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る疾患である.わが国の 1981 年の報告で女子中高生の 0.1~0.2% が本疾患に罹患し9),2011 年の 調査では中学 3 年生女子の有病率は 0.5% に達している.神経性やせ症(神経性食欲不振症)の精神的 背景として,過度のやせ願望や身体イメージの歪みが指摘されている.また,多くは親子関係の問題,

精神的・性的な未熟性,成長拒否,思春期の問題からの逃避など,精神的な問題が合併している.無月 経を主訴として来院した,やせを伴う女性に対しては,通常の既往歴・家族歴に加えて,体重の増減,

薬剤の内服(下剤・やせ薬等を始め,薬物を乱用していることがある),生活習慣,摂食行動の異常につ き詳細な問診を行うとともに,診断基準に照らして神経性食欲不振症であるか判断する.

 わが国の神経性食欲不振症診断基準を表 2 に示す8).疑い例でもほぼ全例で無月経となる.米精神医 学会の DSM(diagnostic and statistical manual of mental disorders)における Anorexia ner-vosa(和訳は神経性やせ症/神経性食欲不振症)の定義もわが国と主旨は同様であるが,DSM-5 では 診断基準から無月経が除外された(表 3)10).これは,ホルモン薬の投与により神経性やせ症(神経性食 欲不振症)であっても月経を有する場合があるという点や,著しい体重減少があれば無月経の有無によ

これは婦人科診療ガイドラインの雛形です【版面】W:171.85mm(1段組み) H:253.08mm 【本文】手組みのためデータ不要 以下「婦人科」のマニュアル↓

【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し:字下げなし 折り返し以後の行頭 1 字下げ 

●図説の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し:字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字下げ ●表中:11Q  12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

(表 1) 

・15歳以上(平田法)

身長160cm以上 のとき(身長cm-100)×0.9 150~160cmのとき (身長cm-150)× 0.4 + 50 150cm以下のとき(身長cm-100)

・15歳以下(日比式)

日比式肥満度の計算式

標準体重(kg)=係数1×身長(cm)3+係数2×身長(cm)2+係数3×身長(cm)

+係数4

係数1 係数2 係数3 係数4 女子 0.0000312278 -0.00517476 0.34215 1.66406

これは婦人科診療ガイドラインの雛形です【版面】W:171.85mm(1段組み) H:253.08mm 【本文】手組みのためデータ不要 以下「婦人科」のマニュアル↓

【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し:字下げなし 折り返し以後の行頭 1 字下げ 

●図説の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し:字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字下げ ●表中:11Q  12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

(表 2) 神経性食欲不振症の診断基準 1.標準体重の-20% 以上のやせ

2.食行動の異常(不食,大食,隠れ食いなど)

3.体重や体型についての歪んだ認識(体重増加に対する極端な恐怖など)

4.発症年齢 30 歳以下 5.(女性ならば)無月経

6.やせの原因と考えられる器質性疾患がない

1 ~ 3 は既往歴を含む.

6 項目すべてを満たさないものは疑診例として経過観察とする.

(厚生労働省特定疾患・神経性食欲不振症調査研究班)

152 ガイドライン婦人科外来編

らず対応が必要であるという考え方による.

 神経性やせ症(神経性食欲不振症)を発見した場合は,摂食障害を専門にしている心療内科,内科,

精神科医に紹介することが望ましい.対人関係の問題,異常行動,薬物依存などに対し専門的対応が必 要であり,婦人科のみで治療することは困難である.本邦において神経性やせ症(神経性食欲不振症)

患者の 6~20% が栄養失調,不整脈,自殺などにより死亡するとされており,生命に関わる疾患であ ると認識すべきである8).重症例では救命のために緊急入院のうえ,運動制限や栄養療法(高カロリー 輸液など)が必要である.

