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22 ガイドライン婦人科外来編

しては表 2 に示す腟錠を用い,週 1 回投与法する.治療効果は連日治療の方がやや優れている.腟円蓋 部に挿入しても途中で落下してしまうケースもあり,週 1 回投与の場合には十分な効果が発揮できない こともある.また原因菌がカンジダ菌以外の菌であった場合は,その原因菌に対する治療開始が遅れる ことになり,注意を要する.腟錠を処方し患者に自己挿入させる方法は,不適切な自己処置がなされた 場合には治癒を遅らせる可能性もあり,十分な指導が必要である.なお処方として出せる腟錠の個数に 制限がある.

 外陰部には表 3 のクリームを用い,1 日 2~3 回外陰部に塗布する.外陰部の塗布は通常患者自身が 行う.大陰唇より外側に炎症が存在している場合は,皮膚カンジダ症としての治療が必要になり,皮膚 科領域の軟膏やローションが必要な場合もある.外陰部を清潔に保つように指導することは重要である が,石鹸の使用は皮膚や粘膜を刺激し,かえって炎症を悪化させることが多い.外陰部の炎症症状が強 く,抗真菌薬の外用で症状が改善しない場合は湿疹の合併を考える.湿疹に対する治療として weak group のステロイド薬を 2~3 回併用すると軽快することが多いが漫然と使用するとカンジダ症の治癒 を遅らせることになる.また,外陰ヘルペスの初期にも掻痒感を訴えることがあるので注意すべきであ る.

 VVC の約 90% は初回治療により治癒に至るが,少数は再発を繰り返す.年間 4 回以上再発を繰り 返す例を recurrent vulvovaginal candidiasis(RVVC)という5).RVVC や治療抵抗性の場合は,

初回使用薬と異なる薬剤に変えるか,投与期間を長くして治療効果をみる6).RVVC ではC. glabrata が原因菌となっていることが多く,抗真菌薬の中にC. glabrata に対する MIC がC. albicans のそれ に比べ高いものがあるという基礎研究の報告がある7).腟への主たる侵入経路である消化管におけるカ ンジダ菌の増殖を抑制する目的で,アムホテリシン B(ハリゾン錠)を内服する治療があるが8),それ 自体は消化管で吸収されないので腟や外陰皮膚には移行せず,同部に存在するカンジダ菌に対する直接 の効果はない.海外では RVVC に対するホウ酸の腟内投与や9)内服治療として,フルコナゾ―ル,イト

下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

(表 1) 連日投与法の場合

一般名 商品名 使用方法

クロトリマゾール エンペシド®腟錠(100mg) 1 回 1 錠 1 日 1 回 6 日間 硝酸ミコナゾール フロリード®腟坐剤(100mg) 1 回 1 錠 1 日 1 回 6 日間 硝酸オキシコナゾール オキナゾール®腟錠(100mg) 1 回 1 錠 1 日 1 回 6 日間 適時追加

これは婦人科・雑誌用のガイドラインの雛形です【版面】W:149.46mm(1段組み) H:208.14mm 【本文】41 行 13Q 20.48H

【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

(表 2) 通院困難例の場合

一般名 商品名 使用方法

硝酸イコナゾール アデスタン®腟錠(300mg) 1 回 2 錠 1 週 1 回 硝酸オキシコナゾール オキナゾール®腟錠(600mg) 1 回 1 錠 1 週 1 回 適時追加

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【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H 

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(表 3) 局所塗布剤

一般名 商品名 使用方法

クロトリマゾール エンペシド®クリーム(1%) 1 日 2 ~ 3 回 5 ~ 7 日間 ミコナゾール フロリード D®クリーム(1%) 1 日 2 ~ 3 回 5 ~ 7 日間 硝酸イソコナゾール アデスタン®クリーム(1%) 1 日 2 ~ 3 回 5 ~ 7 日間 硝酸オキシコナゾール オキナゾール®クリーム(1%) 1 日 2 ~ 3 回 5 ~ 7 日間 適時延長

23 ガイドライン婦人科外来編

ラコナゾールの有用性が報告されている10)~12)

