Answer
1.一次検査として,経腟超音波断層法を行う. (A)
2.診断にはソノヒステログラフィーや子宮鏡を用いる. (B)
3.悪性の否定のため内膜検査を行う. (C)
4.以下の場合には,確定診断と治療のために,子宮鏡下手術,あるいは子宮内膜全面 掻爬を行う. (B)
1)症状があるもの
2)不妊症で,内膜ポリープが不妊の一要因と考えられるもの 3)無症状であっても悪性の可能性があるもの
5.4 以外は経過観察をする. (B)
Key words
:子宮内膜ポリープ,経腟超音波断層法,子宮内膜細胞診,子宮内膜組織診,子宮鏡▷解 説
1.子宮内膜ポリープは,子宮内膜表面から突出した結節で,内膜腺と間質からなり,40~50 歳代 に多い.大きさはさまざまであり,主に後壁に発生する.症状として不正出血を伴い,そのために貧血 となる場合もある.一般に,経腟超音波検査で子宮内膜ポリープの存在を疑う.
2.不正出血のある女性の子宮内腔病変(子宮内膜ポリープを含む)の診断には,子宮腔内に生食を 注入し経腟超音波検査を行うソノヒステログラフィーが優れており,子宮内膜ポリープを対象としたメ タアナリシスでは,感度,特異度はそれぞれ 82%,96% であった1).また,不正出血のある女性に対 するソノヒステログラフィーおよび経腟超音波検査の比較検討では,ソノヒステログラフィーの感度,
特異度,陽性的中率,陰性的中率はそれぞれ,81%,73%,83%,70% であり,経腟超音波検査に 比較して有意に感度,陰性的中率が優れていた2).子宮鏡検査については CQ213 参照.
3.内膜ポリープが疑われた場合,悪性を否定するために,内膜検査を行うことも重要である.子宮 内膜細胞診検査については CQ210 参照.内膜組織診には,内膜掻爬(キューレットや胎盤鉗子),内 膜組織診専用のさまざまなディスポ製品を利用できる.特に,病変が小さい場合は,子宮内膜全面掻爬 でも体がんを見逃す可能性があることにも注意する.
4.内膜ポリープの摘出は,ポリープの取り残しや,それによる再発,症状の再燃を防ぐために,子 宮鏡下に行うことが勧められる3).
不妊患者に対する子宮鏡下の内膜ポリープ摘出術は妊娠率を高めるとする報告が多い.215 人の不妊 症患者を対象に,子宮鏡下内膜ポリープ摘出施行群と非施行群に無作為に分けて術後妊娠率を検討する と,施行群は非施行群に比較して有意に妊娠率が高かった(オッズ比 2.1)4).また内膜ポリープ以外に 他の不妊因子がない症例では,ポリープのサイズや個数にかかわらず子宮鏡下内膜ポリープ摘出を施行 することで妊娠率が高まること5),卵管角にできた内膜ポリープの子宮鏡下摘出は,他の場所にできた ポリープの摘出に比較して有意に妊娠率が高まることが報告されている6).内膜ポリープと診断される ものの多くは良性である.内膜ポリープと診断された 509 人(うち約 6 割が閉経後)を対象に,子宮 鏡下摘出病変を病理学的に診断した検討では,約 7 割が良性であり,がん病変は 0.8% であった.高年
齢,閉経後あるいは高血圧合併が,悪性や前がん病変のリスクを高める可能性が示唆されている7).ま た内膜ポリープと診断された閉経後女性を不正出血のある群と無症状の群に分けて比較すると,不正出 血群に比較して無症状群におけるがんおよび異型増殖症性ポリープの発生頻度はいずれも有意に低い.
多変量解析では,無症状の閉経後女性でがんおよび異型増殖症性ポリープの発生と関連があったのは内 膜ポリープの大きさであり,18mm をこえる症例では有意にリスクが高かった(オッズ比 6.9)8).無 症状の閉経前女性の内膜ポリープには自然に退縮するものもある.平均 44 歳の女性 64 人に,2 年半 の間隔でソノヒステログラフィーを行った報告では,1 回目の検査では 7 人にポリープが存在したが,
2 回目の検査ではこのうち 4 人で自然退縮がみられ,一方 7 人の女性に新たにポリープが発生してい た9).また,1cm をこえる大きさのものでは自然退縮しない傾向にあった.無症状であっても大きさが 1cm をこえるものは,自然退縮しにくく,また大きくなるにつれて悪性の可能性も出てくるため,特 に閉経後の症例では,子宮鏡下の摘出を考慮する必要がある.乳がん治療薬であるタモキシフェンを服 用している症例,特に閉経後の症例では内膜ポリープの出現率が高く,悪性の場合もあるので,注意が 必要である.閉経後にタモキシフェンを服用している症例での内膜ポリープ出現率は 8~36%,さらに その中の 3~10.7% に悪性所見がみられたと報告されている10).また,異型ポリープ状腺筋腫は,平 均 38 歳と生殖可能年齢に好発し,画像上は内膜ポリープ,粘膜下筋腫,さらに悪性腫瘍との鑑別が困 難な場合が多く,注意が必要である11).
5.上記のように,症状があるもの,不妊症があるもの,および無症状であっても悪性の可能性があ るものは摘出し,それ以外の症例は経過観察とする.ホルモン治療の有用性は明らかではない.
