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目 次 学会理事長挨拶 藤井 知行 Ⅰ 医会会長挨拶 木下 勝之 Ⅱ 委員長挨拶 小林 浩, 松本 光司 Ⅲ 評価委員長挨拶 青木 大輔 Ⅴ 作成委員会委員名 Ⅵ 評価委員会委員名 Ⅶ 運営委員会委員名 Ⅷ 本書の構成ならびに本書を利用するにあたっての注意点 ⅩⅢ 感染症 CQ101 クラミジア子宮

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産婦人科

診療ガイドライン

―婦人科外来編 2017

公 益 社団法人 

日本産科婦人科学会

公 益 社団法人 

日 本 産 婦 人 科 医 会

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目  次

学会理事長挨拶………藤井 知行…… Ⅰ 医会会長挨拶………木下 勝之…… Ⅱ 委員長挨拶………小林  浩,松本 光司…… Ⅲ 評価委員長挨拶………青木 大輔…… Ⅴ 作成委員会委員名………  Ⅵ 評価委員会委員名………  Ⅶ 運営委員会委員名………  Ⅷ 本書の構成ならびに本書を利用するにあたっての注意点………  ⅩⅢ

感染症

CQ101 クラミジア子宮頸管炎の診断と治療は?……… 1 CQ102 淋菌感染症の診断と治療は?……… 4 CQ103 性器ヘルペスの診断と治療は?……… 7 CQ104 外陰尖圭コンジローマの診断と治療は?……… 10 CQ105 性感染症のスクリーニング(セット検査)は?……… 13 CQ106 梅毒の診断と治療は?……… 16 CQ107 腟トリコモナス症の診断と治療は?……… 20 CQ108 カンジダ外陰腟炎の診断と治療は?……… 22 CQ109 細菌性腟症の診断と治療は?……… 26 CQ110 骨盤内炎症性疾患(PID)の診断は?……… 29 CQ111 骨盤内炎症性疾患(PID)の治療は?……… 31 CQ112 尿路感染症の診断と治療は?……… 34

腫瘍

CQ201 子宮頸部細胞診の適切な採取法は?……… 39 CQ202 子宮頸部細胞診後に精密検査としてのコルポスコピー・  生検を行う場合は?……… 42 CQ203 ハイリスク HPV 検査はどのような場合に使うか?……… 47 CQ204 組織診で確認された CIN1/2(軽度・中等度異形成)の  管理・治療は?……… 53 CQ205 子宮頸部円錐切除術の低侵襲代用法としての LEEP,  レーザー蒸散はどのような場合に行うか?……… 58 CQ206 子宮頸管部のポリープ状病変の取り扱いは?……… 61 CQ207 HPV ワクチン接種の対象は? ……… 63 CQ208 HPV ワクチン接種の際の説明は? ……… 68 CQ209 HPV ワクチン接種の方法は? ……… 74 CQ210 子宮内膜細胞診の適切な採取法と検査対象者は?……… 76 CQ211 異型のない子宮内膜増殖症の診断と治療は?……… 78 CQ212 子宮内膜ポリープの診断法および取り扱いは?……… 81 CQ213 子宮鏡検査はどのような場合(疾患)に行うか?……… 84 CQ214 子宮鏡下子宮筋腫摘出術を行うのは?……… 86 CQ215 妊孕性温存の希望・必要がない場合の子宮筋腫の取り扱いは?  ―子宮鏡下や腟式の筋腫摘出術だけで  対応できる例を除く―……… 88 CQ216 妊孕性温存の希望・必要がある場合の子宮筋腫の取り扱いは?  ―子宮鏡下や腟式の筋腫摘出術だけで  対応できる症例を除く―……… 92 CQ217 子宮腺筋症の診断・治療は?……… 94 CQ218 マイクロ波子宮内膜アブレーションを行う際の留意点は?……… 97 CQ219 良性腫瘍と考えられる卵巣囊胞の鑑別診断と管理は?……… 99

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CQ222 囊胞性病変を伴わない子宮内膜症の治療は?……… 110 CQ223 バルトリン腺囊胞の取り扱いは?……… 113 CQ224 婦人科がん治療後の経過観察は?……… 115 CQ225 婦人科悪性腫瘍(境界・低悪性度を含む)の治療後に  卵巣機能消失・低下した場合のホルモン補充療法は可能か?…… 119 CQ226 乳がん検診はどのように行うか?……… 123 CQ227 乳腺症の管理はどのように行うか?……… 128 CQ228 家族性腫瘍について問われた場合の対応は?……… 130

内分泌・不妊

CQ301 原発無月経患者に行う初期検査は?……… 135 CQ302 続発無月経を診断する場合の留意点は?……… 138 CQ303 無排卵性の月経周期異常はどう管理するか?……… 140 CQ304 機能性月経困難症の治療は?……… 143 CQ305 器質性疾患のない過多月経の薬物療法は?……… 145 CQ306 器質性疾患のない過多月経に対する薬物療法以外の治療は?…… 147 CQ307 性成熟期女性の不正子宮出血における診察上の留意点は?……… 149 CQ308 体重減少性無月経の取り扱いは?……… 151 CQ309 女性アスリートの診療上の留意点は?……… 156 CQ310 ターナー症候群の管理は?……… 161 CQ311 XY 女性の管理は?……… 164 CQ312 早発卵巣不全(POF)の取り扱いは? ……… 166 CQ313 性同一性障害のホルモン療法の取り扱いは?……… 169 CQ314 不妊症の原因検索としての一次検査は?……… 173 CQ315 子宮卵管造影所見からみた卵管病変の取り扱いは?……… 176 CQ316 先天性の子宮形態異常の取り扱いは?……… 180 CQ317 高プロラクチン血症の診断は?……… 186 CQ318 高プロラクチン血症の治療は?……… 189 CQ319 排卵障害を有する不妊症に対する排卵誘発法の注意点は?  (ART を除く) ……… 192 CQ320 配偶者間人工授精(AIH)を行ううえでの留意点は?……… 198 CQ321 多囊胞性卵巣症候群(PCOS)の診断と治療は?……… 201 CQ322 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症や重症化の予防は?………… 205 CQ323 原因不明不妊に対する対応は?……… 209 CQ324 男性不妊治療は?……… 213 CQ325 悪性腫瘍に罹患した女性患者に対する妊孕性温存について  尋ねられたら?……… 216 CQ326 不育症に関する染色体異常の取り扱いは?……… 218 CQ327 Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser 症候群の管理は?………… 222

女性医学

CQ401 思春期女子の診察上の留意点は?……… 224 CQ402 思春期女子の治療上の留意点は?……… 226 CQ403 月経周期の調節方法は?……… 228 CQ404 緊急避妊法の実施法とその留意点は?……… 230 CQ405 経口避妊薬(OC)を処方するときの説明は? ……… 234 CQ406 子宮内避妊用具(IUD)・レボノルゲストレル放出子宮内システム  (LNG-IUS)を装着する時の説明は? ……… 241 CQ407 パートナーからの暴力・虐待を疑った時の対応は?……… 244 CQ408 性暴力にあった女性への対応は?……… 246

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CQ409 月経前症候群の診断・管理は?……… 253 CQ410 女性性機能不全の管理は?……… 257 CQ411 更年期障害の診断上の留意点は?……… 260 CQ412 更年期障害への対応は?……… 263 CQ413 更年期の精神症状に対する薬物療法はどのように行うか?……… 269 CQ414 ホルモン補充療法(HRT)の有害事象についての  説明と対策は?……… 271 CQ415 更年期障害に対する漢方治療・補完代替医療は  どのように行うか?……… 276 CQ416 更年期以降の女性の生活習慣病のリスク評価は?……… 279 CQ417 女性の脂質異常症の取り扱いは?……… 287 CQ418 閉経後骨粗鬆症の診断と治療開始は?……… 296 CQ419 閉経後骨粗鬆症の薬物治療は?……… 303 CQ420 骨粗鬆症を予防するには?……… 309 CQ421 萎縮性腟炎の治療は?……… 313 CQ422 非感染性外陰部掻痒症の原因と治療は?……… 316 CQ423 骨盤臓器脱の診断は?……… 320 CQ424 骨盤臓器脱の治療は?……… 323 CQ425 女性下部尿路症状(FLUTS)(頻尿,夜間頻尿,尿意切迫感,  尿失禁,排尿困難,膀胱痛)の初期対応は? ……… 327 CQ426 尿失禁の診断は?……… 332 CQ427 腹圧性尿失禁・混合性尿失禁の治療は?……… 336 CQ428 過活動膀胱の外来管理は?……… 339 索引………  ⅰ