 3.内分泌学的検査は,排卵誘発薬や女性ホルモン薬を投与していない時期に,10mm 以上の卵胞が ないことを確認のうえで行う.一般的には卵巣機能評価としてのホルモン基礎値の測定は卵胞期初期に 相当する月経周期 3~7 日目に行うが,無月経の場合には直ちに検査してよい.測定項目は FSH,LH,

E2,P,PRL,甲状腺機能検査(TSH,free T3または free T4)である.

 WHO の排卵障害の分類において体重減少性無月経は通常,Group 1:視床下部・下垂体機能不全 [E2

低値,LH・FSH 低値]となり,LH 値は体重減少が高度になるほど低値を示す1).PRL 分泌能は保た れ,freeT3低下,freeT4軽度低下,TSH 正常の傾向があるという11)

 GnRH 負荷試験を行うときは,GnRH 注射液 0.1mg を静脈内投与し,注射前・60 分後・120 分 後の血中 FSH および LH を測定する.視床下部性排卵障害は GnRH 負荷試験に反応するはずである が,長期にわたる体重減少や神経性食欲不振症などの重症症例では下垂体の反応,特に LH の上昇は不 良である.ただし,GnRH の反復投与により,反応が回復するときがある12).また,体重回復期には下 垂体の反応性が戻ってくる1)

 古典的には,無月経の重症度分類として,黄体ホルモン薬の投与(ゲスターゲン試験,P test),エ ストロゲン薬+黄体ホルモン薬の投与(エストロゲン-ゲスターゲン試験,EP test)により月経が招来 されるものをそれぞれ第一度無月経,第二度無月経と呼ぶ.体重減少性無月経の多くは第二度無月経と

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し:字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字下げ ●表中:11Q  12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

(表 3) 神経性やせ症/神経性無食欲症の診断基準(DSM-5)

A.必要量と比べてカロリー摂取を制限し,年齢,性別,成長曲線,身体的健康状態に対する有意に低い体重に至る.有意に低い体重 とは,正常の下限を下回る体重で,子どもまたは青年の場合は,期待される最低体重を下回ると定義される.

B.有意に低い体重であるにもかかわらず,体重増加または肥満になることに対する強い恐怖,または体重増加を妨げる持続した行動 がある.

C.自分の体重または体型の体験の仕方における障害,自己評価に対する体重や体型の不相応な影響,または現在の低体重の深刻さに 対する認識の持続的欠如.

▶いずれかを特定せよ

・摂食制限型:過去 3 か月間,過食や排出行動(つまり,自己誘発性嘔吐,または緩下剤・利尿薬,または浣腸の乱用)の反復的エピ ソードがないこと.この下位分類では,主にダイエット,断食,および/または過剰な運動によってもたらされる体重減少について の病態を記載している.

・過食・排出型:過去 3 か月間,過食や排出行動(つまり,自己誘発性嘔吐,または緩下剤・利尿薬,または浣腸の乱用)の反復的エ ピソードがあること.

▶該当すれば特定せよ

・部分寛解:かつて神経性やせ症の診断基準すべてを満たしたことがあり,現在は基準 A(低体重)については一定期間満たしていな いが,基準 B(体重増加または肥満になることに対する強い恐怖,または体重増加を妨げる持続的した行動)と基準 C(体重および 体型に関する自己認識の障害)のいずれかは満たしている.

・完全寛解:かつて神経性やせ症の診断基準すべてを満たしていたが,現在は一定期間診断基準を満たしていない.

▶現在の重症度を特定せよ

重症度の最低限の値は,成人の場合,現在の体格指数(BMI:Body Mass Index)に,子どもおよび青年の場合,BMI パーセント値 に基づいている.下に示した各範囲は,世界保健機関のやせの分類による.子どもと青年については,それぞれに対応した BMI パー セント値を使用するべきである.重症度は,臨床症状,能力低下の程度,および管理の必要性によって上がることもある.

