間程度とする.再感染を防ぐため,PID が治癒するまで性交渉を控え,PID 発症前 2 か月に性交渉の あったパートナーにも検査・治療を受けるよう患者に説明する2)6).
3.クラミジアおよび淋菌が起炎菌と判明すれば,本書のそれぞれの項を参考にして治療する.なお,
アジスロマイシン 500mg,1 日 1 回の点滴投与(2 時間)を数日間行った後にアジスロマイシン 250mg,1 日 1 回の経口投与へ変更し,総投与期間を 7 日間とする治療法がある7).放線菌感染が疑 われる場合にはβ―ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬を使用する1)8).
4.直近に子宮内操作歴がある症例など,嫌気性菌による PID にはメトロニダゾール 1 回 500mg,
1 日 3~4 回を併用する2).先般,メトロニダゾールの点滴投与が保険適用となり,経口摂取が困難な 重症例に投与が可能となった.セフトリアキソンとの併用で 95% 以上の PID が治癒する(国内第三相 試験).一方,メトロニダゾールを投与した患者のうち 3 分の 1 以上で下痢・悪心を主とした副作用を 認めることに注意する.クリンダマイシンやミノサイクリンに耐性をもつ嫌気性菌の増加の報告もあ り9),漫然と投与を続けることは避ける.
文 献
1) 日本化学療法学会・日本嫌気性菌感染症研究会編:嫌気性菌感染症診断・治療ガイドライン 2007,女 性生殖器感染症.東京:協和企画,2007;123―131(Guideline)
2) CDC: Sexually transmitted diseases treatment guidelines, 2015; 78―82 http://www.
cdc.gov/mmwr/pdf/rr/rr6403.pdf 2015/7/31 確認(Guideline)
3) 菊池 賢,橋本正良監修:日本語版サンフォード感染症治療ガイド 2014(第 44 版),生殖器 女性.
東京:ライフサイエンス出版,2014;38―44(Guideline)
これは婦人科診療ガイドラインの雛形です【版面】W:171.85mm(1段組み) H:253.08mm 【本文】手組みのためデータ不要 以下「婦人科」のマニュアル↓
【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返しあるとき:1 字下げ 折り返し以後の行頭 1 字下げ ●図説の幅 片・全段ともに図幅
【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し:1 字下げ ●表説の幅 表幅より左右 1 字下げ ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度
表
経口剤 一般名 商品名 使用方法
セフェム系 セフカペン フロモックス® 1 回 100mg,1 日 3 回,5 ~ 7 日間 β-ラクタマーゼ阻害薬
配合ペニシリン系
スルタミシリン ユナシン® 1 回 375mg,1 日 2 ~ 3 回,5 ~ 7 日間 クラブラン酸・アモキシシリン オーグメンチン® 1 回 250mg,1 日 3 ~ 4 回,5 ~ 7 日間
ニューキノロン系
レボフロキサシン クラビット® 1 回 500mg,1 日 1 回,5 ~ 7 日間 トスフロキサシン オゼックス® 1 回 150mg,1 日 3 回,5 ~ 7 日間 シプロフロキサシン シプロキサン® 1 回 100 ~ 200mg,1 日 3 回,5 ~ 7 日間
注射剤 一般名 商品名 使用方法
セフェム系
セフメタゾール セフメタゾン®
1 回 1 ~ 2g,1 日 2 回,5 ~ 7 日間
フロモキセフ フルマリン®
セフピロム セフピロム硫酸塩®
セフトリアキソン ロセフィン® 1 回 1 ~ 2g,1 日 1 ~ 2 回,5 ~ 7 日間 β-ラクタマーゼ阻害薬
配合ペニシリン系
タゾバクタム・ピペラシリン ゾシン® 1 回 4.5g,1 日 3 回,5 ~ 7 日間 スルバクタム・アンピシリン ユナシン -S® 1 回 3g,1 日 2 ~ 4 回,5 ~ 7 日間 マクロライド系 アジスロマイシン ジスロマック® 1 回 0.5g,1 日 1 回,3 ~ 5 日間 新規注射剤 メトロニダゾール アネメトロ® 1 回 0.5g,1 日 3 ~ 4 回,5 ~ 7 日間 新規注射剤 レボフロキサシン クラビット® 1 回 0.5g,1 日 1 回 60 分かけて,5 ~ 7 日間
併用薬:重症例には併用可 一般名 商品名 使用方法
注射用アジスロマイシン 1 回 0.5g 1 日 1 回に 加えて
メトロニダゾール フラジール® 1 回 500mg,1 日 3 ~ 4 回,内服 クリンダマイシン ダラシン® 1 回 150mg,1 日 3 ~ 4 回,内服
ダラシン S® 1 回 300mg,1 日 2 ~ 4 回,静注/筋注 ミノサイクリン ミノマイシン® 1 回 100 ~ 200mg,1 日 1 ~ 2 回,内服/静注
32 ガイドライン婦人科外来編
4) 日本感染症学会・日本化学療法学会編:抗菌薬使用のガイドライン,産婦人科感染症,東京:協和企画,
