130 ガイドライン婦人科外来編
兄弟姉妹)まで血縁腫瘍歴を調べ,必要であれば遺伝カウンセリングを紹介し,新たながんのリスクを 評価する.American Society of Clinical Oncology(ASCO:米国臨床腫瘍学会)は,HBOC のリ スクを評価することは産婦人科医のルーチン業務とすべきだとしている3).
2.遺伝性腫瘍を疑った場合は遺伝カウンセリングを行う.わが国における関連する学会認定制度と して臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーがあり.自施設で難しいようであれば,その後のマネージ メント体制も考慮して対応可能施設への紹介を勧める.
プライマリーケア担当医や一般産婦人科から遺伝性腫瘍のリスク評価についての専門的知識をもつ部 門(遺伝診療部門)へ紹介する際に考慮すべき臨床的事項を示した指針は複数存在する.米国産科婦人 科学会(ACOG)は表 1 に示す変異を有する可能性が 20~25% 以上である場合,遺伝的リスク評価 を推奨するとしている3).
BRCA1/2や MMR 遺伝子の遺伝学的検査を受けるかについては自由意志に基づく選択とし,家族内
これは婦人科・雑誌用のガイドラインの雛形です【版面】W:149.46mm(1段組み) H:208.14mm 【本文】41 行 13Q 20.48H
【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅
【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度
(表 1) 遺伝学的リスク評価についての指針3)
下記のケースでは乳がんや卵巣がんを起こす遺伝子素因を有する可能性が 20 ~ 25% 以上あり,遺伝学的リスク評価を推奨する.
・乳がんと卵巣がん(腹膜がん,卵管がんを含む)両方の既往歴をもつ女性
・卵巣がん*に罹患し,第 1 度近親者(母,姉株,娘)および第 2 度近親者(祖母,
孫娘,叔母,姪)に卵巣がんか閉経前乳がんまたはその両方の罹患者がいる女性
・卵巣がん*に罹患したアシュケナージ系ユダヤ人家系の女性
・50 歳以下で発症した乳がん,または第 1/2 度近親者に年齢にかかわらず卵巣が ん*または男性乳がんの罹患者がいる女性
・40 歳以下で乳がんの診断を畳けたアシュケナージ系ユダヤ人家系の女性
・BRCA1/2 変異を有することが知られている第 1/2 度近親者をもつ女性
*腹膜がん,卵管がんを含む
【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し:字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字下げ ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度
(図 1) 家族歴調査票の一例2)
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の事情を考慮しつつ,家系内で関連腫瘍を発症した人から検査を開始することが望ましい.これらの検 査は生殖細胞系列の遺伝子変異を調べるものであり,末梢血など正常細胞由来の DNA を解析する.な おこれらの遺伝学的検査は保険収載されておらず自費検査である.
米国 Preventive Services Task Force(USPSTF)はプライマリーケア担当医に対して,HBOC 関連がんの家族歴を有する女性を診察した場合,必要に応じて遺伝カウンセリングやBRCA1/2検査 の機会を提供すべきであると推奨している4).
リンチ症候群の一次スクリーニング法としてはアムステルダム基準 II(1999)(表 2)5)や改訂ベセス ダガイドライン(2004)(表 3)6)が用いられている.これらを満たす例(家系員を含む)に対しては がん組織を用いてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)検査や,MLH1,
MSH2,MSH6,PMS2 など MMR 遺伝子発現の免疫組織化学的染色を行う.なお MSI 検査は悪性 腫瘍遺伝子検査として保険収載されている.MSI 検査はミスマッチ修復機構の機能低下により生じる,
マイクロサテライト領域という DNA の中の繰り返し塩基配列領域の繰り返し回数(反復回数)のエラー をとらえるものである.ただし MMR 遺伝子の生殖細胞系列変異以外の,MMR 遺伝子のメチル化や体 細胞変異によっても MSI 陽性を示すことに注意が必要である.最終的に MMR 遺伝子の遺伝学的検査
(保険収載なし)で病的変異が認められた場合,リンチ症候群と確定診断される.
HBOC やリンチ症候群の遺伝子変異保持者に対してはがん予防の方法を伝える必要がある.とくに通 常のがん検診,いわゆる「婦人科がん検診」では卵巣がんや子宮体がんの早期発見を念頭に置いている わけではないことを情報提供しなくてはならない.
リスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)が卵巣がんや卵管 がんの発症リスクを減少することは確実であり,生命予後も改善することはほぼ確実である.メタアナ リシスによりBRCA1/2遺伝子変異保持者に対して RRSO を施行することにより卵巣がんと卵管がん の発症リスクをハザード比で 0.21 に減少したとの報告がある7).また,RRSO が卵巣がんおよび乳が ん発症リスク低減するのみならず乳がん関連死亡率,卵巣がん関連死亡率,および総死亡率をそれぞれ
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【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅
【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度
(表 2) リンチ症候群のスクリーニング:アムステルダム基準Ⅱ(1999)4)
少なくても 3 人の血縁者がリンチ症候群関連がん(大腸がん,子宮内膜がん,腎孟・
尿管がん,小腸がん)に罹患しており,以下のすべてを満たしている.
1.1 人の罹患者はその他の 2 人に対して第 1 度近親者である.
2.少なくても連続する 2 世代で罹患している.