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産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2017 巻頭言

日本産科婦人科学会理事長 藤井 知行  日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の共同編集による「産婦人科診療ガイドライン婦人科外 来編」は初版発行から 6 年が経過し,この度,改訂第 3 版である 2017 年版を発刊することとなり ました.婦人科外来編作成にあたられた小林浩委員長を始めとする作成委員会のご尽力に対し,深 甚なる敬意を表したいと存じます.また,両会からのガイドライン調整役,岩下光利先生,峯岸敬 先生,前田津紀夫先生にも,心から感謝申し上げます.  我が国の少子化が叫ばれて久しいですが,未だ有効な解決策が見いだされないでいます.少子化 の大きな要因は女性の社会進出に伴う晩婚化,晩産化ですが,そのような状況において,女性のヘ ルスケアはこれまであまり重視されてきませんでした.我が国の医療は男性,女性の違いを考慮せ ず発展してきたため,男性の医療知識をそのまま女性に当てはめて考えるということが当然のこと として行われてきました.最近,ようやくそれが間違いであり,女性の医療は男性と全く異なる視 点で考えて行かなければならないと考えられるようになってきました.しかし,女性のヘルスケア に対する意識は未だ希薄です.たとえば,低用量ピルは,女性の健康維持に極めて有用ですが,使 用に拒否感を示す患者さんがいまだに多く,十分に活用できない状況です.私たち産婦人科医は女 性の健康を守るプロフェショナルとして,正しい知識の普及に努め,率先して女性の健康向上にあ たる必要があります.国も女性ヘルスケアの重要性に気づき,厚生労働省や AMED において,女 性健康の包括支援など多くの事業に予算を充てるようになりました.日本産科婦人科学会と日本産 婦人科医会は協力し,こうした事業への積極的な参加を通じて,我が国の女性のヘルスケアの向上 に努めています.また,2020 年の東京オリンピック開催を控え,女性アスリートの健康問題に大 きな注目が集まっています.女性アスリートの 3 主徴である無月経,エネルギー不足,骨粗しょう 症の管理には,産婦人科医の関与が欠かせませんが,これまであまり注目されてきませんでした. こうした,女性ヘルスケアの場は,主として婦人科外来であり,本ガイドラインを活用することに より,女性の健康向上がさらに図られるものと期待されます.  本ガイドラインの特徴として,臨床試験等に基づく高いエビデンスに加え,会員による徹底的な コンセンサスを重視して,クリニカル・クエスチョンに対するアンサーが作成されていることが挙 げられます.欧米を中心として行われている臨床試験に基づくエビデンスは,必ずしも我が国の現 状に適合しているとは限りません.そこでコンセンサスにより,我が国の現況に最適な医療が示さ れることになります.もちろん,日々の診療においては,患者さんごとに臨床経過が異なることか ら,本ガイドラインに準拠しつつ,個々の状況に応じた対応が必要であり,ここに医師の裁量が発 揮されるべきと考えられます.  医師の総数が年々増加していく中で,産婦人科は残念ながら,昨年減少に転じました.これは, 産婦人科の医学,医療の素晴らしさ,大切さを,必ずしも,学生や研修医,国民の皆様にご理解頂 けていないことによるのではないかと思います.専門医制度が混乱していますが,産婦人科はこれ までも医師の生涯教育に努めておりましたし,これからも努めて参ります.こうしたことは,我が 国の産婦人科医療が世界最高レベルの水準にあることに示されています.また,地域医療への配慮 も,グランドデザインの作成や福島への継続的医師派遣など,他のどの診療科よりも積極的に行っ ています.本ガイドライン発刊を始めとする,私たちの様々な努力により,産婦人科の医学,医療 と,女性の健康の守り手としての産婦人科医の素晴らしさを,医学生,研修医や国民の皆様にご理 解頂き,事態が好転していくと考えております  最後になりましたが,先生方の益々のご健勝とご活躍を祈念申し上げます.

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産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編巻頭言

日本産婦人科医会会長 木下 勝之  「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編」の改訂第 3 版となる 2017 年版が上梓されます.こ の間,ガイドライン作成委員会のメンバーを中心に臨床課題に関する質問から回答に至るまで,何 度も検討したうえで,最終的に学術集会の時に開催されるコンセンサスミーティングで,日本産科 婦人科学会員と日本産婦人科医会員からの最終的な質問やチェックを受け,確認作業をへて,最終 的に完成したものです.  それだけに,全国の約 7 割以上の医師は,ガイドラインを手元に置いて,あるいはスマホに入れ て,産婦人科診療を行っていますので,標準的医療が定着しつつあると考えれば,こんなに素晴ら しいことはありません.  しかし,実際に症状のある患者さんを前に診療する臨床の現場では,ガイドラインがあれば万能 であるというわけにはいかいないことがあるのです.  日本では基礎医学と臨床医学と分けて考えますが,基礎医学こそ医学の基礎であり,エビデンス や統計的解析を重視し,臨床はその応用に過ぎないという印象を持つことがあります.  しかし,臨床に長く携わっている臨床家は,臨床こそ医学の基礎であり,臨床それ自体の中から 生じた知見ないし理論を用いなければならないことがあることに気づくはずです.産婦人科領域で も,月経前症候群,更年期の精神症状,外陰部掻痒症などなど,特に精神科領域に関係する問題に 関しては,臨床それ自体を重視し,鋭い観察から得た確かな知識を用いることも必要になります. さらに,患者さんごとに臨床症状が異なることもありますが,本ガイドラインの基本を遵守したう えで,個別化も必要になります.診療ガイドラインは,標準的医療の基礎となるものですが,ガイ ドライン思考とか,マニュアル思考だけでは本当の臨床はできないことも知っておかねばなりませ ん.  その問題を解決するために,日本産婦人科医会では,ガイドライン作成委員長である小林浩先生 と前田津紀夫先生を中心に,臨床上の問題をテーマにして「研修ノート」として,年 2 冊発行して いますが,その趣旨は,臨床の現場で,「こんな時はどうすべきか」の視点から症例を中心にまとめ ています.ぜひ,「婦人科診療ガイドライン」に加えて,医会の「研修ノート」を手元に置いて,臨 床に則した解決策を求めていただきたいと思います.  このところ,産婦人科領域への若手医師の参入は,依然として少ないのですが,その中でも女性 医師が半数以上を占めるようになりました.国の政策課題を見ますと,1 億総活躍時代を目指して 女性の就労と高齢者の健康寿命を延ばして仕事を続けるための施策に大きな予算を付けています. それだけに,婦人科外来を受診する働く女性の場合は,妊娠していなくても,妊娠した時も,特別 な配慮が必要になる場合があります.そのような場合でも,働く女性の心と身体の変化を考慮にい れて,診療の基本である本ガイドラインを有効に活用していただきたく存じます.  最後になりましたが,本ガイドライン作成委員長の小林浩先生を中心にして,ガイドライン調整 役,岩下光利先生,峯岸敬先生,そして前田津紀夫先生方々の格別のご尽力に厚く御礼申し上げま す. II

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産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017 年の編纂に当たって