2005;199―203(Guideline)
5) JAID/JSC 感染症治療ガイド委員会編:JAID/JSC 感染症治療ガイド 2014, XIII 性感染症,東京:
ライフサイエンス出版,2014;229―240(Guideline)
6) 岩破一博:骨盤内炎症性疾患.山口 徹,北原光夫,福井次矢編:今日の治療指針 2013 年版,東京:
医学書院,2013;1101―1102(Guideline)
7) Mikamo H, Iwasaku K, Yamagishi Y, Matsumizu M, Nagashima M: Efficacy and safety of intravenous azithromycin followed by oral azithromycin for the treatment of acute pelvic inflammatory disease and perihepatitis in Japanese women. J Infect Chemother 2014;
20: 429―435 PMID: 24787738 (II)
8) 日本化学療法学会・日本嫌気性菌感染症研究会編:嫌気性菌感染症診断・治療ガイドライン 2007, 放 線菌症(actinomycosis),東京:協和企画,2007;160―162(Guideline)
9) Novak A, Rubic Z, Dogas V, Goic-Barisic I, Radic M, Tonkic M: Antimicrobial susceptibility of clinically isolated anaerobic bacteria in a University Hospital Centre Split, Croatia in 2013. Anaerobe 2015; 31: 31―36 PMID: 25479237 (III)
Answer
1.尿路感染症は,排尿に関する自覚症状,膿尿と細菌尿により診断し,感染部位,発 症形式,基礎疾患の有無などにより分類する. (A)
2.急性単純性膀胱炎の治療は,ニューキノロン系またはセフェム系抗菌薬を用いる.
(B)
3.急性単純性腎盂腎炎の治療については,発熱・脱水の程度により,高次病院への紹 介を考慮する. (B)
Key words
:尿路感染症,UTI,膀胱炎,腎盂腎炎,無症候性細菌尿▷解 説
ここでは,婦人科外来で診断・治療を行う機会の多い,急性単純性膀胱炎と急性単純性腎盂腎炎を中 心に解説する.複雑性尿路感染症については,専門書に譲る.
1.尿路感染症(urinary tract infection:UTI)は日常診療においてありふれた感染症のひとつで あり,特に女性が罹患する頻度の高い疾患である.年齢にかかわらず,また免疫不全者や衰弱者だけで なく健常者も罹患する市中感染症であり,その原因菌は強毒性菌が多くを占め,適切な治療により多く は治癒する.感染経路は経尿道的に外部から菌が侵入する上行性感染がほとんどである.原因菌は大腸 菌が最も多く,次いでブドウ球菌,連鎖球菌などである.
UTI は,感染部位別に膀胱炎と腎盂腎炎に,発症形式別に急性と慢性に,基礎疾患の有無により単純 性(基礎疾患のないもの)と複雑性(基礎疾患のあるもの)に分類する.通常,急性は単純性,慢性は 複雑性であることから,実際的には急性単純性膀胱炎,急性単純性腎盂腎炎,複雑性尿路感染症の 3 者 に分類される1).ただし,妊娠中・閉経後・骨盤臓器脱や尿失禁などは,排出能力の低下や異常が加わっ た特別な状態であり,海外においては「単純性膀胱炎」の概念には含まれないことが多い.また,症状 はないが尿路に細菌が存在している状態は無症候性細菌尿として定義される.
診断は,詳細な問診(合併症の有無を含めた一般的な問診のほか,頻尿・排尿痛・残尿感・下腹部痛・
尿混濁の有無,背部痛・発熱の有無,症状の開始時期,最終月経と妊娠の可能性について等)を行った うえで,尿路に感染があることを確認することであり2),膿尿と細菌尿を証明する1)3)4).尿培養を実施し なくても顕微鏡的な尿検査または試験紙法による尿検査によって診断は可能であるが,耐性菌による治 療不成功の可能性を考慮して,初診時の尿培養検査は推奨される.非遠心尿を用いた計算盤による鏡検 で白血球数が 10 個/mm3以上の場合,または尿沈渣において 400 倍の視野で白血球が 5 個/視野以 上の場合,膿尿と判定する.細菌尿の判定法には,尿沈査を直接鏡検する方法と,尿試験紙による簡易 尿定量培養法(TTC(triphenyltetrazolium chloride)試験,亜硝酸塩試験,ディップスライド法な ど)がある.また,尿定量培養法では,104CFU/mL 以上(中間尿の場合)を有意の細菌尿とするのが 一般的である.判定は中間尿で行うが,コンタミネーションを防止する方法として,陰唇を開き,尿道 口の周囲を生食あるいは滅菌水で湿したガーゼか綿花で拭いた後,乾燥させ,陰唇を開いたままで排尿 し,尿流を止めることなく中間尿を採取する(クリーンキャッチ)1)3).ただし,骨盤臓器脱の場合,肥 満のために十分に陰唇を開くことができない場合,安定的に立位を取れない場合など,中間尿の採取に 適さない時は,導尿による検体での評価が必要となる.