 フルコナゾール 150mg 単回投与(内服)は欧米では以前より推奨されていたが5)13)14),日本におい ても 2015 年 4 月に新たに「カンジダ外陰腟炎」に対する保険適用が認められた(表 4).カンジダ外 陰腟炎に対する内服治療の適用は国内初である.国内臨床試験の成績では,臨床症状は投与 3 日目から 改善傾向を認め,第 7 日と第 28 日の臨床評価における改善率はそれぞれ 100%,95.9%,真菌の消 失率は 95.7%,85.9%,総合評価における有効率は 33.7%,74.7%,と報告されている.一方,

有害事象については重度のものは認められず,下痢(1.91%),悪心(1.91%)などである15).投与 後は 4~7 日目を目安に効果判定を行い,評価・対応するよう勧められている.1 回の内服による治療 は,腟錠による加療のための連日の通院や,腟錠の自己挿入の必要がないという利点があるが,妊婦や 授乳婦には禁忌であることには注意が必要であり,国内での臨床例がまだ少ないことを念頭においた使 用が望まれる.

 3.カンジダ菌は消化管や皮膚などの常在菌であるため,菌が少量残存している場合でも治療により 上記症状が消失したものを治癒とする.治療後に培養検査を行う場合は,このことを患者に十分説明し,

余計な心理的負担をかけないよう配慮すべきである.

 VVC の性感染症(STI)としての位置づけについては議論があるが16)17),近年,性交様式が多様化す る中では,日和見感染としてだけではなく,STI としての一面をもつことも忘れずにおく必要がある.

文 献

1) 高 田 道 夫: 真 菌 症 と 産 婦 人 科. 産 婦 人 科 の 世 界 1982; 34: 1193―1199 医 中 誌:

1983053866(III)

2) Sobel JD: Vulvovaginal candidosis. Lancet 2007; 369: 1961―1971 PMID: 17560449 (III)

3) 日本性感染症学会:性感染症 診断・治療ガイドライン 2016,性器カンジダ症.日性感染症会誌  2016; 27: 86―90(Guideline)

4) 日本産婦人科医会研修ノート:外陰・腟カンジダ症.感染とパートナーシップ.東京:日本産婦人科医 会 2002; 69: 85―87

5) Centers for Disease Control and Prevention: Sexually transmitted diseases treatment guidelines 2015. MMWR Recommendations and Reports 2015; 64: 75―78 (Guideline) 6) 久保田武美:【性感染症の診断・治療と予防】性器カンジダ症.臨婦産 2009;63:176―179 医

中誌:2005237772(III)

7) 久保田武美:治療抵抗性外陰腟真菌症.日本医真菌学会雑誌 1998; 39: 213―218 医中誌:

1999065496(III)

8) 木村好秀:外陰腟カンジダ症に対する Amphotericin B(ファンギゾン)内服錠と腟錠による併用療 法.産婦人科の世界 1990; 42: 265―272 医中誌:1990212117(III)

9) lavazzo C, Gkegkes ID, Zarkada IM, Falagas ME: Boric acid for recurrent vulvovaginal can-didiasis the clinical evidence. J Womens Health 2011; 20: 1245―1255 PMID:

21774671 (II)

これは婦人科・雑誌用のガイドラインの雛形です【版面】W:149.46mm(1段組み) H:208.14mm 【本文】41 行 13Q 20.48H

【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H 

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(表 4) 内服薬

一般名 商品名 使用方法

フルコナゾール ジフルカンカプセル(50mg) 1 回 3 錠 単回投与

24 ガイドライン婦人科外来編

10) Pitsouni E, Iavazzo C, Falagas ME: Itraconazole vs fluconazole for the treatment of uncom-plicated acute vaginal and vulvovaginal candidiasis in nonpregnant women: a metaanaly-sis of randomized controlled trials. Am J Obstet Gynecol 2008; 198: 153―160 PMID:

18068146 (I)

11) Sobel JD, et al.: Maintenance fluconazole therapy for recurrent vulvovaginal candidiasis. N Engl J Med 2004; 351: 876―883 PMID: 15329425 (II)