作成委員会委員長 小林  浩 作成委員会副委員長 松本 光司  2011 年と 2014 年に産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編が発刊され,今回が 3 回目の改 定版となります.本書は日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が合同で作成したものです.産婦 人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017 年の作成に当たり,作成委員会委員長 小林 浩,作 成委員会副委員長 松本光司,学会調整役 岩下光利先生(途中から峯岸 敬先生に交代),医会調 整役 前田津紀夫先生および 29 名の作成委員(学会側推薦 14 名,医会側推薦 15 名;感染症分野 取りまとめ 野口靖之先生,腫瘍分野取りまとめ 宮城悦子先生,内分泌・不妊分野取りまとめ 栗 林 靖先生,女性医学分野取りまとめ 岡野浩哉先生)と協力者(平沢 晃先生)による別紙の体 制でスタートしました.川口龍二先生が作成委員会の全体を取りまとめる幹事を担当しました.第 1 回作成委員会を 2014 年 10 月 29 日,第 2 回を 2014 年 12 月 27 日,第 3 回を 2015 年 2 月 14 日,第 4 回を 2015 年 4 月 18 日,第 5 回を 2015 年 5 月 31 日,第 6 回を 2015 年 7 月 3 日, 最後の第 7 回を 2015 年 7 月 31 日に開催しました.引き続き評価委員会が 3 回開催され,そこで 議論された意見を再度作成委員会内で検討し加筆修正を加えました.その後,2016 年 4 月 23 日 に第 68 回日本産科婦人科学会学術集会にて第 1 回目のコンセンサスミーティング(東京,出席者 284 名)を,2016 年 6 月 4 日に第 134 回近畿産科婦人科学会学術集会にて第 2 回目のコンセン サスミーティング(京都,出席者 74 名)を,2016 年 6 月 19 日に第 131 回関東連合産科婦人科 学会総会・学術集会にて第 3 回目のコンセンサスミーティング(東京,出席者 82 名)を開催し, 会員からの意見を集約し,作成委員会で再度加筆修正しました.その後,日本産科婦人科学会雑誌 の 8 月号と 10 月号にすべての CQ&A 案を公開し,会員からの意見を求めました.この間,会員か らメールや Fax によるご意見もいただき大変感謝申し上げます.  さて,表(IX ページ)を見ていただきますと,2014 年版との違いがご理解いただけるものと思 います.感染症には 12 の CQ が,腫瘍には 28 の CQ が,内分泌・不妊には 27 の CQ が,女性医 学には 28 の CQ が網羅されており,すべて合わせると 95 の CQ から構成されております.その うち,タイトル自体を変更したのが 15 項目(16%),Answer を変更したものは 71 項目(75%) に及びます.解説はほとんどすべてにおいて最新情報に変更しております.さらに新規の CQ が 10 項目追加され,「マイクロ波子宮内膜アブレーションを行う際の留意点は?」「家族性腫瘍について 問われた場合の対応は?」「体重減少性無月経の取り扱いは?」「女性アスリートの診療上の留意点 は?」「先天性の子宮形態異常の取り扱いは?」「排卵障害を有する不妊症に対する排卵誘発法の注 意点は?(ART を除く)」「悪性腫瘍に罹患した女性患者に対する妊孕性温存について尋ねられた ら?」「パートナーからの暴力・虐待を疑った時の対応は?」「更年期以降の女性の生活習慣病のリ スク評価は?」「女性下部尿路症状(LUTS)(頻尿,夜間頻尿,尿意切迫感,尿失禁,排尿困難, 膀胱痛)の初期対応は?」が取り上げられ,時代の要請に答えられるような CQ を追加しました. 本書は現時点でコンセンサスが得られ,適正と考えられる標準的婦人科外来での診断・治療法方向 性を示すことを目的としていますので,可能な限りアクションにつながる内容としておりますので, 婦人科外来診療の発展に寄与できれば幸いです.日本産科婦人科学会から発刊されている必修知識 とダブルスタンダードにならないように逐次調整を行いながら作成に心がけました.なお,2017 年版は心機一転,新しい表紙をデザインさせていただきました.  最後に本書を作成するにあたり,ボランティア精神で忙しい時間を縫って作成,評価,修正いた だきました作成委員会委員および評価委員会委員の先生方,すべての事務作業を一手に引き受け, 本書をまとめ上げてくださった幹事の川口龍二先生,学会と医会ならびに作成委員会と評価委員会 を取りまとめてくださった調整役の岩下光利先生,峯岸 敬先生,前田津紀夫先生,学会期間中の

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多忙なスケジュールの中をガイドラインコンセンサスミーティングの場を提供いただきました第 68 回日本産科婦人科学会学術講演会学術集会長 井坂惠一先生(東京医科大学教授),第 134 回近 畿産科婦人科学会学術集会長 北脇 城先生(京都府立医科大学),第 131 回関東連合産科婦人科 学会総会・学術集会長 松井英雄先生(東京女子医科大学),最後に膨大な事務作業を適切かつ迅速 に行っていただきました学会・医会事務局の方々にも感謝申し上げます. IV

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「婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017」の刊行にあたって

日本産科婦人科学会ガイドライン婦人科編評価委員会委員長 青木 大輔(慶應義塾大学医学部産婦人科)  婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2017 は,2011 年に初版が刊行されて以来 3 年おきの改 訂を経て本ガイドラインですでに改訂第 3 版となります.この婦人科外来編の原稿作成には小林  浩ガイドライン―婦人科外来編委員会委員長がその任にあたられました.作成委員会にて各クリニ カルクエスチョン(CQ)に対するアンサーとしての推奨と解説の原稿ができたところで,評価委 員会にバトンタッチされ,実際の評価作業を行うことになります.推奨レベルは現行の医療レベル を俯瞰したときに適切か,内容に偏りはないか,引用文献に過不足はないかまたそのエビデンスレ ベルは適切か,文言に誤解を生じるような表現はないか,などについて各委員から忌憚のない意見 をいただき評価委員会としてとりまとめを行いました.  評価委員会では杉野法広先生,平川俊夫先生,若槻明彦先生に副委員長をお願いし,委員会構成 としては,本ガイドラインが日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の共同編集によるものである ことが反映され,両会から総計 26 名の委員で構成することになりました.それぞれの委員の専門 領域や地域性が考慮すること,さらには前回の評価委員会委員の半数は交代することが申し合わさ れています.実際には CQ をその分野によって,生殖内分泌/婦人科腫瘍/女性ヘルスケア/その他 の分野(主に感染症)の 4 領域に分け,委員各位が担当する分野領域を決め,それぞれの分野ごと にまとめ役を配することによって,効率の良い運営につとめました.まとめ役としては,生殖内分 泌領域を杉野法広先生,婦人科腫瘍領域を齋藤俊章先生,女性ヘルスケア領域を望月善子先生,感 染症領域を木村 正先生にお願いしました.すべての CQ について評価しましたので生殖内分泌/ 婦人科腫瘍/女性ヘルスケア/感染症のそれぞれの CQ 数はそれぞれ 27,28,28,12 となりまし た.委員全員の出席を求める全体会議では各分野ごとに,CQ ひとつひとつについて出席委員全員 で討議を行い評価内容が適切であるか,さらに足りない点はないかなど点検を行った上で,CQ の 修正案を作成委員会に提示するという作業を行ったという次第です.全体会議は長時間に及び,委 員各位とりわけとりまとめ役を担っていいただいた委員には多大なご尽力いただきました.改めて 感謝申し上げます.また,CQ の中でも委員意見がなかなか集約できないなど議論となる部分は, 実は作成委員会でも同じであることが多く,作成委員会での実際の議論内容を伝えていただくため に小林浩ガイドライン―婦人科外来編委員会委員長にも毎回陪席いただき討議に参加していただき ました.逆に評価委員会での議論内容の機微についても作成委員会に直接伝わることから大変円滑 に作業を進めることができました.  この後,ガイドラインはコンセンサスミーティングを経て刊行されたわけですが,3 年おきの改 訂とはいえ,医学・医療は社会情勢にも影響され生き物のように常に大きく前進し変わっていきま す.もちろん最先端の医療をもとめ国内外の臨床研究によるエビデンスを吟味確認することは大事 ではありますが,本ガイドラインのように日常診療の現場に立脚しつつも新たなエビデンスも取り 入れ,呈示した上で会員のコンセンサスに基づいた推奨がなされるガイドラインの意義は大きいと 考えられます.婦人科診療ガイドラインの初版は 2011 年に刊行されています.今後は改訂版の刊 行までを目的とするだけでなく,このガイドラインの普及状況やその結果どのように産婦人科医療 が変わったか,正しい方向に向かっているのかについての検証が必要だと思います.  このガイドラインの刊行には 50 名以上に及ぶ委員や事務局メンバーが参画するなど,膨大なエ ネルギーが投じられています.全国の産婦人科医が診療に従事するとき,本ガイドラインが大いに 役立つことを祈念しております.

