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94 ガイドライン婦人科外来編

 子宮腺筋症もエストロゲン依存性であることから,子宮内膜症に準じて GnRH アゴニスト,ジエノゲ スト,ダナゾール,低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬などによるホルモン療法が行われる.

GnRH アゴニストにより子宮体積の縮小と症状の軽減が得られ,治療中は有効であるが効果の持続時間 は短く容易に再燃する.子宮内膜症に対する低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の有用性が示さ れており,子宮腺筋症に対しても周期的あるいは持続投与が試みられているが,有用性を示す成績はい まだ示されていない.2016 年よりジエノゲストは子宮腺筋症に対し保険適用となったが,大きな子宮 腺筋症や貧血を呈する症例では出血症状の増悪のおそれがあり,注意を要する.また,レボノルゲスト レ ル 放 出 子 宮 内 シ ス テ ム(levonogestrel-releasing intrauterine system LNG-IUS; ミ レ ー ナ®52mg)の有用性が検討されている8).子宮腺筋症において,有意な経血量の減少9),腺筋症病巣の 縮小10),および疼痛の改善が得られること11)が示されており,わが国では 2014 年より月経困難症や 過多月経に対して保険適用となった.ただし,子宮筋層が厚い場合は除痛効果が十分得られないことや,

同剤が自然脱出することがあるので,十分な説明が必要である12)13)

 子宮動脈塞栓術(UAE)について,1999 年から 2006 年までの 9 つの報告を集めた成績では,

156 例に試みられ,131 例(84%)に症状の改善がみられている14)が,症状改善が長期間持続する かについて,結論は得られていない.今後,症例数の集積による詳細な検討が待たれる.

 3.子宮温存を目的として子宮腺筋症病巣を切除する手術療法(子宮腺筋症病巣除去術,子宮腺筋症 核出術などと称される)が試みられている15)~17).症状の改善が得られ,術後妊娠例も報告されている が,現在のところまだ手術の有効性と安全性は確立されたとはいいがたい.妊娠時には子宮破裂を起こ す可能性もあるため,臨床成績を集積することが必要である.また,この術式に保険適用はない.根治 療法としては子宮摘出術(子宮全摘出術,腟上部切断術)が行われる.

文 献

1) Champaneria R, Abedin P, Daniels J, Balogun M, Khan KS: Ultrasound scan and magnetic resonance imaging for the diagnosis of adenomyosis: systematic review comparing test accuracy. Acta Obstet Gynecol Scand 2010; 89: 1374―1384 PMID: 20932128 (I) 2) Dueholm M: Transvaginal ultrasound for diagnosis of adenomyosis, a review. Best Pract

Res Clin Obstet Gynecol 2006; 20: 569―582 PMID: 16545618 (I)

3) Barrier BF, Malinowski MJ, Dick EJ Jr, Hubbard GB, Bates GW: Adenomyosis in the baboon is associated with primary infertility. Fertil Steril 2004; 82: 1091―1094 PMID:

15474079 (III)

4) Kunz G, Beli D, Huppert P, Noe M, Kissler S, Leyendecker G: Adenomyosis in endometrio-sis-prevalence and impact on fertility. Evidence from magnetic resonance imaging. Hum Reprod 2005; 20: 2309―2316 PMID: 15919780 (II)

5) Devlieger R, D’Hooghe T, Timmerman D: Uterine adenomyosis in the infertility clinic. Hum Reprod Update 2003; 9: 139―147 PMID: 12751776 (III)

6) 井上 潤,他:帝切後子宮摘出に至った子宮腺筋症合併妊娠の 1 例.日産婦東京地方部会会誌 1998;

47: 469―474 医中誌:1999143257(III)

7) 宇田川秀雄,他:子宮腺筋症の感染に併発した DIC について.日産婦雑誌 2001; 53: 32―36 医 中誌:2001127703(III)

8) Fedele L, Bianchi S, Frontino G: Hormonal treatments for adenomyosis. Best Pract Res Clin Obstet Gynecol 2008; 22: 333―339 PMID: 17765017 (II)

9) Fedele L, Bianchi S, Frontino G: Treatment of adenomyosis-associated menorrhagia with a

levonogestrel-releasing intrauterine device. Fertil Steril 1997; 68: 426―429 PMID:

9314908 (II)

10) Bragheto A, Caserta N, Bahamondes L, Petta CA: Effectiveness of the levonogestrel-releasing intrauterine system in the treatment of adenomyosis diagnosed and monitored by magnetic resonance imaging. Contraception 2007; 76: 195―199 PMID: 17707716 (II)

11) Sheng J, Zhang WY, Zhang JP, Lu D: The LNG-IUS study on adenomyosis: a 3-year follow-up study on the efficacy and side effects of the use of levonogestrel intrauterine system for the treatment of dysmenorrheal associated with adenomyosis. Contraception 2009;

79: 189―193 PMID: 19185671 (III)