12) Rosa MI, et al.: Weekly fluconazole therapy for recurrent vulvovaginal candidiasis: a sys-tematic review and meta-analysis. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2013; 167: 132―

136 PMID: 23280281 (I)

13) Treatment Guideline for Candidiasis: Clin Infect Dis 2009; 48: 503―535 (Guideline) 14) Sekhavat L, Tabatabaii A, Tezerjani FZ: Oral fluconazole 150 mg single doze versus

intra-vaginal clotrimazole treatment of acute vulvointra-vaginal candidiasis. J Infect Public Health 2011; 4: 195―199 PMID: 22000847 (II)

15) Mikamo H, Matsumizu M, Nakazuru Y, Okayama A, Nagashima M: Efficacy and safety of a single oral 150 mg dose of fluconazole for the treatment of vulvovaginal candidiasis in Japan. J Infect Chemother 2015; 21: 520―526 PMID: 25887336 (II)

16) 小野文武,安元慎一郎:【性感染症(STD)基礎・臨床の最前線】主な性感染症の病因,病態,診断,

治療 性器カンジダ症(解説/特集).日本臨床 2009; 67: 157―161 医中誌:2009071894

(III)

17) Reed BD, Zazove P, Pierson CL, Gorenflo DW, Horrocks J: Candida transmission and sex-ual behaviors as risks for a repeat episode of Candida vulvovaginitis. J Womens Health (Larchmt) 2003; 12: 979―989 PMID: 14709186 (III)

Answer

1.‌‌帯下のグラム染色標本を用いた Nugent‌score,または帯下生食標本を用いた Lac-tobacillary‌grade,または Amsel の臨床的診断基準のいずれかにより客観的に診 断する. (C)

2.治療はメトロニダゾールの局所療法または内服療法を行う. (A)

Key words

:細菌性腟症,Nugent score,嫌気性菌

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【図】●図番号:12Q じゅん 34 ●図タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明:1 行の場合はセンター 折り返し字下げなし ●図説 の幅 片・全段ともに図幅 

【表】●表番号:12Q じゅん 34 ●表タイトル・説明:12Q 17H じゅん 34 ●タイトル・説明の折り返し字下げなし ●表説の幅 表幅より左右 1 字 下げ ●表番号のない表で見出しらしきものがあるときはタイトル扱いとする(12Q じゅん 34) ●表中:11Q 12H または 16H じゅん 101 ●脚注:11Q  じゅん 101 16H 

【統一事項】●図表とタイトルのアキ 2.5 mm ●ローマ数字は二バイトⅠ・Ⅱなどを使用 ●イタリックは従属書体の斜体 10 度

一般名 商品名 使用法

メトロニダゾール フラジール®腟錠 250mg 1 回 1 錠 1 日 1 回 7 ~ 10 日間  腟内投与

フラジール®内服錠 250mg 1 回 1 錠 1 日 3 回 7 日間経口 1 回 2 錠 1 日 2 回 7 日間経口

▷解 説

 細菌性腟症(bacterial vaginosis:BV)とは,腟内のLactobacillus spp. が減少し種々の好気性 菌や嫌気性菌が異常増殖した病的状態である.従来はカンジダ・トリコモナス・淋菌などの特定の原因 微生物が検出されない非特異性腟炎と呼ばれていた.BV の約半数は無症状であるが,帯下増加,下腹 痛,不正出血が 3 大症状で,17~70 歳までの幅広い年齢層に発症していたとの報告もある1).局所所 見では帯下は灰色・漿液性・均質性である.明らかな炎症所見はなく,帯下の鏡検でも炎症細胞が少な いのが,腟炎ではなく腟症と称される理由である.BV で異常増殖した病原細菌が上行すると,子宮内 膜炎や卵管炎・骨盤腹膜炎などが起こる2)3).また BV と性感染症との関連を示す報告も多数ある4)5).  1.診断について,Nugent score(表 1)6)はグラム染色標本による細菌の形態による診断で,BV 診断の gold standard である.しかしグラム染色は染色法としては簡便であるが,実際の外来診療中

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