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副詞規定との共起

ドキュメント内 ― ドイツ語の移動動詞を例に ― (ページ 112-115)

4. 事例調査―移動動詞の lassen 構文と与格構文

4.1. lassen 構文

4.1.3. 副詞規定との共起

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その研究者は20人の若い男女に1分あたり50歩のテンポで各20分間、3回に わたって部屋じゅうを歩かせた。

b. [...] als sie die Schnecke gerade über ihre Hand kriechen ließ [...]. (Pawlowski, Milan:

Meo: Das Ende vom Anfang - eine prophetische Novelle. 2005, S. 15)

〔…〕彼女がカタツムリに自分の手の上を這わせていたときに〔…〕

<意図的使役>

c. Die EI (...) ließ den Ball sicher durch die eigenen Reihen laufen. (= (42))

そのジュニアチーム(U11)は(…)ボールを安全に自陣内で走らせた。

d. Felix ließ mit Wonne Seifenblasen über den Platz fliegen. (Braunschweiger Zeitung, 23.07.2007)

フェリックスは大喜びで広場いっぱいにシャボン玉を飛ばした。

「間接使役」と「意図的使役」のlassen構文では、中間経路を表す前置詞句durch/über について、有界的経路を表すもの(=例(56a, b))と非有界的経路を表すもの(=例(57a

~d))とが観察されたのに対し、「非意図的使役」のlassen構文では、これらの中間経 路を表す前置詞句はすべて、上掲の(56c, d)のように、有界的な経路を表していた。

このように、lassen 構文と共起する具体的な経路の表現に着目して事例を分析した ところ、前置詞句 durch/über などの中間経路を表す経路項が有界的な経路を表すもの に限定されるという点で、「非意図的使役」のlassen構文が「間接使役」および「意図 的使役」のlassen構文と異なる特徴を持つことが明らかとなった。

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(58) Obwohl der Mann seinen Mischling im Park frei laufen ließ [...].

although the man-NOM his mongrel-ACC in.the park freely run-INF let-3SG

(Mannheimer Morgen, 26.02.2005) その男性は自分の雑種犬を公園で自由に走らせていたにもかかわらず〔…〕

(59) Coach Mike Schmidt ließ seine Jungs viel laufen [...]. (= (12)) coach Mike Schmidt-NOM let-3SG his players-ACC a.lot run-INF

コーチのマイク・シュミットは彼のチームの選手たちにたくさん走らせ〔…〕

(60) Eberhard Fromm ließ seine Jungen gekonnt über den Kasten springen.

Eberhard Fromm-NOM let-3SG his boys-ACC masterly over the box jump-INF

(Rhein-Zeitung, 16.01.1996) エバーハルト・フロムは彼の生徒たちに巧みに跳び箱を跳ばせた。

(61) Mutterstadt ließ den Ball gut laufen [...].

Mutterstadt-NOM let-3SG the ball-ACC well run-INF

(Mannheimer Morgen, 28.01.2010, S. 20) ムッターシュタットはボールを巧みに走らせて〔…〕

(62) Weil Eintracht-Keeper Oka Nikolov einen harmlosen Schuss von Timo Rost auf schlicht abenteuerliche Weise durch die Hände ins Tor rutschen ließ [...]. (Mannheimer Morgen, 22.03.2008, S. 10)

‚weil (...) Oka Nikolov einen (...) Schuss auf schlicht abenteuerliche Weise because (...) Oka Nikolov-NOM a (...) shoot-ACC in just fantastic way durch die Hände ins Tor rutschen ließ‘

through the hands into.the goal slide-INF let-3SG

アイントラハト・フランクフルトのゴールキーパー、オカ・ニコロフは、ティモ・

ロストが放った平凡なシュートをまったく驚くようなやり方で両手の間を通して 滑らせ、ゴールさせてしまったため〔…〕

(58), (59), (60)のlassen構文は「間接使役」解釈の事例である。これらの例におけるfrei

(自由に)、viel(たくさん)、gekonnt(巧みに)といった副詞規定は、不定詞補部の 移動動詞で表される、自律的移動を成り立たせる具体的な様態(=(58), (59)では「走 る」、(60)では「跳ぶ」)を叙述していると考えられる。(61)のlassen構文は「意図的使

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役」の事例であり、この文における副詞規定 gut(巧みに)は、「(パスを回しながら)

ボールをフィールド上で走らせる」という主語(Mutterstadt)の動作を叙述していると 捉えられる。(62)のlassen構文は、その主語の人物(Eintracht-Keeper Oka Nikolov)に 補部で表される非自律的移動を引き起こす意図がないと思われることから、「非意図的 使役」として捉えることができる。(62)においても、(61)と同様に、文中の副詞規定auf

schlicht abenteuerliche Weise(まったく驚くようなやり方で)が叙述しているのは、lassen

構文の主語による具体的な動作(=「ボールを両手の間を通して滑らせてゴールへ入 れる」)であると考えられる。

次に、頻度を表す副詞規定の例としては、以下の(63)や(64)が挙げられる:

(63) Der Forscher ließ 20 junge Männer und Frauen drei Mal jeweils 20 Minuten langsam mit einer Frequenz von etwa 50 Schritten pro Minute durch einen Raum laufen. (= (57a))

‚der Forscher ließ (...) Männer und Frauen drei Mal (...) durch einen Raum laufen‘

the researcher-NOM let-3SG (...) men and women-ACC three times (...) through a room run-INF

その研究者は20人の若い男女に1分あたり50歩のテンポで各20分間、3回にわ たって部屋じゅうを歩かせた。

(64) Kugelstoßer Pfingsten (...) ließ die Kugel gleich viermal shot.putter (...)-NOM let-3SG the shot-ACC at once four.times über die 19-Meter-Marke fliegen. (= (34), (56b))

over the 19.meter.mark fly-INF

砲丸投げ選手のプフィングステンは(…)砲丸を一度に4回、19メートルのマー クを越えて飛ばした。

(63)のlassen構文の補部では自律的移動が、(64)のlassen構文の補部では非自律的移動

が表されている((63)は「間接使役」、(64)は「意図的使役」)。(63), (64)の例から、頻度 を表す副詞規定は、補部で表される移動のタイプの違いによらずに lassen 構文と共起 することができると考えられる。

以上本節では、コーパスから収集した lassen 構文の事例について、文中での共起が 観察された副詞規定を取り上げた。lassen 構文では、動作や行為のあり様を叙述する 副詞規定、頻度を表す副詞規定との共起が認められた。動作や行為のあり様を叙述す

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る副詞規定はさらに、不定詞補部で表される移動の様態を修飾するもの(例えば上掲 の(58), (59), (60))と、「動詞+lassen」の母型文で表される動作を修飾するもの(例え ば上掲の(61), (62))とに分けられた。事例の観察結果から、補部で表される移動の様 態を叙述する副詞規定は「間接使役」の lassen 構文に、「動詞+lassen」の母型文で表 される動作を修飾する副詞規定は「意図的使役」「非意図的使役」のlassen構文に限定 される。頻度を表す副詞規定は、表される移動のタイプ(自律的移動/非自律的移動)

を問わず、共起が認められるといえる。

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