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産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017

ガイドライン―婦人科外来編 2017 委員会

委員長 小林  浩 奈良県立医科大学 副委員長 松本 光司 昭和大学 委員 明樂 重夫 日本医科大学 石谷  健 北里大学北里研究所病院 岩破 一博 京都府立医科大学看護学科医学講座 上田  豊 大阪大学医学部 岡垣 竜吾 埼玉医科大学 岡野 浩哉 飯田橋レディースクリニック 沖  利通 鹿児島大学病院 川口 龍二 奈良県立医科大学 木戸 道子 日本赤十字社医療センター 倉林  工 新潟市民病院 栗林  靖 医療法人社団 杉四会 杉山産婦人科 甲賀かをり 東京大学 佐藤 雄一 産科婦人科舘出張 佐藤病院 椎名 香織 宇田川婦人科 髙井  泰 埼玉医科大学 総合医療センター 谷村  悟 富山県立中央病院 茶木  修 独立行政法人労働者健康福祉機構 横浜労災病院 寺内 公一 東京医科歯科大学 藤堂 幸治 北海道がんセンター 中山健太郎 島根大学 野口 靖之 愛知医科大学 能瀬さやか 国立スポーツ科学センター 馬場  長 京都大学 藤井多久磨 藤田保健衛生大学 藤井 恒夫 藤井レディースクリニック 丸山 哲夫 慶應義塾大学 宮城 悦子 横浜市立大学 栁田  薫 国際医療福祉大学病院 吉野  修 富山大学 (以上 31 名) VI

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産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017

ガイドライン―婦人科外来編 2017 評価委員会

委員長 青木 大輔 慶應義塾大学 副委員長 杉野 法広 山口大学 平川 俊夫 真田産婦人科麻酔科クリニック 若槻 明彦 愛知医科大学 委員 石渡  勇 石渡産婦人科病院 苛原  稔 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 片渕 秀隆 熊本大学医学部附属病院 加納 武夫 加納産婦人科 北川 浩明 虎の門病院 木村  正 大阪大学 小関  聡 小関産婦人科医院 五味淵秀人 河北総合病院 齋藤  豪 札幌医科大学 齋藤 俊章 独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 白須 和裕 神奈川県国民健康保険団体連合会 鈴木 光明 医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院 武知 公博 公立昭和病院 千歳 和哉 千歳産婦人科医院 浜谷 敏生 慶應義塾大学 廣井 久彦 ひろいウィメンズクリニック 藤井絵里子 奈良県立医科大学 水沼 英樹 福島県立医科大学 峯岸  敬 群馬大学 村上  節 滋賀医科大学 望月 善子 もちづき女性クリニック 吉田 智子 吉田産科婦人科医院 (以上 26 名)

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産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017

診療ガイドライン運営委員会

調整役 峯岸  敬 国立大学法人群馬大学医学部附属病院 前田津紀夫 前田産科婦人科医院 主務幹事 岸  裕司 国立大学法人群馬大学医学部附属病院 VIII

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産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2017 年(2014 年との比較,タイトル,タイトル変更, Answer 変更,解説変更の有無) 2017 年 2014 年 タイトル タイトル変更 Answerの変更 Answer の変更の内容 解説の変更 CQ101 CQ102 クラミジア子宮頸管炎の診断 と治療は? 無 有 A1,4 修正 有 CQ102 CQ107 淋菌感染症の診断と治療は? 無 有 A4 修正 有 CQ103 CQ101 性 器 ヘ ル ペ ス の 診 断 と 治 療 は? 無 有 A2,3 修正 有 CQ104 CQ103 外陰尖圭コンジローマの診断 と治療は? 無 無 有 CQ105 CQ111 性 感 染 症 の ス ク リ ー ニ ン グ (セット検査)は? 無 有 A3 修正 有 CQ106 CQ108 梅毒の診断と治療は? 無 有 A1 修正.A5 追加 有 CQ107 CQ104 腟トリコモナス症の診断と治 療は? 有 有 A4 修正.A6 追加 有 CQ108 CQ105 カンジダ外陰腟炎の診断と治 療は? 無 有 A2 修正 有 CQ109 CQ106 細菌性腟症の診断と治療は? 無 無 有 CQ110 CQ109 骨盤内炎症性疾患(PID)の診 断は? 無 有 A からダグラス窩穿刺削除 有 CQ111 CQ110 骨盤内炎症性疾患(PID)の治 療は? 無 有 A2,3,4 修正 有 CQ112 CQ112 尿路感染症の診断と治療は? 有 有 A1,2,3 修正 有 CQ201 CQ201 子宮頸部細胞診の適切な採取 法は? 無 有 (推奨レベル C → B)A2 修正 有 CQ202 CQ203 子宮頸部細胞診後に精密検査 としてのコルポスコピー・生 検を行う場合は? 無 有 A2 修正.A3 追加 有 CQ203 CQ206 ハイリスク HPV 検査はどの ような場合に使うか? 無 有 A1 修正 有 CQ204 CQ202 組織診で確認された CIN1/2 (軽度・中等度異形成)の管 理・治療は? 無 無 有 CQ205 CQ204 子宮頸部円錐切除術の低侵襲 代用法としての LEEP,レー ザー蒸散はどのような場合に 行うか? 無 有 A2,4 修正 (参考 CQ 番号修正) 有 CQ206 CQ205 子宮頸管部のポリープ状病変 の取り扱いは? 無 無 有 CQ207 CQ207 HPV ワクチン接種の対象は? 無 有 A4,5 修正 有 CQ208 CQ208 HPV ワクチン接種の際の説明 は? 無 有 A8 修正 有 CQ209 CQ209 HPV ワクチン接種の方法は? 無 有 A2,6 修正 有 CQ210 CQ210 子宮内膜細胞診の適切な採取 法と検査対象者は? 有 有 A2 修正 有 CQ211 CQ211 異型のない子宮内膜増殖症の 診断と治療は? 無 有 A3 追加.A6 修正 有 CQ212 CQ212 子宮内膜ポリープの診断法お よび取り扱いは? 無 有 A1,3 修正 有 CQ213 CQ213 子宮鏡検査はどのような場合 (疾患)に行うか? 無 有 (syndrome →症候群)A1,2 修正 有 CQ214 CQ214 子宮鏡下子宮筋腫摘出術を行 うのは? 無 有 旧 A2 削除 有 CQ215 CQ215 妊孕性温存の希望・必要がな い場合の子宮筋腫の取り扱い は?―子宮鏡下や腟式の筋腫 摘出術だけで対応できる例を 除く― 無 有 A2-4 修正 有

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CQ216 CQ216 妊孕性温存の希望・必要があ る場合の子宮筋腫の取り扱い は?―子宮鏡下や腟式の筋腫 摘出術だけで対応できる症例 を除く― 無 有 A3(推奨レベル B → C) 有 CQ217 CQ217 子宮腺筋症の診断・治療は? 無 有 A3 修正(子宮全摘術→子 宮摘出術) 有 CQ218 CQN マイクロ波子宮内膜アブレー ションを行う際の留意点は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ219 CQ218 良性腫瘍と考えられる卵巣囊 胞の鑑別診断と管理は? 無 有 (腫瘤→囊胞)A2,3 修正 有 CQ220 CQ219 出血性黄体囊胞・卵巣出血の 診断は? 無 有 旧 A2 削除 有 CQ221 CQ220 卵巣子宮内膜症性囊胞(チョコ レート囊胞)の治療は? 無 有 A1,4 修正.A4(推奨レベル C → B) 有 CQ222 CQ221 囊胞性病変を伴わない子宮内 膜症の治療は? 無 有 A2 修 正( 推 奨 レ ベ ルC → B),A3 追加 有 CQ223 CQ222 バルトリン腺囊胞の取り扱い は? 無 無 有 CQ224 CQ223 婦人科がん治療後の経過観察 は? 有 有 A1,2 修正 有 CQ225 CQ224 婦人科悪性腫瘍(境界・低悪性 度を含む)の治療後に卵巣機能 消失・低下した場合のホルモ ン補充療法は可能か? 有 無 有 CQ226 CQ225 乳がん検診はどのように行う か? 無 有 A1,2 統合 有 CQ227 CQ226 乳腺症の管理はどのように行 うか? 無 無 有 CQ228 CQN 家族性腫瘍について問われた 場合の対応は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ301 CQ312 原発無月経患者に行う初期検 査は? 無 無 有 CQ302 CQ306 続発無月経を診断する場合の 留意点は? 無 有 A1 修正.旧 A4 削除 有 CQ303 CQ304 無排卵性の月経周期異常はど う管理するか? 無 有 A2 修正(Holmstrom, Kaufmann) 有 CQ304 CQ301 機能性月経困難症の治療は? 無 有 A1 修正 有 CQ305 CQ302 器質性疾患のない過多月経の 薬物療法は? 無 有 A3 修正 有 CQ306 CQ303 器質性疾患のない過多月経に 対 す る 薬 物 療 法 以 外 の 治 療 は? 無 有 A2,4 追加 有 CQ307 CQ305 性成熟期女性の不正子宮出血 における診察上の留意点は? 有 有 旧 A1,2 統合.A1(推奨レベル B) 有 CQ308 CQN 体重減少性無月経の取り扱い は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ309 CQN 女性アスリートの診療上の留 意点は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ310 CQ405 ターナー症候群の管理は? 無 有 A4(最終身長→成人身長) 有 CQ311 CQ406 XY 女性の管理は? 無 有 A1 修正.旧 A3 → A3 と 4 に分割 有 CQ312 CQ311 早発卵巣不全(POF)の取り 扱いは? 無 有 A3(推奨レベル A → B).A4(Kaufmann) 有 CQ313 CQ319 性同一性障害のホルモン療法 の取り扱いは? 無 有 A4 追加 有 CQ314 CQ313 不妊症の原因検索としての一 次検査は? 無 有 (抗体→核酸増幅)A4 修正 有 CQ315 CQ314 子宮卵管造影所見からみた卵