3.少なくても 1 人のがんは 50 歳未満で診断されている.
4.FAP(家族性大腸腺腫症)が除外されている.
5.腫蕩は病理学的にがんであることが確認されている.
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【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅
【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
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(表 3) 改訂ベセスダガイドライン(2004)5)
以下の項目のいずれかを満たす大腸癌患者には,腫瘍の MSI 検査が推奨される.
1.50 歳未満で診断された大腸癌.
2.年齢に関わりなく,同時性あるいは異時性大腸癌あるいはその他のリンチ症候群関連腫瘍*がある.
3.60 歳未満で診断された MSI-H の組織学的所見**を有する大腸癌.
4.第 1 度近親者が 1 人以上リンチ症候群関連腫瘍に罹患しており,そのうち 1 つは 50 歳未満で診断され た大腸癌.
5.年齢に関わりなく,第 1 度あるいは第 2 度近親者の 2 人以上がリンチ症候群関連腫瘍と診断されてい る患者の大腸癌.
*リンチ症候群関連腫瘍:大腸癌,子宮内膜癌,胃癌,卵巣癌,膵癌,胆道癌,小腸癌,腎孟・尿管癌,脳 腫湯(通常はターコット症候群にみられる glioblastoma),ムア・トレ症候群の皮脂腺腫や角化棘細胞腫
**MSI-H の組織学的所見:腫瘍内リンパ球浸潤,クローン様リンパ球反応,粘液癌・印環細胞癌様分化,
髄様増殖
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90%,95%,76% 低下させたとも報告されている8).
米国 National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインはBRCA1/2遺伝子変 異者に対する RRSO を推奨している(表 4)9).また RRSO を選択しない場合は経口避妊薬内服も卵巣 がん発症のリスク低減効果があることが知られている.BRCA1/2遺伝子変異保持者女性が経口避妊薬 を少なくとも 1 年服用した場合,RRSO には及ばないものの卵巣がん発症リスク低減の効果があると 報告されている10).なお RRSO 施行後も引き続き腹膜がんの発生リスクがあるため,婦人科で継続的 なサーベイランスを行う必要がある11).
このように RRSO のがんリスク低減効果と死亡率減少効果は明らかであるものの,わが国において RRSO については少数の症例報告が存在するのみであり12),わが国での報告は限られている.現時点で RRSO を施行する場合は施設内倫理委委員会などの承認を得たうえでの実施が望ましい.
文 献
1) Lu KH, et al.: American Society of Clinical Oncology Expert Statement: Collection and Use of a Cancer Family History for Oncology providers. J Clin Oncol 2014; 32: 833―840 PMID: 24493721 (Guideline)
2) Masuda K, et al.: Clinical utility of a self-administered questionnaire for assessment of hereditary gynecologic cancer. Jpn J Clin Oncol 2017 (in press) (III)
3) American College of Obstetricians and Gynecologists; ACOG Committee on Practice Bulletins-Gynecology; ACOG Committee on Genetics; Society of Gynecologic Oncolo-gists. ACOG Practice Bulletin No. 103: Hereditary breast and ovarian cancer syndrome.
Obstet Gynecol 2009; 113: 957―966 PMID: 19305347 (Guideline)
4) Moyer VA: U.S. Preventive Services Task Force. Risk assessment, genetic counseling, and genetic testing for BRCA-related cancer in women: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. Ann Intern Med 2014; 160: 271―281 PMID:
24366376 (Guideline)
5) Vasen HF: Clinical diagnosis and management of hereditary colorectal cancer syndromes.
J Clin Oncol 2000; 18: 81S―92S (Guideline)
6) Umar A, et al.: Revised Bethesda Guidelines for hereditary nonpolyposis colorectal cancer
(Lynch syndrome) and microsatellite instability. J Natl Cancer Inst 2004; 96: 261―268
(Guideline)
7) Rebbeck TR, Kauff ND, Domchek SM: Meta-analysis of risk reduction estimates associ-ated with risk-reducing salpingo-oophorectomy in BRCA1 or BRCA2 mutation carriers. J Natl Cancer Inst 2009; 101: 80―87 PMID: 19141781 (I)
8) Domchek SM, et al.: Association of Risk-Reducing Surgery in BRCA1 or BRCA2 Mutation
下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q じゅん 101 16H
【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度
(表 4) BRCA1/2 遺伝子変異保持者のマネージメント(NCCN ガイドラインより)8)
・RRSO については,理想的には 35 ~ 40 歳の出産終了時,または家系の最も早い卵巣がん発症年齢に 基づき個別に勧める.カウンセリングでは,生殖に関する希望,発がんリスクの程度,乳房がんと卵巣が んからのリスク低減効果,更年期障害の管理と望ましい自然閉経最高年齢までの可能な短期ホルモン補充 療法(HRT),および関連する医学的問題について話し合う.
・RRSO を選択しなかった場合,ルーチンの卵巣がんスクリーニング法に関するデータはない.経腟超 音波断層法は感度と特異度が十分でなく推奨するに至らないが臨床医の裁量で 30 ~ 35 歳から開始する のが良いかもしれない.血清 CA-125 は経腟超音波断層法に付加する卵巣がんスクリーニング法である.
RRSO:リスク低減卵管卵巣摘出術
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