12) 太田郁子,太田啓明,市村浩一,浅川 徹,安藤正明,吉岡 保:子宮腺筋症に対するレボノルゲスト レル除放型 IUS(LNG-IUS)の効果の限界―子宮体積と LNG-IUS の効果の関係―.日エンドメトリ オーシス会誌 2009; 30: 99―103 医中誌:2010012759(III)

13) 太田郁子,吉岡 保:子宮腺筋症への LNG-IUS(the levongorgestrel intrauterine system)の応 用―その適応と効果を検討する―.日エンドメトリオーシス会誌 2013; 34: 67―70 医中誌:

2014014532(III)

14) Levgur M: Therapeutic options for adenomyosis: a review. Arch Gynecol Obstet 2007;

276: 1―15 PMID: 17186255 (I)

15) Fujishita A, Masuzaki H, Khan KN, Kitajima M, Ishimaru T: Modified reduction surgery for adenomyosis. Gynecol Obstet Invest 2004; 57: 132―138 PMID: 14707472 (III)

16) 西田正人,須藤敦夫,隠野理恵,他:新しい子宮腺筋症核出術式.日生殖外会誌 2003; 16: 33―35  医中誌:2004157232(III)

17) Fedele L, Bianchi S, Zanotti F, Marchini M, Candiani GB: Fertility after conservative surgery for adenomyosis. Hum Reprod 1993; 8: 1708―1710 PMID: 8300834 (II)

96 ガイドライン婦人科外来編

Answer

1.‌‌過多月経の制御のために保存的治療(薬物治療)が無効で子宮摘出術が考慮される 際の代替療法として行う(B)

2.以下のような条件を満たす場合に行う

①妊孕性温存を希望しない女性に行う(A)

②子宮内膜悪性病変を除外する(B)

③子宮筋層が最低 1cm 以上確保されている(A)

④子宮腔全体にマイクロ波アプリケーターが到達できる(A)

Key words

:過多月経,子宮内膜アブレーション,Microwave endometrial ablation(MEA)

▷解 説

 1.機能性過多月経あるいは器質性過多月経を制御するために子宮内膜をマイクロ波で破壊する処置 がマイクロ波子宮内膜アブレーションである.2.45GHz マイクロ波で行う,マイクロ波子宮内膜アブ レーション(Microwave endometrial ablation;MEA)は Kanaoka らにより開発された1).MEA の適応としては,過多月経のために子宮摘出術(子宮全摘術あるいは子宮腟上部切断術),その他の外科 的治療が考慮される女性である.子宮鏡下子宮内膜焼灼術が 2012 年 4 月から保険適用となり,MEA もこれに含まれるという解釈で保険適用になっている.

 2.基底層を含めて子宮内膜を破壊すると月経出血は消失あるいは減少する.しかし,妊孕性は損な われる.MEA は子宮摘出術の代替治療法であるので MEA の対象となる女性は少なくとも以下のような 条件を満たすべきである2).①妊孕性温存を希望しない女性.②可及的に子宮内膜悪性病変が除外でき ている女性.③子宮筋層の厚さが 10mm 未満の部位がない女性.④子宮筋腫・子宮腺筋症のために子 宮腔が拡大・変形しているが,卵管角部・子宮底部を含めてすべての子宮内膜にマイクロ波アプリケー ターが容易に到達できる女性.

 まず,患者本人に妊孕性温存の意思がないことを確認する.子宮内膜がん等の悪性疾患などを除外す るため,細胞診,組織診,画像診断を行う必要がある.MEA を実施する前に,過多月経の原因につい ての検索が必要である.過多月経の多くは子宮筋腫や子宮腺筋症等の器質的疾患によるものである.器 質的疾患のない機能性過多月経も日常臨床では遭遇する.子宮筋腫の場合は術前の MRI 検査で筋腫によ る子宮内腔の変形を確認しておく必要がある.MEA の術前検査は一般的な術前検査に準じる.

2.45GHz のマイクロ波を使用する MEA の設定は出力 70W,凝固あたりの通電時間 50 秒で,子宮 内膜全周にマイクロ波子宮内膜凝固を施行する.この設定ではマイクロ波アプリケーター表面から最大 6mm 程度の組織が壊死に陥る2).正常大で変形のない子宮腔の場合は,子宮内膜面をすべて処理するの に 6 分程度のマイクロ波照射が必要である.マイクロ波照射に要する時間は子宮内膜の面積に比例す る.大きい粘膜下筋腫が合併している場合は子宮内膜の面積が広いので 30 分以上の麻酔時間が必要と なる.すなわち,症例に応じて持続静脈麻酔,腰椎麻酔,硬膜外麻酔,全身麻酔を使い分ける必要があ る.MEA を用いた過多月経の改善率は 90% 程度である3).また,子宮内膜がんを含む,急性の大量子 宮出血を緊急避難的に制御する場合にも効果が高いと報告されている4)5).その場合,組織検査は必須で ある.黄体期に MEA を施行する場合は,浅い curettage を行って内膜表層を除去しておくと,その後

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