管病変の取り扱いは? 無 有 A2(推奨レベル B → C),A3(B → C),A4(C → B) 有

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CQ316 CQN 先天性の子宮形態異常の取り 扱いは? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ317 CQ307 高 プ ロ ラ ク チ ン 血 症 の 診 断 は? 無 無 有 CQ318 CQ308 高 プ ロ ラ ク チ ン 血 症 の 治 療 は? 無 有 (推奨レベル C → B)A4 有 CQ319 CQN 排卵障害を有する不妊症に対 する排卵誘発法の注意点は? (ART を除く) 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ320 CQ315 配偶者間人工授精(AIH)を行 ううえでの留意点は? 無 有 (推奨レベル C → B)A2 有 CQ321 CQ309 多囊胞性卵巣症候群(PCOS) の診断と治療は? 無 有 A3 の 5)修正 有 CQ322 CQ310 卵巣過剰刺激症候群(OHSS) の発症や重症化の予防は? 無 有 A4,6 修正 有 CQ323 CQ317 原 因 不 明 不 妊 に 対 す る 対 応 は? 無 有 A4 修正 有 CQ324 CQ316 男性不妊治療は? 無 有 A1 追加. A4,6,7 修正 有 CQ325 CQN 悪性腫瘍に罹患した女性患者 に対する妊孕性温存について 尋ねられたら? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ326 CQ318 不育症に関する染色体異常の 取り扱いは? 無 有 A1,2 修正.A2(推奨レベル C → B) 有 CQ327 CQ407 Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser 症候群の管理は? 無 有 A1 修正 有 CQ401 CQ408 思春期女子の診察上の留意点 は? 無 有 A2 修正 有 CQ402 CQ409 思春期女子の治療上の留意点 は? 無 有 A1,4 修正 有 CQ403 CQ404 月経周期の調節方法は? 有 有 A1,2,3 修正 有 CQ404 CQ401 緊急避妊法の実施法とその留 意点は? 無 有 前文と A1,4 修正旧 A2 削除 有 CQ405 CQ402 経口避妊薬(OC)を処方する ときの説明は? 無 有 前文と A6 修正A6(推奨レベル B → C) 有 CQ406 CQ403 子宮内避妊用具(IUD)・レボ ノルゲストレル放出子宮内シ ステム(LNG-IUS)を装着す る時の説明は? 有 有 A1,4 修正 有 CQ407 CQN パートナーからの暴力・虐待 を疑った時の対応は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ408 CQ410 性暴力にあった女性への対応 は? 無 有 A1,2,3 修正 有 CQ409 CQ419 月 経 前 症 候 群 の 診 断・ 管 理 は? 無 有 A1,4 修正 有 CQ410 CQ417 女性性機能不全の管理は? 有 有 A1-5 修正 旧 A5,6 を削除 有 CQ411 CQ411 更年期障害の診断上の留意点 は? 有 有 A1,2,4 修正A2(推奨レベル C → B), A4(C → B) 有 CQ412 CQ412 更年期障害への対応は? 有 有 A1 追加 A3,5,6 修正 有 CQ413 CQ412, 418 更年期の精神症状に対する薬物療法はどのように行うか? 有 有 A1-4 修正 有 CQ414 CQ413 ホルモン補充療法(HRT)の 有害事象についての説明と対 策は? 無 無 有 CQ415 CQ414 更 年 期 障 害 に 対 す る 漢 方 治 療・補完代替医療はどのよう に行うか? 有 有 A2,3 修正 有

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CQ416 CQN 更年期以降の女性の生活習慣 病のリスク評価は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ417 CQ424 女性の脂質異常症の取り扱い は? 無 有 A6,7 修正 有 CQ418 CQ425 閉経後骨粗鬆症の診断と治療 開始は? 無 無 有 CQ419 CQ426 閉 経 後 骨 粗 鬆 症 の 薬 物 治 療 は? 無 有 A1 修正A3(参考 CQ 番号修正) A2 追加 有 CQ420 CQ427 骨粗鬆症を予防するには? 無 有 A3 修正 有 CQ421 CQ415 萎縮性腟炎の治療は? 無 有 A2(HRT →ホルモン補充 療法(HRT)) 無 CQ422 CQ416 非感染性外陰部掻痒症の原因 と治療は? 無 有 A4 修正 有 CQ423 CQR423-1 骨盤臓器脱の診断は? 分割した CQ 有 A1-5 修正 有 CQ424 CQR423-2 骨盤臓器脱の治療は? 分割した CQ 有 A1,2,4 修正 有 CQ425 CQN 女性下部尿路症状(LUTS)(頻 尿,夜間頻尿,尿意切迫感,尿 失禁,排尿困難,膀胱痛)の初 期対応は? 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ 新規 CQ CQ426 CQ420 尿失禁の診断は? 無 有 A1-4 修正 有 CQ427 CQ421 腹圧性尿失禁・混合性尿失禁 の治療は? 有 有 A1,4,5 修正A3 追加 有 CQ428 CQ422 過活動膀胱の外来管理は? 無 有 A1,6 追加 A2-5 修正 有 新規 CQ CQ218 マイクロ波子宮内膜アブレーションを行う際の留意点は? CQ228 家族性腫瘍について問われた場合の対応は? CQ308 体重減少性無月経の取り扱いは? CQ309 女性アスリートの診療上の留意点は? CQ316 先天性の子宮形態異常の取り扱いは? CQ319 排卵障害を有する不妊症に対する排卵誘発法の注意点は?(ART を除く) CQ325 悪性腫瘍に罹患した女性患者に対する妊孕性温存について尋ねられたら? CQ407 パートナーからの暴力・虐待を疑った時の対応は? CQ416 更年期以降の女性の生活習慣病のリスク評価は? CQ425 女性下部尿路症状(LUTS)(頻尿,夜間頻尿,尿意切迫感,尿失禁,排尿困難,膀胱痛) の初期対応は? XII

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本書の構成および本書を利用するにあたっての注意点

本書の目的  現時点でコンセンサスが得られ,適正と考えられる標準的婦人科外来での診断・治療法を示すこ とです.本書の浸透により,以下の 4 点が期待されます. 1)いずれの産婦人科医療施設においても適正な医療水準が確保 2)産婦人科医療安全性の向上 3)人的ならびに経済的負担の軽減 4)医療従事者・患者の相互理解助長 本書の対象  日常,婦人科外来診療に従事する医師を対象とした.1 次施設,2 次施設,3 次施設別の推奨は 行っていない.理由は 1 次施設であっても技術的に高度な検査・治療が可能な施設が多数存在して いるからである.「自施設で対応困難な検査・治療等が推奨されている場合の解釈」で記載したよう に自施設では実施困難と考えられる検査・治療が推奨されている場合は「それらに対応できる施設 に相談・紹介・搬送する」ことが推奨されていると解釈する.本書はしばしば患者から受ける質問 に対し適切に答えられるよう工夫されている.また,ある合併症を想定する時,どのような事を考 慮すべきかについてわかりやすく解説してあるので看護師にも利用しやすい書となっている. 責任の帰属  本書の記述内容に関しては日本産科婦人科学会ならびに日本産婦人科医会が責任を負うものとし ます.しかし,本書の推奨を実際に実践するか否かの最終判断は利用者が行うべきものであります. したがって,治療結果に対する責任は利用者に帰属します. 利益相反  本ガイドラインの作成ならびに評価を担当した委員,そしてそれに関連する者(配偶者,一親等 内の親族,または収入・資産を共有する者)は,本学会利益相反委員会が調査を行いました.その 結果,一部の委員について企業間との研究・講演活動を通じた利益相反は存在していましたが,本 ガイドラインの推奨内容は,科学的根拠に基づくものであり,特定の団体や製品・技術との利害関 係により影響を受けたものではありません. 本書の構成

