子宮体がん
治療後 3 年以内の再発が多いとされている13).NCCN ガイドライン14)では治療終了後の経過観察の 間隔は 2 年目までは 3~6 か月ごと,それ以降は半年から 1 年を推奨している.ACOG の Practice
Bulletin15)では最初の 2 年間は 3~6 か月ごと,3~5 年目は 6 か月ごと,それ以降は 1 年ごとのフォ ローを勧めており,日本婦人科腫瘍学会のガイドライン16)では 1~3 年目は 1~3 か月ごと,4~5 年 目は 6 か月ごと,6 年目以降は 1 年ごとの経過観察を推奨している.体がんでも骨盤内再発が多いこと から内診・直腸診は有効な手段であり,加えて体表のリンパ節の触診も行う.そのほかに再発発見に役 立つ検査項目としては,細胞診,胸部 X 線検査,腫瘍マーカー,CT/MRI,PET/CT などがあげられる が,どの検査をルーチンにあるいはどの時期に行うかに関しては確立されていない.日本婦人科腫瘍学 会ガイドラインでは細胞診が腟断端再発の早期発見に有用な場合があるとしているが16),細胞診だけで 再発を診断される症例が少ないことやコストの面からルーチン検査に入れることに否定的な報告が多 く13)17),NCCN ガイドライン14)や ACOG の PracticeBulletin15)では細胞診を推奨していない.腫瘍 マーカー検査(CA125 や CA19-9 など)に関しても,日本婦人科腫瘍学会ガイドラインでは再発の 早期発見に有用な場合があるとしているが16),海外のガイドラインでは十分なエビデンスがないとして ルーチン検査として推奨されていない14)15).胸部 X 線検査については,日本婦人科腫瘍学会ガイドライ ン16)では年に 1 回の胸部 X 線検査が望ましいとしているが,ACOG の Practice Bulletin15)では推奨 していない.NCCN ガイドライン14)では臨床的に適応がある場合にのみ,胸部 X 線検査を含めた画像 検査を行うこととしている.
卵巣がん
治療後 2 年以内の再発が多いとされている18).NCCN ガイドライン19)では治療終了後 2 年目までは 2~4 か月ごと,3~5 年目は 3~6 か月ごと,それ以降は 1 年ごとの経過観察を推奨している.日本 婦人科腫瘍学会の卵巣がん治療ガイドライン20)では治療後 2 年以内は 1~3 か月ごと,3~5 年目は 3
~6 か月ごと,それ以降は 1 年ごとの経過観察が勧められている.いずれのガイドラインでも内診を中 心とした診察と腫瘍マーカー検査(CA125)を推奨している.CA125 測定は再発の早期発見に有用 で,再発例の 80%以上が陽性を示す21).しかしながら,最近の大規模ランダム化比較試験では CA125 のモニタリングを行うことによって約 5 か月早く再発をみつけられるが,早期に化学療法を開始しても 生存期間の延長にはつながらないと報告している22).胸部 X 線検査と CT は NCCN ガイドライン19)で はルーチン検査としては推奨されていないが,日本婦人科腫瘍学会のガイドライン20)では,CT は再発 のリスクに応じて,そのリスクが高い時期に適宜実施することを検討するとされている.CA125 の上 昇がみられる症例において CT で再発所見がみつけられない場合に PET/CT が有用との報告23)~25)が最 近みられるようになっているが,さらなるデータの蓄積が必要である.日本婦人科腫瘍学会のガイドラ イン20)では,現時点で実施できる施設が少ないことや検査自体が高価であることから PET/CT は一次 スクリーニング検査としては推奨できないとしている.
文 献
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118 ガイドライン婦人科外来編
Answer
1.がん種,組織型,分化度,進行期,年齢,合併症などを勘案したうえで施行を決定 する. (B)
2.再発子宮体がん,低悪性度子宮内膜間質肉腫では行わない. (B)
3.子宮体がんでも,根治の可能性が高いと判断された場合には行うことができる. (C)
Key words
:婦人科悪性腫瘍,ホルモン補充療法(HRT),ET,EPT▷解 説
1.閉経前に治療により人工的に閉経状態となった場合,急激な女性ホルモン欠落症状や,長期的に は骨粗鬆症,脂質異常症,動脈硬化症などにより生活の質の低下をきたす可能性があり,45 歳未満の 予防的卵巣摘除が死亡率を上げる1)との報告もある.また手術操作による突然の閉経では,更年期障害 や精神的障害は自然閉経より重症度が高いことが知られており1)~4),40 代前半までに人工的に閉経した 患者の更年期症状への対応は,生活の質の改善と維持に極めて重要である.婦人科悪性腫瘍の治療後は,
悪性腫瘍の種類や組織型,臨床進行期,閉経状態になった年齢,既往歴・家族歴,更年期障害の症状と 重症度,乳がん検診結果,成人病スクリーニング結果を総合的に評価する.そのうえで,十分な説明と 同意を得てホルモン補充療法(HRT)施行を決定する.特に,再発リスクが低い早期子宮体がん,上皮 性卵巣がん,子宮頸がん,腟・外陰扁平上皮がん治療後の卵巣欠落症状には,HRT を施行するメリット があると考えられている2)~4).HRT において子宮内膜がん発症のリスクはエストロゲン製剤+黄体ホル モン製剤投与により低下する5)とされており,子宮摘出後の患者はエストロゲン製剤単独療法(ET),子 宮温存患者は放射線治療後であってもわずかに内膜組織が残る可能性があるため6)エストロゲン製剤+
黄体ホルモン製剤併用療法(EPT)を行う.HRT の開始時期については,報告により初回治療終了直 後から 2 か月以内から 6 か月以内と差があり,個々の患者の状態により判断すべきである.婦人科悪性 腫瘍治療後に HRT を行うべきではないとされている状態は限られており3)4)7),わが国のホルモン補充 療法ガイドライン 2012 年版では,子宮内膜がんと卵巣がんの既往は「慎重投与ないしは条件付きで投 与が可能な症例」に分類されている8).また,各々の疾患に対する国内治療ガイドラインの最新版の記 載も参照すべきである.
子宮頸がんでは,手術や放射線治療に起因した卵巣機能消失による骨粗鬆症予防や,腟・膀胱症状の 改善を含めた QOL の維持のために HRT は有効であると報告されている9)10).ET で頸部腺がんの発生 リスク増加(オッズ比 2.7,95% 信頼区間:1.1~6.8)を指摘した報告11)があるものの,頸がん治療 後の HRT については扁平上皮がんも腺がんも HRT が予後に影響するという証拠はない2)~4).
上皮性卵巣がんでは,発生のリスクについてはホルモン補充投与期間依存的にわずかにリスクが上昇 する可能性がある12)とされている一方で,治療後の ET はランダム化比較試験において,無病生存期間,
全生存期間に影響を与えなかった13)と報告されている.また,その他の観察研究でも同様の結果が示さ
れており14)15),コホート研究で境界悪性腫瘍の予後に HRT の有無は影響がなかったが,診断後に HRT
を施行された上皮性卵巣がんの群では有意に 5 年生存率が良好であったとの報告もある(ハザード比