軽度:BMI≧17kg/m2 中等度:BMI16 ~ 16.99kg/m2 重度:BMI15 ~ 15.99kg/m2 最重度:BMI<15kg/m2

(DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルより引用)

153 ガイドライン婦人科外来編

なる1).現在では各種ホルモンの値を直接測定でき,本試験の意義は少ない.1999 年のわが国の調査 においては,BMI が 18.1kg/m2以下の場合および血中 E2が 28.2pg/mL 以下の場合に第二度無月経 となりやすいことが示されている2).貧血や低栄養状態の悪化を防ぐために,標準体重の 70% 未満で ある場合や,急激な体重減少がある場合には,原則として月経を起こさせる治療は行わない8)13)14).  4.標準体重の 90% 以上を目標として,体重を回復させる.適正な食事や運動メニューを指導する.

消費エネルギーとバランスをとったカロリー摂取により月経異常の改善が期待できる.体重が回復した 場合に自然月経が再開する割合は報告により 20%~80% とまちまちである.フォローアップ期間の長 短などに差があるためと思われる1).運動性無月経ではさらに,激しすぎるトレーニングや競技に伴う 身体的・精神的ストレスから,コルチコトロピン放出ホルモン(CRH),エンドルフィンの過剰分泌を 伴い,その治療にはトレーニング量の調整が必要とされる4)

 5.原発無月経や 1 年以上にわたる続発無月経などの症例において,長期に E2が低値であると骨量 の減少をきたしうる.骨量測定を行うとともに,ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:

HRT)を行う.栄養障害が存在すると HRT 開始後も骨量減少が続く場合があり,カルシウム,活性型 ビタミン D3を用いる症例もある.HRT には脂質代謝の改善や冠動脈疾患の予防効果もある.

 6.妊娠希望があり Group1 排卵障害[E2低値,LH・FSH 低値]となっている体重減少性無月経に 対して排卵誘発を行う場合には,クロミフェンは無効であり,ゴナドトロピン製剤を用いる(CQ319 参照).軽症例や回復期には Group2:視床下部・下垂体性機能異常[E2正常範囲,LH・FSH ほぼ正 常範囲]となる場合もあり,この場合にはクロミフェンでも排卵しうる.体重減少性無月経の不妊治療 の成功率は高く,多くの患者が妊娠に至っているとされる.ただし,栄養障害が解決しないまま妊娠に 至ると母児のリスクが高いので,標準体重の 80% 未満のときには妊娠につながる治療(排卵誘発など)

を行うことには慎重であることが望ましい13).また,健常女性群と比較して,神経性食欲不振症の患者 では計画外の妊娠や人工妊娠中絶が多いことが報告されており,その原因として妊娠しにくいという思 い込みや,衝動的行動・性的逸脱があるのではないかと推察されている.したがって,妊娠の補助だけ ではなく,避妊の指導も必要である15).体重減少性無月経,特に神経性食欲不振症の患者が妊娠した場 合,母体の妊娠中の体重増加が乏しいと,胎児発育不全,低出生体重児,早産,器械分娩や帝王切開と なる率の上昇など,母児のさまざまなリスクが上昇すると報告されている16)17).したがって,妊娠が判 明した場合には,産婦人科医は心療内科医・精神科医・心理士・栄養士などの専門職とチームを組み,

妊娠中に適正な体重増加が得られるようサポートしていく必要がある15)

文 献

1) 堂地 勉,他:肥満・やせと排卵障害.新女性医学体系 13 排卵障害,東京:中山書店,2000;

84―92

2) 日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会報告:思春期における続発性無月経の病態と治療に関する小委 員会(平成 9 年度~10 年度検討結果報告)18 歳以下の続発性無月経に関するアンケート調査―第 1 度無月経と第 2 度無月経の比較を中心として―.日産婦誌 1999;51:755―761(III)

3) Chehab FF: 20 years of leptin: leptin and reproduction: past milestones, present undertak-ings, and future endeavors. J Endocrinol 2014; 223: T37―T48 PMID: 25118207(III)

4) 苛原 稔,他:思春期の体重変動と性機能.Hormone Frontier in Gynecology 1994;1:163―

167(Review)

5) 目崎 登:思春期のスポーツと性機能.Hormone Frontier in Gynecology 1994;1:157―161

(Review)

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