 このガイドラインには 95 項目の Clinical Questions(CQ)が設定され,それに対する Answer が示されています.感染症には 12 項目の CQ が,腫瘍には 28 項目の CQ が,内分泌・不妊には 27 項目の CQ が,女性医学は 28 項目の CQ から構成されております.そのうち,2014 年版と比 べてタイトル自体を変更したのが 15 項目(16%),Answer を変更したものは 71 項目(75%)に 及びます.解説はほとんどすべてにおいて最新情報に更新しております.  さらに時代の要請に答えられるような 10 項目の CQ を新規に追加しました.本書は現時点でコ ンセンサスが得られ,適正と考えられる標準的婦人科外来での診断・治療法の方向性を示すことを 目的としていますので,可能な限りアクションにつながる内容としております.また,日本産科婦 人科学会から発刊されている必修知識とダブルスタンダードにならないように逐次調整を行いなが ら作成を心がけました. 作成の基本方針  2016 年 7 月までの内外の論文を検討し,現時点では患者に及ぼす利益が不利益を相当程度上回 り,80%以上の地域で実施可能と判断された検査法・治療法を推奨することとしました.2014 年

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と比べて大幅変更したところにはアンダーラインが引かれております.  各 Answer 末尾( )内には推奨レベル(A,B あるいは C)が記載されています.解説中には Answer 内容にいたった経緯等が文献番号とともに記載され,最後にそれら解説の根拠となった文 献が示されています.各文献末尾にはそれら文献の PMID(*PMID から論文にアクセスする方法 を参照)とエビデンスレベル(I,II,あるいは III)が示されています. 推奨レベルの解釈  Answer 末尾の(A,B,C)は推奨レベル(強度)を示しています.これら推奨レベルは推奨さ れている検査法・治療法の臨床的有用性,エビデンス,浸透度,医療経済的観点等を総合的に勘案 し,作成委員の 8 割以上の賛成を得て決定されたものであり,必ずしもエビデンスレベルとは一致 していません.推奨レベルは以下のように解釈してください. A:(実施すること等を)強く勧める B:(実施すること等が)勧められる C:(実施すること等が)考慮される(考慮の対象となる,という意味)  Answer 末尾動詞が「○○○を行う.(A)」となっている場合,「○○○を行うことが強く勧めら れている」と解釈します.「○○○を行う.(C)」となっている場合,「○○○を行うことは考慮の 対象となる」と解釈します.(B)は A と C の中間的な強さで勧められていると解釈します. 自施設で対応困難な検査・治療等が推奨されている場合の解釈  Answer の中には,自施設では実施困難と考えられる検査・治療等が勧められている場合があり ます.その場合には「それらに対して対応可能な施設に相談・紹介・搬送する」という意味合いが 含められています.具体的には以下のような解釈となります. A:自院で対応不能であれば,可能な施設への相談・紹介又は搬送を「強く勧める」 B:自院で対応不能であれば,可能な施設への相談・紹介又は搬送を「勧める」 C:自院で対応不能であれば,可能な施設への相談・紹介又は搬送を「考慮する」 以下に解釈例を示します.  例 「組織診で確認された CIN1(軽度異形成)は 6 か月ごとに細胞診と必要があればコルポス コピーでフォローする.(B)」  解釈:コルポスコピーをおこなうことが困難な施設では,必要が生じた際には対応可能な施設 への相談・紹介が必要であり,それを勧められていると解釈します. 引用文献の記載方法 ・雑誌名の略は PubMed および医中誌に従いました. ・ 著者名は 6 人まで記載,それより多い場合には「et al」あるいは「他」となり,1 名のみ記載を 原則にしました. ・ 引用英文文献最後に PMID(*)を記載し,一番最後に文献のエビデンスレベルを記載しました. ・ ガイドラインなどで URL のみの場合は URL を記載し,作成委員が確認した最終アクセス日を記 載しました.

・ web page を引用文献とする場合:National Institute for Health and Clinical Excellence: Fertility-Assessment and treatment for people with fertility problems. http://www.nice. org.uk/guidance/cg156/resources/guidance-fertility-pdf(最終アクセス日 2015 年 7 月 26 日)(guideline)

・ コクランレビューを引用文献とする場合:Mücke M, et al.: Pharmacological treatments for fatigue associated with palliative care. Cochrane Database Syst Rev 2015; 5: CD006788 PMID: 26026155(I)

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(*)PMID から論文にアクセスする方法

 文献検索にかける時間を軽減できるように配慮しました.まず,この ULR から PubMed にアク セスしてください.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

 Search の左枠ボックスに PMID 番号を入力し,Search をクリックするとその論文にアクセスで きます.

 PubMed から abstract は自由閲覧可能ですが,full paper が見れるかどうかは契約環境に影響 されます. 医中誌へのアクセス  医中誌へのアクセスは,電子書籍から直リンク>医中誌 WEB ログイン画面>指定した論文の ページとなります.本人の契約による ID,パスワードが必要になります.また,法人契約などで特 定の IP アドレスからログイン画面を通過せずに論文ページが表示される場合もあります. エビデンスレベル  文献末尾の数字はエビデンスレベルを示しており,数字が少ないほどしっかりとした研究に裏打 ちされていることを示しています.数字の意味するところはおおむね以下のようになっています. I:よく検討されたランダム化比較試験成績 II:症例対照研究成績あるいは繰り返して観察されている事象 III:I II 以外,多くは観察記録や臨床的印象,又は権威者の意見 適応外の薬剤の投与,医療機器を使用した検査・処置についての留意点  添付文書に記載されていない(医薬品医療機器等法 [ 旧薬事法 ] で承認されていない)効能・効 果を目的とした使用,用法・用量での薬剤の使用,すなわち適応外の医薬品あるいは医療機器の使 用が本書中に記載してある箇所がある.それらは,内外の研究報告から有用であり,利益が不利益 を相当程度上回るとの判断から,その使用法を記載している.しかしながら,適応外使用は,添付 文書上の安全性,有効性が検討されていないものも含まれる.さらに医薬品の使用で健康被害が起 こった場合,医薬品副作用被害救済制度が適用されない可能性もある.したがって,これら薬剤の 投与,医療機器の使用,検査,処置が適応外である場合には,インフォームドコンセント後に行う ことが望ましい.これら薬剤の使用法や検査・処置については,学会・医会としては今後,適応拡 大について関係者に働きかけていくことになる. 処方の記載方法  処方の記載方法は以下のように変更いたしました. ・従来の記載方法  メテルギン錠® 0.125mg 3 錠 分 3 5 日間 ・本書の記載方法  メテルギン錠® 0.125mg 1 回 1 錠 1 日 3 回 5 日間 用語の定義 Kaufmann 療法・Holmstrom 療法について

 現在我々が認識している Kaufmann 療法・Holmstrom 療法と原著で示された Kaufmann 療法・ Holmstrom 療法はそもそも治療内容が異なっていますが,本書で使用した Kaufmann 療法・Hol-mstrom 療法は現在我々が認識している Kaufmann 療法・Hol療法・Hol-mstrom 療法のことを意味するもの です.

