参加していた。以下の事例では、さるくガイ ドが現地研修に参加し、ガイド知識を習得するだけでなく、ガイド同僚との交流やまち歩 き自体を楽しんでいる様子が伺える。

【事例2-3-4】さるくガイド研修に来るとただでまち歩きができる

集合場所の出島に集合時間より30分早く9:30頃に着いた。すでに15人くらいの人が集 まっていた。コンベンションスタッフの西田さんと新人の方も見えた。来るたびに毎 回同じ顔を見かける。私の同期で29の会のメンバーでもある山下さん、田中さん、中 村さん、宮下さん、高村さん、矢島さんと挨拶をし、私より2年上の福沢さんと田川さ んの先輩グループもよく見かける。

山下さん (大阪から移住したから)あなたと一緒よ。(長崎について)何も知らない。

ここに来たらただで行けるじゃん。知りたいから。だから研修は必ず来るようにして る。

2017年度のさるくガイド研修を一緒に受けた山下さん(70代女性)は、出島の常駐ガ イドもし始めていて、同期の中でも意欲的である。長崎市内まで来るのに車で1時間以 上かかると言うが、ガイド全体会議や研修には一生懸命参加している。

今回の講師は柳さん(70代女性)。ブラッシュアップのグループは旦那さん(70代男 生)が担当し、夫婦で講師を務める。お二人は唐人屋敷のすぐ近くである十人町に住 んでいるので、詳しい話を聞けると、コンベンション協会の西田さんから紹介を受け

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た。研修を受けるさるくガイドたちは、皆講師の話を一生懸命、真面目に話聞き、メ モを取る。ガイドの話を録音する人もいたり、講師のガイドさんが工夫して作ったオ リジナルの小物の写真を撮る人もいる。

「長崎のチャイナタウン」のガイド研修が終わった後、私と山下さん、高村さん、井 原さん、ガイド同期であるこの四人で解散場所のすぐ近くにあるJALホテルの中華レ ストランで一緒にランチをした。「修学旅行の日程がまだ来てないねん。予定が立てら れんね」と山下さんは話した。今日高村さんはお友達が東京から長崎まで車で来てい るという。高村さんはさるくガイドをすることで学んだ豆知識を友達が来た時に話し て、案内できるのはいいねと話した。お家でブロッコリーとか玉ねぎとか栽培されて いるので、次会う時に持ってきてあげるという。(2018年3月26日、「さるくガイド研 修『長崎のチャイナタウン』」調査日誌の中から)

ガイド研修に参加すると、コースのマニュアルをもらい、先輩ガイドの案内を聞きなが ら、どのようにコースが進められるのかを把握することができる。また他のガイドが案内 する様子を見ながら、ガイドスキルを高めたい人も参加する。ガイド研修ではコースの中 身のみでなく、これまでガイドをしながら起きたトラブルや気づき、注意事項等の経験談 も語ることも多く、講師になるガイドがいかにガイドを楽しんでいるのか、研修を受ける 新米のガイドたちに対して話したいことがたくさんあることがよく伝わる。そういった講 師の気持ちや姿勢も学ぶことができる。

ところが、近年は通さるくの参加者数がほとんどいないため、実際にガイドをする機会 はなかなか得られない。もちろんそういった現状はさるくガイドや長崎市行政側も周知し ていることである。さるくガイドたちは自分がガイドをする見込みがなくても、ガイド研 修に毎月参加しているのである。その理由は、実際にガイドをする時のための準備という よりも、ガイド仲間と交流する時間が自然とできるためであると考えられる。上記の事例 で述べている山下さんと高村さんは、最近他地域から長崎に引っ越してきた移住者である。

彼女たちはさるくガイド活動を通じて、長崎の歴史や文化について学ぶだけでなく、地域 内の人脈を広げようとしていた。ガイド研修の前後の時間にガイドたちは仲間たちと集ま っておしゃべりをする。そこでは、ガイド活動に関する情報を共有し、関係性が深まると プライベートの話をする場合もある。またガイド研修が終わった後はガイド仲間が自然な 流れで食事をしながら、まち歩きとは関係のないプライベートの話をすることもあり、さ

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るくガイド研修が単純にガイド資格の取得やガイドスキルアップのみではないことがわか る。

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