文 献
1) Seshadri S, El-Toukhy T, Douiri A, Jayaprakasan K, Khalaf Y: Diagnostic accuracy of saline infusion sonography in the evaluation of uterine cavity abnormalities prior to assisted reproductive techniques: a systematic review and meta-analyses. Hum Reprod Update 2015; 21: 262―274 PMID: 25505226 (II)
2) Guven MA, Bese T, Demirkiran F: Comparison of hydrosonography and transvaginal ultra-sonography in the detection of intracavitary pathologies in women with abnormal uterine bleeding. Int J Gynecol Cancer 2004; 14: 57―63 PMID: 14764030 (II)
3) Preutthipan S, Herabutya Y: Hysteroscopic polypectomy in 240 premenopausal and post-menopausal women. Fertil Steril 2005; 83: 705―709 PMID: 15749501 (III)
4) Pérez-Medina T, et al.: Endometrial polyps and their implication in the pregnancy rates of patients undergoing intrauterine insemination: a prospective, randomized study. Hum Reprod 2005; 20: 1632―1635 PMID: 15760959 (II)
5) Stamatellos I, Apostolides A, Stamatopoulos P, Bontis J: Pregnancy rates after hystero-scopic polypectomy depending on the size or number of the polyps. Arch Gynecol Obstet 2008; 277: 395―399 PMID: 17851673 (III)
6) Yanaihara A, Yorimitsu T, Motoyama H, Iwasaki S, Kawamura T: Location of endometrial polyp and pregnancy rate in infertility patients. Fertil Steril 2008; 90: 180―182 PMID:
17889854 (III)
7) Savelli L, et al.: Histopathologic features and risk factors for benignity, hyperplasia, and cancer in endometrial polyps. Am J Obstet Gynecol 2003; 188: 927―931 PMID:
12712087 (III)
8) Ferrazzi E, et al.: How often are endometrial polyps malignant in asymptomatic
82 ガイドライン婦人科外来編
postmenopausal women? A multicenter study. Am J Obstet Gynecol 2009; 200: 235.
e1―e6 PMID: 19027096 (II)
9) DeWaay DJ, Syrop CH, Nygaard IE, Davis WA, Van Voorhis BJ: Natural history of uterine polyps and leiomyomata. Obstet Gynecol 2002; 100: 3―7 PMID: 12100797 (III)
10) Cohen I: Endometrial pathologies associated with postmenopausal tamoxifen treatment.
Gynecol Oncol 2004; 94: 256―266 PMID: 15297160 (III)
11) Matsumoto T, et al.: Clinical management of atypical polypoid adenomyoma of the uterus.
A clinicopathological review of 29 cases. Gynecol Oncol 2013; 129: 54―57 PMID:
23290989 (III)
Answer
1.以下の疾患の診断のために行う. (C)
子宮内膜ポリープ 子宮粘膜下筋腫 子宮奇形
子宮腔癒着症(Asherman 症候群)
子宮内膜増殖症 子宮体癌
流産あるいは奇胎娩出後の遺残 胎盤遺残,胎盤ポリープ
子宮内異物(IUD)
2.以下の疾患の手術前検査として行う. (B)
子宮内膜ポリープ 子宮粘膜下筋腫 中隔子宮
子宮腔癒着症(Asherman 症候群)
Key words
:子宮鏡▷解 説
子宮鏡検査1)は,経腟的に子宮腔内を直視下に観察,診断する内視鏡検査である.画像が鮮明で操作 にやや習熟が必要な硬性鏡と,操作性に優れる軟性鏡には画像がやや粗いファイバースコープと画像が 優れた電子内視鏡がある.灌流液(生理食塩水,グルコース,デキストラン)により子宮腔内を拡張2)
して観察,診断や組織採取を行える.検査は,非妊娠時の月経終了直後で,子宮内膜が肥厚していない 時期に行うことが望ましい.検査後の抗菌剤投与は必ずしも必要ない3)4).灌流液の腹腔内貯留にも留意 する必要がある.子宮体がんの術前診断に行う子宮鏡検査では悪性細胞を経卵管的に腹腔内に散布し,
予後を悪化させる可能性は少ない5)6).
1.検査は,良性疾患である子宮内膜ポリープ,子宮粘膜下筋腫の診断と病変の位置,大きさ,個数 の診断と子宮鏡下手術の手術適応の有無を診断する.子宮奇形(CQ316 参照)では中隔子宮,弓状子 宮,双角子宮,重複子宮などの補助診断が可能である.無月経,過少月経,不妊症,不育症を主訴とす る子宮腔癒着症の診断に行う.
子宮内膜増殖症や子宮内膜組織診で異常所見が認められた場合7),子宮体がんには子宮内膜細胞診,
子宮内膜組織診と子宮鏡を組み合わせて診断を行い,子宮内膜の肥厚,隆起,色調異常(白色化,赤色 化),異常血管像(怒張,蛇行),潰瘍形成などを観察する.流産あるいは奇胎娩出後の遺残や子宮内異 物の検索,胎盤遺残,胎盤ポリープの診断も行える.不妊症,不育症,子宮卵管造影に異常所見のある 症例や臨床症状で不正子宮出血8),過多月経,過長月経,過少月経,無月経,重症貧血などの症状の原