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Kaufmann 療法について  生理的な月経周期に伴う卵巣ステロイドホルモン動態に類似のホルモン環境を,外因性にホルモ ン剤を投薬することで模倣し治療する方法.1932 年に Carl Kaufmann が排卵障害の女性に月経 を誘発する方法として報告した1).原法では月経周期の 1 日目から 15 日目に相当する期間に安息香 酸エストラジオール投与により子宮内膜を肥厚させ,次いで 19 日目から 23 日目までプロゲステロ ンを投与して投与終了後に消退出血を期待する.1958 年に Boschann が改良し,周期の後半にエ ストロゲンとプロゲスチンの双方を作用させる投与法となった2).Kaufmann 療法は血中ホルモン 値の測定が困難であった時代において第二度無月経と子宮性無月経の鑑別に用いられた他,排卵誘 発薬がなかった時代において排卵障害に対し投与終了時のリバウンド作用による自然排卵を期待し ていた.また,現在のような経皮ホルモン補充療法が存在しなかった時代においては,ホルモン補 充療法としての効果も期待していた.現在わが国では主として経口剤による周期的エストロゲン・ プロゲスチン投与法のことを Kaufmann 療法と呼称しており,月経周期の 5 日目より 21 日間エス トロゲンを投与し,その後半の 12 日間にプロゲスチンを併用追加する方法などがある.本療法後 約 2~7 日で消退出血が認められる.排卵障害の程度によっては,その後さらに 2~3 周期治療する ことにより,本療法後,視床下部・下垂体・卵巣系のホルモン動態の正常化が期待できる場合があ る.

1) Kaufmann C: Umwandlung der Uterusschleimhaut einer kastrierten Frau aus dem atro-phischen Stadium in das sekretorischen Funktion durch Ovarialhormone. Zentralbl Gynakol 1932; 56: 2058―2061.

2) Boschann HW: Observation on the role of progestational agents in human gynecologic disorders and pregnancy complications In; New Steroid Compounds with Progesta-tional Activity. vol.71, 1958. p727―752.

Holmstrom 療法について  1954 年に Holmstrom EG が,特に若年女性および周閉経期の女性における,無排卵に伴う子宮 異常出血に対する止血法として提唱した,周期的プロゲステロン投与法である1).原法では,異常 子宮出血のある女性に対して 25~50mg のプロゲステロンを単回注射する.注射の 4 日後にいっ たん出血が増量し(消退出血),その後に止血が期待される.消退出血後は出血開始より 24 日目に 再度プロゲステロンを単回注射し,これを繰り返すことにより規則的な出血の発来を期待する.出 血の開始が注射の 4 日後ではなく,その前後の場合には自然の排卵が回復している可能性がある. この場合はプロゲステロン投与を中止し,出血から 30 日以内に次の子宮出血が見られた場合には, 自然排卵が回復していると推定する.また,周閉経期の女性において,50mg のプロゲステロンに よってもその後の出血が起きなくなれば閉経とみなす.  わが国では多囊胞性卵巣症候群などの,WHO 分類 group2 に相当する視床下部・下垂体性機能 異常[E2 正常範囲,LH・FSH ほぼ正常範囲]に対し,無月経状態の女性に消退出血を発来させる ことを主目的とした周期的黄体ホルモン投与法を Holmstrom 療法と呼んでいる場合があるが,本 来の Holmstrom 療法は異常子宮出血のコントロールに力点がおかれていること,血中ホルモン値 の測定が困難な時代において用いられた方法であることを理解しておく必要がある.  1954 年,Holmstrom は別の論文の中で,異常子宮出血について以下のように述べている2).ま ず,妊娠・腫瘍・血液凝固異常を除外することにより機能性子宮出血の診断が可能であるとしたう えで,無排卵を原因とする機能性子宮出血には無排卵性出血(anovulatory bleeding)の語を用い ることを提唱している.FIGO は 2011 年に子宮異常出血の新しい分類(PALM-COEIN)を提唱 し,機能性子宮出血の語を使用することをやめ,無排卵に起因する出血には「無排卵による異常子 宮出血」abnormal uterine bleeding caused by ovulation disorder(AUB-O)の語を用いるこ とを提唱している3)が,Holmstrom は FIGO 分類に先立つこと 50 年以上前に,同じ概念を提唱し

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たものと言える.  この当時,異常子宮出血の止血法として大量のエストロゲン投与が行われていた.Holmstrom は エストロゲンを投与すると,さらに厚くなった子宮内膜は最終的には破綻して基底層まで剝離する ことになるので,いずれ大量出血に対する追加の治療が不可避であり,合理的治療ではないとして 批判している.また,Holmstrom は,子宮内膜掻爬術は止血効果に加えて悪性疾患や子宮内膜増殖 症を否定し,正常分泌期内膜であることを確認できる診断上の利点があり,有用であることを認め ているが,若年女性特に性交経験のない女性においては反復する子宮内膜掻爬術は負担が大きいこ とを指摘し,その代替としてプロゲステロン投与をもって無排卵性月経の診断と治療を兼ねること を提唱している.  現在における無排卵性異常子宮出血の標準的な止血法については,産婦人科診療ガイドライン婦 人科外来編や,ACOG のガイドライン4)などを参照されたい.

1) Holmstrom EG: Progesterone treatment of anovulatory bleeding. Am J Obstet Gynecol 1954; 1321―1329.

2) Holmstrom EG: Functional uterine bleeding. J Am Med Assoc 1954; 156: 580―582. 3) Munro MG, Critchley HO, Fraser IS; FIGO Menstrual Disorders Working Group: The FIGO

classification of causes of abnormal uterine bleeding in the reproductive years. Fertil Steril 2011; 95: 2204―2208.

4) ACOG Committee on Practice Bulletins--Gynecology: ACOG practice bulletin: manage-ment of anovulatory bleeding. Int J Gynaecol Obstet 2001; 72: 263―271.

〈日本産科婦人科学会用語委員会からのコメント〉

 Holmstrom が 1954 年に報告(Holmstrom EG. Progesterone treatment of anovulatory bleeding. Am J Obstet Gynecol. 1954; 68: 1321-9)した原法は月経周期の 21 日を経過しても 排卵が認められない排卵障害の患者に,25 ないし 50mg のプロゲステロン注を投与し,消退出血 を起こすことにより視床下部へのフィードバックを期待する排卵誘発法としてのプロゲステロン療 法でした.その結果,無排卵周期症の約 60% に排卵がみられると報告しています.また Carl Kaufmann によるカウフマン療法の原法(Kaufmann C. Umwandlung der Uterusschleimhaut einer kastrierten Frau aus dem atrophischen Stadium in das der sekretorischen Funktion durch Ovarial-hormone. Zentralbl Gynäkol. 1932; 56: 2058-61)は,まず月経周期の 1 日目 から 15 日目まで安息香酸エストラジオール投与により子宮内膜を肥厚させ,次いで 19 日目から 23 日目までプロゲステロンを投与して投与終了後に消退出血を期待するものでした.現在われわれ が知る周期の後半にエストロゲンとプロゲスチンの双方を作用させるカウフマン療法は Bos-chann が 1950 年代に改良した方法(BosBos-chann HW. Observations on the role of progesta-tional agents in human gynecologic disorders and pregnancy complications In; New Steriod Compounds with Progesational Activity. vol. 71, 1958. p. 727-52)です.カウフマ ン療法もまたリバウンド作用を期待する排卵誘発法として用いられた時期がありましたが,それ以 外に第二度無月経と子宮性無月経の鑑別,およびエストロゲン補充法としての効果が期待されてい ました. ゴナドトロピン製剤の定義  わが国で用いられている FSH 成分を含んだ注射製剤には,(1)閉経後の女性の尿から精製した FSH と LH の両方を含有する hMG 製剤,(2)hMG 製剤から LH 成分を除去して FSH のみにした 尿由来 FSH 製剤(uFSH 製剤),(3)遺伝子組換え型 FSH 製剤(rFSH 製剤)がある.これら 3 種 類の製剤の総称として,本ガイドラインでは,従来に倣って「ゴナドトロピン製剤」という用語を 用いる.なお,海外では「FSH 製剤(FSH preparations)」という総称が用いられている.上記の

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3 種類の製剤の違いを明確にしたエビデンスは無いため,Answer のところでは「ゴナドトロピン 製剤」という用語を使用し,解説のところでは「hMG 製剤」「rFSH 製剤」などとエビデンスの内 容によって使い分けている.CQ319「排卵障害を有する不妊症に対する排卵誘発法の注意点は? (ART を除く)」を参照願いたい. 改訂  今後,3 年ごとに見直し・改訂作業を行う予定です.また,本書では会員諸氏の期待に十分応え るだけの Clinical Questions(CQ)を網羅できなかった懸念があります.改訂時には,CQ の追 加とわが国からの論文を十分引用したいと考えています.必要と思われる CQ 案やガイドラインに 資すると考えられる論文を執筆された場合,あるいはそのような論文を目にされた場合は学会事務 局までご一報いただければ幸いです. デザイン変更  2017 年版は心機一転,新しい表紙をデザインさせていただきました. XVIII

(23)

Answer

1.‌‌診断は,核酸増幅法(PCR 法,SDA 法,TMA 法等)を用い子宮頸管擦過検体よ

りクラミジアを検出する.

(A)

2.核酸増幅法による淋菌の同時検査を行う.

(B)

3.治療はマクロライド系またはキノロン系の経口抗菌薬により行う.

(A)

4.投薬終了後 3 週間以上あけて治癒判定を行う.

(B)

5.パートナーに検査・治療を勧める.

(B)

Key words

:クラミジア子宮頸管炎 ▷解 説  1.性交渉の経験をもつ女性が,帯下異常,性交時出血,下腹部痛,右上腹部痛を訴えた場合は,本 疾患を疑う.診断は,妊婦を含め子宮頸管擦過検体を専用スワブで採取し,核酸増幅法により行う1) また,正確に腹腔内感染を診断するためには,できるだけ高感度な検出法を選択することが望ましい. 検出に核酸の増幅過程を有しない核酸検出法は,検体中に 5,000 個程度のChlamydia trachomatis (CT)の基本小体が存在しないと陽性にならない.一方で , 核酸増幅法は,数個の基本小体で陽性とな り,核酸検出法にくらべ高い感受性を有する.このため,クラミジアの検出には,核酸増幅法 PCR (polymerase chain reaction)法,SDA(strand displacement amplification)法,TMA(tran-scription mediated amplification)法等)が推奨される.核酸増幅法が選択できない場合には,免疫 クロマト法や EIA 法を用いる.クラミジア抗体検査(IgG,IgA)は,既往感染を反映し,かつ治療後 も陽性が一定期間持続するため現行感染の診断や治癒判定には適さない.IgA,IgG は,共に抗体価(cut off index)が高値になると骨盤内癒着の頻度が高くなるため不妊症のスクリーニング検査として有用で ある2)  2.クラミジア陽性者の約 10% が淋菌感染症を合併するため,特に有症状例では,クラミジアと淋 菌の同時検査を行うことが望ましい.核酸増幅法は,酵素抗体法に比べ感受性が高く,また 1 本のスワ ブ検体からクラミジアと淋菌の同時検出が可能である.多剤耐性淋菌の増加により,クラミジア治療薬 これは婦人科・雑誌用のガイドラインの雛形です【版面】W:149.46mm(1段組み) H:208.14mm 【本文】41 行 13Q 20.48H 【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅  【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H  【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度 (表 1) 核酸増幅法の比較(クラミジア・淋菌)

TMA 法 SDA 法 Real time PCR 法 Real time PCR 法 製造会社名 ホロジック ベクトン・ディッキンソン アンドカンパニー ロッシュモレキュラー システムズ アボット 製造販売 会社名 ホロジック ジャパン ソン日本ベクトン・ディッキン ロッシュダイアグノスティックス アボットジャパン 製品名 アプティマ Combo2 クラミジア/ゴノレア クラミジア・トラコマチス BD ブロープテック ナイセリア・ゴノレア コバス 4800 システム CT/NG アキュジーン m-CT/NG 検体の種類 男性尿道擦過物 子宮頸管擦過物 尿 咽頭擦過物 男性尿道擦過物 子宮頸管擦過物 尿 咽頭擦過物 尿 子宮頸管擦過物 咽頭うがい液 男性尿道擦過物 子宮頸管擦過物 尿 腟擦過物 ターゲット 23s rRNA plasmid DNA plasmid DNA

TMA:transcription mediated amplification, SDA:strand displacement amplification. PCR:polymerase chain reaction

(24)

を用いて淋菌を同時治療することが困難になった.淋菌感染症の治療は,CQ102 を参照し個別に行う.  3.クラミジア子宮頸管炎は,経口抗菌薬であるアジスロマイシン3),クラリスロマイシン,レボフロ キサシン,シタフロキサシンによりほぼ確実に治療が可能である4).妊婦のクラミジア感染症の治療に ついては産婦人科診療ガイドライン産科編を参照されたい.  CT は,性行為により子宮頸管腺細胞に感染し子宮頸管炎の原因となる.上行感染すると,子宮内膜 炎,卵管炎,付属器炎を引き起こす.しかし,性器クラミジア感染症に罹患した女性の 90% 以上は, 無症状であり,無治療のまま放置されることが多い.このため,感染が,卵管を通じて腹腔内へ移行す ると骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)や右上腹部に激烈な痛みを伴う肝周囲 炎(Fitz-Hugh-Curtis 症候群)を発症する5)  下腹部痛や右上腹部痛を認める症例では,子宮頸管炎だけでなく PID や Fitz-Hugh-Curtis 症候群の 合併を考慮する.これらは,軽症であれば経口薬で治療が可能である.一方で,激烈な腹痛を伴う重症 例は,入院管理とし,ミノサイクリン塩酸塩 1 日 200mg 分 2,5 日間の点滴静注,またはアジスロ マイシンによる点滴静注から経口投与へのスイッチ療法すなわちアジスロマイシン点滴静注を 1~2 日 間投与後,患者の状態によりアジスロマイシン錠 250mg,1 日 1 回投与に切り替え,総投与期間を 7 日間とする治療法を行う6)7)  4.核酸増幅法は,高感度であるため早期に治癒判定が行われると偽陽性になることがある.治癒判 定は,投薬開始 3 週間以上あけて行うことが望ましい8)  5.性感染症の特性としてパートナーが存在するので治療行為はその双方に対して同時に行わなけれ ばならない.セックス・パートナーが適切な治療を受けていないことや性交の中止が守られていないな どによる再感染がある.無症状なことが多いセックス・パートナーに対する検査と治療を泌尿器科と連 携しながら行うことや性交の中止,コンドームの使用をすすめる.  クラミジアによる卵管炎や付属器炎を長期間放置すると卵管障害を引き起こし難治性卵管不妊や卵管 妊娠の原因になる9).このため,若年者では,早期発見,早期治療,再感染の防止が極めて重要である. 性器クラミジア感染症のわが国における報告数は,2004 年から減少に転じたものの,性感染の中では 最も発生頻度が高い10).特に,罹患者は,10~20 歳代に集中しており,わが国の性交経験がある女子 高校生 13% に無症候感染者を認めたという報告も存在する11).このため,性交渉を経験した若年者を 診察する場合には本疾患を念頭におく必要がある.また,米 CDC は,特に症状を認めなくても 25 歳【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説これは婦人科・雑誌用のガイドラインの雛形です【版面】W:149.46mm(1段組み) H:208.14mm 【本文】41 行 13Q 20.48H の幅 片・全段ともに図幅  【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H  【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度 (表 2) 主な処方例(クラミジア) 一般名 商品名 使用方法 経口薬 アジスロマイシン水和物 ジスロマック® (250mg/錠) ジスロマック ®錠 250mg 1 回 4 錠 1 日 1 回 ジスロマック SR®成人用 ドライシロップ(2g/瓶) ジスロマック SR ®成人用ドライシロップ 1 回用 時水で懸濁し,空腹時に 1 回経口服用 クラリスロマイシン クラリス®錠, クラリシッド® (200mg/錠) クラリス®錠,クラリシッド®錠 200mg を 1 回 1 錠,1 日 2 回,7 日間 レボフロキサシン水和物 クラビット® (500mg/錠) クラビット ®錠 500mg を 1 回 1 錠,1 日 1 回 7 日間 シタフロキサシン水和物 グレースビット® (50mg/錠) グレースビット ®錠 50mg を 1 回 1 ~ 2 錠,1 日 2 回 7 日間 注射薬 ミノサイクリン塩酸塩 ミノマイシン®点滴静注用 (100mg/バイアル) ミノマイシン ®点滴静注用 100mg を 1 回 100mg 1 日 2 回 3 ~ 5 日間 アジスロマイシン水和物 ジスロマック®点滴静注用 (500mg/バイアル) ジスロマック ®点滴静注用 500mg を 1 回 500mg 点滴投与* 1 ~ 2 日間,その後,ジス ロマック®錠 250mg を 1 日 1 回 5 ~ 6 日間注射部位疼痛軽減のため,500mL の生食等に希釈し,2 時間かけて点滴投与する. 2 ガイドライン婦人科外来編

参照

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